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歯がない人でも口腔ケアは必要?基本的な手順やおすすめの口腔ケア用品も解説します!

歯がない人でも口腔ケアは必要?基本的な手順やおすすめの口腔ケア用品も解説します!

私たちの歯は、さまざまな理由で1本、また1本と抜け落ちていきます。「80歳になったときに20本以上の歯を残しましょう(8020運動)」というスローガンからもわかるように、高齢になるにしたがって歯の本数は少なくなっていくのが一般的です。そのなかでも注意が必要なのが歯は1本もない状態です。日本人の口腔ケアへの意識は年々高まってはいますが、それでもやはり高齢になるとすべての歯を失ってしまう人が一定数います。ここではそんな歯が1本もない人の口腔ケアの手順やおすすめの口腔ケア用品について解説します。

歯がない状態とは

はじめに、歯がない状態について解説します。

歯がない状態とはどのような状態を指しますか?
歯がない状態というのは、口腔内のすべての歯が抜けた、あるいは抜いた状態を指します。専門的には無歯顎(むしがく)と呼ばれ、数世代前まではそれ程珍しい状態ではありませんでした。とはいえ、親知らずを除くと全部で28本生えてくる永久歯がすべてなくなるのですから、それなりの原因が考えられます。
歯がない状態になる主な原因は何ですか?
歯がない状態になる主な原因は、歯周病とむし歯です。歯周病は、歯と歯茎の間にプラークや歯石が溜まり、炎症を引き起こします。進行すると歯を支える骨が溶け、歯が抜け落ちることがあります。むし歯は、口腔内の細菌が糖分を分解して酸を作り出し、その酸が歯を溶かすことで発生します。進行すると歯が破壊され、重症化すると抜歯が必要になることもあります。

その他、交通事故などによる外傷や特定の病気が原因で歯が抜ける、もしくはもともと歯が生えてこないこともあります。これらの要因を防ぐためには、日常的な口腔ケアと定期的な歯科検診が重要です。

歯がない状態を放置してもよいか教えてください
歯がない状態を放置すると、さまざまな悪影響が生じるため、できるだけ早く歯科治療を受けましょう。具体的には、食べ物を噛めない、発音障害が現れるなどのデメリットが生じます。また、顎の骨が痩せてしまい、顔の形が変わる原因にもなります。インプラントや入れ歯による歯科治療を受ければ、これらの問題を防ぐことができます。そしてもうひとつ重要なポイントに、口腔ケアがあります。歯が1本もないからといって口腔ケアをしなくてよいということにはなりません。詳細については後段で解説します。

歯がない方の口腔ケアの重要性

歯がない方の口腔ケアの重要性 ここでは、歯がない方の口腔ケアの重要性について解説します。

なぜ歯がない方でも口腔ケアは必要なのですか?
歯がない状態でも口腔内には汚れがたまりやすく、適切なケアを怠るとさまざまな健康問題が発生します。もちろん、歯が1本も存在していなければ、むし歯や歯周病になるリスクもなくなりますが、舌の表面や咽頭、喉頭などで細菌・ウイルスが繁殖する可能性は十分にありえます。そうしたことから歯がない方も口腔ケアは毎食後、行った方がよいといえるのです。
歯がない状態でも口腔ケアを怠るとどのようなリスクが生じますか?
歯がない状態でも口腔ケアを怠ると、さまざまなリスクが生じます。まず、汚れや細菌が蓄積すると誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を発症するリスクが高まります。特に高齢者の場合、口腔内の細菌が肺に入ることで肺炎を引き起こすことが多くあるため要注意です。また、口臭が強くなる原因にもなり、社会的な不安や不快感を引き起こす可能性があります。さらに、口腔内の細菌が増えることで、ほかの感染症にもかかりやすくなります。これらの問題を防ぐためにも、歯がない場合でも毎日の口腔ケアが欠かせません。歯科医師による定期的なチェックとクリーニングも重要です。
歯がない状態での口腔ケアで注意すべき点を教えてください
歯が1本もない無歯顎の状態でも口腔ケアはとても重要です。以下のポイントに注意して行いましょう。

【注意点1】口腔内を湿らせる

口腔内が乾燥していると清掃が難しくなるため、湿らせたガーゼやスポンジブラシで優しく拭き取りましょう。

【注意点2】誤嚥に注意する

高齢者や介護が必要な方の場合、口腔ケアで誤嚥のリスクが生じる点に注意が必要です。そのため口腔ケア中に体を少し前傾させ、唾液や汚れが喉に流れないように配慮することが大切です。

【注意点3】体調が悪いときは無理に行わない

体調が悪化したり、疲れが見られたりした場合は、無理をせず口腔ケアを中断しましょう。

【注意点4】痛みや出血がある場合は中止する

 口腔内に痛みや出血がある場合は、無理にケアを行わず、早めに歯科医師に相談してください。

【注意点5】入れ歯は外して清掃する

入れ歯を使用している場合は、毎日外して丁寧に洗浄し、清潔に保ちましょう。

【注意点6】専門的なケアも活用する

セルフケアが難しい場合や不安がある場合は、歯科医師や歯科衛生士に相談し、適切なケアを受けることが大切です。

これらの注意点を守り、口腔内の健康を維持しましょう。

歯がない方の口腔ケア方法

歯がない方の口腔ケア方法

歯がない状態での口腔ケアはどのように行えばよいですか?
歯がない状態でも以下の方法を参考にして、毎日の口腔ケアを継続しましょう。

◎うがいと歯磨き

食事の後はうがいをし、やわらかい粘膜用の歯ブラシで口腔内を優しく磨きましょう。特に入れ歯(義歯)を使用している場合は、入れ歯用ブラシでしっかりと磨き、洗浄剤を使って清潔に保つことを忘れずに行いましょう。

◎お口のマッサージや体操

歯がない場合でも、歯茎や舌をやわらかい歯ブラシやガーゼでマッサージすることで、血行が促進され、唾液の分泌が増えます。唾液腺のマッサージも効果的です。また、お口の体操を継続することで、口腔内の機能を維持・回復する効果が期待できます。

◎保湿

口腔内が乾燥すると細菌が増えやすくなり、お口の中が傷つきやすくなります。口腔ケア後は保湿用のマウスウォッシュや口腔ケア用のジェルを使用して、口腔内の乾燥を防ぎましょう。

◎歯科検診

歯がない場合でも、定期的な歯科検診はとても重要です。口腔ケアが適切に行われているか、義歯に問題がないかを確認するために、歯科医師によるプロフェッショナルケアを受けることで、口腔内および全身の健康を守ることができます。

これらの方法を実践し、歯がない場合でも健康な口腔環境を維持することが大切です。

歯がない場合、どのような口腔ケア用品がおすすめですか?
歯がない場合は、以下の口腔ケア用品を活用することで、効果的にケアが行えます。

◎湿らせたガーゼ

湿らせたガーゼは、口腔内を優しく拭き取るのに適しています。汚れや食べかすを除去するために使用しましょう。

◎スポンジブラシ

スポンジブラシは、歯がない場合の口腔ケアにとても有用です。やわらかいスポンジが口腔内の粘膜を傷つけずに、汚れを優しく取り除きます。使い方は簡単で、軽く湿らせてから口腔内を優しく磨くだけです。特に義歯を外した後のケアに適しています。

◎保湿ジェル

口腔内が乾燥しやすい方には、保湿ジェルが効果的です。使用することで、口腔内の潤いを保ち、乾燥による不快感や細菌の繁殖を防ぎます。

◎マウスウォッシュ

マウスウォッシュは、口腔内を清潔に保つために有効です。アルコールフリーのものを選び、刺激を避けるようにしましょう。口腔内をさっぱりさせる効果もあります。

◎やわらかい歯ブラシ

やわらかい歯ブラシは、歯茎や舌を優しく磨くのに適しています。歯ブラシの毛がやわらかいので、歯茎や粘膜を傷つける心配が少なく、心地よいケアが可能です。

これらのケア用品を組み合わせて使用することで、歯がない場合でも効果的な口腔ケアが行えます。特にスポンジブラシは、簡単かつ効果的に口腔内を清潔に保つための優れたアイテムです。適切なケア用品を使い、健康な口腔環境を維持してください。

編集部まとめ

今回は、歯がない人でも口腔ケアが必要である理由や基本的な手順、おすすめの口腔ケア用品について解説しました。歯が1本もない無歯顎の人でも、口腔内には汚れがたまることから口腔ケアが必要です。特に入れ歯をしている人は、入れ歯と口腔粘膜の両方に汚れがたまりやすくなっているため、適切な方法でケアする必要があります。そんな歯がない状態での口腔ケア方法に疑問や不安がある場合は、迷わず歯科医師や歯科衛生士に相談しましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
若菜 康弘医師(若菜歯科医院院長)

若菜 康弘医師(若菜歯科医院院長)

鶴見大学歯学部大学院卒業 / 現在は若菜歯科医院の院長

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