オールオン4

オールオン4の治療後に違和感を覚えたらどうすればいい?違和感の原因や対策

オールオン4の治療後に違和感を覚えたらどうすればいい?違和感の原因や対策

すべての歯を失った症例に適応できるインプラント治療、それがオールオン4です。従来であれば総入れ歯という選択肢を選ぶ人がほとんどだったのですが、オールオン4の登場によって、より快適な装置を装着できるようになりました。ただ、オールイオン4も決して万能ではありません。実際、オールオン4の治療後に違和感が生じたというケースは多々見られます。ここではそんなオールオン4の治療後に違和感を覚える原因や対策について解説します。

オールオン4とは

オールオン4とは はじめに、オールオン4の基本事項から確認していきましょう。

オールオン4の概要

オールオン4とは、顎骨に4本のインプラント(人工歯根)を埋め込んで、総入れ歯の形をした上部構造を支える治療法です。冒頭でも述べたように、すべての歯を失った無歯顎(むしがく)が治療対象となります。歯が残っている場合は、抜歯をしたうえでオールオン4を行うこともあります。

◎標準的なインプラント治療との違い

標準的なインプラント治療は、失った歯1本に対して、1本の人工歯根を埋め込むのが原則です。ブリッジに適応する場合は、失った歯よりも人工歯根の方が少なくなります。例えば、3本の歯を失った症例では、2本の人工歯根を埋め込んで3本分のブリッジを装着します。その拡大版がオールオン4であると考えるとわかりやすいかと思います。

オールオン4では、4本の人工歯根で、10〜12本の人工歯で構成された装置を装着するのです。理論上は、失った歯の本数だけ人工歯根を埋め込むインプラント治療も想定できますが、現実問題としてそれは患者さんの心身にかかる負担が大きいことから、選択されることはほとんどありません。

オールオン4と総入れ歯の違い

今現在、総入れ歯を入れている人やオールオン4と総入れ歯で迷っている人は、この2つの違いについても知りたいことでしょう。

【違い1】装着様式
総入れ歯は、着脱式の装置です。口腔内には義歯床と口腔粘膜を吸着させる形で固定します。患者さんが自分で装置を自由に取り外せる点は、大きなメリットといえますが、その反面、安定性に欠けます。総入れ歯は、食事や会話の際にズレたり、外れたりしやすいのです。一方、オールオン4は固定式の装置で、患者さんが自由に取り外すことはできませんが、安定性が高く、使っているなかで装置がズレたり、外れたりすることはありません

【違い2】噛み心地
オールオン4は、顎の骨に根差した人工歯根があるため、硬い食べ物でもしっかり噛めますが、着脱式で安定性に欠ける総入れ歯には、噛みにくいと感じる食べ物がいくつかあります。

【違い3】見た目
オールオン4の上部構造は、小型で自然な見た目をしていますが、総入れ歯は、プレート部分である義歯床が大きく、使用中に動くこともあるので、見た目に違和感が生じやすいです。

【違い4】顎の骨への影響
噛んだときの力を人工歯根と顎で受けとめることができるオールオン4は、顎骨が吸収していく現象をできる限り抑えられます。一方、総入れ歯には人工歯根はなく、噛んだときの力は口腔粘膜で受けとめることから、顎骨は徐々に痩せていきます。

【違い5】治療にかかる費用
総入れ歯には保険が適用されるため、治療にかかる費用を安く抑えられます。一般的な保険の総入れ歯は、10000〜15000円程度で作れます。オールオン4には保険が適用されないことに加えて、治療に使用する素材の原材料費が高く、外科手術が必須であることから、総入れ歯の数十倍の費用がかかります。

【違い6】外科手術の有無
総入れ歯は、外科手術を行わずに治療できますが、オールオン4では顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込まなければなりません。

オールオン4のメリット

オールオン4のメリット 次に、オールオン4のメリットについて解説します。ここでは標準的なインプラント治療や総入れ歯と比較した場合のメリットについて言及しています。

身体への負担が少ない

すべての歯を失った症例で標準的なインプラント治療を適応した場合、片側の顎だけでも10〜12本程度の人工歯根を埋め込む必要があります。これは患者さんの身体にかかる負担が極めて大きくなるため、臨床ではほとんど行われていないのが現状です。オールオン4なら、片側の顎に4本の人工歯根を埋めるだけで、すべての歯を補える上部構造が装着できるので、患者さんの身体や精神にかかる負担をできる限り抑えられます。

費用を抑えられる

インプラント1本の費用相場が350000円前後であることを想定すると、無歯顎の症例に10本の人工歯根を埋め込んだ場合、治療費の総額は上下顎で7000000円程度となります。オールオン4なら片側の顎で2000000円程度、上下顎で4000000円程度の費用で治療できるため、標準的なインプラントよりも治療費を抑えることができます。

手術当日から仮歯で食事ができる

オールオン4の特長のひとつとして、手術当日に仮歯を装着できる点が挙げられます。これは標準的なインプラント治療との大きな違いです。総入れ歯も装置が完成するまでにはそれなりの期間を要することから、ケースによってはオールオン4が短い期間で咀嚼機能を回復できる治療法ともいえます。

自分の歯のように噛める

オールオン4には人工歯根があるため、自分の歯のようにしっかり噛めます。これは人工歯根がない総入れ歯との決定的な違いです。

審美性に優れている

オールオン4の上部構造には、人工歯と少なめの歯茎の部分しかないことから、見た目が自然で美しいです。

オールオン4のデメリット

オールオン4のデメリット 続いては、オールオン4の治療に伴うデメリットを解説します。

残っている歯を抜歯する必要がある

天然歯が残っている状態で、オールオン4の治療を行うことはできません。そのため残っている歯がある場合は、事前に抜歯する必要があります。ケースによっては、オールオン4の手術の際に抜歯も同時に行います。ちなみに、残っている歯を抜かずに治療したい場合は、オーバーデンチャーという選択肢もあります。オーバーデンチャーは、残った歯を土台して総入れ歯を装着する方法で、抜歯が不要となるからです。

適応できない場合がある

オールオン4は、すべての症例に適応できるわけではありません。まず、たくさんの歯が残っている症例は、そのすべてを抜歯するわけにもいかないため、適応するのは難しいでしょう。また、オールオン4もインプラント治療の一種なので、顎の骨の状態が著しく悪い症例には不適応となります。ただし、オールオン4の場合は人工歯根を埋め込む角度や位置を任意に決められることから、標準的なインプラント治療よりも顎の骨の状態に適応の可否が左右されにくくはあります。それでも重度の歯周病を患っていて、顎骨がボロボロになっている場合は、総入れ歯を検討せざるを得なくなるでしょう。

保険適用外のため費用が高額になる

オールオン4には、原則として保険が適用されません。治療にかかる費用は全額自己負担となる点に注意しましょう。上段でも解説したとおり、オールオン4の全国的な費用相場は片顎で2,000,000円程度、上下顎で4,000,000円程度となっています。保険診療の総入れ歯と比較するとかなり高額となることから、経済面を重視する人にはオールオン4をすすめることはできません。

オールオン4の治療後に違和感を覚える原因

オールオン4の治療後に違和感を覚える原因 ここからは、オールオン4の治療後に違和感を覚える原因を解説します。一般的には次に挙げる4つの原因が考えられます。

患部で炎症が起きている

オールオン4の治療後に違和感が生じた場合、第一に考えられる原因は炎症です。オールオン4では、顎の骨にチタン製の人工歯根をドリルで埋入するという外科処置を伴うため、患部には必ず炎症反応が起こります。ですから、手術後1週間程度は、そうした患部の炎症で違和感が生じるものと考えましょう。それが数週間に渡って続いたり、痛みや腫れが強まったりした場合は、手術による侵襲ではなく、術後の細菌感染や不適切なケアなどが考えられるため、主治医に相談することを推奨します。

インプラントを埋め込む位置がずれている

オールオン4のインプラントは、デジタルシミュレーションを行ったうえで、適切といえる位置・角度・深さで埋入します。その位置が何らかの理由でずれていると、治療後の違和感が長く続くこともあります。具体的には、インプラントが周りの血管や神経を圧迫していたり、上顎洞(じょうがくどう)という空洞へと突き抜けていたりするなどのトラブルが考えられるため、あらためて歯科用CTなどによる精密検査を受けた方がよいといえます。ちなみに、インプラントの埋入位置がずれて、重要な血管や神経を“損傷”した場合は、違和感ではなく、出血や強い痛み、神経麻痺といったより強い症状が現れます。

インプラント体が顎の骨と固定されていない

人工歯根であるインプラント体は、数ヵ月間かけて顎の骨と結合します。この現象を専門的にはオッセオインテグレーションと呼んでおり、インプラントの成否に直結する要因といえるでしょう。オッセオインテグレーションが完了するまでには、一般的に3~5ヵ月程度かかるため、その間はインプラント体を埋めた部分に違和感が生じやすいです。アバットメントと上部構造を装着し、インプラント治療が完全に終わった後も違和感が続く場合は、インプラント体と顎の骨にしっかり固定されていない可能性も考えられるため、精密検査を受けた方がよいといえます。とくにインプラントで噛んだときに違和感や噛みにくさを強く感じる場合は、その可能性が高いといえます。

インプラント周囲炎を発症している

インプラント周囲炎とは、インプラント特有の歯周病です。その名のとおりインプラントの周りの歯茎や顎の骨に炎症反応が起こって違和感や痛み、腫れなどを引き起こします。インプラント周囲炎を放置していると、インプラント体と顎の骨との結合が失われてしまうため、早急に対処する必要があります。日頃からインプラントの周りに歯垢や歯石がたまっている人は要注意です。インプラント治療前に歯周病にかかっていた人も、インプラント周囲炎のリスクが高くなっているため、十分な注意が必要といえます。

オールオン4の治療後の痛みや違和感を和らげる方法

オールオン4の治療後の痛みや違和感を和らげる方法 さいごに、オールオン4の治療後の痛みや違和感といった不快症状を和らげる方法について解説します。ここでは主に応急処置的な方法を紹介します。

処方された痛み止めや抗生剤を指示どおりに服用する

オールオン4の手術後には、必ず痛み止めや腫れ止め、抗生剤が処方されますので、それらを歯科医師の指示どおりに服用してください。痛み止めや腫れ止めは、基本的に症状が現れてから飲むものですが、抗生剤は予防的に服用するものなので、患部の症状の有無に関わらず、すべて飲み切るようにしましょう。ちなみに、抗生剤は細菌感染を防ぐための薬剤です。

患部を冷やす

オールオン4の手術直後は、しばらく患部の炎症反応が続きます。そのため痛みや腫れ、違和感が生じるのですが、そうした症状は患部を冷やすことである程度緩和できます。ただし、手術した部位に氷を直接当てて冷やすような行為はNGです。患部を冷やす場合は、口腔外から濡れた冷たいタオルなどを顎に当てるようにしてください。また、冷やす時間が長すぎると、患部の血行が悪くなって傷の治りが遅れることから、その点にも配慮しながら処置を施すことが大切です。

やわらかい食事を心がける

インプラント体を埋入した部位は外傷を負っている状態と同じであることから、オールオン4の手術直後およびそれから1週間程度は、やわらかい食事を心がけるようにしてください。オールオン4では手術と同時に仮歯を入れることができますが、何でも噛めるような状態になるわけではないのです。

丁寧に歯磨きする

オールオン4の手術後の患部の細菌感染を防ぐためには、丁寧に歯磨きを心がけることが大切です。

禁煙する

タバコの煙は、歯周組織の血流を悪くして、傷の治りを遅らせます。同時に、インプラント体と顎の骨が結合する現象も妨げることから、オールオン4の治療後は原則として禁煙してください。

定期的に歯科検診やメンテナンスを受ける

オールオン4の治療後も歯科検診やメンテナンスを定期的に受けることで、さまざまなトラブルを未然に防げるようになります。オールオン4に違和感が生じた場合もその原因を早期に突き止めることができ、病状が悪くなるのを防止できます。

まとめ

まとめ 今回は、オールオン4の治療後に違和感が生じる原因やそれを緩和する方法について解説しました。オールオン4の治療後の違和感は、患部で炎症が起きている、インプラントを埋め込む位置がずれている、インプラント体が顎の骨と固定されていない、インプラント周囲炎を発症しているといった原因が考えられます。

いずれも歯科医院での処置が必要となりますが、今現在生じている違和感や痛みは、患部を冷やす、やわらかい食事を心がける、丁寧に歯磨きする、禁煙することなどで緩和できます。また、オールオン4の手術を行った直後は、ほとんどの症例で違和感はもちろんのこと、痛みや腫れが生じますので、少なくとも術後2〜3日は処方された薬を服用しながら様子を見ましょう。ただし、違和感や痛み、腫れなどが許容範囲を超える程強く現れた場合は、何らかの異常が疑われるため、早急に主治医へ連絡してください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
大津 雄人医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

大津 雄人医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

東京歯科大学歯学部 卒業 / 東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔インプラント学) 卒業 / 現在は大津歯科医院勤務 / 東京歯科大学インプラント科臨床講師 / 専門は口腔インプラント

記事をもっと見る

RELATED

PAGE TOP

電話コンシェルジュ専用番号

電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。

受付時間 平日:9時~18時
お電話でご案内できます!
0120-022-340