インプラント

インプラントと入れ歯の違いとは?メリット・デメリットについても紹介

浮いている歯

歯を失うことは、食事や会話などの生活面での不便さや、自信の喪失などを引き起こします。そのため、歯科治療において、歯を失った場合の選択肢として、インプラントと入れ歯が存在します。本記事では、これらの治療方法の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

インプラントと入れ歯の違いについて

インプラントについて教えてください。
インプラントは、人の体に医療器材を埋め込む治療法の総称であり、歯科インプラント、心臓のペースメーカー、人工関節、美容目的で入れるシリコンなどが含まれます。歯科インプラントは、歯を失った箇所に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を取り付ける治療法であり、歯の欠損を補うために広く用いられています。しかし、インプラント治療には、手術を行うため痛みや腫れが生じることがあるほか、上顎洞損傷、顎骨壊死、糖尿病などのリスクが伴うことがあります。そのため、インプラント治療を受ける前には、医師との十分な相談が必要です。
特に歯科インプラント治療を受ける際には、上あごの骨の形と量を詳しく調べ、インプラント治療によって上顎洞を損傷しないかを判断することが重要です。このため、CT検査等の画像診断を行い、慎重に治療計画を立てることが必要とされています。また、インプラント治療には、手術の技術力や医師の経験によって成功率が左右されることがあります。そのため、治療を受ける医師の選択も重要です。インプラント治療は、歯の欠損を補うために有効な方法である一方、手術に伴うリスクや医師の技術力による成功率の違いがあるため、慎重な判断が必要です。治療を受ける前には、リスクや治療の流れ、費用などを含め、医師との十分な相談を行うことが望ましいでしょう。
入れ歯について教えてください。
入れ歯は、歯を失った人々が食事や発音などの機能を回復するために用いられる義歯の一種です。入れ歯は、総入れ歯と部分入れ歯の2つの種類に分かれます。
まず、総入れ歯について説明します。総入れ歯は、上下どちらか、もしくは両方の歯が全て失われている場合に使用されます。総入れ歯は、口腔内の粘膜に吸着力を持って支えられます。しかし、総入れ歯は天然歯に比べて安定性が低く、不安定感やガタつきが気になることがあります。また、粘膜の刺激により、総入れ歯を使用する初期には違和感や痛みを感じることがあります。
次に部分入れ歯について説明します。部分入れ歯は、天然歯が1本でも残っている場合に使用されます。部分入れ歯は、天然歯に支えられるため、総入れ歯に比べて安定性が高く、違和感も少なく快適に使用することができます。部分入れ歯には、金属床義歯、ノンクラスプデンチャー、シリコン義歯、リーゲルテレスコープ、インプラントオーバーデンチャーなどの種類があります。
次に金属床義歯について説明します。金属床義歯は、金属製の床板をもち、その上に歯が設置された入れ歯です。金属床義歯は、部分入れ歯の中でも一般的なタイプで、丈夫で長持ちすることが特徴です。
磁石アタッチメント付入れ歯というものも存在します。磁石アタッチメント付入れ歯は、金属製のアタッチメントを持つ入れ歯で、天然歯に取り付けられた金属の反対側に磁石を埋め込んでいます。磁石アタッチメント付入れ歯は、部分入れ歯の中でも、着脱が簡単で、金属のアタッチメントが目立たないのが特徴です。
次にノンクラスプデンチャーについて説明します。ノンクラスプデンチャーは、金属のクラスプを持たない入れ歯です。ノンクラスプデンチャーは、外見が自然であるため、金属クラスプが目立つことが気になる人に適しています
シリコンについても説明します。シリコンは柔軟性や耐久性に優れ、適切な形状に加工することができます。シリコン義歯は、総入れ歯や部分入れ歯のどちらにも使用でき、天然歯や歯茎にやさしく、長時間の使用でも違和感が少ないのが特徴です。
次にリーゲルテレスコープについて説明します。リーゲルテレスコープは、金属製のテレスコープを使った入れ歯です。天然歯に取り付けられた金属製のテレスコープを、入れ歯側に嵌め込むことで、入れ歯がしっかりと支えられるようになります。リーゲルテレスコープは、入れ歯の装着感がよく、自然な外観を実現することができます。
最後にインプラントオーバーデンチャーについても説明します。インプラントオーバーデンチャーは、人工歯根を使った入れ歯です。口腔内に人工歯根を埋め込み、その上に入れ歯を取り付けることで、非常に高い安定性を実現することができます。インプラントオーバーデンチャーは、自然な噛み合わせや発音を実現し、快適な使用感を提供します。ただし、手術が必要であるため、治療期間が長く費用が高いことがデメリットとなります。
以上のように、入れ歯には総入れ歯と部分入れ歯の2種類があり、それぞれに金属床義歯、磁石アタッチメント付入れ歯、ノンクラスプデンチャー、シリコン義歯、リーゲルテレスコープ、インプラントオーバーデンチャーなどの種類があります。自分に合った種類を選び、適切にメンテナンスを行うことで、入れ歯を長く快適に使用することができます。
ブリッジとはなんですか?
ブリッジとは、欠損した歯を補うための治療方法の一つであり、両隣の歯を支持として使用します。この方法では、欠損した場所に人工歯を差し込むか、歯を削らずに接着する方法があります。ブリッジ治療の長所は、取り外しがないために違和感が少なく、シンプルな治療であることです。また、見た目が自然であり、口腔内に違和感を感じることなく、自然な噛み合わせを実現することができます。
しかしながら、ブリッジ治療にはいくつかの短所も存在します。例えば、支持として用いる歯を削る必要があるため、力学的に負担がかかり、長期的な負担によって支持歯が抜け落ちる可能性があることが挙げられます。また、周囲の歯をたくさん削る必要があるため、削った歯が虫歯や歯周病になる可能性もあるため、定期的なメンテナンスが必要です。
さらに、ブリッジ治療の費用は高く、治療期間も長い場合があります。そのため、ブリッジ治療を受ける前に、他の選択肢を検討することも重要です。例えば、インプラント治療は、周囲の歯を削る必要がなく、支持力も強く、長期的な負担にも耐えられるとされています。
総合的に考えると、ブリッジ治療は、一定の利点とデメリットがあることがわかります。治療の方法や、適応症、費用、期間などを考慮して、患者さんの状況に合わせた適切な治療方法を選択することが重要です。

歯が抜けた場合の治療法について

歯が抜けた場合はどの治療法を選ぶべきでしょうか?
歯が抜けた場合には、インプラントと入れ歯が代表的な治療法となります。
・インプラントの適応症例周囲の歯を傷つけずに欠損した歯を補いたい場合。
長い目で見て、美しい見た目を保ちたい場合。
奥歯を欠損した場合。
年齢や健康状態など、手術を受けるに十分な体力がある場合。

・入れ歯の適応症例
歯周病などによる歯の抜歯が多く、顎の骨が著しく減少している場合。
治療期間や費用に制限がある場合。
仮歯を使用して、治療期間中の暫定的な治療が必要な場合。

次の項目で、インプラントと入れ歯のメリット・デメリットを解説いたします。これらを考慮に入れて、歯科医師と相談し、自分に適した治療法を選ぶことが重要です。

インプラントと入れ歯のメリット・デメリットについて

インプラントのメリットはなんですか?
インプラントのメリットについて、以下のように詳しく説明できます。
・「自分の歯にかかる負担が減って長持ちする」インプラントは、人工の歯根を顎の骨に埋め込むことで、自分の歯にかかる負担を軽減することができます。また、インプラントは耐久性が高く、正しいケアを行えば長期間使用することができます。

・「健康な歯に負担をかけずに治療できる」
従来の入れ歯やブリッジなどは、周囲の健康な歯を削って装着する必要がありました。しかし、インプラントは人工歯根を直接顎の骨に埋め込むため、周囲の健康な歯を削る必要がありません。そのため、周囲の歯に負担をかけることなく治療ができます。取り外す必要がないため、食事中にずれたり外れたりすることがないインプラントは、人工歯根と人工歯冠を一体化させて作られているため、歯を取り外す必要がありません。そのため、食事中にずれたり外れたりする心配がありません。

・「硬い物でも違和感なく噛むことができ、自分の歯で噛んでいるのに近い感覚を得ることができる」
インプラントは、人工歯根が顎の骨にしっかりと結合するため、自分の歯と同じように硬いものでも噛むことができます。また、インプラントに装着される人工歯冠は、天然歯のような自然な仕上がりになるため、噛んだ時の感覚も自然なものを得ることができます。

・「美しい自然な仕上がりになる」
インプラントには、天然歯と同様に、色や形を調整することができる人工歯冠が使用されます。そのため、美しい自然な仕上がりにすることができます。また、歯茎の形状や色合いも調整することができ、周囲の歯と調和のとれた自然な見た目に仕上げることができます。

インプラントのデメリットはなんですか?
インプラント治療は、歯を失った患者さんにとって、自然な咀嚼や話し方を取り戻すための有効な方法です。しかしながら、インプラント治療にはいくつかのデメリットも存在します。
・「感染に弱いことがある」インプラント手術は、口腔内に外来物を入れるため、感染によるリスクがあります。適切な衛生管理や手術技術の高い医師による治療を受けることが必要です。

・「骨が十分にない場合、​治療が難しくなることがある」
インプラントは、人工歯根を骨に埋め込むことで、安定した歯の基盤を作ることができますが、骨が十分にない場合は、手術が困難になり、成功率が低くなる場合があります。

・「治療費が高額で保険適用外であることが多い」
インプラント治療は、手術や人工歯の材料の高価格により、治療費が高額になります。また、一部の保険では、インプラント治療が適用外の場合があります。

・「痛みや腫れなどの身体への負担があることがある」
インプラント手術は、口腔内に外来物を入れるため、手術後に痛みや腫れ、出血などの身体への負担があることがあります。しかし、これらの症状は時間とともに治まります。

・「インプラント治療にはリスクがあることを理解しておく必要がある」
インプラント治療は、一般的に安全で有効な方法ですが、手術や麻酔によるリスクや、人工歯の材料の欠陥や破損、周囲の歯茎や歯の問題などの合併症が発生する可能性があります。患者さんは、これらのリスクについて医師と十分な相談をする必要があります。

入れ歯のメリットはなんですか?
入れ歯には以下のようなメリットがあります。
・「費用が比較的安い」入れ歯は歯科治療の中でも比較的安価な選択肢の一つです。また、保険適用の場合は自己負担が少なくなることもあります。

・「見た目や噛む力を維持できる」
歯を失った場合でも、入れ歯を使用することで見た目や噛む力を維持することができます。入れ歯を使用することで、自然な笑顔を取り戻すことができます。

・「最新の技術や素材を使って作ることができるため、より満足度の高いものを制作できる」
保険適用の入れ歯よりも、最新の技術や素材を使って作ることができる入れ歯を選択することができます。この場合、より快適で耐久性の高い入れ歯を制作することができます。

・「装着感が良く、噛む力も強くなる」
レジン+金属を組み合わせた入れ歯は、薄くて軽いため、装着感が良く、噛む力も強くなります。また、金属の強度を利用することで、より噛む力を強化することができます。

入れ歯のデメリットはなんですか?
入れ歯には以下のようなデメリットがあります。
・「お口に合わない場合は痛みを感じることがある」入れ歯がお口に合わない場合、痛みを感じることがあります。この場合は、調整が必要となります。

・「はずれやすいことがある」
入れ歯は自然な歯とは違い、口内で固定されていないため、はずれやすいことがあります。特に食事中や笑った時など、口を動かすことではずれることがあります。

・「咀嚼力が弱くなることがある」
入れ歯は、天然歯に比べて咀嚼力が弱くなることがあります。特に、入れ歯がきちんとはまっていない場合は、咀嚼力がさらに低下する可能性があります。

・「違和感やガタつきを感じることがある」
入れ歯は、装着感が悪いと違和感やガタつきを感じることがあります。特に、初めて入れ歯を使用する場合は、なかなか慣れないことが多いです。

・「噛み心地が悪くなることがある」
入れ歯が噛み合わせに合わない場合、噛み心地が悪くなることがあります。この場合は、入れ歯の調整が必要となります。

編集部まとめ

インプラントは、人工歯根を顎骨に埋め込む方法で、自然な噛む力を得られ、見た目も自然に近いため、高い審美性が期待できます。また、周囲の歯を削る必要がなく、顎骨の再生を促進するため、顎の形も保持できます。しかし、手術が必要であるため、時間と費用がかかり、術後のメンテナンスも重要です。

一方、入れ歯は、歯を失った箇所に合わせた人工歯を入れたものです。歯を失った部分だけでなく、周囲の歯も支えるため、安定感があります。また、治療期間が短く、費用も比較的低いため、手軽に歯の治療ができます。しかし、周囲の歯を支えるため、多少の負担がかかり、取り外しも必要です。

以上のように、インプラントと入れ歯にはそれぞれ特徴があります。治療の目的や予算、健康状態に合わせて、適切な選択を行いましょう。

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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