奥歯にインプラントを入れたいと考えている方もいるのではないでしょうか? しかし奥歯のインプラントにはデメリットがあるのか気になりますよね? 本記事では奥歯のインプラントのデメリットについて、以下の点を中心にご紹介します。
- 奥歯のインプラントについて
- 奥歯のインプラント治療のデメリット・メリット
- 奥歯のインプラント治療後に気を付けること
奥歯のインプラントのデメリットについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。
奥歯のインプラント
- そもそも奥歯とはどこを指しますか?
- 一般的に人間の口腔内の後方に位置する歯を指します。具体的には、小臼歯と大臼歯のことを指し、これらは上下左右にそれぞれ2本ずつの小臼歯と3本ずつの大臼歯が存在します。一番奥の第三大臼歯は通常「親知らず」と呼ばれ、全ての人が持っているわけではなく、生えてこない人や元から存在しない人もいます。
- 奥歯の役割について教えてください
- 奥歯は食物を細かくし、消化を助けるとともに栄養素の吸収を促進します。噛み合わせの高さも奥歯によって決められています。しかし、奥歯は前歯と比べて失いやすいとされています。奥歯で噛むときに力がかかることや、歯ブラシが届きにくいことなどが原因とされています。
- 奥歯をインプラント治療する際の流れを教えてください
- 奥歯のインプラント治療の流れは以下のようになります。1. カウンセリング(インプラント相談):まずは患者さんの不安や疑問を解消し、インプラント治療の全体像を理解してもらいます。
2. 検査・計画〜ご契約:歯周病の検査や歯型を取り、残っている歯や噛み合わせについて確認します。また、CTスキャンを使用して、顎の骨の密度や量を細かく検査します。
3. 一次処置 インプラント埋入:歯の根となるインプラント体を顎の骨に埋め込みます。
4. 待機期間:インプラント体が骨と結合して一体化するのを待ちます。待機期間は、治療箇所や骨の状態によって変わりますが、平均的に2ヶ月~3ヶ月くらいです。
5. 二次手術 アバットメント取付:歯茎を再度開き、解析装置で磁気を当てて骨とインプラントが一体化していることを確認します。
6. 型取り:インプラントの型取りをします。
7. 完成:二次手術で装着したキャップを取り外し、歯となる被せ物の土台を取り付けます。
8. メンテナンス・定期検査:インプラントは、天然の歯と同様にメンテナンスが必要です。そのため、お口の中の環境を維持するためのブラッシング指導などをします。以上のステップを経て、奥歯のインプラント治療が完了します。
- 前歯のインプラントと奥歯のインプラントは何が違いますか?
- 前歯と奥歯のインプラント治療にはそれぞれ特有の違いがあります。前歯のインプラントは、その位置が顔の中心部にあるため、審美性が重視されます。また、前歯部分の骨は薄く、インプラントを埋め込むのが難しいとされています。さらに、歯肉の退縮により、インプラントの金属部分が露出すると見た目が悪くなる可能性があります。一方、奥歯のインプラントは主に咀嚼機能の回復を目指します。しかし、奥歯がない状態を放置すると、隣接する歯がぐらつき始め、次々と歯を失う可能性があります。そのため、早期の治療が推奨されます。
奥歯をインプラントにするメリット・デメリット
- 奥歯をインプラントにするメリットについて教えてください
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- 残っている歯を傷つけずに機能を取り戻せる:インプラントは歯根まで回復できる治療法であるため、残っている歯を削ったり、傷付けたりする必要はありません。噛んだ時の力もインプラントと顎の骨でしっかり支えられます。
- 顎の骨が弱くなるのを防止できる:インプラントは顎の骨に埋入されていることから、噛み合わせの力を顎の骨に伝えられます。その結果、インプラントが埋入された周囲の顎の骨の喪失を防ぐことができます。
- 審美性に優れている:インプラントは天然歯と類似した構造であり、金属部分も目立ちにくいことから、従来法よりも審美性に優れているといえます。
- 食事を楽しめる:インプラントには顎の骨と結合した人工歯根が存在しており、食事中に装置がずれる・外れるリスクは低いです。硬い食べ物もしっかり噛むことができ、本物の歯があったときと同じように食事を楽しめます。
- 発音を維持できる:インプラントは天然歯と類似した構造を採っており、しゃべっている時にずれることもないため、歯を失う前と同じ発音状態を回復できる可能性があります。
- 奥歯をインプラントにするデメリットについて教えてください
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- 治療費用が全額自己負担:インプラント治療は、原則として全額自己負担となります。それは奥歯だけでなく、前歯も同様です。
- インプラント周囲炎を起こす可能性がある:インプラントは、歯冠から歯根まですべてがチタンやセラミックで構成されているので、どんなにケアを怠っても虫歯になることはありません。しかし、インプラント体やアバットメントの周りにあるのは生きた歯茎や歯槽骨(しそうこつ)なので、不潔になることで歯周病に似たインプラント周囲炎という病気が発症します。
- 顎の骨を増やさなければならない場合がある:インプラント治療の可否は、顎の骨の状態によって決まることが多いです。顎の骨が足りないとチタン製のネジを安全に埋め込めないからです。
- 治療期間が長い:インプラント治療には必ず「治癒期間」が設けられます。人工歯根と顎の骨がしっかりと結合するまでの時間を指します。これは、患者さんの体質や治療部位の状態によりますが、一般的には3~6ヶ月程度とされています。
- インプラントが抜ける可能性がある:インプラント治療後にインプラントが抜ける可能性があります。これは、インプラントと顎の骨がうまく結合しなかった場合や、インプラント周囲炎などのトラブルが起きた場合に起こります。
- インプラント治療は再治療が難しい:インプラントが抜けてしまった場合や、インプラント周囲炎が進行してしまった場合、再治療は非常に難しいとされています。そのため、治療を受ける前には、しっかりとしたカウンセリングと診断が必要となります。
奥歯のインプラントの注意点
- 奥歯のインプラント治療が難しいケースはありますか?
- 奥歯のインプラント治療は、特定のケースで難しい場合があります。以下はその主な理由です。
- 上顎の奥歯のケース:上顎の奥歯部分は、上顎洞という空洞が存在し、骨の高さが不足することが多いため、インプラントが突き抜けるリスクがあります。
- 下顎の奥歯のケース:下顎の奥歯近くには血管や神経が通る下顎管が存在するため、これらを傷つけるリスクがあります。
- 骨の量が不足しているケース:歯を失うと骨が吸収され、骨の量が減少することがあります。この場合、人工骨などで骨を補う必要があることがあります。
- 特定の既往症があるケース:例えば、上顎洞に影響する既往症がある患者には、特定の治療が避けられることがあります。
- 奥歯のインプラントのリスクファクターについて教えてください
- インプラント治療のリスクファクターは、手術、オッセオインテグレーションの達成と維持、上部構造の製作と維持の3つのカテゴリーに分けられます。手術に対するリスクファクターは、手術中に合併症が発生する可能性や手術操作を誤る可能性を示します。オッセオインテグレーションの達成と維持に影響を及ぼすリスクファクターは、手術創の治癒不全やインプラント体周囲の骨治癒に異常が起こる可能性を示します。上部構造の製作と維持に対するリスクファクターは、咬合や歯列の異常により上部構造が製作できない可能性や、インプラント治療を行う箇所の軟組織が適切に確保できない状況による審美的問題が発生する可能性を示します。これらのリスクファクターは、全身的なもの(例:高血圧、心疾患、糖尿病など)と局所的なもの(例:不良な骨質、骨量不足、喫煙など)にも分けられます。
これらのリスクファクターを理解し、適切な評価と対策をすることで、インプラント治療の成功確率を向上させることが可能です。
- 奥歯をインプラントに治療した後、気を付けることを教えてください
- インプラント治療後のケアは非常に重要で、適切なメンテナンスがインプラントの寿命を延ばします。以下に注意すべきポイントを挙げます。
- 日々のセルフメンテナンス:インプラント周囲炎の発症リスクを低減するために欠かすことができないのが、毎日のセルフメンテナンスです。正しいブラッシング方法を習得し、歯間ブラシやデンタルフロスなどの補助的な清掃用具を使用することが大切です。
- 定期的な歯科診療:インプラントの状態を定期的にチェックするため、3ヶ月から半年に一度程度の定期検診を受けることを推奨します。検診ではインプラント周囲炎の症状の有無、噛み合わせ、インプラントの動揺度、歯周ポケットの深さなどをチェックします。
これらのケアを適切に行うことで、インプラントは長期間にわたり機能を維持し、口腔内の健康を保てます。
編集部まとめ
ここまで奥歯のインプラントのデメリットについてお伝えしてきました。奥歯のインプラントのデメリットについて要点をまとめると以下の通りです。
- 前歯のインプラントのほうが奥歯よりも難しい場合があり、審美性もより求められる
- 奥歯のインプラントをすることで、残っている歯を傷つけずに機能を取り戻せるメリットと、前歯と同様に料金が全額負担であるデメリットもある
- 奥歯のインプラント治療後は、日々のセルフメンテナンスや定期的な歯科診療を受けることが大切である
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。