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インプラントを長持ちさせるための秘訣:定期メンテナンスの重要性について解説します!

インプラントを長持ちさせるための秘訣:定期メンテナンスの重要性について解説します!

インプラントの治療は、人工の歯根を顎の骨に埋め込むことで、抜けた歯を補います。そして、インプラントの寿命は日々の口腔ケアと定期的なメンテナンスに左右されます。
本記事ではインプラントを長持ちさせるための定期メンテナンスの重要性について以下の点を中心にご紹介します。

  • インプラントの寿命
  • インプラントの定期メンテナンスの重要性
  • インプラントの定期メンテナンスの内容

インプラントを長持ちさせるための定期メンテナンスの重要性について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

インプラントの寿命と定期メンテナンスの関係

インプラントの寿命と定期メンテナンスの関係

インプラントの10年生存率は90%以上といわれていますが、これはあくまで平均的な話で、適切なメンテナンスを行っていれば長期的に使用できます。実際、ブリッジや入れ歯と比べても、インプラントは長持ちする傾向にあります。しっかりとケアをすれば、20年以上使えることもあります。

インプラントの寿命は、その人の口の中の状態や生活習慣にも影響されます。たとえば、タバコを吸ったり、糖尿病などの病気があったりすると、インプラントに悪影響を及ぼすことがわかっています。そのため、毎日のケアと一緒に、定期的なメンテナンスが、インプラントを長く成功させるための重要なポイントとなります。

歯科医院で行われているメンテナンスには、口腔内のさまざまな診察や指導・治療が含まれます。これにより、インプラント周りの歯茎や口腔内の健康を保ち、早期に問題を発見・改善をしています。

定期メンテナンスが必要な理由①インプラント周囲炎の予防

定期メンテナンスが必要な理由①インプラント周囲炎の予防

インプラントを長く使用するためには、定期メンテナンスが大切だということが分かりましたが、インプラントの寿命を短くしている要因とは何でしょうか。
ここでは、インプラントの寿命を左右する、インプラント周囲炎について解説します。

インプラント周囲炎とは

インプラント周囲炎とは、インプラントが埋め込まれている顎の骨や周囲の粘膜に炎症が生じる状態を指します。この炎症が進行すると、インプラントを支える骨にまで及び、最終的にはインプラントの固定が不安定になり、ぐらつきや抜け落ちる原因となります。

インプラント周囲炎は、天然歯の歯周病よりも進行が早いとされています。インプラントには感覚神経が通っていないため、痛みなどの自覚症状が出にくく、気がついたときには症状が進行していることが多いのです。

インプラントは人工の歯であるためむし歯の心配はありませんが、インプラント周囲炎を予防するための定期的なメンテナンスが不可欠です。定期的な歯科受診で、健康的な口内環境を保つことが推奨されます。

インプラント周囲炎が起こる原因

インプラント周囲炎は、インプラントの周辺組織に炎症が起こる病状で、主な原因は、インプラント周囲に蓄積された歯垢(プラーク)です。適切な歯磨きが行われていない場合、この歯垢内で細菌が増殖し、その毒素が周囲の組織を刺激して炎症を引き起こします。

さらに、インプラント周囲炎のリスクを高める要因として、歯周病や糖尿病の既往歴、喫煙、歯並びや噛み合わせの問題、歯ぎしりや食いしばりの癖、口呼吸が習慣化していることなどが挙げられます。これらの要因は、インプラントの負担を増やし、炎症の発生や悪化につながりやすくします。

また、インプラントの表面は骨との結合を促進するためにあえてザラザラに加工されており、その特性が歯石の付着を招き、一旦形成された歯石は毎日の歯磨きだけでは除去が困難になります。これが炎症の持続や拡大を引き起こし、さらに悪化させる要因になっています。

インプラント周囲炎の症状

インプラント周囲炎は、その初期段階で自覚症状が少ないため、患者さんが症状に気づきにくいのが特徴です。この状態が進行すると、インプラントの健康と機能に重大な影響を及ぼす可能性があるため、日常のセルフチェックが重要です。
インプラント周囲炎の主な症状には、以下のようなものがあります。

  • 歯茎の赤みや腫れ
  • 歯茎からの出血(歯磨き時に出血が見られる場合、注意が必要)
  • インプラントが埋め込まれた部分に痛みを感じる
  • 歯茎を押すと膿が出る
  • 歯茎の退縮
  • インプラントのぐらつき

痛みや排膿がある場合は、感染が進んでいる可能性が高いため、速やかな対処が求められます。
さらに、歯茎の退縮やインプラントの動揺・ぐらつきがある場合は、インプラント周囲炎が進行しているサインと考えられます。歯茎が痩せてくると、インプラントとの間にポケットができ、さらに炎症が広がりやすくなります。

これらの症状が現れた場合は、すぐに歯科医師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。インプラント周囲炎の予防と管理は、インプラントの成功を左右する重要な要素であり、定期メンテナンスでのプロフェッショナルケアが不可欠です。

定期メンテナンス必要な理由②自然歯の寿命を延ばす

定期メンテナンス必要な理由②自然歯の寿命を延ばす

インプラントと自然歯は、互いに影響を与え合っています。そのため、インプラント治療後のメンテナンスは、口腔全体の健康をバランスよく維持し、自然歯の寿命を長持ちさせるためにも重要です。

まず、定期的な検診により、日本人の歯の喪失原因として多い疾患である歯周病やむし歯の早期発見と早期治療が行われます。また、歯石の除去やクリーニングを定期的に行うことで、歯周病の進行を抑えます。歯周病やむし歯を予防することは、自然歯とインプラントの寿命を延ばすことに繋がります。

定期メンテナンス必要な理由③メーカー保証を受けるため

定期メンテナンス必要な理由③メーカー保証を受けるため

インプラントの定期メンテナンスは、ただ口内環境を健康に保つだけでなく、メーカー保証を有効に活用するためにも必須です。多くのインプラントメーカーは、5年から10年の保証期間を設けており、この期間内に非故意の不具合が生じた場合、無償での交換や再手術が行えるようになっています。しかし、この保証を受けるためには、定期的にメンテナンスを受けていることが条件となることが多いようです。

保証の対象となるのは、患者さんの故意による損傷を除く、製品自体の問題です。したがって、指定された頻度でのメンテナンスを怠っていると、保証が適用されない場合が多く、結果的に高額な費用が自己負担となるリスクがあります。
また、保証適用の条件には、禁煙など医師の指示に従うことも含まれる場合があります。これは、喫煙がインプラント周囲炎を引き起こすリスクを増加させ、インプラントの寿命を縮めるためです。

インプラントの定期メンテナンスは歯科医師の指示を守り、もしもに備えてメーカーが提供する保証が利用できるようにしておきましょう。

歯科医院での定期メンテナンスの内容

歯科医院での定期メンテナンスの内容

インプラントの治療後に定期メンテナンスを受けることが大切だということが分かりましたが、定期メンテナンスはどのような内容の診療が行われているのでしょうか。
ここでは、歯科医院で行われているメンテナンスの内容について解説します。

口内チェック

歯科医院で行われる定期的なメンテナンスには、インプラントの維持だけでなく、全体的な口腔健康を保つための重要な口内チェックが含まれています。この検査では、インプラントのみならず、自然歯の健康状態も細かく調べられます。
具体的には、歯周病の有無やむし歯のチェックが行われます。さらに、既存の被せ物や詰め物の損傷や劣化も検証されます。

歯科医師はこれらの検査を通じて、口内の衛生状態全般を評価し、必要に応じてクリーニングや治療を行います。なかでも、インプラントの周囲に炎症や感染が起こっていないか、またインプラントの固定具がしっかりと機能しているかどうかも重要なチェックポイントです。詳細な口腔チェックによって、初期段階で問題を発見し、適切な対処を行えます。

レントゲン検査

レントゲン検査は、インプラントの健全性だけでなく、口内全体の歯や顎の骨、周囲組織の状態を詳細に評価するために行われます。特にインプラントが埋め込まれた部位の骨の密度や、そのほかの歯の根元の健康状態を把握します。

レントゲンでは、歯槽骨の炎症や骨の吸収が起こっていないかを確認し、インプラント周囲に異常がないかを見極めます。さらに、歯石の蓄積や進行中のむし歯も同時にチェックされます。これにより、早期に問題を発見し、適切な治療を行えるようになります。

また、上顎にインプラントが施された場合は、上顎洞の健康状態もレントゲンで評価されます。上顎洞とは、上顎骨の上方に位置する副鼻腔のひとつで、インプラントが原因で上顎洞炎などの炎症が起きていないかを確認します。

このようにレントゲン検査は、口腔内や周辺組織の健康を確認し、全体的な健康を維持するための大切な検査です。

ブラッシング指導

歯科医院での定期メンテナンスで行われるブラッシングの指導は、日々の口腔ケアの質を向上させることを目的としています。インプラントを含む口内全体の健康を維持するためには、正しい歯磨き方法が重要です。

まず、患者さん一人ひとりの歯磨きの癖や磨き残しの傾向を評価します。この評価を基に、汚れが残りやすい部分や、きちんと磨けていない箇所を特定し、それに適した磨き方を指導します。また、歯ブラシだけでは届きにくい箇所の清掃には、歯間ブラシやデンタルフロス、ワンタフトブラシなどの清掃器具の使用を推奨し、その正しい使い方を丁寧に説明します。

この指導を通じて、患者さんは自分の口内環境を理解し、日々のセルフケアの質と効率を高められます。正しい口腔ケアの技術を身に付け、継続することは、口腔内の健康を保つための鍵となります。

クリーニング

歯科医院で行われる定期メンテナンスにおけるクリーニングでは、専門の機材と技術によって、普段の歯磨きでは除去できない頑固な歯垢や歯石を取り除きます。なかでも、歯と歯肉の境界や、狭い隙間に蓄積した汚れを除去しています。

プロフェッショナルメカニカルトゥースクリーニング(PMTC)として知られるこの処置は、歯科医師や歯科衛生士が施術することで、より精密なクリーニングが行われ、口内環境の全般的な改善を促します。クリーニングの過程で、必要に応じてインプラントの上部構造を一時的に取り外し、隅々まで汚れを除去することもあります。

また、口腔内のトラブルを未然に防ぐために、光殺菌治療(PDT)などの先進的な治療法を用いてバクテリアを除去することもあります。

定期的なプロフェッショナルクリーニングは、単に見た目を美しく保つだけでなく、インプラントを含む口内の各部位の機能を適切な状態に保ち、病気の予防にも寄与します。

インプラントの定期メンテナンスの頻度と費用

インプラントの定期メンテナンスの頻度と費用

インプラントの適切な維持管理のため、定期メンテナンスの頻度と費用について理解しておくことも大切です。
インプラントのメンテナンスは、約3ヶ月から6ヶ月ごとに受けることが推奨されています。メンテナンスを怠ると、インプラントの早期劣化や破損のリスクが高まり、最終的にはより高額な修理や交換が必要になる場合があります。

メンテナンスの費用は、一回あたりおよそ5,000円から1万円が目安ですが、これは保険適用外の自己負担となるため、医療機関によって異なる場合があります。したがって、事前に各医療機関に確認しましょう。

さらに、メンテナンス費用は、一定の条件下で医療費控除の対象となることがあります。また、インプラントメーカーが提供する保証を適用させるためには、定期的なメンテナンスを受けていることが必要条件となることが多いので、保証内容を確認しておくことも大切です。定期的なメンテナンスは、長期的な口腔健康を維持するための重要な投資であると考えるべきです。

インプラントを長持ちさせるためにはセルフケアも大切!

インプラントを長持ちさせるためにはセルフケアも大切!

インプラントを健康に保ち、その寿命を延ばすためには、適切なセルフケアが重要です。日々のお手入れにおいて心がけるべき点をいくつか紹介します。

まず基本となるのが、丁寧な歯磨きです。インプラント自体はむし歯になりませんが、周囲の歯肉やほかの歯が健康であることが必要です。そのためには、歯ブラシを用いて歯と歯茎の間、特に歯周ポケットを重点的に磨くことが推奨されます。ただし、強く磨きすぎるとインプラントや歯茎を傷つける可能性があるため、ブラシの当て方は優しく丁寧に行うようにしましょう。

次に、歯間ブラシやデンタルフロスを使用し、歯ブラシだけでは届かない部分の汚れを除去します。歯間ブラシは、自分の歯間に適したサイズを選ぶことが重要です。使用方法や選び方に不安がある場合は、歯科衛生士に相談してみると良いでしょう。

さらに、デンタルリンスの使用も口臭予防や殺菌効果に寄与しますが、インプラント施術直後は使用を控えましょう。使用開始のタイミングについても、担当の歯科医師に確認を取ることが望ましいです。また、歯磨き粉の選び方にも注意が必要です。研磨剤の粒子が大きく粗いタイプは避けましょう。

これらのセルフケアを適切に実施し、インプラントを快適に長持ちさせましょう。

まとめ

まとめ

ここまでインプラントを長持ちさせるための定期メンテナンスの重要性についてお伝えしてきました。
インプラントの定期メンテナンスの要点をまとめると以下の通りです。

  • インプラントの10年生存率は90%以上とされているが、適切なメンテナンスを行っていれば長期的に使用でき、ブリッジや入れ歯と比べてもインプラントは長持ちする傾向にある
  • 定期メンテナンスが必要な主な理由は、①インプラント周囲炎の予防、②自然歯の寿命を延ばす、③メーカー保証を受けるため
  • 歯科医院での定期メンテナンスは、口内チェック・レントゲン検査・ブラッシング指導・クリーニングなどが行われる

インプラントは、治療が完了したあとも、日々のセルフケアと合わせて定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることが大切です。長くインプラントを使うためにも、定期メンテナンスの重要性を理解し、受診するようにしましょう。

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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