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ミニインプラントとは?メリットとデメリットや注意点を解説

ミニインプラントとは?メリットとデメリットや注意点を解説

ミニインプラントとは、細い人工歯根であり、インプラント治療期間における暫間用(一時的)なインプラントのことです。
インプラントが骨と結合するまでの期間を快適に過ごせるように使用されますが、実際にどのような特徴があるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

本記事ではミニインプラントについて以下の点を中心にご紹介します。

  • ミニインプラント(暫間インプラント)の特徴
  • ミニインプラントと従来のインプラントの違い
  • ミニインプラントのメリットとデメリット

ミニインプラントについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

ミニインプラントとは

ミニインプラントとは

ミニインプラント(暫間インプラント)は、メインのインプラントの埋入から2次手術までの治癒期間中、仮歯を支えるために一時的に用いる細いインプラントです。テンポラリーインプラントとも呼ばれます。ミニインプラントの上に仮歯を装着し、便宜的に見た目を整え、食事などしやすいようにします。

今回解説するミニインプラントは、インプラントオーバーデンチャー(インプラントと入れ歯を組み合わせたもの)を安定させるために使用するミニインプラントとは別の物で、そちらはナローインプラントとも呼ばれています。

ミニインプラントの太さや長さにはいくつかの種類が存在します。口腔内のどの部位に対しても用いられますが、主に上顎前歯に用いられます。
ミニインプラントの設置は、歯茎を切り開く必要がなく、短時間での治療が可能とされています。

しかし、ミニインプラントはあくまで一時的な使用を目的としており、メインのインプラントが骨としっかり結合した後は取り除かれます。 また、その小さなサイズと構造から、強い噛みしめによって折れたり外れたりするリスクがあるため、使用中は注意が必要です。

総じて、ミニインプラントはインプラント治療を受ける患者さんの生活の質を一時的に向上させるための選択肢であり、その設置と管理には適切な注意とケアが必要です。

ミニインプラントの特徴

ミニインプラントの特徴

ミニインプラントには、どのような特徴があるのでしょうか。
以下で詳しく解説します。

治癒期間でも噛める

ミニインプラントは、インプラント治療の際に一時的に使用されるもので、治療中でも噛む機能を支えます。
インプラントが骨に結合するまでには時間がかかります。その間、日常の食事が困難になることが予想されるため、仮の歯が必要です。
そのため、メインインプラントの間にミニインプラントを入れて支えを増やし、患者さんの食事や会話の不自由を軽減させます。
治療後、痛みなどがなければすぐに食事できます。

見た目の回復

インプラントと骨が結合するまでの数ヵ月間は、歯が欠損した状態のままで過ごさなければなりません。ミニインプラントの上に被せ物をすることで、噛む能力だけでなく、見た目の審美的なストレスを軽減させます。歯の欠損が目立つ前歯などの部位に有効とされています。

ミニインプラントの細さは、手術後の腫れや痛みを軽減する効果も期待でき、患者さんにとって負担の少ない選択肢となるでしょう。

メインインプラントの保護

ミニインプラントは、メインインプラントを保護するために重要な役割を果たします。メインインプラントにかかる負荷を軽減させ、しっかりと骨とメインインプラントが結合するようにサポートします。

例えば入れ歯や両隣の歯にセメントで付けるタイプの仮歯を使用する場合、入れ歯や仮歯を支える周囲の歯に負担がかかり、歯の強度が下がります。
その点、ミニインプラントは周囲の歯に頼らず独立しているため、周囲の健康な歯に負担がかかりにくいとされています。

ミニインプラントと従来のインプラントの違い

ミニインプラントと従来のインプラントの違い

ミニインプラントと従来のインプラントは使用目的が異なりますが、その他いくつかの違いがあります。

まず、ミニインプラントは一時的に使用されるものです。通常のインプラントより細く、長期間使うことには適しておらず、メインのインプラントと骨が結合するまでの数ヵ月程度使用します。暫間的な人工歯根であるため、骨とぴったりと結合させることはなく、メインインプラントが結合したことが確認できたら撤去します。
これに対して、従来のインプラントは骨としっかり結合させ、長期間にわたり安定させる必要があります。

また、手術の侵襲性にも違いがあります。ミニインプラントは、歯茎を切る必要がなく、手術自体が簡単な傾向にあるため、患者さんにかかる負担が少なくなります。
これに対し、従来のインプラントは歯茎を切開する手術を伴うため、回復に時間がかかる場合があります。

治療期間にも違いがあります。ミニインプラントはインプラント手術当日にミニインプラントの埋入から仮歯の取り付けまで行いますが、従来のインプラントは、埋入後骨と結合するまでに数ヵ月を要します。

さらに、ミニインプラントは顎の骨の吸収が進んでいる患者さんに推奨される場合が多いのに対し、従来のインプラントは十分な骨量が必要です。

ミニインプラントのメリットとデメリット

ミニインプラントのメリットとデメリット

ミニインプラントは、インプラントが骨と結合するまでの期間、仮歯の支えとして使用するものですが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
以下で詳しく解説します。

ミニインプラントのメリット

ミニインプラントには、以下のようなメリットがあります。

  • 取り外しやすい
    ミニインプラントは従来のインプラントと異なり、顎の骨と結合しません。そのため、不要になった場合はすぐに取り外しできます。撤去も、ミニインプラントを逆回転させるだけの簡易的なものです。
  • 審美性の確保
    インプラントを埋入した後、骨とインプラントが直接結合する状態(オステオインテグレーション)になるまで、3〜6ヵ月程度の期間待たなければいけません。その間、インプラントはむき出しのままになっているため、審美的な側面でQOL(患者さんの生活の質)の低下を招いてしまうことがあります。
    その点、ミニインプラントは仮歯をすぐに装着できるため、インプラントがむき出しにならず、自然な見た目を維持できるメリットもあります。口元を気にせずインプラント治療に専念できれば、心理的なストレスを減らすことにもつながるでしょう。
  • 手術当日に仮歯を装着できる
    仮歯を装着したい場合、通常のインプラント治療のみではインプラント体の傷口が治ってから装着されるため、インプラント手術日から抜糸までの約1週間は仮歯をつけられません。しかし、ミニインプラントを使用すれば、手術当日に仮歯を装着できます。手術が短時間で済むため、患者さんにかかる負担の軽減にもつながります。
  • 少ない骨量でも治療できる
    ミニインプラントは、2次手術までの骨治癒期間における負荷の防止や、GBR法や骨移植などを施した場合に有効とされています。 そのため、顎の骨の量が少ない場合でも使用でき、即時荷重インプラントや早期荷重インプラントが適用できない患者さんに適用できる点も魅力です。

ミニインプラントのデメリット

ミニインプラントには、いくつかのデメリットも存在します。
以下にその主な点を挙げます。

  • 治療費が高くなる傾向にある
    ミニインプラントを併用する治療は高い技術を要するため、通常のインプラント治療よりも治療費が高額になる傾向にあります。
    また、ミニインプラントを使用する患者さんは顎の骨の状態が良くない可能性があるため、使用されるインプラント(骨再生を誘導するインプラント)も一般的なインプラントより高価な物になる可能性があり、治療費が高くなると考えられます。
  • 歯の欠損状態に条件がある
    ミニインプラントの適用範囲は、5本欠損から、歯が1本もない状態です。
  • すべての歯科医院で扱っている訳ではない
    ミニインプラントは、どこの歯科医院でも取り扱っている訳ではありません。そのため、ミニインプラントを入れたい場合は、対応している歯科医院を選ぶ必要があります。ただし、ミニインプラントを取り扱っていれば、どこでもいい訳ではありません。ミニインプラントの施術には高い技術が必要です。事前にホームページなどで医師の資格や施術の経歴を調べてみましょう。
    また、ミニインプラントのメリット・デメリットをしっかりと説明したうえで、患者さんに選択肢を与えてくれる歯科医院を選びましょう。

以上のように、ミニインプラントにはいくつかのデメリットが存在しますが、これらを理解したうえで自身に合った適切な治療方法を選ぶことが重要です。

ミニインプラントはこんな方におすすめ

ミニインプラントはこんな方におすすめ

ミニインプラントは先述したようなさまざまなメリット・デメリットがあるため、以下のような方におすすめです。

  • インプラント治療を希望しているが骨量が少ない方
  • インプラント埋入の手術当日から治療部位を気にせずに食事をしたい方
  • 審美面を重要視し、口元を気にせずインプラント治療をしたい方
  • ミニインプラント使用中に強い噛みしめなどをせずに注意して過ごせる方
  • ミニインプラントに対応した歯科医院が近隣にあり、定期的に通院しやすい方/li>
  • 高額な治療費を支払える方

ミニインプラントは、インプラントの治療期間を快適に過ごすための治療方法ですが、自身の状態や希望に沿っているか、歯科医師とよく相談をしましょう。

ミニインプラントの流れ

ミニインプラントの流れ

ミニインプラントの治療の流れは、以下のように進められます。

【診断・検査・治療方針の決定】

  1. 各種検査(X線撮影・CT撮影などの顎骨精密検査、血液検査などの臨床検査、歯の型取りなど)や問診を行い、口腔内の診断や患者さんの全身状態を確認します
  2. カウンセリングで患者さんの希望を確認し、治療方針を決定したうえで同意書記入などがあります

【メインのインプラントとミニインプラントの埋入】

  1. 治療部位に麻酔をします
  2. メインのインプラントを埋入します
  3. 続けて隙間に細いミニインプラントを埋入します

【仮歯の製作・取り付け】

  1. 型を取り、仮歯を製作します
  2. 製作した仮歯をミニインプラントに取り付けます
    仮歯の取り付けまでは1日で行われるため、手術後痛みなどがなければ食事や会話はその日のうちにできるようになります
  3. メインインプラントが骨と結合するまで、数ヵ月待ちます
    下顎で3ヵ月程度、上顎で6ヵ月程度かかるといわれています

【ミニインプラントの撤去と上部構造の取り付け】

  1. メインインプラントが骨と結合したことを確認できたら、ミニインプラントを撤去します
  2. 仮歯をセラミックやハイブリッドの上部構造(人工歯)に取り換えます

以上が、ミニインプラントを併用したインプラント治療の流れです。
治療が完了するまでの期間は、下顎で6ヵ月程度、上顎で12ヵ月程度かかるとされています。歯周病などの歯の疾患がある場合や喫煙者の場合は、治療期間が長くなる可能性があります。

ミニインプラントの費用

ミニインプラントの費用

ミニインプラントの費用は、使用する本数や治療の内容によって異なりますが、費用はメインインプラントとは別途、5万〜40万円程度が必要と見込まれます。
費用は、使用するミニインプラントの本数や仮歯の種類、患者さんの口腔状態などによって変動するため、詳細な見積もりは治療計画に基づいて提示されます。
歯科医院によっては、メインインプラントからミニインプラントと仮歯まで一式で提示しているところもあるようですので、多くのミニインプラントが必要と見込まれる方は、そのようなクリニックを探してみてもいいかも知れません。

いずれにせよ、ミニインプラントの具体的な費用は、治療前に詳細な診査と治療計画の説明を受け、見積もってもらうことが重要です。

最終的な費用は、患者さんの口腔状態や希望する治療内容によって異なりますが、事前にしっかりと確認し、納得のいく治療を受けられるようにしましょう。

まとめ

まとめ

ここまでミニインプラントとは?についてお伝えしてきました。ミニインプラントの要点をまとめると以下のとおりです。

  • ミニインプラントは、インプラント治療中に一時的に用いられるもので、インプラントを支え、見た目や咀嚼能力の回復や、メインインプラントの保護に役立つ細い人工歯根である
  • ミニインプラントはメインインプラント埋入手術の当日に埋入でき、骨の吸収が進んでいても使用できるが、一時的に使用する物なので、骨とは結合させない。一方、従来のインプラントは骨としっかりと結合させ、長期間安定して使用できるようにする
  • ミニインプラントは即日で歯が入る利点があるが、施術が難しく、費用が高額になる傾向にある

ミニインプラントにはメリットがある一方で、デメリットや注意点もあります。 治療を検討する際は、歯科医師とよく相談し、自身の口腔状態や生活スタイルに合った選択をしましょう。 これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

北海道大学歯学部卒業 / 医療法人社団天祐会 副理事長 / 専門はマウスピース矯正、小児矯正 / 一般歯科全般もOK

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