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インプラントの歯は着色するの?原因や着色汚れを防ぐ方法・注意点も解説

インプラントの歯は着色するの?原因や着色汚れを防ぐ方法・注意点も解説

近年、数ある歯科治療のなかでインプラント治療を選択する方が増えています。しかし、インプラントの人工歯が着色するのか気になる方も多いでしょう。

私たちの歯は日々の食事や生活習慣の影響を受け、徐々に着色していくことがあります。それはインプラントの人工歯にもいえることです。

本記事では、インプラントの人工歯が着色するメカニズムや、日常生活でできる予防策について詳しく解説します。

原因を理解し、適切なケアを行うことでインプラントを長持ちさせ、口腔内の健康を維持しましょう。

インプラントの歯が着色する原因

歯科助手の説明

インプラントの歯が着色する原因は何ですか?
インプラントの歯は着色しにくい素材でできていますが、コーヒーやワイン、カレーなどの色味の強い飲食物を摂取することで着色汚れがついてしまうことがあります。また、タバコを吸う習慣があると、ニコチンやタールが原因で歯肉に黒く色素沈着が起きる可能性が高くなります。
その他、メンテナンス不足での着色や、インプラントの表面が研磨剤などで傷がつき汚れが目立つ場合もあるでしょう。
インプラントの歯の着色は自然に落ちますか?
着色汚れが自然に落ちることはほとんどありません。表面の軽い着色であれば、正しい歯磨きやホワイトニング用の歯磨き粉である程度は防ぐことはできます。
しかし、自分で着色汚れをしっかりと落とそうとしても難しいため、かかりつけの歯科医院でのクリーニングを行うようにしましょう。着色を防ぐためには、歯磨きやマウスウォッシュなどの日々のケアが重要です。
素材によって着色のしやすさに違いはありますか?
ジルコニアやセラミック製のインプラントは、着色汚れがつきにくい特性を持っています。ただし、インプラントの表面に傷がついたり、長年の使用による摩擦によって着色が目立つことがあります。一方、ハイブリッドセラミックなどのレジンを含むプラスチック系のインプラントは、素材の特性上水分を吸収しやすいです。
そのため、経年による劣化が進むと、色の変化がより顕著に現れることがあります。インプラント治療を受ける際は、使用するインプラントがどの素材を用いているのか知っておくことも大切です。
ほかの疾患によりインプラントの歯が変色することはありますか?
インプラントは人工の歯なのでほかの疾患に左右されませんが、人工物ではない歯茎や歯肉に影響を及ぼすことがあります。例えば、インプラント治療後に歯肉が黒ずんでしまう場合です。これはインプラント歯周炎の可能性が考えられます。
インプラント歯周炎は、インプラント周辺の歯肉や支えている骨が歯周細菌によって炎症を起こしている状態です。歯肉や骨が痩せ、インプラントの根の部分が見えてしまうため、歯肉が黒ずんで見えてしまうことがあります。そのままにしておくと、インプラントが抜けてしまう原因にもつながるので、症状が現れたら早めに受診しましょう。

インプラントの歯の着色を防ぐ方法

歯が気になる男性

インプラントの歯の着色を防ぐ方法はありますか?
インプラントの着色を防ぐためには、着色しやすい飲食物を避けることが大切です。色味の強い飲食物の例としては以下のものが挙げられます。
  • コーヒー
  • お茶(ウーロン茶・紅茶・緑茶など)
  • 赤ワイン
  • カレー
  • ケチャップ類

コーヒーやお茶には、歯の表面につきやすいタンニンという成分が含まれています。ペリクル(歯を覆っている膜)がタンニンと結びつき着色汚れになります。ペリクルは歯磨きをしても数分後には形成されるのが特徴です。
また、ペリクルは歯を酸から守る役割をしていますが、粘性が強いため細菌や食べかすなどが付着しやすい性質もあります。赤ワインに含まれるアントシアニンという色素が歯の表面に密着しやすいです。カレーのスパイスとして使用されるターメリック(ウコン)は天然由来の黄色の着色料です。繰り返し摂取することで、スパイスに含まれるカロテノイドが歯に着色しやすくなります。
また、ケチャップやトマトソースに使用される、トマトの色素であるリコピンも歯に付着することによって着色の可能性が高まります。これらの飲食物に含まれる成分は、日常的に繰り返し摂取することでインプラントの人工歯も天然の歯も、着色しやすい原因になるでしょう。

セルフケア方法を教えてください
色味の強い飲食物を食べた後は、すぐに歯磨きをすることで着色を防ぐことができます。歯磨きができない場合は、水でお口をすすぎ歯についた着色のもとになる成分を流しましょう。歯ブラシは柄の部分がシンプルな形で、硬すぎないものを使用することが基本です。
ブラシの横幅は20mm程度、歯2本分くらいを目安に選びましょう。歯ブラシは鉛筆持ち(ペングリップ)にすると、余計な力が入らず、口腔内を傷つけることなく磨くことができます。歯を磨く順番は、歯垢の溜まりやすい歯の裏側から1本ずつ磨きましょう。歯ブラシの毛先を歯に当て、毛先が歯を包み込むように細かく動かしながら磨くことがポイントです。研磨剤の成分が入った歯磨き粉を使うことで、より着色を防ぐことができます。
また、唾液の分泌を促すことも大切です。唾液には口腔内の汚れや細菌を洗い流す自浄作用があります。そのため、こまめな水分補給やよく噛んで食べるなどを意識して、唾液を増やす心がけをしましょう。
喫煙といった生活習慣は着色を招きやすくなりますか?
喫煙は歯や歯肉の着色を引き起こす大きな原因です。タバコに含まれるタールは歯に付着することで着色を引き起こします。そして同じくタバコの成分であるニコチンは、歯の周辺組織に悪影響を及ぼし、歯周病を誘発させる可能性があります。喫煙は、黄ばみや黒ずみの原因といえるでしょう。
また、非喫煙者でも受動喫煙(他者が吸っているタバコの煙を吸ってしまうこと)で、歯肉のメラニン色素沈着が起こる可能性があります。着色以外にもヤニが細菌の温床となり、口臭の原因になりかねないので注意が必要です。

インプラントの歯をきれいに保つための注意点

歯科治療

インプラントの歯をきれいに保つための注意点を教えてください
インプラントの歯をきれいに保つためには、歯科医院への定期的な通院をするようにしましょう。セルフケアである程度の予防はできても、細かい部分のクリーニングや疾患の早期発見は歯科医院でしかできません。歯科医師や歯科衛生士によるプロの目線が大切です。インプラントの状態を保つためには、定期的に歯科医院でのクリーニングを受けましょう。
自分で人工歯を外して清掃しても大丈夫ですか?
インプラントは自分で外すことはできません。インプラントは顎の骨と結合しており、誤った方法で着脱をしてしまうと、インプラント体の破損や口腔内の損傷にもつながる危険があります。インプラントを外す判断や、清掃の必要があるかは歯科医師の判断のもと歯科医院で行うようにしましょう。
歯科医院のクリーニングはどのくらいの頻度で受ければよいですか?
インプラントの装着後1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・1年と、1年以内は細かく受診することが推奨されています。1年以降は特に問題がなければ年に1回のメンテナンスでよいとされています。着色予防のほか、インプラントを長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
糖尿病や骨粗しょう症など、加齢とともに全身状態に問題が生じ、症状の進行や内服によってインプラントを失うリスクが高まります。そのため、インプラントのメンテナンスは定期的に受けることが重要です。

編集部まとめ

歯磨きのポイント

インプラントは着色しにくい材料で作られていますが、素材や使用年数によって着色が目立つ場合があります。

着色を予防するためには、色味の強い飲食物を控え、歯磨きをこまめにするとよいでしょう。またデンタルフロスやマウスウォッシュの併用が効果的です。

喫煙の習慣や歯周病によって、歯肉にも黒ずみや色素沈着が現れることがあります。生活習慣の見直しをするとともに、口腔内の異常が現れた場合は放置せず、すぐに歯科医院へ行きましょう。

着色を発見した場合は、自分で完全に落とすことはとても難しいです。また、インプラント治療後は定期的な清掃やチェックが必要なので、こまめに歯科医院を受診することをおすすめします。

定期的な通院で口腔内の清潔・健康を保ちましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

東京歯科大学歯学部 卒業 / 東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔インプラント学) 卒業 / 現在は大津歯科医院勤務 / 東京歯科大学インプラント科臨床講師 / 専門は口腔インプラント

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