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即時荷重インプラントに向いている人とは?デメリットと注意点を解説

即時荷重インプラントに向いている人とは?デメリットと注意点を解説

インプラント治療には必ず外科手術を伴います。顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込む手術で、患者さんのお口の状態や選択した術式によって手順などに少し違いが見られます。即時荷重インプラントは、従来のインプラント治療ではえられないメリットがあるため、希望する方も少なくないでしょう。ここではそんな即時荷重インプラントの特徴やメリット・デメリット、注意すべき点などを詳しく解説します。即時荷重インプラントに関心のある人は参考にしてみてください。

即時荷重インプラントの概要とメリット

即時荷重インプラントの概要とメリット はじめに、即時荷重インプラントの基本事項を確認しておきましょう。

即時荷重インプラントと従来のインプラント治療の違いは何ですか?
即時荷重インプラントと従来のインプラント治療との明確な違いは、手術後にすぐ噛めるようになるかどうかです。従来のインプラント治療では、人工歯根を埋め込んだ後に顎骨と結合するまで数ヵ月間、治癒を待つことになります。この間は人工歯に当たる上部構造が設置されておらず、インプラントの部分で噛むことができません。一方、即時荷重インプラントは人工歯根の埋入手術と同時に仮歯を装着できるため、原則的には手術したその日から噛むことが可能です。この違いは患者さんの生活の質という観点で、極めて大きな意味を持つのではないでしょうか。
即時荷重インプラントとは何ですか?
即時荷重インプラントとは、文字通りすぐに荷重をかけることができるインプラントを指します。つまり、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込むと同時に、仮歯を装着して噛める状態となるのです。標準的なインプラント治療とは異なる手順を踏むため、このような特別な名前が付けられています。
即時荷重インプラントのメリットを教えてください
即時荷重インプラントには、以下に挙げるメリットを伴います。

【メリット1】手術したその日に噛める
即時荷重インプラントのメリットは、手術をしたその日にインプラントで噛める点です。過去に根管治療や被せ物治療で、仮詰め・仮歯を経験したことがある方ならわかるかと思いますが、例え、数週間であっても特定の歯で噛めないというのはストレスが大きいです。食事の内容にも制限が加わるため、生活全般にネガティブな影響がもたらされます。その点、即時荷重インプラントは手術したその日に噛むことができるしっかりとした仮歯を装着できるので、日常生活への支障をできる限り抑えられます。ただし、即時荷重インプラントだからといってどんなものでも噛めるというわけではありませんので、その点はご注意ください。

【メリット2】見た目が自然になる
即時荷重インプラントで装着する仮歯は、見た目も自然に作られていることから、審美面におけるストレスも少なくなります。

【メリット3】心身への負担を減らせる
標準的なインプラントでは、2回法が採用されます。1回目の手術で人工歯根を埋め込み、2回目のアバットメントを装着する方法で、心身への負担は1回法の2倍となります。即時荷重インプラントは、1回の手術で仮歯の装着まで行えることから、患者さんの心身にかかる負担も自ずと半減します。術中・術後の感染リスクも減らせるため、健康面においても有益といえるでしょう。

【メリット4】通院回数が少ない
即時荷重インプラントでは、外科手術を1回で済ませることができるので、標準的なインプラント治療よりも通院回数が少なくなります。

【メリット5】費用が安くなる
手術回数や通院回数が少なくなるということは、医療費が安くなることも意味します。実際、即時荷重インプラントは2回法で行うインプラント治療よりも費用が安くなることがほとんどです。

【メリット6】顔の変化を防ぎやすい
しっかりと噛めない状態が3〜6ヶ月くらい続くと、口腔周囲筋が衰え、患部の顎骨が痩せることがあります。その結果、顔にしわやたるみが生じて、老けた顔貌へ変化することがあります。手術したその日から噛むことができる即時荷重インプラントなら、そうした顔の変化を予防しやすいといえるでしょう。

どのような方が即時荷重インプラントに向いていますか?
即時荷重インプラントは、顎の骨の大きさや硬さが十分である方に向いている治療法です。つまり、顎の骨が健康でなおかつしっかりしていなければ、インプラント埋入直後から噛める状態にすることは難しいです。そのため即時荷重インプラントを適応できる症例は、全体の一部に限られます。また、即時荷重インプラントは、手術したその日からしっかり噛みたい、手術を1回で終わらせたい、通院回数や費用を少なくしたいという方に推奨できますが、希望すれば誰でも受けられるというものではない点に注意しなければなりません。

即時荷重インプラントのデメリットとは?

即時荷重インプラントのデメリットとは? 次に、即時荷重インプラントのデメリットや適応条件が厳しい理由を解説します。

即時荷重インプラントの主なデメリットついて教えてください
即時荷重インプラントには、以下に挙げるデメリットを伴います。
【デメリット1】手術時間が長くなる
即時荷重インプラントでは、人工歯根を埋入とアバットメントの固定、仮歯の装着まで1回で行うため、手術時間が相対的に長くなります。

【デメリット2】食事制限がまったくないわけではない
即時荷重インプラントでもすぐに普段通りの食事が行えるわけではありません。人工歯根と顎の骨が結合するまでは、大きな負担のかかる硬い食べ物は避けなければなりません。

【デメリット3】適応症が限定的
即時荷重インプラントが適応できる症例は一部に限られます。歯肉の状態や歯槽骨の状態が良好で、抜歯後にインプラントを入れてもしっかりと歯槽骨と結合できる状態である方はトラブルが起きにくく、適応されることがあります。

【デメリット4】対応できる歯科医院が少ない
高度な術式である即時荷重インプラントは、対応できる歯科医院が全国的にも少ないです。

適応条件が厳しいのはなぜですか?
標準的なインプラント治療では、手術時間から3~6ヵ月経過してから噛めるようになります。それを手術した直後から行うとなると、顎の骨が相当しっかりしていないと難しいというのは容易に想像できるかと思います。顎の骨の高さ・幅・奥行きが十分であることに加え、骨密度も適切でなければ、即時荷重インプラントの適応は難しくなります。

即時荷重インプラント治療後の注意点

ここでは、即時荷重インプラント治療後で注意しなければならない点を解説します。

治療後の生活で注意することはありますか?
抜歯即時荷重インプラントでは、手術したその日から噛めるようになりますが、はじめは軟らかいものを選んで食べるようにしましょう。いきなり硬いものから食べると、人工歯根に大きな負担がかかって外れてしまうリスクが生じることがあります。手術後数週間から数ヵ月経過すると、人工歯根と顎骨との結合が徐々に高まっていくので、歯科医師と相談しながら食事の内容も変えていくようにしてください。
仮歯の管理で気をつけることはありますか?
仮歯はあくまで仮の歯なので、上部構造よりも壊れやすく、汚れもつきやすいです。その点も踏まえたうえで、ケアする必要があります。当然ですが仮歯が欠けると、噛み合わせが変化してしっかり噛めなくなるだけでなく、人工歯根に過剰な負担がかかる可能性もあることから、異常が生じたらすぐに主治医へ連絡しましょう。仮歯のブラッシングも天然歯と同様に行い、プラークや歯石がたまらないよう努めることが大切です。

編集部まとめ

今回は、即時荷重インプラントの特徴やメリット・デメリット、治療後の注意点について解説しました。インプラント手術を行った直後から仮歯で噛めるようになる即時荷重インプラントは、多くのメリットが得られる術式ですが、いくつかのデメリットも伴う点に注意が必要です。また、即時荷重インプラントで装着する仮歯は、セラミックなどで作られた上部構造とは耐久性や機能性が異なるため、手術後の管理やケアには十分配慮する必要があります。そんな即時荷重インプラントについてもっと詳しく知りたいという方は、この術式に対応している歯科医院でカウンセリングを受けることが推奨されます。

参考文献

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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