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インプラントを入れるまで入れ歯で過ごすときの注意点は?期間の目安など詳しく解説

インプラントを入れるまで入れ歯で過ごすときの注意点は?期間の目安など詳しく解説

インプラント治療を考えている方のなかには、インプラントの歯が入るまでの期間、どう過ごせばいいの?と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、インプラントを入れるまで入れ歯で過ごす場合を以下の点を中心にご紹介します。

  • インプラント治療の基本的な流れ
  • 上部構造が入るまでに空白期間ができる理由とその期間の目安
  • 治療中に入れ歯を使う際の注意点

インプラントを入れるまで入れ歯で過ごす場合を理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

インプラント治療について

インプラント治療について

インプラント治療とはどのような治療ですか?
インプラント治療とは、歯を失った箇所に人工の歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め込み、その上に上部構造を装着する治療法です。この治療法は、従来の義歯やブリッジに代わる選択肢です。インプラント治療では、失われた歯の機能をほとんど再現できる点が特徴です。インプラント体には、生体親和性の高い金属であるチタンが用いられます。チタンは人間の体との相性がよく、アレルギー反応を起こすことがほとんどないといわれています。チタン製のインプラント体が顎の骨に埋め込まれ、時間をかけてオッセオインテグレーション(骨との結合)を形成します。このプロセスにより、インプラント体は骨と強固に結びつき、天然歯に近い安定感と機能を持つ人工の歯根として機能します。インプラントが骨としっかり結合することで、咀嚼時の力や食べ物の感触をしっかりと伝えられ、噛む力や発音、口元の美しさをサポートします。また、インプラント治療は、1回法と2回法があります。 1回法は、外科手術が1回で済み、インプラント埋入時に初期固定が獲得できた場合は、プロビジョナル(仮歯)を手術の当日に入れる方法(即時荷重)が行えることもあります。ただし、1回法が行える歯科医院は限られており、インプラントを埋める部位の顎骨の状態により適応が難しいケースもあります。
2回法は、外科手術を2回行います。1回目の手術でインプラントを埋入した後、歯茎を縫合して一旦閉じ、顎骨と結合するまで数ヶ月待つ必要があります。

そのため、どちらの方法で治療を行うのかによって、治療方法や治療期間が異なります。

インプラント治療は、1本の欠損だけでなく、複数本またはすべての歯を失った場合でも対応できる治療法です。例えば、数本の歯を失った場合でも、インプラントを複数本埋入することで、従来の義歯やブリッジに代わる安定した補綴物を提供できます。

インプラント治療の利点の一つは、隣接する歯を削る必要がないことです。例えば、ブリッジ治療では、両隣の健康な歯を削って橋渡しをする必要がありますが、インプラント治療ではそのような処置は一切必要ありません。隣接する歯を守れ、歯の寿命を延ばします。また、インプラントはしっかりと顎の骨に固定されるため、入れ歯のようにグラつくことがありません。入れ歯のような違和感や不安定さを感じることなく、快適に使用できます。

インプラント治療は、単に歯の機能を回復するだけでなく、患者さんの生活の質を向上させるための総合的な歯科治療です。食べ物をしっかり噛めて、発音や会話もスムーズに行えるようになります。

インプラント治療の流れを教えてください
インプラント治療は複数のステップを段階的に進める治療です。以下のような流れで進行していきます。ここでは、2回法による治療の流れを紹介します。1.初診や検査、治療計画の作成
CTやレントゲンで顎の骨の状態を確認し、治療計画を立てます。

2.1次手術(インプラント体の埋入)
局所麻酔下で、チタン製のインプラントを顎の骨に埋め込みます。

3.治癒期間(3〜6ヶ月)
骨とインプラントが結合する期間です。”オッセオインテグレーション”と呼ばれます。

4.2次手術(アバットメント装着)
歯茎を切開して土台を取り付け、上部構造を支える準備をします。

5.上部構造の装着(上部構造)
セラミックなどの上部構造を装着し、噛み合わせを調整して治療完了です。

全体で半年〜1年程の期間を要するのが一般的とされています。

インプラント治療に期間がかかる理由として何が考えられますか?
インプラント治療に時間がかかる主な理由としては、インプラント体が顎の骨としっかりと結合するための治癒期間が必要だからです。この結合過程はオッセオインテグレーションと呼ばれ、インプラント体と骨が強固に結びつくことで、上部構造の安定性と機能が確保されます。オッセオインテグレーションには3〜6ヶ月程度の期間がかかるとされていますが、これは個々の患者さんの骨の状態や治療内容によって異なります。
また、インプラント治療には、患者さんの顎の骨の状態が大きく影響します。骨の厚みや高さが不足している場合、インプラントを埋め込むためには骨造成が必要になることがあります。これには別途時間を要する処置が必要となり、その分治療期間が長期化する要因となります。骨造成が行われる場合、骨が新たに形成されるため、さらに時間がかかることがあり、治癒を待つ期間が追加されることがあります。さらに、糖尿病や喫煙などの全身的な健康状態が治癒に影響を与えることもあります。例えば、糖尿病を持っている方は血糖値の管理が難しく、傷の治癒が遅れる可能性があります。また、喫煙は血流を悪化させ、インプラントの結合を妨げることがあるため、治癒が遅れる原因となることがあります。このように、個々の健康状態によって治療計画が調整され、治療期間が変動することがあります。

加えて、1回法と2回法どちらを選択するのかによっても治療期間は異なります。ご自身の希望する治療法や口腔内の状態に応じて治療を選択することが大切です。

インプラントを入れるまでの期間

インプラントを入れるまでの期間

インプラント治療では、なぜ歯を入れるまでに期間が空くのですか?
これまで述べてきたように、インプラント治療で歯が入るまでに期間が空くのは、インプラント体が顎の骨としっかり結びつくまでの治癒期間(オッセオインテグレーション)が必要だからです。この期間にインプラントが骨と一体化し、上部構造を安定して支える土台が完成します。もし初期固定が獲得できていない状態で早く上部構造を取り付けてしまうと、インプラントが動いたり脱落したりするリスクが高まり、治療の成功率が低下します。また、骨の状態によっては骨造成などの追加処置が必要になる場合もあり、さらに治療期間が延びるケースもあります。
長く快適に使えるインプラントを目指すためにも、時間をかけて慎重に進められています。
インプラント治療中に歯がない期間はどのくらいですか?
インプラント治療中に歯がない状態で過ごす期間は、症例によって異なりますが、2回法の場合は、インプラント体を埋め込んでから上部構造を装着するまでの3〜6ヶ月程度が目安です。1回法の場合であれば、この期間は、仮歯や仮の入れ歯を装着して過ごすケースもあります。また、抜歯後すぐにインプラントを埋め込まない場合や骨造成が必要な場合は、治療の前段階でも歯のない期間が生じることがあり、トータルで数ヶ月〜半年以上に及ぶこともあります。
インプラントを入れるまで入れ歯や仮歯で対応するのはなぜですか?
インプラント治療中に入れ歯や仮歯で対応するのは、見た目や食事、発音など日常生活への支障を減らすためです。
インプラント体を埋入してから上部構造を装着するまでには治癒期間があり、その間は歯がない状態になるため、審美的にも機能的にも不便が生じやすくなります。特に前歯など目立つ部分では、歯がないまま過ごすことは心理的な負担にもなりかねません。 そこで入れ歯や仮歯を用いて、口元の見た目や噛む力を一時的に補い、社会生活への影響を可能な限り抑えます。また、噛み合わせや発音の調整も行いやすくなるため、最終的な上部構造をより自然に仕上げるための準備として重要な役割を果たしています。
入れ歯や仮歯を入れるタイミングを教えてください
入れ歯や仮歯を装着するタイミングは、治療内容や口腔内の状況によって異なります。例えば、抜歯後すぐにインプラントを入れない場合には、歯茎の治癒を待つ間に即時義歯を使って見た目や噛む力を一時的に補います。また、1回法の場合であれば、インプラント手術の当日に仮歯を入れる方法(即時荷重)がとられる場合もあります。前歯など目立つ部位では、早期に入れ歯や仮歯を入れることが多いようです。

インプラントを入れるまで入れ歯で過ごす際の注意点

インプラントを入れるまで入れ歯で過ごす際の注意点

食事で気をつけることはありますか?
インプラント治療中に入れ歯を使用している場合、食事の際にはいくつかの注意点があります。まず、硬いものや粘着性の高い食品は避けるようにしましょう。無理に噛むと入れ歯がずれたり、粘膜を傷つけたりする恐れがあります。
また、熱い飲食物にも注意が必要です。装着している入れ歯は天然歯に比べて熱を感じにくいため、口腔内をやけどするリスクが高くなります。
さらに、食後は義歯を取り外して丁寧に洗浄するのが大切です。食べカスが残ると細菌の繁殖を招き、炎症や口臭の原因となるため、お口の中を清潔に保ちつつ、やわらかく栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。
食事以外に気をつけることや注意点を教えてください
インプラント治療中に入れ歯を使用している期間は、食事以外の場面でも注意が必要です。
まず、入れ歯の取り扱いには十分な注意を払いましょう。無理に取り外したり、強く噛んだりすると、破損や変形の原因となります。また、就寝時に取り外すよう歯科医師から指示がある場合は入れ歯を外し、衛生的に保つことが大切です。特に、睡眠中に入れ歯をつけたままにすると、唾液の減少により細菌が繁殖しやすくなるため、こまめな洗浄と保管方法の確認が重要です。
さらに、定期的な通院も欠かせません。入れ歯と口腔内の状況を確認し、必要があれば調整が行われます。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでインプラントを入れるまで入れ歯で過ごす際の注意点や治療の流れをお伝えしてきました。記事の要点をまとめると以下のとおりです。

  • インプラント治療には骨との結合期間が必要なため、数ヶ月の治療期間が設けられている
  • 治療中の歯がない期間は仮歯や入れ歯で対応し見た目や咀嚼機能をサポートできる
  • 食事や日常生活では装置を清潔に保ち、無理な負荷を避けること大切

治療中も不安なく過ごすためには、注意点をよく理解し、歯科医師と相談しながら進めていくことが大切です。些細なことでも疑問があれば、遠慮なく歯科医院に相談してみましょう。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
松浦 明歯科医師(医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック)

松浦 明歯科医師(医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:1989年福岡歯科大学 卒業 1991年松浦明歯科医院 開院 2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任 / 資格:厚生労働省認定研修指導医 日本口腔インプラント学会認定医 ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医 / 所属学会:ICOI(国際口腔インプラント学会) 日本口腔インプラント学会 日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事 日本顎咬合学会 会員 日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員

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