インプラント

インプラントを「やらなきゃよかった」と思わないために|後悔しないために事前に学ぼう

歯を確認する女性

インプラント(人工歯根)とは、欠損した歯を補うために人工的に埋め込む治療法です。多くの人がインプラントを選び、歯並びの改善や咀嚼機能の向上などのメリットを享受していますが、中には「やらなきゃよかった」と後悔するケースもあります。今回は、インプラントの後悔したケースや後悔しない工夫について解説します。

インプラントを「やらなきゃよかった」と後悔するケース

「やらなきゃよかった」と後悔するケースを教えてください。
・インプラント周囲炎
インプラント周囲炎とは、インプラント周囲の歯肉や骨が炎症を起こす病気のことです。歯周病と同様に、口内の細菌感染が原因となります。通常、正常な状態のインプラントは、周囲の骨や歯肉と密着し、しっかりと固定されているため、細菌は侵入できません。しかし、適切な口腔ケアを怠った場合、細菌がインプラント周囲の歯肉に侵入し、炎症を引き起こすことがあります。
インプラント周囲炎の症状には、歯肉の腫れや痛み、出血、口内の臭いなどがあります。進行すると、インプラント周囲の骨が吸収されることがあり、インプラントが不安定になることもあります。
・インプラントが定着しなかった
インプラント治療では、人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工歯を取り付けます。しかし、人工歯根が骨に十分に定着しなかった場合、インプラントが崩壊してしまうことがあります。これは、手術後のケア不足や、手術前に骨密度の低下があった場合、手術中に骨にダメージが与えられた場合などが原因として挙げられます。
・インプラントの形状や色合いが自然な歯と合わない
インプラント治療は、見た目を自然な歯に近づけられるとされていますが、中にはインプラントの形状や色合いが自然な歯と合わないというケースもあります。歯科医師がインプラントの形状や色合いを決める際に、患者さんの希望や要望を十分に聞かずに決定してしまった場合に起こり得ます。また、患者さんが自分の歯の色合いや形状を正確に把握しておらず、それを伝えられなかった場合にも起こり得ます。
また、歯科医師が技術的な問題でインプラントの形状や色合いを正確に再現できなかった場合にも、自然な歯と合わないインプラントができあがってしまうことがあります。
「やらなきゃよかった」と後悔しないためにできることはありますか?
【事前カウンセリング】
・インプラント治療の詳細な説明
治療の詳細やリスク、期間、費用、アフターケアなどの説明を受け、十分に理解することは、後悔を避けるためには不可欠です。
・歯科医師との信頼関係の確立
治療に対する疑問や不安がある場合には遠慮なく相談し、歯科医師との信頼関係を確立しましょう。
・健康状態の確認
糖尿病や心臓病、高血圧などの持病がある場合には、治療の進め方に影響を与えることがあるため、事前に医師に報告・相談することが必要です。
・治療計画の確認
インプラント治療の計画には、インプラントの種類やサイズ、手術方法、麻酔の種類などが含まれます。治療計画を理解し、希望やライフスタイルに合わせた治療方法を選択することが重要です。
・アフターケアの説明
インプラント治療後のアフターケアについても、事前に理解しておくことをおすすめします。治療後の経過観察や、ブラッシングやフロスの方法、定期検診の重要性などを理解し、治療後のメンテナンスに活かしましょう。
【治療後のメンテナンス】・正しい歯磨き
特にインプラント周囲の歯肉にはしっかりとブラッシングを行い、食べかすや汚れを取り除き、口腔内の健康を保つことが大切です。

・定期的な歯科医院でのメンテナンス
インプラント周囲炎やインプラントの緩みなどの問題を早期に発見し、適切な対処をしてもらえる可能性が高いです。

・健康な生活習慣
タバコやアルコールの過剰摂取、不規則な食生活などはインプラントの寿命を短くする原因となるため、健康的な生活習慣を心がけることが重要です。

インプラント治療を行う病院選びのポイントは何ですか?
【信頼できる歯科医院を選ぶ】
インプラント治療は、手術が必要な治療であるため、施設の清潔さや設備が整っていることが重要です。また、インプラント治療は、診断から手術、アフターケアまで長期にわたる治療です。実際にクリニックを訪れて、医師やスタッフに直接相談することで、クリニックの雰囲気や治療方針、検査機器の充実度などを確認しましょう。インプラントを正確に計画するための検査機器の例として、以下の2つが備わっているかどうか確認しましょう。
・デジタルパノラマX線
歯科用のX線で、歯や歯茎、顎骨などの撮影ができます。インプラントの手術前には、患者の歯と口腔内を全体的に確認するために必要です。
・CTスキャン
3D画像を生成できるため、歯科医師がインプラントを正確に計画するために使用されます。顎骨の密度や形状、神経の位置などを詳細に確認できます。
【歯科医師の技術力を調べる】インプラント治療は、高度な技術を必要とする手術です。適切な診断と治療計画が必要であり、治療を行う歯科医師の技術力が重要です。歯科医師の技術力を計る際に以下の点を確認することをおすすめします。

・口コミを調べる
自分と同じような治療をした人の口コミを検索して、歯科医師の治療に対する評価を確認できます。

・カウンセリングを受ける
インプラントをする前には必ずカウンセリングを受けます。その際、歯科医師の対応や説明力、診断力を確認できます。

・資格を確認する
インプラント治療には特別な知識と技術が必要です。歯科医師がインプラント治療に必要な資格を取得しているかを確認しましょう。

・治療実績を確認する
歯科医師の経歴や専門分野と照らし合わせて、ホームページやSNS、クリニックのパンフレット等から、歯科医師が過去に行ったインプラント治療の実績を確認できます。

・専門性を確認する
インプラント治療に特化した歯科医院や、インプラント治療を得意としている歯科医師を選ぶことが大切です。専門的な知識と技術を持つ歯科医師の元で治療を受けることをおすすめします。

インプラントのメリット・デメリット

インプラントのメリットを教えてください。
・自然な見た目と感触
インプラントは、天然歯に最も近い人工歯根であり、天然歯のような自然な見た目と感触を再現できます。
・噛む力の回復
インプラントは、人工的に歯根を再現するため、周囲の骨組織と結合して支えることで、自然歯に近いかむ力を回復させることが多いです。
・歯の移動の防止
インプラントは周囲の歯を支える必要がないため、周囲の歯が動いて歯並びが乱れることを防止します。
・長期間の耐久性
インプラントは、適切なケアを行えば天然歯同様、長期間にわたって耐久性を保てます。
・口腔内の健康維持
インプラントを使用することで、入れ歯やブリッジを使用する場合よりも口腔内の清掃がしやすくなり、健康を維持しやすくなります。
インプラントのデメリットを教えてください。
・治療に伴うリスク
例えば、手術中の出血、周囲の骨や歯茎の損傷などが挙げられます。また、インプラントが体に合わなかった場合や、異常な痛みや違和感が残ることもあります。信頼できる歯科医院の選択や、治療後の定期的なメンテナンス、ライフスタイルの見直しなどの対策をして、より効果的な治療を受けられるよう工夫しましょう。
・高額な費用
インプラント治療にはインプラント自体の費用や手術費用、レントゲンやCTスキャンなどの検査費用、材料費や技工士費用などが含まれる場合があります。しっかりと費用の内容を確認することが重要です。
・時間がかかる
インプラントの埋入後、人工歯根が周囲の骨としっかりと結合するまでには、約3か月から半年程度の期間を要します。インプラントが定着した後、歯科技工士が患者さんの口の状態をもとに、自然な歯と同じ形や色合いの人工歯を作ります。人工歯を製作するには、時間がかかる場合があります。

編集部まとめ

インプラント治療は歯を失った場合に非常に効果的な方法ですが、後悔する恐れもあります。歯科医院選びや事前カウンセリング、治療後のメンテナンスなどをしっかり行い、工夫することが重要です。また、口腔衛生管理や定期検診にも注意し、インプラント治療を長期的に成功させるための努力が必要です。

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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