オールオン4

オールオン4で再手術が必要となるケースは?治療法や費用、失敗しないための注意点を解説

オールオン4で再手術が必要となるケースは?治療法や費用、失敗しないための注意点を解説

オールオン4は、入れ歯が合わない方や歯を失った方にとって、有力な治療法の一つです。

しかし、「オールオン4で食事を楽しめる」と期待して手術を受けたものの、再手術が必要になるケースは少なくありません。

インプラント治療の成功率は一般に90%以上とされていますが、神経障害やインプラント周囲炎などのトラブルが起こる可能性もあります。

本記事では、オールオン4で再手術が必要となるケースやその治療法、費用について詳しく解説します。オールオン4を検討している方は、失敗しないための注意点も確認しましょう。

オールオン4で再手術が必要となるケース

歯の3D

オールオン4は、骨移植を行わず、4本のインプラントで人工歯を支える治療法です。 従来のインプラント治療と異なり、抜歯からインプラントの埋入、仮歯の装着までを1日で行える点が大きな特徴です。

噛み合わせや見た目を即日で改善できるため、忙しくて通院の時間が取れない方にも適した治療法として注目されています。

治療を行う際は、全身状態や口腔内の状態、噛み癖、喫煙歴などを含め、ガイドラインに基づく総合的な診断が必要です。

また、再手術が必要となるケースもあります。そのため、治療前には、起こり得る失敗やリスクを理解しておくことが重要です。

治療後にトラブルが発生した際は、対応が遅れると状態が悪化する恐れがあるため注意が必要です。

治療後に痛みが引かない

オールオン4は、インプラントを顎の骨に埋め込む外科手術であるため、術後に痛みや腫れが生じるリスク(外科的侵襲)があります。

術中または術後1週間以内に、何らかの身体症状が現われたケースは約70%にのぼると報告されています。

しかし通常は、術後に処方される鎮痛剤を服用することで、症状は徐々に落ち着くのが一般的です。

痛みが長期間続く場合や違和感が強い場合は、何らかの異常が起きている可能性があります。

外科的侵襲が大きい場合は、回復に時間がかかり、合併症のリスクも高くなるため注意が必要です。状況に応じて、再手術が必要となることもあります。

治療後にしびれや麻痺がある

治療後にしびれや麻痺が現れる場合は、手術時に神経や血管が損傷または圧迫されたことによる、重篤な偶発症や合併症が考えられるでしょう。

特に、オトガイ神経や下歯槽神経、舌神経、頬神経、眼窩下神経、鼻口蓋神経などに生じやすいとされています。

神経が損傷すると、症状の回復までに時間がかかり、程度によっては完全回復が困難な場合もあります。

なおこれらの神経障害は、歯科医師の技術力にかかわらず、一定の確率で起こりうるリスクです。

そのため、手術前に行う検査で神経の位置を把握し、インプラントを入れる方向や深さを慎重に決めることが重要です。

人工歯に不具合が起こった

インプラント

治療後に強い噛みしめや歯ぎしりなどが原因で、人工歯の破損や破折が起こる場合があります。

また、長期間使用することで人工歯の摩耗や噛み合わせのズレが起こり、ネジのゆるみや脱落、人工歯が外れるといった不具合が生じることもあります。

さらに、人工歯とインプラント本体をつなぐ接合部分の劣化で、人工歯のズレや外れが起こる可能性もあるでしょう。

人工歯が大きく破損している場合やインプラント体に問題がある場合は、噛み合わせのバランスを見直し人工歯の再設計が必要となるため、再手術が求められる場合もあります。

インプラントが骨と結合しない

インプラントは骨としっかり結合することで安定し、噛む力にも耐えられるようになります。この状態をオセオインテグレーションと呼び、インプラント治療の成功に欠かせない要素です。

しかし、骨と結合しない場合には、インプラントがぐらついたり脱落したりすることがあります。

骨との結合を妨げる要因として、糖尿病や骨粗しょう症、貧血などの疾患や服薬の影響が挙げられます。

そのため治療を受ける前には、現在治療中の病気や発症時期、症状、治療方法、経過などを詳しく歯科医師に伝えることが重要です。

インプラント周囲炎が起きている

術中や術後に細菌感染が起こると、歯茎と顎の骨にかけて炎症が広がるインプラント周囲炎になることがあり、鎮痛薬や抗菌薬だけでは根本的に改善しない場合もあります。

インプラント周囲炎になると、オセオインテグレーションが阻害されるため、術前に抗菌薬投与がすすめられる場合があります。

炎症が骨にまで進行している場合には、オールオン4の再手術が必要になる可能性が高いでしょう。

オールオン4で再手術が必要な場合の治療法

説明する医師

オールオン4で再手術が必要な場合、速やかに対応する必要があります。

人工歯の破損やインプラントの不具合を放置していると、噛み合わせや見た目が悪化し、全身の健康にも悪影響を及ぼすこともあります。

気になる症状があれば、早めに歯科医院で相談しましょう。

オールオン4治療をやり直す場合

オールオン4治療をやり直す場合は、まず不具合の原因を特定することが重要です。

神経症状が見られた場合は、知覚検査で麻痺の範囲や程度を確認し、エックス線検査や歯科用CT検査でインプラント体が神経に接していないかを調べます。

万が一インプラント体が神経に接している場合は、速やかな再手術が必要です。

また骨の状態や全身疾患の有無なども再評価し、場合によっては骨の再生(骨造成)などの処置を行ったうえで、再手術に進むこともあります。

オールオン4は、通常は骨移植を必要としない治療法ですが、骨の状態によっては下顎枝部やオトガイ部から骨を移植する場合もあります。

ただし、歯科用CTデータとコンピューターガイドシステムを使うことで、骨量が少ない無歯顎のケースでも骨移植せずに治療が可能です。

オールオン4は複雑な構造を持つため、再治療には高度な専門知識と技術が求められるため、経験豊富な歯科医師による診断と治療が不可欠です。

オールオン4以外で再治療する場合

再治療では、残せる歯が多い場合や患者さんの希望によって、オールオン4以外の治療法を選択することも可能です。

例えば、従来型のインプラント治療では、本数を増やして複数の歯を支える方法があります。

この方法は、奥歯を失っていても対応可能で、見た目の仕上がりも自然です。ただし、自由診療のため、費用が高額で治療期間も長くなる傾向にあります。

入れ歯は、気軽に治療を受けられ歯をあまり削らずに済む治療法です。ただし、装着時の違和感と発音のしにくさ、噛む力の低下などのデメリットもあります。

部分的なブリッジ補綴は、隣接する健康な歯を支えとして、人工歯を橋渡しのように装着する方法です。

見た目が自然に仕上がる一方で、健康な歯を削る必要があり、発音に問題が生じる可能性があります。

インプラントオーバーデンチャーは、数本のインプラントを支えにした取り外し式の入れ歯です。従来の総入れ歯よりも安定性が高い一方で、取り外しに手間がかかる点がデメリットです。

オールオン4で再手術が必要な場合の治療費用の目安

電卓を持ち悩む医師

オールオン4は、片顎4本のインプラントで12本の歯を支えるため、従来のインプラント治療よりも費用を抑えることができます。ただし自由診療のため、健康保険は適用されません。

治療費用の一般的な目安は、片顎約2,805,000円(税込)です。内訳は以下のとおりです。

  • デジタル診断および治療計画:55,000円(税込)
  • 手術費用:1,540,000円(税込)
  • 2個目の仮歯:220,000円(税込)
  • 人工歯の費用:990,000円(税込)

被せ物の素材、歯科医院によっても費用は変動します。治療費が高額になるため、分割払いや医療ローン、クレジットカードに対応している歯科医院もあります。

また、多くの歯科医院では、5~10年の保証期間を設けています。再手術や補修にかかる費用が保証の対象となることもあるため、事前に確認することが重要です。

オールオン4の再手術ができない方の特徴

喫煙

オールオン4の再手術ができない方には、以下のような特徴があります。

  • 重度の糖尿病
  • 重度の骨粗しょう症
  • 心臓病
  • 顎の骨の量が極端に不足している方
  • 日常的なケアが不十分な方
  • 喫煙習慣が強い方
  • 定期検診を受けない方

条件次第では再手術ができることもあるため、自分の希望を明確に伝え、歯科医師に相談しましょう。

オールオン4治療で失敗しないための予防策

歯医者

オールオン4治療は外科的な処置を伴うため、患者さんの身体に一定の負担がかかる治療法です。

治療の成功率を高めるには、あらかじめ予防策を講じることが重要です。ここではその予防策を解説します。

はじめにむし歯や歯周病の治療をしておく

むし歯や歯周病がある状態で治療を進めると、細菌がインプラントと顎の骨の結合部に侵入し、インプラント周囲炎になるリスクが高まります。

治療前の検査でむし歯や歯周病が見つかった場合は、それらの治療を終えてから、オールオン4治療を行うことが重要です。

禁煙する

喫煙者は、口腔内粘膜に慢性的な炎症があることが少なくありません。そのため、治療後には粘膜創の治癒不全が起こりやすく、インプラントと骨の結合にも悪影響を及ぼします。

また、インプラント周囲炎のリスクも高まる傾向です。

喫煙者には、治療前に喫煙経験年数や1日あたりの喫煙本数、たばこの種類を確認し、禁煙指導を行うことが推奨されています。

治療を成功させるには、禁煙することが不可欠です。

術後のメンテナンスを怠らない

看護師と患者

インプラントを長期間安定して使い続けるためには、日々のセルフケアと定期検診が欠かせません。さらに、4ヶ月に1度は歯科医院でのクリーニングも推奨されています。

ケアや検診を怠ると、インプラント周囲炎や人工歯の破損などのトラブルが起こる恐れがあり、インプラントを失うリスクが高まるため注意しましょう。

定期検診で行うチェック項目は、以下のとおりです。

  • プラークや咬合力のコントロール状況
  • 周囲粘膜の炎症や出血の有無
  • 口腔内の衛生状態
  • プロービングの深さと変化量
  • 排膿の有無の確認
  • インプラント体の動揺
  • エックス線検査による周囲骨の状態評価
  • 細菌検査
  • 咬合状態の確認

特に、プロービングの深さや動揺の有無は、インプラントの安定性を評価するうえで重要です。

動揺が確認された場合は、オッセオインテグレーションが喪失しているか、ほかの問題が生じている可能性があります。

定期的にエックス線検査を行うことで、インプラント周囲の骨の状態を、経時的に把握することが可能です。

また、歯周病のリスクが高い方には、細菌検査が推奨される場合もあり、より丁寧な個別のケアが必要です。

オールオン4治療を受ける歯科医院選びのポイント

病院にいる医療スタッフ

オールオン4治療は、満足度の高い治療法の一つです。しかし、歯科医師のスキルや知識に差があるのが実情で、本来なら防げたはずのトラブルが発生するケースも少なくありません。

治療の成功率を高めるためには、口腔内だけでなく、全身の健康状態も総合的に考慮する必要があります。

ここでは、歯科医院選びで押さえておきたい重要なポイントを解説します。

治療経験や設備を確認する

オールオン4治療は、インプラント体を健康な顎骨に埋め込む手術です。安全性を重視した治療を行うには歯科医師にはオールオン4やインプラント治療に関する高度な技術と、豊富な経験に加え、口腔解剖学への深い理解が必要です。

手術中および手術後に起こりうる出血や感染、神経障害などの症状に対応できる能力も求められます。

歯科医師の技術に問題がある場合、インプラント体の埋入方法が適切でなかったり、術中に生じた不具合の対処に対応できなかったりするケースがあるため注意しましょう。

また、手術室や放射線設備、埋入手術用の器具、材料、麻酔管理機器などが整っており、院内感染対策が実施されているかどうかも確認すべきポイントです。

さらに、緊急時に連携可能な地域医療機関との協力体制があるかも確認しましょう。

説明が丁寧である

歯医者でタブレットPCを使って説明を受ける女性

歯科医師は治療の前に丁寧な説明を行い、患者さんから治療の同意(インフォームドコンセント)を得る必要があります。その内容は、以下のとおりです。

  • 現在の口腔内の状態
  • オールオン4治療のメリットとデメリット
  • それ以外の治療法の説明
  • 起こりうる合併症やリスク
  • 使用する薬剤や機器などの安全性および有効性
  • 治療期間とスケジュール
  • 治療にかかる費用
  • 検査資料や口腔内写真、歯科用CTなどの画像の管理と利用

インプラント体の埋め込み術は、外科的な侵襲を伴うリスクがあります。患者さんの価値観や社会的背景、理解度に配慮し、丁寧な説明が求められます。

また定期的なメンテナンスを行っても不具合が生じる可能性や、インプラント体の撤去や再手術が困難となる可能性についても、事前に説明しておくことが大切です。

アフターフォローが充実している

オールオン4治療後は、日々のケアや歯科医院での定期メンテナンスが重要です。特にオールオン4は裏側に汚れが溜まりやすい構造のため、通常の歯磨きだけでは汚れが落ちにくいとされています。

適切にケアが行われないと、インプラント周囲炎になる恐れがあります。

歯磨き指導に加え、定期的なメンテナンスやクリーニングなど、オールオン4に対する適切なケア指導を実施している歯科医院を選びましょう。

また、糖尿病や骨粗しょう症など治療中の疾患がある場合は、加齢とともに全身状態に問題が生じる可能性が高まります。場合によってはインプラントを失うことにつながりかねません。

それらを配慮したサポート体制があれば、インプラント周囲炎の予防やトラブルの早期発見および早期治療につながります。

費用が相場より安い場合は注意する

インプラント治療には、高い技術と高品質な材料が求められるため、相場より安い場合は注意が必要です。インプラントの素材の質がよくないケースが少なくありません。

さらに、詳しい説明がないまま手術が行われ出血が止まらず入院に至ったケースや、歯科医師の技術不足によりインプラント体の埋入が不十分だったケースなど、国民生活センターには多くのトラブル報告がされています。

歯科医院を選ぶ際は、価格だけでなく総合的に判断することが重要です。

まとめ

指をさす看護師

オールオン4治療において再手術が必要となるのは、治療後も痛みや神経症状が続く場合や、人工歯に不具合が起こる場合です。

また、インプラントが骨と結合しない場合や、炎症が骨に及ぶインプラント周囲炎も再手術が必要になる可能性があります。

ただし、全身の健康状態に問題がある方や喫煙習慣がある方は、再手術が受けられない可能性があります。

オールオン4治療には、高度な技術と専門的な設備が必要なため、歯科医院選びが重要です。治療前に丁寧な説明があり、術後のアフターフォローが充実している歯科医院を選びましょう。

また、むし歯や歯周病の治療を事前に済ませ、禁煙を心がけることが、オールオン4治療の成功につながります。

術後は、日々の自宅ケアと定期検診を継続することも重要です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
岸 民祐歯科医師(医療法人 Teethプラザ歯科 院長)

岸 民祐歯科医師(医療法人 Teethプラザ歯科 院長)

1981年日本歯科大学新潟歯学部卒業 / 1981年~1983年横浜 有楽歯科勤務 / 1983年広島市西区にて岸歯科医院開業 / 1998年中区へ移転、(医)ティース プラザ歯科開業,現在に至る / 所属協会・資格: / (公社)日本口腔インプラント学会 理事・指導医・認定医 / (公社)日本歯科先端技術研究所 指導医・認定医 / ピエールフォシャールアカデミー国際歯学会 会員 / 昭和歯科大学歯学部 外部講師 / その他:瀋陽医学院(中国) 客員教授 / ティースアート広島店

記事をもっと見る

RELATED

PAGE TOP

電話コンシェルジュ専用番号

電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。

受付時間 平日:9時~18時
お電話でご案内できます!
0120-022-340