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インプラント治療後にしびれるのはなぜ?対処法やトラブルを予防するポイントも解説

インプラント治療後にしびれるのはなぜ?対処法やトラブルを予防するポイントも解説

インプラント治療後にしびれを感じることがありますが、これはさまざまな原因によるものです。しびれが一時的なものか、長期的なものかによって対処法も異なります。

本記事ではインプラント治療後にしびれるのはなぜなのかについて以下の点を中心にご紹介します。

  • インプラント治療としびれの関係
  • インプラント治療でしびれが現れたときの対処法
  • インプラント治療でしびれなどのトラブルに遭わないために

インプラント治療後にしびれるのはなぜなのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

インプラント治療としびれの関係

インプラント治療としびれの関係

インプラント治療のしびれは自然に改善しますか?
インプラント治療後のしびれは、麻酔や手術時の刺激による一時的な反応であることが多く、時間の経過とともに自然に回復するとされています。神経が圧迫されたり損傷を受けていない限り、大きな問題につながることは少ないと考えられます。

ただし、症状が長引いたり改善が見られない場合には、念のため歯科医師に相談し、状態を確認してもらうことが大切です。

インプラント治療でしびれが続く原因を教えてください
インプラント治療後にしびれが続く原因の多くは、手術中に神経が損傷または圧迫されることによるものです。なかでも、下顎では、下歯槽神経(かしそうしんけい)がインプラント埋入部位の近くをとおっており、この神経に触れると、しびれや感覚異常が起こることがあります。

しびれは、一時的なもので数週間から数ヶ月以内に回復するケースが多いとされていますが、まれに長期にわたって残ることもあります。これは、インプラントが神経に接触または圧迫している場合に生じやすいとされています。

事前にCTスキャンやパノラマX線で神経の位置を把握し、インプラントの埋入位置を精密に計画することで、リスクを軽減できるでしょう。

インプラント治療で神経損傷しやすい部位はどこですか?
インプラント治療で神経損傷のリスクがある部位についてご紹介します。
  • 下顎奥歯周辺(下歯槽神経)
    下顎の奥歯付近では、下歯槽神経が近くを走っており、損傷すると下唇や顎のしびれ・麻痺を引き起こすことがあります。顔面の感覚を司る重要な神経です。
  • 舌側部(舌神経)
    舌神経は舌の感覚を担っており、下顎のインプラント治療時に損傷すると、舌のしびれや感覚異常が生じることがあります。
  • 上顎前歯周辺
    上顎では神経損傷のリスクは低いものの、まれに前歯付近で神経が損傷することがあります。
インプラント治療で神経損傷したときに現れる症状を教えてください
インプラント治療で神経が損傷した場合、以下のような症状が現れることがあります。
  1. 痛み
    損傷した神経の周囲に鋭い痛みが生じることがあります。従来の術後痛と異なり、長期間続くことや、徐々に痛みが強まるケースも見られます。
  2. 麻痺
    手術後に唇や顎に感覚がない状態が続く場合、下顎の神経損傷が疑われます。麻酔の影響で一時的に感覚が鈍ることはありますが、時間が経っても戻らない場合は注意が必要です。
  3. しびれ
    ピリピリとしたしびれは、神経が回復する過程で一時的に現れることがありますが、まれに長く続く場合もあります。
  4. 機能障害
    感覚の低下により、会話がしづらくなったり、食事中に噛みにくくなることがあります。下顎の損傷では特にこのような不便が起こりやすくなります。

インプラント治療でしびれが現れたときの対処法

インプラント治療でしびれが現れたときの対処法

インプラント治療でしびれが現れたときはどのような診断や検査が行われますか?
インプラント治療後にしびれが現れた場合、次のような診断や検査、対応が行われます。
  1. 診断・検査
    まず、しびれの部位、程度、発症時期などを詳しく問診します。痛みやその他の不快感があるかも確認します。次に、レントゲンやCTスキャンを用いて、インプラントと神経の位置関係を診断します。
  2. 処置・治療
    軽度で一時的なしびれであれば、経過観察が基本となり、神経の回復を助けるビタミンB群の服用や、必要に応じて鎮痛薬が処方されます。一方、しびれが強く持続する場合は、神経ブロック注射や、インプラントの位置調整を目的とした再手術が検討されることもあります。
  3. その他の配慮
    治療の追加費用や長期にわたる症状による不安を考慮し、費用説明や精神的サポートも大切です。
インプラント治療で神経損傷しているときの治療法を教えてください
インプラント治療で神経が損傷した場合、症状の程度に応じて以下のような治療が行われます。
  • 軽度の場合
    ビタミンB12やATP製剤の服用による神経回復のサポートや、神経の緊張を和らげる目的で神経ブロック注射が用いられることがありますが、多くの歯科医院では対応できず、医科との連携が必要になることがあります。また、血行をよくするのを目的とした近赤外線照射や鍼灸療法が併用されることもあります。
  • 中等度〜重度の場合
    神経を圧迫しているインプラントがある場合には、早期にインプラントを撤去する処置が行われます。神経の損傷が深刻な場合は、神経縫合や神経移植による修復手術が検討されます。早期対応が予後を左右するため、タイミングが重要です。
  • 後遺症が残る場合
    治療後も症状が改善しない場合には、歯科医師との継続的な相談が必要です。必要に応じてセカンドオピニオンを受けることも選択肢の一つです。

インプラント治療でしびれなどのトラブルに遭わないために

インプラント治療でしびれなどのトラブルに遭わないために

インプラント治療を行うときはどのような歯科医院を選ぶべきですか?
インプラント治療を受ける際は、以下のようなポイントを押さえて歯科医院を選ぶことが大切です。
  1. 精密な検査設備があるか
    神経損傷を防ぐには、術前に神経の位置を正確に把握することが重要です。 歯科用CTなどの三次元画像診断を提供している医院を選びましょう。
  2. 経験のある医師が在籍しているか
    インプラント治療は精密な技術を要するため、これまでの症例数や成功経験を確認し、信頼できる医師を選ぶことが重要です。
  3. トラブル時の対応体制が整っているか
    治療後のリスクに備えて、保証制度や万が一の対応について事前に説明があるかを確認しておくとおすすめです。
  4. 価格が適正であるか
    とても安い料金には注意が必要です。平均的な価格帯のなかで、検査やメンテナンスがしっかり含まれているかを確認しましょう。

これらを踏まえて選ぶことで、納得してインプラント治療が受けられます。

インプラント治療でしびれを引き起こさないために気を付けることはありますか?
インプラント治療でしびれを防ぐには、以下の点に注意しましょう。
  • 術後の安静と生活習慣
    手術後は無理をせず安静を保ち、激しい運動や喫煙、飲酒は控えましょう。神経に余計な負担をかけず、炎症やしびれのリスクを軽減できます。
  • 口腔ケアの徹底
    傷口からの細菌感染を防ぐため、歯磨きやフロスなどのセルフケアを丁寧に行いましょう。インプラント周囲を清潔に保つことが大切です。
  • 定期的なチェックアップ
    術後は、数日後、1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月といったタイミングで歯科医院を受診し、神経やインプラントの状態を確認してもらうことが重要です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでインプラント治療後にしびれるのはなぜなのかについてお伝えしてきました。インプラント治療後にしびれるのはなぜなのかについての要点をまとめると以下のとおりです。

  • インプラント治療後のしびれは、手術中の麻酔や刺激による一時的な反応であることが多いとされている
  • インプラント治療でしびれが現れたときの対処法には、症状の詳細を確認したり、画像検査をしたりすることなどがある
  • インプラント治療でしびれなどのトラブルに遭わないためには、経験豊富な医師を選んだり、適正価格の歯科医院を選んだりすることが大切である

インプラント治療後にしびれが生じる原因の多くは、手術中の神経への圧迫や損傷です。なかでも、下顎の下歯槽神経は注意が必要で、しびれや麻痺、痛み、感覚の低下などの症状が現れることがあります。

多くは一時的で回復しますが、長引く場合は早めの診断と対応が重要です。CTなどの精密検査や経験豊富な歯科医師のもとでの治療、術後の丁寧なケアにより、リスクを抑えられるでしょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
松浦 明歯科医師(医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック)

松浦 明歯科医師(医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:1989年福岡歯科大学 卒業 1991年松浦明歯科医院 開院 2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任 / 資格:厚生労働省認定研修指導医 日本口腔インプラント学会認定医 ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医 / 所属学会:ICOI(国際口腔インプラント学会) 日本口腔インプラント学会 日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事 日本顎咬合学会 会員 日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員

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