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ワンデイインプラントにデメリットはある?治療後に注意することも併せて解説

ワンデイインプラントにデメリットはある?治療後に注意することも併せて解説

歯を失った際に検討されるインプラント治療ですが、手術当日に仮歯まで装着できるワンデイインプラントという治療法があります。「1日で歯が入るなんて便利!」と思う反面、「何かデメリットはないの?」と不安を感じる方もいるかもしれません。
本記事ではワンデイインプラントのデメリットについて以下の点を中心にご紹介します。

  • ワンデイインプラントとは
  • ワンデイインプラントのデメリット
  • ワンデイインプラントのメリット

ワンデイインプラントのデメリットについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

ワンデイインプラントについて

ワンデイインプラントについて

ワンデイインプラントとはどのようなインプラントなのでしょうか。以下で解説します。

ワンデイインプラントとは?

ワンデイインプラントは、抜歯からインプラント体の埋入、さらには仮歯の装着までを約1日で行う新しい治療法です。通常のインプラント治療には数ヶ月かかりますが、ワンデイインプラントでは抜歯後すぐにインプラントを埋め込む抜歯即時埋入(ばっしそくじまいにゅう)や、インプラント体を埋めた後、48時間以内に仮歯を装着する即時荷重(そくじかじゅう)といった治療法が用いられます。

ワンデイインプラントは、歯を多く失った場合でも片顎に4〜6本程度のインプラントを埋め込み、最大で10〜14本の歯を支えることができるとされています。

従来のインプラントとの違い

従来のインプラント治療は、抜歯からインプラントの埋め込みまでには2〜3ヶ月程の待機期間が必要です。その後、インプラントと骨が結合するまで約3ヶ月から半年の時間を要し、仮歯の装着や最終的な上部構造の装着までにはさらに時間がかかります。

一方、ワンデイインプラントは、インプラント手術と仮歯のセットが同じ日に行われるため、患者さんは即日で機能的な歯を手に入れることができるのです。これにより、従来のインプラント治療に比べて、待機期間が短縮され、生活に与える影響が抑えられます。

ワンデイインプラントの安全性

ワンデイインプラントは、約1日でインプラント手術が済むため、治療時間が短く、患者さんへの負担も少ない治療法です。

ワンデイインプラントの治療を受けるにあたっては、経験豊富な歯科医師や歯科医院を確認し、事前にレントゲンや歯科用CTなどを使用して精密な検査を行うことが大切です。この検査に基づいて、患者さんごとの骨の強度や歯茎の状態を詳細に評価し、手術計画が立てられます。

ワンデイインプラントの安全性を高めるには、歯科医師の技術に加えて、先進的なデジタル技術が重要です。ワンデイインプラントに不安がある場合は、事前のカウンセリングで歯科医師に相談すると、より安心して治療を受けることができるでしょう。

ワンデイインプラントのデメリット

ワンデイインプラントのデメリット

ワンデイインプラントのデメリットを以下でご紹介します。

1.治療を受けられる歯科医院が限られている

ワンデイインプラントは、すべての歯科医院で受けられる治療法ではありません。基本的なインプラント治療に比べて、短期間で抜歯からインプラント埋入、仮歯の装着までを行うような技術と十分な医療機器の設備を備えていることが求められるため、対応できる歯科医院は限られています。

ワンデイインプラントの治療を受けたい方は、事前に自身が通う予定の歯科医院でワンデイインプラントを実施しているかどうかを確認することが大切です。

2.手術が必要

ワンデイインプラントは必ず外科手術を伴うため、安全な治療を行うために、治療選択の前には患者さんへ十分なヒアリングが行われます。また、持病がある方や血圧が高い方などは手術前に十分な検査が必要となります。

外科手術に対する不安が大きい場合には、静脈内鎮静法を使って麻酔薬や鎮静剤を投与する方法も提案される場合もあり、リラックスした状態で治療に臨めるでしょう。

とはいえ、ワンデイインプラントも従来のインプラントと同様に外科的な手術であるため、痛みや腫れ、血管損傷などのリスクを伴います。また、顎骨との結合を待たずに仮歯を装着することから、場合によっては顎骨との結合が不完全になる可能性もあります。

3.治療時間が長い

ワンデイインプラントは、抜歯からインプラント埋入、仮歯の装着を1日で終えられるという利点がありますが、その治療時間自体が長いというデメリットも併せています。

通常のインプラント治療は1本あたり約30分の手術で済むことがほとんどですが、ワンデイインプラントでは、全ての工程を1日で行うため、治療時間が8〜10時間程度かかります。

治療中には休憩を挟みながら進められますが、手術後も処置が続くため、治療中は自由に飲み食いすることができず、外出もできません。

このように、ワンデイインプラントは治療がスピーディに終わる一方で、その日の間は歯科医院に滞在する必要がある点がデメリットとなることがあります。

ワンデイインプラントのメリット

ワンデイインプラントのメリット

ここまで述べてきたように、ワンデイインプラントには、いくつかのデメリットがあることがわかりました。
ここからは、メリットについても詳しく解説します。

1.身体への負担が少ない

ワンデイインプラントは、従来のインプラント治療と比べて身体への負担が抑えられた治療法です。身体への負担が抑えられている理由は、手術が1回で済むことです。複数回の手術による腫れや痛み、ストレスが避けられ、心身の負担の軽減にもつながる点もメリットの一つです。

また、多くの歯を失っている場合には、従来のインプラント治療では、複数のインプラントを埋め込む必要があり、手術回数も増えていましたが、ワンデイインプラントは、少ない本数のインプラントで多くの歯を支えることができる治療法があるため、治療にかかる体力的な負担を軽減できます。

また、顎の骨がやせて薄くなっている方や、骨に不安がある方でもワンデイインプラントは適応しやすい治療法です。通常のインプラントでは骨の強度に注意を払わなければならないケースでも、ワンデイインプラントは少ないインプラント本数で支えるため、身体への負担を抑えることができます。

2.従来のインプラントより治療費を抑えられる

ワンデイインプラントは、従来のインプラント治療と比べて治療費を抑えられる可能性があります。主な理由として、ワンデイインプラントは必要なインプラントの本数が少なく、手術回数が1回で済むため、治療費全体を削減できるからです。

一般的なインプラント治療では、1本あたり40万円程度の費用がかかるのに対し、ワンデイインプラントでは1本あたり約30万〜60万円という価格帯が相場です。インプラント体の本数が少なくても多くの歯を支えることができるため、特に多くの歯を失った場合には、総額で抑えられる傾向があります。

ただし、ワンデイインプラントは基本的に保険適用外であり、高額な治療費がかかる方法であることは変わりません。治療費の全額は自己負担となるため、事前に詳細な見積もりを確認しておくことが重要です。

3.欠損部を1日で改善する

ワンデイインプラントの主なメリットは、基本的に1日で手術を終えられる点です。
忙しい日常生活のなかで歯科医院への定期的な通院が難しい方や、治療を途中で断念してしまう方にとって、ワンデイインプラントはとても有用な選択肢となります。
なかでも、遠方に住んでいる患者さんにとっては、通院回数が少なくなることで、時間と費用の両方で大きなメリットになるでしょう。

ワンデイインプラントの治療の流れ

ワンデイインプラントの治療の流れ

ワンデイインプラントの基本的な治療の流れは以下のとおりです。

  1. 初診のカウンセリング
    患者さんの希望やお悩みをヒアリングし、口腔内の診査や診断などが行われます。治療計画を立てるために、必要に応じて歯科用CTやレントゲンを撮影します。
  2. 治療計画の立案
    歯科用CTをもとに顎骨の状態を確認し、患者さんに合った治療法を提案します。治療の詳細については、患者さんとしっかりコミュニケーションを取って、ライフスタイルや希望を考慮しながら決定されます。
  3. インプラント埋入手術
    必要に応じて抜歯を行い、その後インプラント体を埋め込みます。手術前には入念な説明を行い、患者さんの合意をえて手術を進めます。
  4. 仮歯の装着
    インプラントを埋め込んだ後、その日のうちに仮歯を装着します。
  5. 噛み合わせの調整
    手術当日に噛み合わせの調整を行い、一通りの治療が終わります。
  6. 経過観察と治癒期間
    インプラントが顎骨としっかり結合するのを待つ期間です。定期的にチェックを行います。仮歯での噛み合わせに慣れる期間としても重要です。
  7. 上部構造の装着
    仮歯の期間を経て、特に問題がなければ、審美性と機能性を兼ね備えた、強度のある最終的な上部構造(セラミックなどのクラウン)を装着します。
  8. 定期的なメンテナンス
    半年〜1年に1度程度、歯科医院でのメンテナンスを受けます。歯や歯茎、インプラント体や上部構造などに問題がないかチェックします。インプラント周囲炎などのトラブルの早期発見と予防ケアにもつながります。

ワンデイインプラントの治療後に注意すること

ワンデイインプラントの治療後に注意すること

ワンデイインプラントの治療後は、以下のような点に注意しましょう。

口腔内や身体に負担のかかることは控える

ワンデイインプラントの手術後、口腔内や身体に過度な負担をかけることは避けるべきです。手術した部位はとてもデリケートな状態であり、仮歯が装着されている場合でも、無理に噛んだり強い力をかけたりすると、インプラントが外れるなどのトラブルが発生する恐れがあります。

特に手術から数日間は、やわらかい食事を摂取することが推奨されます。おかゆやうどん、ゼリーなどの食事を心がけましょう。煎餅などの硬い食品や唐辛子などの刺激物の入った食品は控えましょう。
また、運動やサウナなど、血行を促進する行動も避けるべきです。これらは痛みや腫れを悪化させる可能性があり、手術直後は特に注意が必要です。

定期的にメンテナンスを受ける

ワンデイインプラントの治療自体は1日で終了しますが、その後も定期的なメンテナンスが必要です。定期的なメンテナンスでは、インプラント周囲や噛み合わせのチェック、クリーニング、調整を行います。これによって、インプラントが正常に機能し続けるために重要な役割を果たすのです。

メンテナンスに定期的に通うことで、異常の早期発見と治療が期待できます。また、口腔内を清潔に保てるため、インプラント周囲炎などのトラブルを予防することにもつながります。
インプラント周囲炎は、インプラントを使えなくなる主な原因の一つであるため、予防のためにも定期的なメンテナンスを欠かさないようにしましょう。

セルフケアを徹底する

ワンデイインプラント治療後、口腔内を良好に保つためには、歯科医院での定期的なメンテナンスだけでなく、正しい歯磨きで汚れをしっかり落とすなど、患者さん自身が行う日々のセルフケアが大切です。

定期的なメンテナンス時に歯磨き指導を受け、正しい歯磨き方法を学ぶことが理想的です。
歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスなどを使いながら、日々のケアを徹底し、インプラントを長期間にわたって快適に使用するための予防策を講じましょう。

喫煙者は禁煙する

タバコにはニコチンをはじめとする有害物質が含まれており、これがインプラント治療に悪影響を及ぼす可能性があります。特にニコチンは血行を妨げ、歯茎や骨に十分な酸素と栄養が届きにくくなります。
そのため、喫煙はインプラントと顎の骨の結合を遅らせ、傷口の治りを遅くするだけでなく、免疫力を低下させ細菌感染のリスクも高めるのです。

治療後にインプラントがうまく結合しなかったり、細菌感染が発生したりするリスクが高まるため、禁煙はインプラント治療の成功には重要です。
治療を受ける際には、治療の成果を活かすために禁煙を心がけましょう。

まとめ

まとめ

ここまでワンデイインプラントのデメリットについてお伝えしてきました。ワンデイインプラントのデメリットの要点をまとめると以下のとおりです。

  • ワンデイインプラントは、抜歯からインプラント体の埋入、仮歯の装着までを約1日で行う新しい治療法で、抜歯後すぐにインプラントを埋め込む抜歯即時埋入や、48時間以内に仮歯を装着する即時荷重といった方法が用いられる
  • ワンデイインプラントのデメリットには、治療を受けられる歯科医院が限られているほか、手術が必要なことに加えて、手術時間が長くなりがちな点が挙げられる
  • ワンデイインプラントのメリットには、治療回数が少ないため身体的負担が抑えられたり、少ないインプラントの本数で治療が行えるので費用が抑えられたりする点が挙げられる

ワンデイインプラントには、さまざまなデメリットやメリットがあります。治療を検討している方は、こうした点を理解したうえで歯科医院に相談してみましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
岸 民祐歯科医師(医療法人 Teethプラザ歯科 院長)

岸 民祐歯科医師(医療法人 Teethプラザ歯科 院長)

1981年日本歯科大学新潟歯学部卒業 / 1981年~1983年横浜 有楽歯科勤務 / 1983年広島市西区にて岸歯科医院開業 / 1998年中区へ移転、(医)ティース プラザ歯科開業,現在に至る / 所属協会・資格: / (公社)日本口腔インプラント学会 理事・指導医・認定医 / (公社)日本歯科先端技術研究所 指導医・認定医 / ピエールフォシャールアカデミー国際歯学会 会員 / 昭和歯科大学歯学部 外部講師 / その他:瀋陽医学院(中国) 客員教授 / ティースアート広島店

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