インプラント治療はいつから存在しているのか、疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。本記事では、インプラントはいつからあるのかについて以下の点を中心にご紹介します。
- インプラント治療が存在しなかった時の歯の処置
- 古代のインプラント治療
- 新生したチタンのインプラント
インプラントはいつからあるのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
そもそもインプラント治療とは?
インプラント治療とは、歯科の分野での革命的な治療法の一つです。インプラントとは、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を取り付ける治療法を指します。そして、インプラントは歯根も取り戻せるのが特徴です。 失われた歯を補うための方法として、ブリッジや入れ歯、そしてインプラントがありますが、それぞれにメリットとデメリットが存在します。インプラントの大きなメリットとして、他の歯に影響を与えずに独立した歯を取り戻せる点が挙げられます。しかし、手術が必要であるため、そのリスクも理解しておく必要があります。 インプラント治療を受ける際は、治療の流れやリスク、そして治療後のメンテナンスについても十分に理解し、納得の上で治療を受けることが大切です。
インプラント治療が存在しなかった時の歯の処置
インプラント治療が存在しなかった時はどんな治療をしていたのでしょうか。以下で詳しく見ていきます。
海外の処置
インプラント治療が一般的になる前、アメリカでは金を用いてぐらついた歯を固定したり、雄牛の歯や骨を加工したり、金属を用いたブリッジが主に使われていました。これらは、機能性よりも見た目を重視した治療であり、咀嚼能力の面で問題がありました。そのため、インプラントが開発されるまでの間は、欠損した歯の代わりとなる義歯が多く用いられていました。これらの義歯は取り外しができて、清掃が簡単な一方で、固定力に欠けていました。
日本の処置
驚くべきことに、日本の歯科治療の歴史は古く、木の入れ歯の制作は室町末期から始まったと言われています。特に古い木の入れ歯の例としては、和歌山市願成寺の尼僧(通称仏姫)が使用していたものがあり、仏姫が1538年に亡くなっていることから、少なくともその頃には木の入れ歯が作られていたことがわかります。木の入れ歯は、密猟で顎の型を取り、それを基に木で作られていました。この技術は、外国ではされていなかった床のみで吸着させる義歯の維持方法であり、日本独自のものでした。また、江戸時代には、入れ歯づくりを専業にする入れ歯師が誕生しました。これらの入れ歯師は、木の仏像を彫る仏師や根付師など、木彫の技術を持った職人が転業したものでした。このように、インプラント治療が存在しなかった時代の日本では、木の入れ歯が一般的な歯の処置として用いられていました。
古代のインプラント治療
古代の人々は、歯の代用として様々な物質を用いていました。例えば、紀元前の遠い昔から、人類は歯の代用として石や貝殻、動物の骨等をインプラントとして用いてきました。また、インカ文明のミイラからはサファイアの歯根が発見されたり、エジプト文明では象牙や宝石を歯の抜けたところへ埋める試みが合ったりしたとの報告もあります。このように、古代の人々は失われた歯を補うためのさまざまな方法を探求してきました。現代のインプラント技術とは違いますが、その時代の技術や知識を駆使して、良い方法を求めていたことが伺えます。
新生したチタンのインプラント
ここからは、時代を越えて19世紀以降のインプラントについて解説します。
ブローネマルク博士の発見
インプラントの始まりは1910年代に遡ります。1913年にグリーンフィールドが円筒形のインプラントを創造しました。この時のインプラントが現代インプラントの祖なのではないかと言及されています。そして1952年、スウェーデンの整形外科医、ペル・イングヴァール・ブローネマルク博士は、ウサギのすねにチタン製の生体顕微鏡を取り付ける実験をしていました。この実験の目的は、骨の治癒過程中に骨髄がどのような役割を果たしているかを観察することです。 しかし、観察が終わった後、ブローネマルク博士が生体顕微鏡を取り外そうとした際、驚愕の事実が発見されました。チタンと骨が強固に結合しており、取り外せなかったのです。これまでの経験から、他の金属でこのような現象は観察されていませんでした。この発見を基に、1965年にブローネマルク博士はチタンと骨の結合現象「オッセオインテグレーション」を発見し、その後の歯科インプラント治療の発展に大きな影響を与えました。
チタンを使用したインプラント治療が成功
近年の歯科治療の中で、チタン製のインプラント治療は革命的な進展を遂げています。チタンの特性を活かした治療法は、1965年に34歳のスウェーデン人男性を対象に初めて実施され、その結果、手術は見事に成功します。当時、彼の口内にはわずかな歯しか残っていなかったにもかかわらず、埋め込まれたインプラントは彼の生涯、42年間もの間、しっかりと機能し続けました。 この一件を皮切りに、チタン製のインプラントは世界中での治療に取り入れられるようになりました。特に、デンタル・インプラントの領域において、チタンの使用は画期的な変革をもたらしました。以前は金やコバルトクロム合金などが主流でしたが、20世紀後半からはチタンの優れた特性が広く認識され、現在では主要な素材としての地位を確立しています。この進展は、歯科治療の歴史において、新たな時代の幕開けを告げる出来事となりました。
現在のインプラント治療
近年、インプラント治療は歯科医療の中で大きな進化を遂げています。現代のインプラント治療は、患者さんの口腔内環境を考慮し、個々の症例に適した治療計画を立てられます。具体的には、インプラントの材料や設計、そして手術が改良され、より自然な見た目と機能を持つ人工歯が提供できるようになりました。このように、現在のインプラント治療は、技術の進歩とともに、より高品質な治療を提供できるようになっています。これにより、多くの患者さんが健康で快適な生活を送るためのサポートを受けられるのです。
まとめ
ここまでインプラントはいつからあるのかについてお伝えしてきました。インプラントはいつからあるのかの要点をまとめると以下の通りです。
- インプラント治療が存在しなかった時の海外には、「ブリッジ」や「義歯」のようなものがあり、日本は「入れ歯」と近いものが存在した
- 古代の人々は、歯の代用としてな方法を試みており、紀元前の時代から、石や貝殻、動物の骨などを歯の代用として使用していたとの記録がある
- ブローネマルク博士がチタンと骨の強固な結合「オッセオインテグレーション」を発見し、歯のインプラント治療に革命をもたらし、1965年に初のチタン製インプラント治療が成功した
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。