インプラントが取れてしまった場合どうすればいいのか、不安に思う方も多いのではないでしょうか。 本記事では、インプラントが取れた場合について、以下の点を中心にご紹介します。
- インプラントが取れる原因
- インプラントが取れた場合の対処法
- インプラントが取れた際にやってはいけないこと
インプラントが取れた場合について理解するためにも、ご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください。
インプラントとは
- インプラントについて教えてください。
- インプラントは、歯を失った場合に利用する治療法の1つで、入れ歯やブリッジと並ぶ第3の選択肢として認識されています。インプラントは、体内に埋め込む医療器具・材料を指し、歯科領域では、顎の骨に埋め込む人工歯根を指します。インプラント治療は、事故や歯槽膿漏、虫歯などで歯を失った方や、先天的に歯がない方が受けられますが、全身状態が悪い方や、インプラントを埋め入れる予定部位の顎の骨が丈夫でない方は治療を受けられないケースもあります。インプラントのメリットは、天然歯のような感覚で噛めるようになることです。 しかし、デメリットとしては、インプラント治療は原則保険適用外であり自費診療になるため、治療費が高額になることが挙げられます。
- インプラントはどのような方に適していますか?
- インプラント治療は、以下のような方に適しています。
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- 歯が抜けてしまった方:インプラントは自然な噛み心地を提供し、自分の歯で噛んでいるような感覚を取り戻せます。
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- 入れ歯が合わないと感じる方:インプラントは人工歯根に人工歯を装着するため、入れ歯のように取り外す必要はありません。
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- 入れ歯の手入れが面倒と感じる方:インプラントは固定式のため、取り外して洗う必要がありません。
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- 職業柄、歯の見た目が重視される方:インプラントは見た目が美しいため、接客業など歯の見た目が重視される方に適しています。
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- 必要な歯がない、または土台として不十分な場合:インプラントは、失った歯だけを治療するため、他の歯の影響を受けずに治療できます。
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- 残っている歯を大切にしたいと思う方:インプラントは他の歯に影響を与えることなく治療できるため、自身の歯を大切にしたい場合に良い治療です。
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- 事故やスポーツなどのアクシデントが原因で歯を失ってしまった方:特に前歯は目立つ部分であるため、審美面が重要であり、前歯を削らないようにするためにもインプラントが適しています。
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- 顎の骨が十分にある方:インプラントは、顎の骨にインプラント体を埋め込んで人工歯根の役目を担うことで、顎の骨の吸収を抑えられるため、周りの歯に影響が少ないとされています。
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- インプラントの維持にはどのようなケアが必要ですか?
- インプラントの維持には適切なケアが必要です。まず、患者自身による適切なセルフケアが重要で、これには毎日のブラッシングが含まれます。歯ブラシだけでは歯垢の全体の50%しか除去できないため、歯間ブラシやデンタルフロスの使用も必要です。歯ブラシは自分の口に合ったものを選び、毛先が広がってきたら交換することが推奨されます。次に、定期的な歯科医院での検診が必要です。 検診では、口の中の清掃状態や全身の健康状態、歯周病のリスクなどを考慮して、適切なケアのアドバイスを受けられます。また、専用の器具を用いて歯石や歯面に付着したバイオフィルムを除去し、口の中を清潔に保てます。さらに、噛み合わせのチェックも重要です。 噛み合わせのバランスが悪くなると、インプラントや残存歯への負担が増え、トラブルが生じる可能性があります。最後に、インプラント周囲炎の予防が重要です。インプラント周囲炎は、歯周病に似た症状を引き起こし、進行すると治療が難しくなる可能性があります。適切なセルフケアと定期的な検診により、インプラント周囲炎を予防し、インプラントを健康な状態で長期間維持することが可能です。
- インプラント治療の費用はどのくらいですか?
- インプラント治療の費用は、さまざまな要素により変動します。 一般的に、インプラント1本あたりの費用は約30万〜50万円とされています。この費用には、検査・診断料、手術代、上部構造(人工歯・被せ物)の費用、術後の消毒・検診代が含まれます。ただし、都市部では全国平均より少し高く設定されている場合があります。また、治療の内容によっては追加の費用が発生することもあります。例えば、全ての歯を失った場合のAll-on-4という治療法では、費用は約200万円となります。骨が不足している場合には骨造成術が必要となり、追加費用が発生することがあります。インプラント治療は保険適用外の自由診療であるため、各医療機関によって料金設定が異なるため、具体的な費用は治療する歯科医院に確認することが重要です。
インプラントが取れる原因
- 病院側の原因について教えてください。
- インプラントが取れる場合、病院側の原因としては以下の要素が考えられます。
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- 細菌感染:インプラント手術は大がかりなものであり、手術室や器具の衛生管理が不十分だと、手術箇所に細菌が侵入し感染症を引き起こす可能性があります。 また、手術部位以外が歯周病に感染している、口腔内の歯周病菌が多いなど、手術に適していない口腔環境で手術した場合も同様です。
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- 手術時のダメージ:インプラント手術時に想定以上に骨が硬かったり、骨に穴を開けるドリルが熱を持ちすぎたりすると、骨が壊死し、インプラントが抜け落ちる可能性があります。 これを防ぐためには、事前の精密検査が重要となります。
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- 噛み合わせなどの調整不足:歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、まず悪習慣を改善することが必要です。
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- 患者側にも原因はありますか?
- インプラントが取れる場合、患者側の原因としては以下の要素が考えられます。
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- 術後のメンテナンス不足:インプラント手術後も定期的なメンテナンスが必要です。 定期検診を受けなかったり、口腔内のケアを怠ったりすると、インプラント周囲炎に感染する可能性があります。
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- 他の疾患による影響:インプラント体は顎の骨に埋め込まれるため、骨粗しょう症や糖尿病など他の疾患が影響して抜け落ちるリスクがあります。
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- 喫煙による口腔内への影響:喫煙は毛細血管を収縮し、血行不良を引き起こします。 そのため、インプラント治療を希望する方は、禁煙をおすすめします。
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- インプラントが取れないようにするためにできることはありますか?
- インプラントが取れないようにするためには、以下に注意することが重要です。
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- 歯科医師との定期的なチェックアップ:インプラントは、自分の歯と同じように歯周病になったり、折れたりする可能性があるため、定期的に歯科医師によるチェックアップを受けることが重要です。
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- 適切な口腔内ケア:インプラント周囲の歯茎や他の歯にトラブルが発生しないよう、適切なブラッシングやフロッシング、定期的な歯石除去などを徹底することが大切です。
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- 取り外し可能な入れ歯と比べて、インプラントが取れるリスクはどのくらいですか?
- インプラントは、義歯をしっかり固定でき、残っている歯を削ったり、装置を付けたりしないで自立できる点が特徴です。インプラントが取れるリスクについては、適切な手術とメンテナンスがなされていれば、比較的低いとされています。しかし、全身疾患や口腔内の状態、患者の生活習慣などにより、インプラントが失敗するリスクもあります。また、高齢になって通院やセルフケアが困難になると、インプラント周囲炎などの問題が生じる可能性もあります。
インプラントが取れた場合の対処法
- インプラントが取れたパーツごとの対処法を教えてください。
- インプラントが取れた場合、下記のように対処してください。
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- 人工歯が抜けた場合:人工歯が抜けた場合は、抜けた人工歯をなくさずに保存し、むき出しになったアバットメントやインプラント体には触らないようにします。 自分で元に戻す試みは避け、早急に歯科医に連絡しましょう。
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- アバットメントが抜けた場合:アバットメントが抜けた場合は、人工歯も一緒に抜けています。 この状態では、インプラント体が露出しているため、早急に歯科医院に行くことが必要です。 抜けたアバットメントと人工歯は、再利用可能な場合があるため、持参してください。
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- インプラント体が抜けた場合:インプラント体が抜けた場合は、最も深刻な状況です。 この場合、自分で元に戻すことはせず、抜けたインプラント体を保存し、すぐに歯科医に連絡してください。 また、抜けた部分には触らないように注意しましょう。 インプラントが抜けた場合、適切な保管が重要であり、ゴミと誤って捨てる可能性があるため、ティッシュに包んで保管することは避けてください。わかりやすい場所に保管するとよいでしょう。
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- インプラントが取れた際にやってはいけないことはありますか?
- インプラントが取れた際に行ってはいけないことについて、以下で解説します。
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- 自分で元に戻そうとしない:インプラントは精密に調整されており、自分で元に戻そうとすると、インプラント体に負担がかかる場合や破損の原因になることがあります。 また、被せ物が取れただけであっても、無理に入れて破損したり変形したりすると、被せ物の作り直しだけでなく、インプラントに負担がかかってやり直しが必要なケースも考えられます。
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- 他の素材で穴を埋めようとしない:取れた部分を他の素材で埋めようとすると、細菌が感染するリスクや口臭の原因になることがあります。
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- 直接手や舌で触らない:取れた部分が気になると思いますが、細菌感染のリスクを高めるため、触らないようにしましょう。
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- 長い期間放置しない:そのまま長い期間放置することもその部分から汚れが入り込んで細菌感染を起こすリスクが高まります。 また、噛み合わせが変わったり、周囲の歯が少しずつ動いて被せ物の範囲が充分に取れなかったりする可能性も出てきます。
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- インプラントが抜けた場合、歯医者に何を伝えればいいですか?
- インプラントが抜けた場合、まずはどのパーツが抜けたのかを確認することが重要です。インプラントは大きく分けて3つのパーツから成り立っており、それぞれの抜けた状況によって対処法が異なります。歯医者には、インプラントが抜けたきっかけや詳細な時間などを伝えることが重要です。これらの情報は、抜けたインプラントを元に戻す際の貴重な情報となります。
- インプラントの再治療は、どのくらいの費用がかかるのですか?
- 被せ物が取れただけの場合、基本的には再装着の費用がかかります。歯科医院によって費用は変動しますが、少額で済む場合が多いです。ただし、被せ物を紛失してしまった場合や、被せ物が壊れてしまった場合は、被せ物の再作製費用が必要となります。この費用は、初めてインプラントの被せ物を作った時と同じくらいかかる可能性があります。さらに、インプラント自体に問題がある場合、例えばグラつきや破損がある場合には、インプラントを一度撤去して、骨の治癒を待ってから再びインプラントを埋め込み直す必要があります。この場合の費用は、初めてインプラントを埋め込んだ時と同じくらい、またはそれ以上かかる可能性があります。ただし、被せ物やインプラントに保証が付いている場合は、保証期間内であれば再治療の費用が無料または安くなる可能性もあります。具体的な費用については、治療を受ける歯科医院に問い合わせて確認しましょう。
編集部まとめ
ここまで、インプラントが取れた場合についてお伝えしてきました。 インプラントが取れた場合の要点をまとめると、以下の通りです。
- インプラントが取れる原因には、病院側と患者側双方の要素がある
- インプラントが取れた場合の対処法は、取れたパーツを保管し早急に歯科医院に行くことである
- インプラントが取れた際は、自分で元に戻さない、他の素材で穴を埋めない、触らない、長期間放置しないことが重要である
これらの情報が、少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。