インプラントにより食べられる喜びや若々しくいられる喜びなど、歯を失って諦めていたことが可能になります。そして、人生が今まで以上に豊かに感じられるのではないでしょうか。
喜びを持続させるために、インプラントには定期的な歯科医師によるメンテナンスとご自身での日々のケアが大切です。
少しでもインプラントを長持ちさせるためのケア方法や電動歯ブラシの使用方法を解説します。ぜひ、参考にしてください。
インプラントに電動歯ブラシを使っても大丈夫?
- インプラントのケアに電動歯ブラシを使っても大丈夫ですか?
- はい、大丈夫です。歯と歯茎の境目を細かく動かして磨くために、電動歯ブラシは効果的です。磨くときは強く押し付けないように注意をしてください。
また、通常の歯ブラシよりも短時間で歯磨きができますのでお手入れも楽に感じられます。電動歯ブラシを選ぶ際は、信頼できるメーカーのものを正しい使い方で使用してください。
- 電動歯ブラシの種類を教えてください。
- 電動歯ブラシは、以下の3種類があります。
- 電動歯ブラシ(高速回転)
- 音波歯ブラシ
- 超音波歯ブラシ
電動歯ブラシは1分間に3000~7000回程度で左右回転するのに対して、音波歯ブラシは1分間に2万~4万回程度振動します。電動歯ブラシは汚れを物理的に除去するのでブラシの届かない場所の汚れは落とせないのに対して、音波歯ブラシは振動の力で浮き上がらせるのでブラシの届きにくい部位の清掃も期待できます。
一般的には音波歯ブラシの方が短時間で清掃効果が高いといわれています。価格もそれぞれ異なりますので、予算と機能を確認してご自身にあったものをお選びください。
- 電動歯ブラシでケアする際には研磨剤配合の歯磨き粉が必要ですか?
- 電動歯ブラシを使用する際、歯の汚れを落とすだけであれば歯磨き粉を使用する必要性は少ないです。しかし、歯磨き粉の使用も可能です。
歯磨き粉を選ぶ際は、研磨剤配合の歯磨き粉は避けてください。粒子がインプラントと歯肉の間に入り込んでしまうと炎症の原因になります。歯磨き粉を選ぶときは、粒子が細かいものかジェルタイプを選んでください。
また、研磨剤配合のものは電動歯ブラシの動きを考慮していないものもあるため、表面が削られてしまう場合もあります。歯磨き粉は、むし歯・歯周病・着色・口臭などの予防ができる成分などが含まれているものもありますのでご自身のお口の状態にあったものを使用してください。
電動歯ブラシによるインプラントケアに関する注意点
- インプラントのケアを電動歯ブラシで行う場合の注意点を教えてください。
- 注意点をまとめると下記の4つ程になります。
- 強く押し付けない
- 1つひとつの歯や隙間に優しくゆっくり角度を変えながらスライドさせて磨く
- 電動歯ブラシで磨きたりない部分にはデンタルフロスや歯間ブラシを使う
- 歯磨き粉を使用する場合は、発泡剤・研磨剤の入っていないものを選ぶ
電動歯ブラシでも高速回転式のものや音波や超音波タイプがあると紹介しましたがそれぞれ効果が得られる正しい使い方があります。
そして、注意点に気を付けながら使い方をしっかり確認をしてケアをしてください。
- 電動歯ブラシで起こりうるリスクを教えてください。
- 考えられるリスクは下記4つ程になります。
- 強く押し付けることで傷ついた歯茎から感染症などを引き起こす
- 誤った使い方で磨き残しができると歯周病になる
- 感染症や歯周病などでインプラントが抜けてしまう
- 歯磨き粉の研磨剤などで削られて破損しやすくなる
などのリスクがあります。インプラントの装着が完了したらまず、歯科医師に電動歯ブラシの使用も含めてホームケアについて相談し、ご自身にあった方法でケアをしていきましょう。
インプラントのおすすめのケア方法は?
- インプラントのケアの重要性を教えてください。
- 失ってしまった自分の歯の代わりになるインプラントは、さらに入念なお手入れが必要です。インプラント自体は、人工物なのでむし歯になることはありませんが天然歯以上にデリケートで細菌感染に弱いという特徴があります。
そして、インプラントは、装着したら治療が終了するわけではありません。重要なことは、やはりインプラントを長持ちさせることです。そのために口腔環境を良好に保つケアが大切です。
インプラントのデメリットとして、食べ物が詰まりやすくなる・外科処理に伴う腫れや出血を起こすなどがあります。代表的な病気にインプラント周辺の歯肉が炎症を起こすインプラント周囲炎があります。これは、一種の歯肉病です。
感染すると歯茎や歯を支える骨が炎症を起こすなどして重症化するとインプラントを取り外さなければいけなくなったり、脱落してしまったりする恐れもあります。このようなことが起きないためにも、ケアが重要になります。
- 自分で行えるおすすめのケア方法を教えてください。
- インプラントは、日々の丁寧なホームケアも重要になってきます。インプラント専用の歯ブラシやケア用品などさまざま用品が販売されています。しかし通常の歯ブラシでもケアは可能です。その場合、歯ブラシは細かく動かして歯と歯茎の境目を特に注意して力を入れすぎないように磨いてください。
インプラントを長持ちさせるためのケアは、ケア用品を十分に活用して、口腔環境を清潔に良好状態を保つことが大切になります。インプラント装着後に歯科医師の指導や歯科衛生士の指導を受け、ご自身にあったケアを行うことがおすすめです。
- デンタルフロスや歯間ブラシでケアをしても大丈夫ですか?
- はい、大丈夫です。インプラントには、食べ物が詰まりやすくなるデメリットがありますので歯とインプラントの間の部分をきれいにする必要があります。そのためにデンタルフロスや歯間ブラシが効果的です。
通常の歯ブラシや電動歯ブラシを使用しても取り切れない汚れなどがあります。歯間ブラシは、ピック状の歯ブラシで歯間部に挿入し数回往復させて汚れを落とすものです。デンタルフロスは、糸のようなケア用品です。歯の根元から汚れを擦り上げるように汚れを落とします。指に巻きつけて使用するものですが、簡単に使用できるものも販売されています。
これらを歯とインプラントの間やインプラント同士の間など隙間の広さに合わせて選ぶと効果的です。狭いところにはデンタルフロス、広いところには歯間ブラシなどと使い分けて磨き残しのないように行ってください。
さらに、インプラントの根元部分や義歯を支えるインプラント周りなどの細かい部分には、タフトブラシや舌ブラシを活用することも口腔環境を清潔に保つのに効果的です。
- マウスウォッシュを使用しても大丈夫ですか?
- はい、大丈夫です。歯ブラシでのクリーニングがしっかり行われているうえでマウスウォッシュを併用するとさらに効果が期待できます。
マウスウォッシュには細菌の繁殖を抑えたり口臭や乾燥を防いでくれるのでクリーニングの仕上げとしてあくまでも補助として活用してください。
インプラント装着直後に使用する際は、傷口などに支障がある場合もあるため、歯科医師に確認をしてください。マウスウォッシュには種類があります。薬用成分があるもの・ないもの・アルコールを含むもの・含まないものなどさまざまですがご自身にあったものをお選びください。
- 定期的に歯科医院でケアしてもらう必要がありますか?
- 患者さんご自身での歯磨きやケアでは行き届かない部分の歯科衛生士によるクリーニングが必要です。インプラントの良好な状態を保ち長持ちさせるために歯科医院による定期的なメンテナンスを行います。
また、患者さんご自身のホームケアが効果的に行われているかの確認も行います。そして、患者さんでは気付きにくい変化がないかをチェックし、問題があれば早期に治療して良好な状態を保ちます。
お口の状態によって異なりますが、3ヵ月から半年というのが一般的なメンテナンスの頻度です。超音波を使った機器などを使いご自身では取り切れない汚れや歯石を効果的に除去します。
編集部まとめ
インプラント装着後のケアを解説しました。ホームケアの重要性とケア用品についても質問形式で紹介しました。
電動歯ブラシは、通常の歯ブラシでのクリーニングより無駄な力を必要とせず短時間で磨けます。
通常の歯ブラシでは取れにくい汚れなども取り除け、効果的に口腔環境を保てます。ただ、使い方を誤ると起こる可能性があるリスクも解説しました。
歯科医師や歯科衛生士と相談のうえ、デンタルフロス・歯間ブラシ・電動歯ブラシなどを使用してご自身にあったケアを行ってください。
参考文献