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骨粗鬆症でもインプラント治療できる?骨粗鬆症の場合の気をつけるべきポイントについて解説

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骨粗鬆症を患っていても、インプラント治療はできるのでしょうか? 骨粗鬆症の場合、インプラント手術をしても失敗に終わるのではないか、成功させるためにはどうすればよいのかなど、不安を抱く方も多いと思います。 本記事では、骨粗鬆症の場合のインプラント治療について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 骨粗鬆症の場合のインプラント手術の可否
  • 骨粗鬆症の方がインプラント手術を受ける場合のリスク
  • 骨粗鬆症の方がインプラント治療をする際の注意点

骨粗鬆症の場合のインプラント治療について理解するためにも、ご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

骨粗鬆症の方がインプラント手術を受ける場合のリスクと手術の可否

骨粗鬆症の方がインプラント手術を受ける場合のリスクと手術の可否

骨粗鬆症だと、インプラントが顎の骨に定着しにくいですか?
骨粗鬆症は骨の密度が低下し、骨がもろくなる病気であり、これがインプラントの固定に影響を及ぼす可能性があります。
インプラントは、顎の骨に直接埋め込まれるため、骨の質が治療の成功に直接関係しています。骨粗鬆症の方でもインプラント治療は可能といわれていますが、骨の密度が低いため、インプラントが骨にしっかりと固定されるまでに、通常よりも長い時間がかかる場合があります。
骨粗鬆症だと、インプラント手術後の治癒が遅くなるリスクはありますか?
骨粗鬆症の患者さんがインプラント手術を受ける場合、手術後の治癒過程に影響が出る可能性があります。骨粗鬆症は骨の密度が低下し、骨がもろくなる病気であるため、手術後の骨の治癒を遅らせる要因となることがあります。
通常、インプラントと骨が結合する期間は3〜6ヶ月程度ですが、骨密度が低い骨粗鬆症の患者さんでは、この期間が長くなる可能性もあります。
骨粗鬆症の治療薬を使用している場合、インプラント手術にはどのようなリスクがありますか?
骨粗鬆症の治療薬、主にビスフォスフォネート製剤(BP剤)やヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤(例:デノスマブ)は、骨の密度を増加させることで、骨折リスクを減少させる効果があるとされています。
しかし、これらの薬剤はインプラント手術の外科処置において、副作用が生じるリスクを高める可能性があります。これらの薬剤を服用している患者さんがインプラント手術を受けた場合、骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(MRONJ)と呼ばれる状態が発生するリスクがあります。
MRONJは、ビスフォスフォネート製剤やデノスマブ製剤などを使用した経験がある方で、口腔内に骨が露出する状態を指します。自覚症状が少ない場合もありますが、最終的には歯の喪失が引き起こされる可能性もある疾患です。
副作用が発生する主な理由は、薬剤が骨の代謝を抑制し、新しい骨の形成や軟組織の治癒能力を低下させることです。
骨粗鬆症でもインプラント治療はできますか?
適切な前処置と治療計画があれば、骨粗鬆症の患者さんでもインプラント治療は可能であるとされています。
ただし、骨粗鬆症治療に使用している薬剤によっては、インプラント治療が行えない場合もあります。そのため、骨の状態を正確に評価し、それぞれのリスクを考慮したうえで、適切な治療計画を立てることが重要です。

骨粗鬆症でもインプラント治療の成功率が上がる条件

骨粗鬆症でもインプラント治療の成功率が上がる条件

服用中の薬剤がビスフォスフォネート剤以外であれば、インプラント治療は成功しますか?
骨粗鬆症の治療薬としてビスフォスフォネート剤以外を服用している場合、インプラント治療の可否は、薬剤の種類や患者さんの骨の状態、さらには歯科医師の専門知識や技術に大きく依存します。また、ビスフォスフォネート剤以外の治療薬を服用している場合、薬剤の影響をおさえるための対策が考慮されます。
例えば、薬剤の一時的な中断や、服用量の調整ができれば、インプラント治療のリスクを低減できる可能性があります。

さらに、インプラント手術を施す歯科医師の経験や技術も、治療の成否に大きく影響します。
骨の質や量を正確に評価し、適切なインプラントの種類や埋入法を選択する専門知識が求められます。

服用中の治療薬を休薬や少量にできれば、インプラント治療の成功率は上がりますか?
骨粗鬆症の治療薬、特にビスフォスフォネート剤は、骨の代謝を抑制し骨密度を向上させる効果が期待できますが、副作用として顎骨壊死のリスクを高めるとされています。
しかし、治療薬の休薬や服用量の調整が可能であれば、インプラント治療を受ける際のリスクを軽減できる可能性があります。MRONJとインプラント治療の関連性は未だに不明な点も多く、休薬や服用量の調整などの必要性は、担当する歯科医師との綿密な話し合いが必要です。

インプラント治療を受けるメリット

インプラント治療を受けるメリット

顎の骨にとって、インプラントにすることは良い選択になりますか?
顎の骨にとってのメリットは、インプラントが骨の萎縮を防ぐ効果が期待できる点です。
天然の歯を失うと、その部分の骨は使用されなくなり、徐々に痩せていきます。
しかし、インプラントは骨に直接固定されるため、噛む力が骨に伝わり、骨の健康を維持するのに役立ちます。
さらに、顎の骨に直接埋め込まれる人工の歯根によって、天然の歯に近い噛み心地と機能を回復させられます。
インプラントの検討が、骨粗鬆症の早期発見に繋がることはありますか?
インプラント治療を検討する過程で、骨粗鬆症を早期発見できる可能性があります。
これは、インプラント治療において必要な骨の評価が、骨粗鬆症のスクリーニングに役立つためです。歯科用レントゲンやパノラマ撮影は、インプラントを埋め込むための顎の骨の状態を評価する際に使用されますが、これらの画像から骨の密度が低下していることが判明した場合、骨粗鬆症の可能性を示唆することがあります。

骨粗鬆症は、初期段階では自覚症状がほとんどなく、骨折などの深刻な事態をきっかけに診断されることが多いとされています。
しかし、歯科診療の際のレントゲン検査により、骨の密度の低下が偶然にも発見されることがあり、これが骨粗鬆症の早期発見に繋がるといわれています。

骨粗鬆症の方がインプラント治療を受ける際の注意点

骨粗鬆症の方がインプラント治療を受ける際の注意点

かかりつけの歯科医師に伝えた方がよいですか?
骨粗鬆症の方がインプラント治療を受ける際には、治療中の薬剤使用についてかかりつけの歯科医師に必ず伝えることが重要です。骨粗鬆症の治療に用いられる薬剤は、骨の代謝に影響を及ぼし、インプラントの治癒過程にも影響を与える可能性があります。
薬剤の種類や服用量に応じて、治療方針が変わることもあるため、お薬手帳や薬の説明書を持参し、詳細な情報を提供することが推奨されます。
日々のセルフケアは重要ですか?
骨粗鬆症の患者さんがインプラント治療を受ける際には、日々のセルフケアが重要です。
特に、インプラント周囲炎などのリスクが高まる可能性があるため、口腔内を清潔に保つことが不可欠です。日々のセルフケアでは、正しい歯磨き技術を用いて、歯とインプラントの周囲、歯茎の境目や歯と歯の間など、細菌が蓄積しやすい部分を清掃することが重要です。
フロスや歯間ブラシを使用して、ブラシだけでは届きにくい部分のプラークを除去することも大切です。

さらに、インプラント治療後も定期的に歯科医院を訪れ、プロフェッショナルクリーニングを受けることが推奨されます。
この定期的なメンテナンスにより、セルフケアだけでは除去しきれないプラークや歯石を取り除き、インプラント周囲の健康を維持できます。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで、骨粗鬆症の場合のインプラント治療についてお伝えしてきました。 骨粗鬆症の場合のインプラント治療の要点をまとめると、以下の通りです。

  • 骨粗鬆症であっても、適切な前処置と治療計画があれば、インプラント治療は可能とされている。
  • 骨粗鬆症の方がインプラント手術を受ける場合、インプラントが骨に定着しにくい、術後の治癒が遅くなるなどのリスクがある。
  • 骨粗鬆症の方がインプラント治療をする際の注意点は、かかりつけ医に伝えること、日々のセルフケアを徹底することである。薬剤の影響やインプラント周囲炎のリスクを理解し、健康な口内環境を維持しよう。

これらの情報が、少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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