オールオン4

オールオン4に歯茎が付いているのはなぜ?その理由と治療の流れなどを解説します

オールオン4に歯茎が付いているのはなぜ?その理由と治療の流れなどを解説します

すべての歯を失ったケースに適応できるのがオールオン4です。顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込むインプラント治療の一種ではありますが、入れ歯のような歯茎の部分が付いています。いわゆる義歯床(ぎししょう)にあたるピンク色の構造で、なぜインプラント治療のオールオン4に歯茎が必要なのか、不思議に感じている方もいることでしょう。ここではそんなオールオン4に歯茎が付いている理由と治療の流れをわかりやすく解説します。

オールオン4には歯茎がついている?

オールオン4には歯茎がついている? はじめに、オールオン4に歯茎が付いている理由や歯茎の部分がないオールオン4もあるのかどうかについて解説します。

オールオン4に歯茎が付いているのはなぜですか?
オールオン4は、4本のインプラントを埋め込んで、12本の人工歯が連なった総入れ歯のような装置を固定する治療法です。歯が1本もない、あるいはほとんど歯がない状態だと、顎の骨や歯茎が徐々に痩せていきます。そこに人工歯根と上部構造のみを固定すると、見た目が悪くなります。これは進行した歯周病で歯茎が下がり、歯が伸びたように見える症状をイメージするとわかりやすいでしょう。また、すべての歯を失った場合は、口腔周囲筋が衰えて、口元にシワが寄りやすくなっていることから、人工歯根と上部構造のみで治療すると、老けた印象を与えてしまうのです。そこで有用なのがオールオン4の歯茎の部分です。歯茎の部分が痩せた歯周組織をカバーし、口元の輪郭を改善することで、若々しい見た目を取り戻せます。そうした理由からオールオン4では基本的に歯茎の部分を付けるようにしています。
歯茎が付いていないオールオン4もありますか?
オールオン4による治療では、歯茎を付けないことも可能です。なぜならオールオン4の仕組みは、インプラント治療とほぼ同じであり、顎の骨に人工歯根を埋め込んで、アバットメントと上部構造を固定することで欠損部の機能を回復できるからです。ただし、歯茎なしのオールオン4では、審美面で大きなデメリットを伴う点に注意しなければなりません。顎の骨や歯茎が下がった状態だと、人工歯根と上部構造の境目付近が目立ちやすくなるからです。また、装置の構造上、サ行やタ行が発音しにくくなったり、食べものが詰まりやすくなったりすることもあります。これらのデメリットを許容できる場合は、歯茎が付いていないオールオン4を選択してもよいといえるでしょう。

オールオン4の特徴や治療の流れ

オールオン4の特徴や治療の流れ 次に、オールオン4による治療の流れやメリット・デメリットについて解説します。

オールオン4治療の流れを教えてください
オールオン4は、次の流れで進行します。

【STEP1】カウンセリング・精密検査
オールオン4では、初診時に30〜60分程度のカウンセリングを実施するのが一般的です。その後は希望者に対して、歯周組織検査、口腔内写真撮影、CT撮影、パノラマ撮影、噛み合わせのチェックなどの精密検査を行います。

【STEP2】診断・治療計画の説明
精密検査の結果を踏まえたうえで、診断を下し、治療計画を立案します。それらの説明を受けて、患者さんが同意した場合はオールオン4による治療がスタートします。

【STEP3】外科手術と仮歯の装着
顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、仮歯を装着します。

【STEP4】上部構造の装着
仮歯の状態で数ヵ月を過ごし、経過を見たうえで上部構造を装着します。

【STEP5】メンテナンス
標準的なインプラント治療と同様、オールオン4でも治療後のメンテナンスが必須となっています。歯科医院で噛み合わせのチェックや調整、クリーニングなどを定期的に受けることで、オールオン4を長持ちさせることが可能となります。

オールオン4治療が完了するまでどのぐらいの期間がかかりますか?
オールオン4では、手術をした後すぐに仮歯を装着できることから、極めて短い期間で噛めるようになります。ただし、上部構造は経過を見てから製作・装着するため、オールオン4の治療が完了するまでには3〜6ヵ月程度を要します。患者さんの顎や全身状態によっては、治療がさらに長くなることもありえます。
オールオン4のメリットを教えてください。
歯がない状態をオールオン4で治療すると、次に挙げるメリットが得られます。

【メリット1】標準的なインプラント治療より費用が安い
歯がない無歯顎(むしがく)の症例を標準的なインプラントで補う場合は、埋入する人工歯根の数がオールオン4より多くなります。その結果、治療にかかる費用も高くなるのです。

【メリット2】標準的なインプラントより心身への負担を少ない
人工歯根を4本埋め込むオールオン4は、それよりも多くの人工歯根を埋入しなければならない標準的なインプラント治療よりも心身への負担が少なくなります。

【メリット3】顎の骨が痩せていても適応できる
オールオン4では、骨量が多い部分を狙って人工歯根を埋入できるため、標準的なインプラント治療よりも適応範囲が広いです。

【メリット4】すぐに噛めるようになる
オールオン4は、手術した後すぐに仮歯で噛めるようになります。標準的なインプラント治療で噛めるようになるのは、手術から数ヵ月後です。

◎総入れ歯との比較
オールオン4と総入れ歯を比べた場合、見た目が自然で美しい、噛みやすい、発音しやすい、骨が痩せにくい、ケアしやすいなどのメリットがえられます。

オールオン4にデメリットはありますか?
オールオン4による治療には、次に挙げるデメリットを伴います。

【デメリット1】保険が適用されない
オールオン4による治療は、原則として健康保険の適用外です。

【デメリット2】対応できる歯科医院が限られる
オールオン4は、専門性の高い歯科治療なので、対応できる歯科医院は全国的にも一部に限られます。

【デメリット3】健康な歯を抜くことがある
健康な歯が少数残っている場合は、オールオン4治療のために抜歯を余儀なくされることがあります。

【デメリット4】適応できないことがある
オールオン4は、発育途上の未成年、重度の全身疾患を患っている人、禁煙できない人、健康な歯を抜きたくない人など、一部のケースには適応が難しいです。

オールオン4治療で起こる可能性のあるトラブル

ここでは、オールオン4治療に伴うリスクやトラブルについて解説します。

手術後の違和感はいつまで続きますか?
オールオン4の手術後には、ほとんどの方が違和感を覚えますが、2〜3週間くらい経過すると気にならなくなるのが一般的です。口腔内に大きな人工物が固定されるため、ある程度の違和感は避けられないといえるでしょう。
オールオン4の手術後に歯茎が腫れることはありますか?
オールオン4の手術後は、少なからず歯茎が腫れます。オールオン4の手術では、歯茎をメスで切開したり、顎の骨にドリルで穴を開けたりする外科処置を伴うため、手術後の歯茎の腫れや痛みは、ほとんどのケースで生じます。ただ、適切な埋入処置が行われ、手術後も安静に過ごしていれば、1週間程度で歯茎・骨の腫れや痛みも軽くなっていきます。手術からしばらくして歯茎が腫れた場合は、インプラント周囲炎のような感染症が疑われるため、早急に主治医へ相談しましょう。
オールオン4のトラブルを予防する方法があれば教えてください。
オールオン4の治療後のトラブルを予防するためには、適切なセルフケアの実施と定期的なメンテナンスの受診が欠かせません。セルフケアは、歯ブラシによるブラッシングを基本として、歯垢や食べかすが残らないようしっかり清掃しましょう。歯科医院でのメンテナンスでは、上部構造やインプラントのクリーニングに加えて、装置全体の異常の有無や歯茎の状態などをチェックしてもらえます。こうしたセルフケアとプロケアを両立させていれば、オールオン4のトラブルを未然に防ぎやすくなります。

編集部まとめ

今回は、オールオン4に歯茎が付いている理由や治療の流れなどを解説しました。オールオン4には利点と欠点があり、患者さんの状態により適切な治療法が異なりますので充分な検査をした上で、歯科医師とよく相談される事をお勧め致します。オールオン4は、歯が1本もない、あるいはほとんど歯がない症例に適応される補綴治療で、歯茎や顎の骨が下がっていることが多く、歯茎を付けないと見た目に違和感が生じてしまいます。上部構造と人工歯根との境目付近に汚れもたまりやすくなることから、基本的に歯茎を付けた上部構造を装着します。ただし、特別な理由がある場合は、歯茎なしのオールオン4治療も可能となっています。

参考文献

この記事の監修歯科医師
大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

東京歯科大学歯学部 卒業 / 東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔インプラント学) 卒業 / 現在は大津歯科医院勤務 / 東京歯科大学インプラント科臨床講師 / 専門は口腔インプラント

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