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サージカルガイドなしのインプラント治療の流れやリスクなどを詳しく解説!

サージカルガイドなしのインプラント治療の流れやリスクなどを詳しく解説!

サージカルガイドなしの治療では、歯科医師が患者さんの骨や歯の状態を直接確認しながら、インプラントを埋め込む位置や角度を調整する必要があります。 本記事ではサージカルガイドなしのインプラント治療について以下の点を中心にご紹介します。

  • サージカルガイドとは
  • インプラント治療でサージカルガイドを用いるメリットやデメリット
  • サージカルガイドにかかる費用

サージカルガイドなしのインプラント治療について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

サージカルガイドとは

サージカルガイドとは

サージカルガイドとは、インプラント治療をより正確に進めるために使用される専用の補助器具です。別名サージカルテンプレートとも呼ばれ、患者さん一人ひとりの顎骨や歯の状態に合わせて、オーダーメイドで作製されます。透明なプラスチック製で、CTスキャンなどから得たデータをもとに設計されます。

サージカルガイドには、ドリルを通すための小さな穴があり、これを使用することで、インプラントを埋め込む際の位置、角度、深さを事前のシミュレーションどおりに再現できます。従来のインプラント治療では、歯科医師の経験と技術によってこれらを調整していましたが、サージカルガイドを使用することで精度が向上し、治療結果の安定が期待されます。

インプラント治療でサージカルガイドを用いるメリット

インプラント治療でサージカルガイドを用いるメリット

インプラント治療でサージカルガイドを用いるメリットを以下で解説します。

神経や血管を傷つけるリスクを軽減させる

インプラント治療では、人工歯根を顎骨に埋め込む際に、神経や血管の位置に十分注意を払う必要があります。誤った位置に埋入してしまうと、神経を損傷したり、血管を傷つけたりすることで、顔面のしびれや痛み、大量出血などの重大な合併症が引き起こされる可能性があります。

場合によっては、一時的な影響では済まず、深刻な後遺症や命に関わる危険性を伴うこともあるため、慎重な対応が必要です。

手術時間を短縮できる

事前にCTスキャンで取得したデータをもとに、インプラントを埋入する位置や角度、深さを詳細にシミュレーションし、ガイドを作製するため、手術当日は計画にしたがってスムーズに治療を行えます。そのため、手術中に都度位置や深さを確認する必要がなくなり、作業時間の短縮が実現につながります。

歯茎を切る必要がない

歯茎を広く切開する方法では、術後に腫れや痛みが生じやすく、麻酔が切れた後の食事で不快感を感じたり、歯磨きの際に腫れや出血を引き起こしたりする場合があります。しかし、サージカルガイドを活用することで、こうしたリスクを抑えることが可能とされています。

患者さんへの身体的負担が少ない

サージカルガイドを使用したインプラント手術は、手術時間が短縮されるため患者さんの身体的な負担が軽くなる傾向があります。さらに、歯茎を切開せずに手術を行うことが可能なため、術後の痛みや腫れを抑えることが期待できます。

美しい仕上がりになる

サージカルガイドは、治療後の見た目の美しさにも貢献します。インプラントの埋入位置は、治療後の外観に大きな影響を与えるため、サージカルガイドを使用することが重要です。CTスキャンのデータをもとにシミュレーションを行い、完成形を予測して、機能的だけでなく見た目にもよい位置に調整してインプラントを埋め込みます。

インプラント治療でサージカルガイドを用いるデメリット

インプラント治療でサージカルガイドを用いるデメリット

インプラント治療でサージカルガイドを用いるデメリットを以下で解説します。

コストがかかる

サージカルガイドを使用する際には、追加の費用が発生することがあります。この費用には、CTスキャンによる撮影、治療の計画、シミュレーションソフトの使用、そしてガイドの製作などが含まれます。

これらの手順は、通常のインプラント治療に比べてさらにコストがかかるため、患者さんにとっては治療費が高くなる可能性があります。

また、サージカルガイドの費用はインプラントの本数や使用する技術に応じて異なる場合があります。歯科医院によっては、手術費用にこれらの追加費用が含まれていることもあるため、治療を開始する前に歯科医師に詳細な見積もりをお願いすることをおすすめします。

治療期間が長引くこともある

サージカルガイドを使用する場合、治療の前に行うCTスキャンやガイド作製の工程が追加されるため、全体的な治療期間が長くなる可能性があります。急いで治療を完了したいと考える患者さんには、これがデメリットとなるかもしれません。

ただし、これらの準備作業を行うことで手術自体がスムーズに進み、手術後も早い回復が期待できるため、最終的には大きなメリットを得ることができる可能性もあります。

手術時に臨機応変に対応できない

サージカルガイドは、事前にシミュレーションした位置や角度に基づいて穴を開けるため、手術の精度を高める役割を果たします。しかし、事前の計画と実際の歯の状態にズレが生じると、ガイドを使った手術がスムーズに進まないことがあります。

骨の状態や口腔内の状況が想定と違った場合、計画どおりに進められない可能性があり、その際に臨機応変に対応するのが難しくなります。

そのため、サージカルガイドを使用する場合は、シミュレーションやガイドの精度が重要です。また、予期しない事態に対応できる経験と技術を持った歯科医師を選ぶことが、治療成功の鍵となります。

対応できる歯科医院が限られる

サージカルガイドを使用したインプラント治療は、専用の設備や高度な技術が必要なため、すべての歯科医院で行えるわけではありません。この治療法は、海外では利用されていますが、日本ではまだ対応できるクリニックが少ないのが現状です。

サージカルガイドを希望する場合、対応可能な歯科医院を探すのに時間や手間がかかることがあります。治療を希望する際は、サージカルガイドを導入しているクリニックを事前に調べ、確認することが大切です。

サージカルガイドにかかる費用

サージカルガイドにかかる費用

サージカルガイドを使用する場合、追加費用が発生します。1本のインプラントに対して5万円〜10万円ほどの費用がかかります。この金額は、CTスキャンの撮影、治療計画の立案、ガイドの製作などの一連の工程に必要な費用を含んでいます。

サージカルガイドはインプラント治療の基本料金には含まれないため、使用する場合は患者さんの選択に応じて別途費用が発生しますが、手術の安全性や精度を高めるための投資と考えることができます。

サージカルガイドはインプラント治療に必要?

サージカルガイドはインプラント治療に必要?

サージカルガイドがインプラント治療に必要なケースと必要でないケースについて以下で解説します。

サージカルガイドが必要なケース

サージカルガイドは、多くのインプラント治療に使用することができるとされていますが、難易度の高いケースでは特に有効とされています。

例えば、インプラントの角度や深さが事前のシミュレーションとほぼ一致しなければ成功が難しい場合や、顎のなかで神経までの距離が短く、誤った深さで埋め込むと神経麻痺を引き起こすリスクがあるようなケースでは、サージカルガイドを使用すればリスクを減らすことができるとされています。

すべてのインプラント治療にサージカルガイドの使用が望ましいとされていますが、実際にはガイドの作製に時間と手間がかかり、部位によっては使用できない場合もあります。そのため、サージカルガイドの使用が必要かどうかは、症例に応じて判断されることになります。

サージカルガイドが必要でないケース

1歯欠損のように、前後に健康な歯がある場合、サージカルガイドは必ずしも必要なわけではないとされています。 このようなケースでは、周囲の歯の位置や傾きからインプラントの埋入位置を予測しやすく、骨吸収も進んでいないことがあるため、ガイドなしでも問題が生じにくいためです。 ただし、各症例に応じて、サージカルガイドの使用が適切かどうかは、治療の難易度や患者さんの状態によって判断されます。

サージカルガイドなしのインプラント治療の流れ

サージカルガイドなしのインプラント治療の流れ

サージカルガイドを使用しないインプラント手術では、歯科医師の経験をもとにインプラントの位置や角度を決定します。手術前には、レントゲンやCT画像で骨の状態を確認し、治療計画を立てます。 手術当日には、歯茎を切開して骨を露出させ、その後ドリルを使用して骨に穴を開けていきます。歯科医師は、手や目で位置や角度を慎重に確認しながらインプラントを埋め込んでいきます。

サージカルガイドなしでのインプラント治療のリスク

サージカルガイドなしでのインプラント治療のリスク

サージカルガイドを使用しないインプラント治療にはいくつかのリスクが伴います。 まず、インプラントを埋め込む位置や角度がずれてしまう可能性が高く、神経や血管の近くにインプラントを埋め込む場合には、それらを傷つけてしまうリスクが増えます。

また、手術時間が長くなることで、患者さんへの負担も大きくなり、術後の痛みや腫れが強くなる可能性もあるようです。さらに、治療後の結果として、機能性や審美性に満足できない場合があるかもしれません。

骨量が少ない場合や、神経や血管が近接している部位では、リスクがさらに高くなります。そのため、こうした条件下での手術には、サージカルガイドの使用が推奨されます。

ただし、経験豊富な歯科医師であれば、ガイドを使わなくても高い精度が期待できるインプラントを埋め込むことができる場合もあります。最終的な治療方法は、患者さんの口腔内の状態と歯科医師の技術や経験に基づいて決まります。

インプラント治療を受ける際は、サージカルガイドを使用することのメリットやデメリット、ガイドなしで行う場合のリスクを歯科医師と十分に相談し、自身に合った治療方法を選ぶことが重要です。

サージカルガイドとステントの違いとは?

サージカルガイドとステントの違いとは?

サージカルガイドとステントは、インプラント治療において重要な役割を果たしますが、目的や使用方法にはいくつかの違いがあります。以下で詳しく解説します。

インプラントステントとは

インプラントステントは、インプラント治療で人工歯根を適切に埋入するためのガイドとなる装置です。インプラントを成功させるためには、患者さんの顎骨の状態やインプラントの埋入位置の把握が大切です。

ステントは、これらの要素を考慮して治療計画に基づき作成され、手術中にインプラントを適切な位置に配置するための重要な役割を果たします。

このステントは、CTスキャンや模型をもとに設計され、インプラントを埋め込む位置と角度を決定するために使用されます。ステントを用いることで、インプラントの埋入深さや位置を再現し、顎骨としっかり接触させることが可能になるとされています。
よって、インプラントが安定し、長期間にわたる機能が期待できます。

また、ステントを使用することにより、手術時間の短縮やリスクの低減が可能となり、患者さんへの負担の軽減が期待できます。複数のインプラントを一度に埋入する場合や、骨が薄い部位にインプラントを挿入する際には、ステントの使用がおすすめです。

診断用ステントは、インプラント埋入位置の診断を目的に使用され、上下の歯の噛み合わせも考慮した設計がなされます。治療後の噛み合わせの不具合を防ぎ、天然歯と同じように快適に噛むことができるようになります。

さらに、噛み合わせがよければ歯並びも整いやすく、歯周病やインプラント周囲炎のリスクの減少も期待できます。

インプラント治療におけるステントの役割とは

ステントは、歯科医師が患者さんの口内に合わせて作成するカスタムメイドの器具です。透明なプラスチック素材で作られ、インプラントを埋入する部位に小さな穴を開けておきます。手術中、歯科医師はこの穴を目印にしてドリルを使用し、骨に穴を開けていきます。これにより、インプラントが適切な位置と角度で埋入されることが期待できます。

ステントを使うことで、インプラント治療の成功率の向上が期待できます。難易度が高い部位や骨量が不足している部分へのインプラント埋入には、ステントの使用が不可欠です。

このように、ステントはインプラント治療を精密に行うために重要な役割を担っており、多くの歯科医師にとって欠かせないツールとなっています。

CT撮影におけるステントの役割とは

インプラント治療において、CT撮影はとても重要です。CT撮影の使用により、患者さんの顎骨の状態や神経、血管の位置を三次元的に把握でき、インプラントの位置や角度の計画を助けるとされています。

ステントは、CT撮影時に患者さんの口腔内に装着し撮影を行います。よってインプラントの埋入位置を適切に把握でき、さらにその後の手術でもガイドとして活用されます。

さらに、ステントの利用によってインプラント埋入手術をより短時間で行える利点もあります。CT画像とステントを組み合わせることで、手術前に詳細なシミュレーションができ、手術時間を短縮することが可能とされています。

まとめ

まとめ

ここまでサージカルガイドなしのインプラント治療についてお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。

  • サージカルガイドとは、インプラント治療をより正確に進めるために使用される専用の補助器具である。別名サージカルテンプレートとも呼ばれ、患者さん一人ひとりの顎骨や歯の状態に合わせて、オーダーメイドで作製される
  • インプラント治療でサージカルガイドを用いることで、神経や血管を傷つけるリスクの軽減や、手術時間の短縮が期待できる
  • インプラント治療でサージカルガイドを用いるデメリットは、コストがかかったり治療期間が長引いたりすることである

近年インプラント治療は安全な治療方法となってきています。その要因として挙げられるのが、検査技術の向上やデジタル技術の導入などです。

インプラント治療の難易度が高いと判断された場合にガイドの使用は有効な場合があります。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

東京歯科大学歯学部 卒業 / 東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔インプラント学) 卒業 / 現在は大津歯科医院勤務 / 東京歯科大学インプラント科臨床講師 / 専門は口腔インプラント

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