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インプラントの1回法とはどんな治療?2回法との違いやそれぞれのメリット・デメリットまで解説

インプラントの1回法とはどんな治療?2回法との違いやそれぞれのメリット・デメリットまで解説

インプラント治療で行う手術には、1回法と2回法の2種類があるのを知っていますか?字面だけ見ると、回数だけが違うように思えますが、実際はそうではありません。インプラント手術の1回法と2回法にはそれぞれ異なる特徴とメリット・デメリットがあるだけでなく、治療手順も大きく異なるからです。ここではそんなインプラント手術の1回法と2回法の違いについて詳しく解説をします。インプラント手術に関して疑問や不安がある人は、このコラムを参考にしてみてください。

インプラントの1回法について

インプラントの1回法について はじめに、インプラント手術の1回法について解説します。

インプラントの1回法とは

インプラント手術の1回法とは、その名の通り外科手術を1回だけ行う方法です。具体的には、人工歯根にあたるインプラント体の埋入と、土台であり連結装置でもあるアバットメントの装着を1回の手術で行います。1回法では、インプラント体にアバットメントを装着した状態でフィニッシュとなるため、メスで切開した歯茎を縫合する必要はありません。つまり、口腔内にアバットメントが露出した形で、インプラント体と顎の骨が結合するのを待ちます。

ちなみに、1回法の最後に装着するのは「ヒーリングアバットメント」と呼ばれる仮蓋のようなものなので、歯茎や顎の骨の状態が安定したら、最終的なアバットメントに取り換える必要があります。

1回法の治療の流れについて

インプラント手術の1回法は、次の流れで進行します。

【STEP1】局所麻酔を施す
インプラント手術では、歯茎をメスで切開したり、顎の骨にドリルで穴を開けたりする処置を伴うため、はじめに必ず局所麻酔を施します。局所麻酔の方法は通常の歯科治療と同じで、歯茎に麻酔注射を打つ形で行われます。インプラント手術への恐怖心や不安感が強い場合は、静脈内鎮静法を併用することがあります。静脈内鎮静法とは、腕の静脈から鎮静剤を投与して、気持ちをリラックスさせるための方法です。

【STEP2】歯茎をメスで切開する
局所麻酔の効果が現れたら、施術部位の歯茎をメスで切り開き、十分な視野を確保します。この段階でインプラント体を埋入する顎骨を視認できるようになります。

【STEP3】顎の骨にドリルで穴を開ける
インプラント体を埋入する位置に、ドリルで穴を開けます。あくまでインプラント体を埋めるための穴なので、必要最低限の穿孔となります。

【STEP4】インプラント体を埋入する
人工歯根であるインプラント体を専用のドライバーを使って埋入します。その感覚は、木材に電動ドライバーでネジを埋め込むのとほぼ同じです。人体の場合は、ネジの回転によって摩擦熱が発生し、骨の細胞が死んでしまう恐れがあることから、注水しながらゆっくりと着実に埋入していきます。当然ですがこの処置で患者さんが痛みを感じることはありません。

【STEP5】ヒーリングアバットメントを装着する
インプラント体の埋入が完了したら、ヒーリングアバットメントという仮の蓋を装着します。1回法の手術はここで終了します。

【STEP6】アバットメントの装着
インプラント体を埋入して1ヵ月くらい経過すると、歯茎や顎の骨の状態が落ち着いてきます。口腔内診査や画像検査などで感染などのリスクもないと判断できたら、ヒーリングアバットメントを最終的なアバットメントに取り換えます。

【STEP7】上部構造の歯型取り
アバットメントを装着したら、その状態で歯型取りを行って模型を作り、人工歯にあたる上部構造の製作に入ります。

【STEP8】上部構造の製作・装着
上部構造が完成したら装着し、噛み合わせなどを調整したらインプラント治療は終了です。それからは定期的なメンテナンスへと移行します。

インプラントの2回法について

インプラントの2回法について 続いては、インプラント手術の2回法の解説です。

インプラントの2回法とは

インプラント手術の2回法は、外科手術を2回に分けて行う方法です。1次手術ではインプラント体を埋め込んで、数ヵ月の治癒期間を経て2次手術へと入ります。2次手術は、インプラント体にアバットメントを装着することが目的です。

2回法の治療の流れについて

インプラント手術の2回法は、次の流れで進行します。

【STEP1】局所麻酔を施す(1次手術の開始)
インプラント手術の2回法でも、はじめに局所麻酔を施します。必要に応じて、静脈内鎮静法も実施します。

【STEP2】歯茎をメスで切開する
歯茎をメスで切開し、インプラント体を埋め込む部位の骨を露出させます。

【STEP3】顎の骨にドリルで穴を開ける
インプラント体を埋めるために、専用のドリルを使って穴を開けます。

【STEP4】インプラント体を埋入する
専用のドライバーを使って、インプラント体を埋入します。ここまでの流れは1回法と同じです。

【STEP5】歯茎を縫合する
2回法では、インプラント体が骨と結合するオッセオインテグレーションが起こるまでは、アバットメントを装着しません。そのため2回法の1次手術では、歯茎を縫合した状態でフィニッシュとなります。

【STEP6】抜糸をする
インプラントの1次手術で縫合した糸は、1週間ほど経過したら抜き取ります。これは親知らずの抜歯で歯茎を縫合した場合と同じです。縫合糸を切り、ピンセットで抜き取って消毒をしたら、すぐに帰宅できます。

【STEP7】治癒期間(3~6ヵ月程度)
インプラント体と顎の骨がしっかりと結合するまでには、3〜6ヵ月程度の期間を要します。この期間中は必要に応じて通院し、経過を観察します。治療した部位に痛みや腫れなどの異常が認められた場合は、すぐ主治医に連絡するようにしましょう。

【STEP8】局所麻酔を施す(2次手術の開始)
インプラント体と顎骨との結合が確認できたら、2次手術の開始です。2次手術でも痛みを伴う恐れがあるため、はじめに局所麻酔を施します。

【STEP9】歯茎をメスで切開する
1次手術でインプラント体を埋入した部位は、傷口が塞がっているため、改めてメスで歯茎を切開する必要があります。

【STEP10】ヒーリングアバットメントの装着
インプラント体にヒーリングアバットメントを装着します。この時に歯茎を縫合することはありません。

【STEP11】アバットメントの装着
ヒーリングアバットメントを装着して1〜4週間くらい経過すると、歯茎の状態が落ち着いてきます。口腔内診査や画像検査などで感染などのリスクもないと判断できたら、ヒーリングアバットメントを最終的なアバットメントに取り換えます。

【STEP12】上部構造の歯型取り
上部構造の歯型取りを行って、模型を作ります。

【STEP13】上部構造の製作・装着
上部構造を製作し、完成したものを装着したら2回法は終了です。

1回法と2回法のメリット・デメリット

1回法と2回法のメリット・デメリット 続いては、インプラント手術の1回法と2回法に伴うメリット・デメリットについて、それぞれ詳しく解説します。

1回法のメリット

【メリット1】心身への負担を軽減できる
インプラント治療に伴う手術は、全身の病気での外科手術と比較すると、かなり軽い部類に入ります。そもそも手術の前後で入院が必要となることはありませんし、手術自体は1時間程度で終わるのが一般的なので、心身にかかる負担もそれほど大きくはありません。それでもやはり手術を受けた経験がない人にとっては、精神面への負担が大きくなりがちです。その手術の回数を2回から1回に減らせる点は、1回法における大きなメリットのひとつといえます。

【メリット2】治療期間が短くなる
上段で解説したインプラント治療の流れを見てもわかるように、1回法では診療のプロセスが少なくなります。ケースによっては、1回法は2回法よりも数ヵ月くらい治療期間が短くなる場合もあるのです。この点はすべてのインプラント患者さんにとってメリットに感じることでしょう。

【メリット3】治療にかかる費用が安くなる
外科手術が1回で済む1回法は、インプラント治療にかかる費用の抑制にもつながります。なぜなら外科手術を行うためには、それなりのスタッフと機材、薬剤を準備しなければならないからです。

【メリット4】ワンピースタイプのインプラントを使用できる
インプラント体には、人工歯根とアバットメントが一体となったワンピースタイプと分離しているツーピースタイプの2種類があります。耐久性が高く、ネジの緩みなどが生じないワンピースタイプのインプラントを使えるのは、1回法のみです。

1回法のデメリット

【デメリット1】1回法を適応できるケースは一部に限られる
1回法を適応するためには、顎の骨の状態が良好でなければなりません。顎骨の密度が低かったりすると、インプラント体との結合に時間がかかってしまうからです。そのため現状では、2回法が主流となっています。

【デメリット2】感染のリスクが比較的高い
1回法では、手術後に傷口を縫合しないこと、短期間でアバットメントと上部構造を装着することから、感染のリスクが比較的高くなっている点に注意が必要です。

2回法のメリット

【メリット1】ほとんどのケースに適応できる
上述したように、現状のインプラント治療では、2回法が主流となっています。それは2回法がほとんどのケースに適応できるからです。

【メリット2】感染のリスクが比較的低い
2回法では、1次手術で傷口を縫合し、インプラント体と顎の骨が結合するのを数ヵ月待ってからアバットメントを装着するため、感染のリスクが比較的低くなっています。

2回法のデメリット

【デメリット1】心身への負担が大きい
外科手術を2回に分けて行わなければならないので、2回法では患者さんの心身にかかる負担が1回法よりも大きくなります。

【デメリット2】治療期間が長くなる
2回法は、手術を2回に分けて行うため、インプラント治療の期間も自ずと長くなります。

【デメリット3】治療にかかる費用が高くなる
外科手術を2回行うことで、治療にかかる費用も1回法より高くなります。

インプラント手術について知っておくと良いこと

インプラント手術について知っておくと良いこと 最後に、インプラント手術に伴うリスクやこの治療を推奨できる人、推奨できない人について解説します。

インプラント手術のリスク

インプラント手術では、次のようなリスクを伴います。

【リスク1】感染のリスク
外科手術には必ず感染のリスクを伴います。多くの歯科医院では、手術中の感染を防ぐために、器具の滅菌や診療室の衛生管理を徹底していますが、それでもリスクをゼロにすることはできません。

【リスク2】血管や神経を損傷するリスク
インプラント体を埋め込む顎の骨には、傷つけてはいけない血管や神経が走っています。歯科医師の技術力が低かったり、診断に誤りがあったりすると、それらを損傷することがあります。

【リスク3】インプラントの埋入位置の誤り
インプラント体を誤った位置に埋入すると、治療後に正しく機能しなくなるため、最終的には撤去せざるを得なくなります。

インプラントをおすすめする人

失った歯の治療法としては、ブリッジ・入れ歯・インプラントの3つが挙げられますが、次に挙げる人にはインプラントがおすすめといえます。

  • 残った歯を削りたくない
  • 見た目が自然で美しい人工歯が欲しい
  • 本物の歯のようにしっかり噛みたい
  • 口腔全体の健康を維持しやすい装置がいい
  • 外科手術に対して不安や抵抗がない
  • 寿命が長い装置を使いたい

インプラントは、審美性や機能性に優れているだけではなく、顎の骨の健康も維持しやすい装置です。さらには、残った歯を削ったり、大きな負担をかけたりすることがないため、口腔全体の健康維持にも配慮したい人にはブリッジや入れ歯ではなく、インプラントがおすすめといえます。

インプラントをおすすめしない人

さまざまな面で優れたインプラントにも欠点はあります。それは保険が適用されない、外科手術が必須となる、治療期間が長い、感染する可能性がある、といったデメリットです。そのため次のような人にはインプラントをおすすめすることはできません。

  • 外科手術を受けたくない
  • 短期間で治療を終えたい
  • 細菌感染などの偶発症は避けたい
  • 保険内で治療を受けたい
  • 自由に取り外せる装置がいい

失った歯の治療に求める条件として、この中のひとつでも重視するものがある場合は、インプラントではなく、従来法のブリッジや入れ歯を選択した方が良いでしょう。保険診療のブリッジや入れ歯も決して悪い治療法ではないので、必ずしもインプラントを選ばなければならないということはないのです。

編集部まとめ

編集部まとめ 今回は、インプラント手術の1回法と2回法の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて解説しました。人工歯根にあたるインプラント体の埋入と土台であるアバットメントの装着までを1回の手術で終わらせるのが1回法で、それを2回の手術に分けて行うのが2回法です。

1回法は手術を1回で済ませられることから、心身への負担を減らせる、費用が安くなる、治療期間が短くなるといったメリットを伴いますが、適応できる症例は一部に限られます。そのため現状では2回法が主流となっています。そんなインプラント手術についてより詳しく知りたい場合は、歯科医院でカウンセリングを受けましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
若菜 康弘医師(若菜歯科医院院長)

若菜 康弘医師(若菜歯科医院院長)

鶴見大学歯学部大学院卒業 / 現在は若菜歯科医院の院長

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