オールオン4はインプラント治療の一種で、歯を多く失った際の治療方法です。歯をすべて失うケースは高齢者の方によく見られますが、20代でも発生することがあります。
オールオン4は、手術当日に歯の機能を回復できる治療方法として注目されていますが、20代でも受けられるのでしょうか。
本記事では、20代でオールオン4を受ける際の注意点や治療費用について紹介します。オールオン4の知識をあらかじめ身につけて、適切なインプラント治療を受けられるようにしましょう。
20代のオールオン4
- 20代のオールオン4の条件について教えてください
- 20代のオールオン4は、以下の項目が条件としてよく挙げられます。
- 歯がすべて失われている
- インプラント治療のリスクが高い全身疾患がない
- 金属アレルギーではない
- 喫煙していない
オールオン4は固定式無歯顎補綴術式のため、片顎であってもオールオン4を受ける部分は抜歯する必要があります。よって、まだ健康な歯が残っている場合は推奨できません。また、オールオン4はインプラント治療の一種に分類されるため、インプラント治療におけるリスクが高い全身疾患を患っている場合は歯科医師との相談が必要です。
インプラント治療にリスクがある疾患として、糖尿病・骨粗鬆症・貧血・高血圧症などが挙げられます。したがって、糖尿病や骨粗鬆症などを患っている患者さんでオールオン4を受けたい方は、インプラント治療が可能か歯科医師と確認しましょう。オールオン4で使用されるインプラントは金属製であるため、金属アレルギーの方も事前の相談やパッチテストなどが必要です。
喫煙習慣は、手術後の創傷治癒への影響が指摘されているため、オールオン4手術が可能か慎重な判断が求められます。
- 20代のオールオン4のメリットについて教えてください
- 20代のオールオン4におけるメリットは、以下の4つです。
- 手術当日に歯の機能が回復できる可能性がある
- 食事の際の痛みがなく、しっかり物を噛める
- 歯の取り外しが不要
- 手術後の見た目がきれい
オールオン4はインプラントの埋め込みと歯の機能回復を同じ日に行えるため、患者さんの病状によっては手術当日に咀嚼機能を回復できます。
また、歯がインプラントで固定されるため、食べ物の挟まりや歯のずれを気にする必要がありません。
歯を取り外しての自己メンテナンスも不要です。顎の骨の変形も少なく、きれいな見た目を保てます。
- 20代のオールオン4のデメリットについて教えてください
- 20代のオールオン4におけるデメリットは、以下の5つです。
- インプラントを埋め込む手術が必要になる
- 歯が残っている場合、抜歯することになる
- オールオン4に対応できる歯科医院が少ない
- 健康保険の対象外である
- インプラント周囲炎のリスクがある
オールオン4は、インプラントの本数が少ない治療法ですが、インプラントの埋め込み手術が必須となります。また、無歯顎補綴術式の一種になるため、残っている歯の抜歯が必要です。
オールオン4は、インプラント治療のなかでも高い技術が求められるため、対応不可の歯科医院も少なくありません。
保険適用外の手術になるため、治療費もかかります。治療後もインプラント周囲炎を起こす可能性があるため、定期的なメンテナンスが重要です。
20代のオールオン4の注意点
- オールオン4は何歳から受けられますか?
- オールオン4を含むインプラント治療は、女性は18歳前後、男性は20歳前後が手術を受けられる年齢の目安とされます。未成年は顎骨が発達しきっておらず、オールオン4に用いるインプラントが成長途中の顎骨に埋没するリスクがあるためです。
また、オールオン4を受けることで顎骨の正常な発達が阻害される可能性もあります。18歳から20歳はあくまで目安の年齢であるため、顎骨の成長が完了しているかどうかが、オールオン4を受けられるかの判断基準です。
20歳前後でオールオン4治療を考えている方は、あらかじめインプラント治療を受けられるか歯科医師に診断してもらいましょう。
- 妊娠中でもオールオン4は受けられますか?
- 妊娠中のオールオン4治療はなるべく控えましょう。オールオン4治療には、X線CT検査・インプラントを埋め込むための手術・麻酔薬や抗生物質などの投薬が含まれます。
レントゲン撮影・外科手術・薬の投与は、母体に負担をかけるだけでなく、生まれてくる子どもにも悪影響を与える可能性があります。早急な対応が必要でない限り、妊娠中にオールオン4治療を受けるのは避けるべきです。
- 年齢以外の理由でオールオン4治療を受けられない場合はありますか?
- 年齢以外でも、以下の理由からオールオン4治療が受けられないと判断される可能性があります。
- インプラント治療でリスクになりうる全身疾患を有する
- インプラント治療で注意が必要な治療・投薬を受けている
- 顎骨の強度が弱い
- 金属アレルギーを有する
- 重喫煙者である
オールオン4を受ける条件でも説明したように、オールオン4はインプラント治療の一種です。インプラント治療でリスクの高い全身疾患(糖尿病・骨粗鬆症・貧血・高血圧症など)を抱えている場合は主治医や歯科医師との相談が必要になります。
また、ビスフォスフォネート系薬剤・ステロイド薬を投与されている、抗血栓療法を受けている患者さんも同様です。オールオン4は即時荷重インプラントになるため、顎骨の強度が低い場合は受けられない、あるいは手術前に骨造成法を行わなければならない可能性があります。
インプラント体はチタン製になるため、金属アレルギーの方もパッチテストなどの結果次第では治療不可と判断されることがあるかもしれません。タバコもオールオン4治療の成功率や術後の回復速度に影響を及ぼすため、治療が可能か慎重に判断される要素となります。
- オールオン4のメンテナンスは必要ですか?
- オールオン4にもメンテナンスが必要です。固定式のため、歯を取り外してのケアは不要ですが、メンテナンスを放置するとインプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎になる可能性があります。
インプラント周囲炎が発生した場合、追加の治療が必要になるほか、病状によってはインプラント体の撤去となる可能性があります。インプラント周囲炎を発症しないためにも、定期的なメンテナンスを行いましょう。
オールオン4の費用
- オールオン4の費用相場を教えてください
- オールオン4の費用相場は、片顎で2,000,000~3,000,000円(税込)程です。ただし、診察代・レントゲンなどの検査代・処置代などは別途料金とされることが多いため、実際には2,000,000~3,000,000円(税込)以上の費用がかかると考えておいた方がよいでしょう。
診療時に骨造成や歯肉の再生治療が必要と判断された場合は、さらに費用がかかります。オールオン4の治療範囲や顎骨・口腔内の状態によって変動するため、詳しい費用が知りたい方は、一度オールオン4対応の歯科医院で相談してみてください。
- オールオン4は保険適用されますか?
- オールオン4は保険適用外です。原則自費診療となるため、どのくらいの費用であれば負担できるのか、治療を受ける前にあらかじめ考えておきましょう。
ただし、オールオン4は医療費控除の対象に入ります。保険適用外で治療費が高額になるため、オールオン4を受けた場合は領収書などをしっかり保管し、確定申告で医療費控除を利用できるようにしましょう。
- メンテナンス費用はどのくらいかかりますか?
- オールオン4のメンテナンスにかかる費用は、1回8,800~11,000円(税込)程度に設定されていることが一般的です。
基本的には歯を外さずに口腔内のチェックやクリーニングが行われますが、CT検査や歯を外してのメンテナンスが必要になった場合は、追加で費用がかかるケースもあります。
オールオン4治療後にインプラント周囲炎を発症した場合は、22,000~110,000円(税込)程の治療費が必要になるため、日頃のセルフケアや定期的なメンテナンスを欠かさないようにしましょう。
編集部まとめ
今回は、20代でオールオン4を受ける際の注意点や費用について解説しました。オールオン4は歯の機能回復が早い治療方法ですが、費用の高さや手術の条件がネックになることもあります。
歯を失った場合、自分に合った治療法で機能回復を目指すことが大切です。オールオン4が合うかどうかも、患者さんの状態によって異なります。
納得してオールオン4を選べるよう、オールオン4の治療内容や大まかな費用をあらかじめ把握したうえで、しっかり歯科医師の診断を受けましょう。
参考文献