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インプラントで前歯を治療したら仮歯を入れる?仮歯のつけ方や入れている時の注意点も解説します

インプラントで前歯を治療したら仮歯を入れる?仮歯のつけ方や入れている時の注意点も解説します

インプラント治療では、見た目や機能を補うために仮歯を装着します。特に前歯は審美性が重要で、治療中でも仮歯が欠かせません。
本記事ではインプラントで前歯を治療したら仮歯を入れるのかについて以下の点を中心にご紹介します。

  • インプラントで前歯を治療したら仮歯を入れるのか
  • インプラント治療中の仮歯のつけ方
  • インプラント治療中に仮歯をつけている時の注意点

インプラントで前歯を治療したら仮歯を入れるのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

インプラントで前歯を治療したら仮歯を入れる?

インプラントで前歯を治療したら仮歯を入れる?

インプラント治療では、顎の骨にインプラント体(人工歯根)を埋め込んだ後、骨と結合するのを待つ”免荷期間”が必要です。この期間は2〜6ヶ月程度ですが、治療直後に最終的な上部構造を装着することはできません。そのため、前歯の場合には必ず仮歯を装着します。見た目や日常生活への影響をできる限り抑えるためです。

仮歯はプラスチック製で耐久性は劣りますが、周囲の歯との調和が取れた自然な見た目を提供します。これにより、笑顔や会話に自信を持てるだけでなく、歯茎の形を整え、細菌から保護する役割も果たします。また、仮歯は患者さんの状態に応じて装着方法が異なりますが、両端の歯に固定する方法が多いとされています。

一方、奥歯の場合は負荷がかかりやすいため、仮歯を装着しないケースもあります。しかし、前歯の治療においては審美性や機能性を考慮し、仮歯が装着されます。

インプラント治療中の仮歯の役割

インプラント治療中の仮歯の役割

インプラント治療中の仮歯の役割にはどのようなことがあるのでしょうか。以下に詳しく解説します。

自然な見た目を保つ

インプラント治療中に仮歯を装着することで、自然な見た目と発音のしやすさを保つことができます。特に前歯の欠損は審美性に大きく影響し、歯がない状態では笑顔や会話に自信を失う可能性があります。また、歯が欠けたままでは発音がしづらくなり、日常のコミュニケーションにも支障をきたすことがあります。

仮歯はプラスチック製で耐久性は最終的なセラミック歯に劣りますが、自然な白色で周囲の歯と調和し違和感が少ないため、治療期間中でも快適に過ごせるでしょう。さらに、仮歯には見た目の改善だけでなく、歯茎の形状を整えたり、細菌から保護する役割もあります。

前歯の場合は審美性や機能性を重視し、必ず仮歯を装着します。たとえ装着が難しいケースでも、患者さんが快適に過ごせるように調整が行われますので、不安に思う必要はありません。奥歯については噛み合わせや負荷の問題で仮歯を入れない場合もありますが、前歯では審美治療の観点からも仮歯が重要な役割を果たします。

噛み合わせを維持する

インプラント治療中に仮歯を装着することで、噛み合わせを維持できるようになります。歯が欠けたまま放置すると、隣接する歯が空いたスペースを埋めるように動き出します。実際、歯は1ヶ月で約1mm移動するとされており、インプラント治療に半年を要する場合、歯が6mmも動く可能性があります。

こうした歯の移動が起こると噛み合わせが乱れるだけでなく、顎関節症や頭痛、肩こりといった体の不調を引き起こすこともあります。また、正しい位置から歯が動いてしまうことで、新たな治療が必要になる場合もあります。

仮歯を装着することで、噛み合わせを正しい状態で維持し、歯や身体全体の健康を守ることができます。さらに、噛む機能を一時的に補い、治療期間中も快適に過ごせるようサポートします。インプラント治療中に仮歯を利用することは、見た目や発音だけでなく、長期的な健康を保つためにも重要な役割を果たしているのです。

細菌から患部を保護する

インプラント治療中に仮歯を装着することで、治療部位を細菌や外部の刺激から守る役割を果たします。口内には約1000億〜6000億もの常在菌が生息しており、そのなかにはむし歯や歯周病、インプラント周囲炎を引き起こす細菌も含まれています。仮歯はこれらの細菌から患部を保護し、感染や炎症のリスクを減らす蓋のような役割を担っています。

もし仮歯を装着しなければ、インプラント体が安定する前に細菌が侵入し、炎症を起こしてインプラントと骨の結合を阻害する可能性があります。また、食事中の咬合圧や飲食物の温度変化、歯ブラシによる刺激など、日常的に加わる外部の負担が直接インプラント体にかかることで、治療部位にさらなるダメージを与える可能性もあります。

仮歯を装着することで、これらのリスクをできる限り抑え、インプラント治療をスムーズに進めることができます。細菌感染の予防だけでなく、治療部位の安定性を保つためにも、仮歯は重要な役割を果たしているのです。

顎の骨や歯茎の状態を安定化させる

インプラント治療中に仮歯を装着することで、顎の骨や歯茎の状態を安定化させる役割を果たします。歯が欠けたままの状態を長期間放置すると、顎の骨が吸収されて痩せたり、歯茎が変形してしまうことがあります。仮歯を使用することで、こうした変化を防ぎ、治療後に上部構造を安定させるための土台を整えることが可能とされています。

また、長期間入れ歯を使用してきた方の場合、入れ歯による圧迫が原因で顎の骨や歯茎が変形しているケースもあります。この場合でも、仮歯を少しずつ調整しながら使用することで、顎や歯茎を理想的な形状に近づけることができます。

さらに、仮歯によって顎や歯茎が安定すると、インプラント治療後の見た目もより自然に整います。インプラント治療中の仮歯は、単に機能や見た目を補うだけでなく、長期的な口腔の健康と美しさを保つためにも欠かせない存在なのです。

前歯のインプラント治療別による仮歯のつけ方

前歯のインプラント治療別による仮歯のつけ方

前歯のインプラント治療別による仮歯のつけ方を以下に解説します。

即時荷重

即時荷重は、インプラントを埋め込んだその日のうちに仮歯を装着する治療法です。この方法を選ぶには、埋入する顎の骨が十分な高さと幅を持ち、骨密度が高く硬いことが条件です。治療前にX線やCTによる精密検査を行い、歯科医師の診断のもとで計画されます。

即時荷重インプラントは、特に複数歯の欠損治療で使用されるオールオン4のような治療でも取り入れられています。この方法では、4〜6本のインプラントで最大12本の連結された仮歯を支えるため、術後当日から見た目や会話、食事機能をある程度取り戻すことが可能といわれています。

即時荷重で使用する仮歯は専用の土台で固定され、取れにくい設計になっています。場合によっては隣の歯と接着させたり、ブリッジを併用することでさらなる固定強度を確保します。ただし、硬いものを噛むのは推奨されず、審美性と基本的な機能回復が目的です。また、治療から1〜2ヶ月後には仮歯と歯肉の間に隙間が生じることがあり、修正が必要となる場合があります。

即時荷重は審美性や日常生活の早期回復が期待できる方法であり、条件が揃えば前歯のインプラント治療の選択肢としても有効とされています。

メリーランドブリッジ

前歯のインプラント治療では、骨の量が不足している場合や骨が薄い場合、即時に仮歯を装着することが難しいケースがあります。しかし、前歯の欠損は審美性に大きく影響するため、メリーランドブリッジという方法で仮歯を装着することが多いとされています。

メリーランドブリッジは、両隣の歯の裏側に接着剤を使用して固定する接着性のブリッジです。この方法では隣接する歯をほとんど削らないため、歯への負担が軽減され、見た目を自然に保ちながら仮歯を装着できます。また、メリーランドブリッジはポンティックと呼ばれる上部構造を金属やジルコニア、強化ポーセレンで作られたフレームに焼き付け、接着することで前歯の隙間を補います。

この方法は特に前歯におすすめで、臼歯では強い咬合力によって脱落する可能性があるため使用されません。さらに、メリーランドブリッジは仮設としても長期的な補綴物としても利用可能とされ、インプラント治療中に審美性と機能性を両立させる選択肢として効果が期待できます。

歯を削る量が少ないため、患者さんの負担も少なく、治療期間中も自然な見た目と基本的な口腔機能を維持することができます。

仮歯を入れるタイミング

仮歯を入れるタイミング

インプラント治療では、インプラント体を埋入してから3〜6ヶ月の間、骨と結合する時間が必要です。この期間は上部構造を装着することができませんが、見た目や機能を補うために仮歯を装着します。

特に前歯の場合、審美性を重視するため早い段階で仮歯を装着することが多いようです。インプラント埋入後に傷口の縫合や抜糸が完了し、治癒が進んだ時点で仮歯を取り付けます。あらかじめ型取りや整形を行っておくことで、仮歯の装着自体は短時間で済むといわれています。一方で奥歯の場合は、噛み合わせの負担や口腔内の状態によって仮歯を装着しないこともあります。

仮歯を装着する期間やタイミングは、患者さんの口腔内の状態やインプラントが顎骨や歯肉に固着するまでの進行状況によって異なります。治療中の詳細な計画については、歯科医師としっかり相談し、自身に合った治療スケジュールを確認することが大切です。仮歯は審美性や日常生活の快適さを保つために重要な役割を果たします。

仮歯を入れている時の注意点

仮歯を入れている時の注意点

インプラント治療中に仮歯を入れている時はどのようなことに注意すればよいのでしょうか。以下に詳しく解説します。

硬い食べ物や粘着性の強い食べ物は避ける

インプラント治療中に装着する仮歯は、強度が高いわけではなく、上部構造をスムーズに装着できるよう意図的に外れやすい構造になっています。そのため、仮歯には過度な力が加わると割れたり外れたりするリスクがあるため、食事の際は注意が必要です。

特に硬い食べ物や粘着性の強い食べ物は避けましょう。例えば、硬い煎餅や乾板、硬めのパン、スルメイカなどは仮歯に過度な力を加えやすいため不適切です。また、ガムやグミ、ヌガー、キャラメルなどの粘着性の高い食品は、仮歯が外れる原因となる可能性があるため控えましょう。

仮歯を守るためには、食事の内容を慎重に選ぶことが大切です。やわらかい食材や噛む力が分散されやすい食事を心がけ、仮歯にかかる負担をできるだけ抑えることで、治療をスムーズに進めることができます。仮歯はあくまで治療中の一時的なものですが、適切な取り扱いが治療の成功につながる重要なポイントです。

丁寧な歯磨きを行う

インプラント治療中に仮歯を装着している場合でも、口内を清潔に保つことは大変重要です。仮歯自体は天然の歯ではないためむし歯になることはありませんが、その周囲の天然歯や歯茎には細菌が付着しやすく、歯周病やむし歯の原因になる可能性があります。これを防ぐためにも、毎日の丁寧な歯磨きが欠かせません。

ただし、仮歯は強い力が加わると傷ついたり外れたりする恐れがあるため、歯ブラシはやさしく扱うことがポイントです。特に仮歯と歯茎の境目や隣接する歯の隙間は汚れがたまりやすいため、ソフトな歯ブラシやデンタルフロスを使って丁寧に磨くことが推奨されます。

また、口内が清潔に保たれないと、インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎といった炎症を引き起こすリスクがあります。これらは進行すると歯茎の腫れや痛み、さらにはインプラントの脱落に至る可能性もあります。

症状が進行するまで気付きにくい点もあるため、毎日の口腔ケアを徹底し、問題の予防に努めましょう。正しい歯磨き習慣が、インプラント治療の成功を支える鍵となります。

仮歯のままインプラント治療をやめない

インプラント治療中に仮歯を装着している場合、そのまま治療を中断することは避けましょう。仮歯はあくまで治療中に使用する一時的な代用品であり、長期間の使用にはおすすめできません。プラスチック製の仮歯は耐久性が低く、経年劣化により形状が変わったり黄ばんだりするほか、口臭の原因となる匂いを吸収しやすい特性があります。

さらに、仮歯の形状が崩れると噛み合わせが悪くなり、インプラントが抜け出るリスクもあります。治療を放置すると、再治療が必要になり、期間や費用が増大する可能性があります。

仮歯はインプラント治療を円滑に進めるための重要な役割を果たしています。担当医の指示を守り、最後まで治療を完了させることが、インプラント治療の成功につながります。

仮歯が外れたり欠けたりしたら放置しない

インプラント治療中に仮歯が外れたり破損した場合、すぐに担当医師へ相談しましょう。仮歯がない状態を放置すると、歯の位置がずれて噛み合わせに影響が出るほか、インプラントや患部が細菌感染を起こすリスクが高まります。また、歯の位置が動いてしまうと、元の仮歯や製作済みの上部構造が装着できなくなる可能性があります。

さらに、仮歯がインプラントや傷口を保護できない状態が続くと、歯肉や顎骨が直接刺激を受け、炎症や感染の原因になることもあります。

このようなトラブルを避けるためにも、仮歯が外れたり欠けたりした際は、早急にかかりつけの歯科医院で修復や再装着を受けましょう。適切な対応が、治療のスムーズな進行につながります。

まとめ

まとめ

ここまでインプラントで前歯を治療したら仮歯を入れるのかについてお伝えしてきました。
インプラントで前歯を治療したら仮歯を入れるのかの要点をまとめると以下のとおりです。

  • インプラント治療では、前歯の審美性や機能性を保つため、必ず仮歯を装着する。仮歯は自然な見た目を提供し、歯茎の保護や形状の維持にも役立つが、奥歯では負荷の影響で装着しない場合もある
  • インプラント治療中の前歯の仮歯装着には、即時荷重やメリーランドブリッジが用いられる。即時荷重は骨条件が整えば当日装着でき、早期回復に有効とされる方法で、メリーランドブリッジは審美性を保ちながら歯への負担を軽減する方法である
  • インプラント治療中に仮歯を装着している際は硬い食べ物や粘着性の高い食品を避け、丁寧な歯磨きがポイントとなる。仮歯の破損や脱落時はすぐに医師へ相談し、治療を最後まで継続することが重要である

インプラント治療で仮歯は見た目や機能を補い、治療をスムーズに進める重要な役割を果たします。適切な使い方やケアを行い、担当医師の指示を守ることで、インプラント治療を成功に導きましょう。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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