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インプラント治療は中断できる?仮歯での中断や治療中の転院について解説します

インプラント治療は中断できる?仮歯での中断や治療中の転院について解説します

これからインプラント治療を受けようとしている方のなかには、インプラント治療の中断や転院が気になっている方もいると思います。
中長期におよぶインプラント治療では、予期せぬ事態が原因で中断を余儀なくされたり、転院しなければいけなかったりすることもあるでしょう。
そこでこの記事では、インプラント治療の中断や転院に関して、初心者があらかじめ理解しておくべきことをわかりやすく解説します。

インプラント治療は中断できる?

インプラント治療は中断できる?

仮歯を入れた後にインプラント治療を中断することはできますか?
仮歯を入れた後にインプラント治療を中断することはできないと考えてください。理由としては、仮歯はあくまでも仮の歯に過ぎず、破損や脱落が起きやすくなること、感染症リスクが発生する、さらに最終的に入れる人工歯が合わなくなる可能性があるためです。
患者さんからすれば、仮歯の見た目は通常の歯に見えることや、咀嚼時にも支障がないと思えるため、仮歯の時点で中断しても差し支えないと考えてしまいがちです。しかしながら、仮歯は外れやすい状態にあり、なおかつ人工歯よりも強度が劣るため、通常の歯の代わりとして十分に機能しません。したがって、インプラント治療を仮歯の段階で中断することは、リスクが大きいため控えるようにしましょう。
一時的な中断を余儀なくされる場合は、歯科医師に相談し、然るべき処置をとるようにしてください。
インプラント治療の中断によるリスクを教えてください
インプラント治療の中断によるリスクとして、以下のようなことが挙げられます。
  • 仮歯の破損や脱落
  • 人工歯が合わなくなる
  • インプラントが脱落する
  • 細菌感染
  • 治療が長期化することによるコスト増

このように、インプラント治療を中断することは、インプラント治療そのものが頓挫してしまう可能性を含んでいます。特に、人工歯根であるインプラントが抜け落ちてしまったり、人工歯を入れるスペースがなくなってしまったりする懸念があります。また、中断したことによって、口腔内でトラブルが起きた場合、追加コストが発生するかもしれません。したがって、インプラント治療を中断することは、お口だけでなく、経済的なリスクも招く可能性があることを知っておきましょう。

インプラント治療の中断が必要なケースはありますか?
インプラント治療の中断が必要になるケースとして、以下のようなことが想定されます。
  • 妊娠
  • むし歯や歯周病の悪化
  • 血液疾患を発症した
  • 免疫不全が認められる
  • 放射線治療を受けることになった

このように、インプラント治療の中断を余儀なくされるケースは、稀といえるものの存在します。特に、インプラント治療を始めてから妊娠するケースや、インプラント治療中にむし歯や歯周病の症状が悪化してしまうケースは、起こりやすい要因といえるかもしれません。インプラント治療の中断を余儀なくされる事態になった場合は、中断を自己判断せず、歯科医師に相談のうえ、しっかり処置を受けるようにしてください。

インプラント治療での仮歯の役割

インプラント治療での仮歯の役割

インプラント治療の仮歯とはどのようなものですか?
インプラント治療の仮歯とは、顎の骨に埋入した人工歯根が、顎の骨や周辺組織としっかり結合するまでの期間中に使用し、後に入れることになる人工歯の代わりになるものです。
一般的なインプラント治療の場合、人工歯根を埋入したのち、人工歯根が定着するまで数ヶ月の時間をおいてから、人工歯根と人工歯を連結させます。人工歯根が定着するまでは、歯がない状態が続くため、仮歯によって歯の機能を補うわけです。
仮歯は、人工歯根が定着するまでの期間、見た目をよくするだけでなく、歯並びの歪みを抑える、さらには人工歯根部に細菌が入り込まないようにする蓋の役割も担っています。インプラント治療の仮歯は、審美性のほか、機能性、さらには安全性を高める役目があります。
最終的な人工歯と仮歯にはどのような違いがありますか?
インプラント治療における最終的な人工歯と仮歯は、目的や機能に違いがあります。
人工歯は、本来の歯と同様の働きを持たせることが目的であるのに対し、仮歯は歯の機能や見た目を一時的に補うことを目的にしています。
また、人工歯は、本来の歯のような見た目や強度などの機能性を持っている一方、仮歯はあくまでも簡易的なスペーサーのような機能に過ぎません。人工歯と仮歯は似たものに思えるかもしれませんが、目的や機能がまったく異なることを知っておきましょう。
仮歯を使い続けるリスクはありますか?
仮歯を使い続けると、破損、脱落、そして口腔内トラブルを誘発するリスクがあります。仮歯は、あくまでも一時的な補完を目的にしたものであり、長期間使用することを想定した見た目や強度になっていません。
具体的には、仮歯を1年以上使用し続けると、破損や脱落が起こりやすくなるほか、患部の細菌感染を招く恐れがあるといわれています。例え、仮歯での生活に支障がないと思えたとしても、仮歯を使い続けることは控えてください。

インプラント治療中の転院

インプラント治療中の転院

インプラント治療中に転院することは可能ですか?
インプラント治療中に転院することは可能です。転勤や転校、さらには別の歯科医院にかかりたいなど、さまざまな理由で転院を希望するケースが想定されますが、インプラント治療中であっても転院できます。
ただし、転院先の歯科医院が転院を受け入れているかどうかや、現在かかっている歯科医院が紹介状を発行してくれるかなど、転院前に確認すべきこともあるため注意してください。インプラント治療は、なるべくひとつの歯科医院で治療を完結することが望ましいとされています。理由は、必ずしも患者さんのお口の状態や治療計画がうまく引き継がれるとは限らないためです。
また、転院するとほとんどの場合でクリニックが提供している保証制度の対象外になるため、なるべく転院しないで済むように計画を立てましょう。
転院する場合の注意点を教えてください
インプラント治療で転院する場合の注意点は、以下のとおりです。
  • 転院先の歯科医院が転院に対応しているとは限らない
  • 異なるインプラントメーカーしか取り扱っていないことがある
  • 保証対象外扱いになるかもしれない
  • 通院や治療が円滑に進まない可能性がある
  • 治療費がかさむかもしれない

このように、インプラント治療で転院すると、治療がスムーズに進みにくくなる可能性があるほか、手間や経済的な負担が増加することは否定できません。特に、保証制度の対象外になってしまう可能性があることに注意し、転院を決断する前にしっかり調べるようにしましょう。

転院が必要な場合はどのような対応をするべきですか?
インプラント治療の途中で転院する場合、まずはその時点で通っている歯科医院に転院に関して相談する対応が求められます。必要に応じて、紹介状を書いてもらうことや、転院先の歯科医院を推薦してもらうとよいかもしれません。同時に、転院先となる歯科医院が転院に対応しているかや、同じメーカーのインプラントを扱っているか、さらにはインプラントの治療経験が豊富かどうかなども確認してください。
そして、将来的にインプラントの不具合が発生した場合に備えて、保証の扱いがどのようになるかも書面上で確認しておくことをおすすめします。

編集部まとめ

編集部まとめ

インプラント治療は、なるべく中断することなく計画通りに実施するのが理想的です。やむを得ない事情で中断や転院の必要性が生じた場合は、自己判断せずに歯科医師に相談してください。
特に、インプラント治療の仮歯の段階で治療を中断したり、勝手に転院したりすることは控え、歯科医師としっかり連携して治療を完了させるようにしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松浦 明歯科医師(医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック)

松浦 明歯科医師(医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:1989年福岡歯科大学 卒業 1991年松浦明歯科医院 開院 2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任 / 資格:厚生労働省認定研修指導医 日本口腔インプラント学会認定医 ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医 / 所属学会:ICOI(国際口腔インプラント学会) 日本口腔インプラント学会 日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事 日本顎咬合学会 会員 日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員

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