インプラント

インプラントの骨造成の期間は?術式・流れ・費用の目安についてご紹介します

インプラント 骨造成 期間

インプラントとは歯を抜いた後に歯茎に人工歯を埋め込む治療法のことをいいます。入れ歯と似ていますが、インプラントと呼ばれる歯根部がネジになっており、それを歯茎に埋め込む治療になります。

インプラント治療の歴史は意外と長く記録によると紀元前まで遡ることができるのです。現在のようなインプラント治療にたどり着いたのは1960年代で歯根にネジをはめ込むのに貴金属はうまくいかず、研究によりチタンが良いと発見されました。

歯根にネジを嵌め込んだ後の状態は気になります。今回は、インプラントの骨造成の期間や施術方法・費用について解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

インプラントの骨造成の期間は?

インプラントの骨造成の期間は?

骨造成とは骨を造る治療を意味します。骨が何かの理由で失われた場合高度な技術で骨を形成できたりします。インプラント治療ではしっかりとした顎の骨の土台が必要となるので、色々な理由で無くなった顎の骨を人工骨や専用の薬を使って再生させる必要があるのです。

顎の骨を再生させることでインプラント治療を安全に行うことができます。骨造成のタイミングはインプラント治療と同時に行うだけではなく事前に行う場合があります。

骨造成にかかる期間は3~10か月程度

骨造成の治療期間は、顎の骨が再生するまでに3〜10か月程度かかることがあり、場合によっては1年以上かかる場合もあります。

しかし、これはインプラント手術の前に骨造成をする場合にかかる期間です。インプラント手術と一緒に骨造成を行う場合は、治療期間が長くなることはあまりありません。

日常生活や仕事に合わせて術前か術中のどちらに骨造成をするか検討してみるのが良いかもしれません。

術式や顎の骨の状態によって変わる

骨造成の治療では、歯肉をメスで切ったり他の箇所から骨を採取したりなど痛みを伴う方法もあります。術中はもちろん局所麻酔を行うので痛みを気にすることはありませんが、麻酔が切れて来ると痛みが出てくる場合があることに注意が必要です。

他にも骨造成は外科手術の一つなので感染リスクも気をつけた方が良いでしょう。

インプラントのチタン部分と骨との結合がしにくくなり、骨造成やインプラントをしても歯が安定しないことがあります。

インプラントの骨造成の主な術式

インプラントの骨造成の主な術式

骨造成には色々な術式があります。ここではインプラント形成に必要な骨造成の種類を3つ紹介していきます。

ソケットリフト

上顎の奥歯の箇所の骨が足りない時に上顎洞拳上術と呼ばれる術式で骨造成を行います。上顎洞拳上術は、ソケットリフトとサイナスリフトの2種類があります。

ソケットリフトは骨の高さが3〜5mm以上ある場合に行う骨造成の施術です。インプラントを埋め込む方向から骨補填剤を注入することで骨造成を促します。ソケットリフトは基本的にインプラント埋入と同時に行われます。

サイナスリフト

サイナスリフトも上顎洞拳上術の種類の一つです。上の奥歯の骨が足りない時に施術されます。ソケットリフトとは違い顎の骨の高さが3〜5mmに満たない時に行われる施術です。

サイナスリフトはソケットリフトとは違って多くの骨を再生しなければならないので、インプラントを埋め込む方向ではなく、側面から骨補填剤を注入します。

ソケットリフトも切開手術が必要ですが、サイナスリフトの方が大がかりになるため体に負担の大きい手術です。しかし切開を行うことで骨を広い範囲で形成できるので応用が効きます。

GBR法

GBRとは英語でGuided Bone Regenerationと呼ばれ日本語で骨再生誘導法といわれる術式です。この方法はインプラント体の埋め込みと同時に行うことが多いです。

インプラント体を埋め込みした後に骨が不足している箇所に人工骨や骨補填剤を注入します。

骨が形成されるまで4〜6か月程度必要なため、自家骨にインプラント体を埋入するよりも待機時間が長くなります。。

インプラントの骨造成の流れは?

インプラントの骨造成の流れは?

現在、自家骨のみの骨造成は減少しています。骨補填剤のみもしくは骨補填剤と自家骨を併用した手術が行われています。

オトガイ部などから自家骨を採取する場合もありますが、切開部位が1か所で済むためインプラントを入れる周囲から採取する事が多いです。

必要な場合はメンブレンも設置します。メンブレンは人工膜のことで、吸収性メンブレンと非吸収性メンブレンがあります。

吸収性メンブレンは体内で吸収されるため、取り出す必要がありません。しかし非吸収性メンブレンは吸収されないため、取り出す必要があります。

そのため、吸収性メンブレンを使用するのが主流になっています。

インプラント体埋入手術と同時のGBRの手順は以下の通りです。

  1. 自家骨を採取する場合は先に採取する
  2. インプラント体を埋入する
  3. 骨が不足している部分に骨補填剤や自家骨を填入する
  4. 必要に応じてメンブレンを設置する
  5. 縫合する
  6. 3~6ヶ月程待ち二次手術を行う(アバットメントの取りつけ)
  7. 二次手術bの治癒を待ち型取り(印象採取)
  8. 必要に応じて仮歯の装着
  9. 最終的な上部構造を装着

骨造成にかかる費用の目安は?

骨造成にかかる費用の目安は?

骨造成にかかる費用は、治療内容によって異なってきます。費用相場は10万~20万円(税込)程度です。参考にしてみてください。

骨造成を行うことで、骨が足りなくてもインプラント治療を行うことが可能です。顎の骨を整えてからインプラント治療を行うため、インプラントの生存率も高くなります。

しかし骨造成手術の費用はインプラント治療の費用に含まれていないため、プラスでかかることになります。治療期間も長くなります。

インプラントの奥歯・前歯1本あたりの費用相場は以下の通りです。

  • 検査・診察料:15,000〜50,000円(税込)
  • インプラントの手術費用:200,000〜300,000円(税込)
  • 人工歯の費用:100,000〜200,000円(税込)

合計30万〜50万円(税込)程度かかります。

全部の歯をインプラントにする場合の費用相場は、合計200万~250万円(税込・上下片方オールオン4の場合)程度です。

通常のインプラントは400万~500万円(税込・上下片方)程度になります。

基本的には自由診療になる

インプラント治療は自由診療対象となるため保険が適用されません。理由として、一般的な治療法として挙げられる入れ歯や失った歯の上に被せ物をするなどの方法は、ある程度の審美性が保たれるからです。

ケースによっては保険適用になることも

健康保険

しかしインプラント治療でも一部保険が適用される場合があります。それは、病気や事故などで顎の骨を失った場合や、先天的な異常で顎の骨を1/3以上失っている場合が挙げられます。

普段のむし歯や歯周病で失った歯のインプラント治療は原則として保険適用外なので覚えておきましょう。

骨造成のメリットは?

骨造成のメリットは?

インプラント治療では、以下のようなメリットがあります。

顎の骨が薄い場合でもインプラント治療が受けられる

顎の骨が薄い状態でインプラント治療をすると埋め込みしたインプラント体が歯や歯茎から露出した状態になり口内が危険な環境になる可能性があります。

他にもインプラント体と骨の結合が上手くいかず、インプラント治療自体ができなくなる可能性もあります。骨造成によりインプラント治療に必要な十分な骨の量を得られればそういった可能性を軽減させられるのです。

インプラントが安定しやすくなる

インプラント

骨が少ない環境では、インプラント治療後に歯を安定させるのは難しいです。しかし、骨造成により骨を補填することができれば自然とインプラントの安定も良くなります。

さらに定期的なメンテナンスも行うことでインプラントを安定したまま保つことができ長時間維持できます。

審美性が高くなる

骨造成を行うことでインプラント治療後の歯の審美性向上に繋がります。

歯そのものが新しく綺麗でもそれを支える歯茎などの土台、特に骨がしっかりしていなければ維持することができないからです。

骨造成を行い土台となる骨をしっかりすることで、その骨を覆う歯茎も綺麗になり歯周病になりづらくさらに歯を失う心配もありません。骨造成をすることで、インプラントの仕上がりが良くなります。

骨造成のデメリットは?

骨造成のデメリットは?

骨造成は良いことばかりではありません。以下のようなデメリットも挙げられます。

インプラント体を埋入するまでの期間が長くなる

インプラント埋入の前に骨造成を行う場合は期間が長くなる場合があります。治療を受ける患者さんの顎の骨の状態にもよりますが顎の骨が形成するまで4〜6か月から1年以上かかることもあるのです。

しかし、インプラント埋入と一緒に行うのであれば治療期間が極端に長くなる心配はありません。自身の仕事や生活に合った治療計画を立てて、治療に時間がかからない方法を検討してみると良いかもしれません。

痛みや腫れが生じる場合がある

歯の痛み

骨造成は外科手術の一つです。そのため歯茎にあたる歯肉をメスを使って切開したり、必要であれば骨を奥歯の側面や下顎先端から採取したりすることがあるのです。

そのため、骨造成の術後は少し痛みや腫れを感じる期間があります。もちろん術中は局部麻酔が効いているので痛くなることはありませんが、この期間があることに注意して術後や前の過ごし方に気をつけていく必要があります。

外科処置に伴う感染リスクも骨造成のデメリットとして挙げられるのです。骨造成の術前の歯科医師との診察において、手術の流れを確認し衛生的に不安要素がないか確認しておく必要があります。

骨造成ができないケースもある

中には骨造成ができない人もいます。高齢者や若年者、糖尿病がある方はインプラント治療自体が難しい場合もあります。

高齢者は全身疾患を保有する頻度が高いため、インプラント治療中にトラブルが起こるリスクが高くなるためです。

若年者においては永久歯列が発育途上である場合もあり、その場合はインプラント治療はできません。

まとめ

確認する

今回は骨造成とインプラントについて施術方法や施術期間などを解説してきました。骨造成を行うことでインプラントの仕上がりが良くなることがわかったかと思います。

ぜひインプラント治療を行う際は骨造成も視野に入れながら試してみてはいかがでしょうか。

参考文献

この記事の監修歯科医師
若菜 康弘医師(若菜歯科医院院長)

若菜 康弘医師(若菜歯科医院院長)

鶴見大学歯学部大学院卒業 / 現在は若菜歯科医院の院長

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