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インプラントは高齢になった時後悔する?老後にインプラントが与える影響とは

インプラント 高齢になった時

インプラント治療は高齢になってもできるのでしょうか?老後にインプラントを受ける際に知っておくべきポイントはあるのでしょうか? 本記事では高齢になった時のインプラントについて、以下の点を中心にご紹介します。

  • 高齢でのインプラントについて
  • 高齢でのインプラントのデメリット
  • 高齢でインプラントを受ける際に知っておくべきポイント

高齢になった際のインプラントについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

インプラントが、高齢になった時与える影響とは?

インプラントが、高齢になった時与える影響とは?

高齢になった時に出てくるインプラントの影響はどんなものがあるのでしょうか?

要介護や寝たきりになった時

高齢者に対するインプラント治療は、全身的、精神的疾患を考慮しながら、必要分の外科的侵襲で埋入、除去が可能なシステムを選択することが重要です。また、患者さんの高齢化や全身的、精神的変化に対応できる補綴設計の変更を可能にする補綴を考慮することが望ましいです。
ですので、要介護や寝たきりになった場合は、介護者にとっては取り外しができる方が、管理は容易です。

認知症になった場合のリスク

認知症を患った高齢者がインプラント治療を受けている場合、いくつかのリスクが考えられます。日常の口腔ケアの重要性を理解できなくなることで、インプラント周囲炎のリスクが高まる可能性があります。また、治療の必要性を感じ取れなくなるため、インプラントの不具合や除去が必要な状況でも治療を拒否することが考えられます。さらに、痛みの原因や程度を正確に伝えられないため、治療の適切なタイミングを逃すリスクも存在します。これらの状況は、口腔内の衛生状態の悪化を招き、さらなる合併症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

細菌感染のリスク

高齢になると体の免疫力が低下し、インプラント治療においてリスクをもたらす可能性があります。特に、治療中に歯茎を切断したり、顎の骨を削る際に、細菌が傷口に侵入すると感染症のリスクが高まることが懸念されます。この感染リスクは、若い人より高齢者の方が免疫力が低いので、より顕著になる可能性があります。
したがって、インプラントは外科手術であるため、加齢による免疫力の低下が術後感染のリスクとなる可能性があるので、高齢者の方がインプラント治療を受ける際には、十分なカウンセリングとリスクの認識が求められます。

高齢になった時のインプラント治療について

高齢になった時のインプラント治療について

高齢になった時に行うインプラント治療は若年層と違う点はあるのでしょうか?

インプラント治療の適齢期

インプラント治療の適齢期は、骨の成長が止まってから(20~25歳程度)以降であり、年齢の上限はないとされています。しかし、この年齢範囲はあくまで一般的な目安であり、実際の治療の適用は、患者さんの具体的な健康状態や口内の条件によって大きく変わることがあります。特に高齢者においては、免疫力の低下や体力の衰え、骨の密度の低下、さらには歯周病のリスクなど、多くの要因が治療の判断に影響を与えます。
このような背景から、単に年齢を基準に治療を選択するのではなく、口内環境や全身の健康状態を総合的に評価した上で、専門医としっかりと相談し、適切な治療方法を選択することが、成功への鍵となります。

高齢になった時のインプラント治療が大変な理由

インプラント治療は高齢者にとっていくつかの課題があります。

費用: インプラント治療は保険が適用されない自由診療のため、治療費は全額自己負担となります。治療費は歯科医院によって異なるものの、一般的には1本のインプラントに数十万円の費用がかかることが多いです。

治療期間: インプラント治療は時間がかかる治療であり、インプラントが骨としっかり結合するまで数ヶ月を要することが一般的です。

外科手術の必要性: インプラントを埋め込むためには、顎の骨に穴を開ける外科的な処置が必要です。高齢になると、持病や薬の影響で手術が難しくなることも考えられます。

骨の状態: 歯周病の進行や加齢により、顎の骨が痩せてしまうことがあります。骨の量や厚みが不足している場合、インプラント治療が難しくなることがあります。特に、骨の厚みが不足している場合や骨粗しょう症の方は、インプラントの埋め込みが難しい場合があるのです。

骨造成の必要性: 骨の量が不足している場合、骨造成という手術で骨を増やす必要があります。しかし、この手術は専門的な技術を要するため、すべての歯科医院で受けられるわけではありません。

これらの理由から、高齢者がインプラント治療を受ける際には、慎重な判断と準備が必要となります。

インプラント治療が受けられないケース

インプラント治療は高度な歯科治療の一つであり、全ての患者さんに適しているわけではありません。以下は、インプラント治療を受ける際の注意点や制限事項です。

口腔内の健康状態: 歯周病などの口腔内の感染症が存在する場合、インプラントの土台となる骨が安定しない恐れがあります。また、インプラント周囲炎のリスクも高まります。治療前後の口腔ケアが不可欠です。

通院の問題: インプラント治療は、治療後も定期的なフォローアップが必要です。高齢や体調不良などで通院が困難な場合、治療の適応外となることがあります。

全身の健康状態: 以下のような疾患や状態がある場合、インプラント治療のリスクが高まるため、慎重な判断が求められます。

・糖尿病: 重度の場合、治癒が遅れるリスクがあります。
・循環器系疾患: 高血圧や心疾患などがある場合、治療時のストレスや痛みで症状が悪化する可能性があります。
・がんの治療: 放射線治療を受けている、または受けたことがある方は、インプラント治療が難しい場合があります。
・血液の疾患: 出血傾向がある方や、特定の薬を服用している方は、手術のリスクが高まります。

これらの要因を考慮し、患者さんの健康状態や生活環境を総合的に評価した上で、インプラント 治療の適応を判断することが重要です。

高齢になった時のインプラント治療のメリット

高齢期にインプラント治療を受けることのメリットを以下に4点紹介します。

食事の質の向上: 高齢になると、歯の喪失が増えることが一般的です。インプラント治療を受けることで、食物をしっかりと噛めるようになり、栄養の摂取が向上します。咀嚼能力の低下は、消化不良や栄養不足を引き起こす可能性があり、全身の健康にも影響を及ぼすことが知られています。

認知機能の維持: 歯の喪失や咀嚼能力の低下は、認知症のリスクを高める可能性があるとの研究結果が出ています。インプラント治療により、咀嚼機能を維持・回復することで、脳の活性化や認知機能の維持に寄与すると考えられます。

外見の保持: 歯の喪失は、口元の形状や表情に影響を及ぼします。インプラント治療を受けることで、自然な口元を保ち、若々しい外見を維持できます。

総合的な健康の向上: 歯の健康は、全身の健康と深く関連しています。インプラント治療を受けることで、食事の質の向上や認知機能の維持など、高齢期の生活の質を向上させることが期待できます。

高齢になった時、インプラントで後悔しないために

高齢になった時、インプラントで後悔しないために

高齢でインプラントを受ける場合どんな事に注意したら後悔せずに行えるのでしょうか?以下に3つのポイントを紹介します。

クリニック選びのポイント

高齢者がインプラント治療を考える際、重要なのは適切なクリニックの選択です。まず、自身の治療ニーズや特定の状況、例えば顎の骨の状態に応じて骨造成手術が行えるかどうかを確認することが必要です。骨の量や質が不足している場合、骨造成が必要となることが多いため、その技術を持つクリニックを選ぶことが肝心です。さらに、高齢になると体力が低下するため、通院が難しくなることも考えられます。そのため、クリニックが定期的なメンテナンスや、必要に応じての訪問診療に対応しているかを事前に確認することも大切です。これにより、治療後もケアを受け続けられ、治療の長期的な成功を追求することが可能となります。適切なクリニック選びを通じて、高齢者も質の高いインプラント治療を受けられるのです。

インプラントの情報を保管しておく

インプラント治療を受けた際に患者さんに提供されるインプラントカードや手帳は、治療の安定性と継続性を確保するための重要なツールです。インプラントカードや手帳には、使用されたインプラントのブランド、型番、サイズ、埋め込み位置、治療日などの詳細情報が記載されています。これにより、将来的なトラブルやメンテナンス時に、どのようなインプラントが使用されたのかを正確に知れます。特に、引っ越しや歯科医師の変更などの生活の変動があった場合でも、新しい歯科医師がこれらの情報をもとに適切な対応をとることが可能となります。しかし、万が一これらの情報を紛失してしまった場合や、初めから受け取っていない場合は、日本口腔インプラント学会の公式Webサイトから「口腔インプラントカード」をダウンロードできます。このカードを持参して治療を受けた歯科医院に相談し、必要な情報を記入してもらうことで、今後の治療やメンテナンスが円滑に進められるようになります。

高齢者の方におすすめの治療法「オーバーデンチャー」

「オーバーデンチャー」は高齢者に特化したインプラント治療法で、残存する天然歯や以前に埋め込まれたインプラントを基盤として特別な入れ歯を装着する方法です。この治療法の特徴は、患者さんの歯の状態やニーズに応じて、総入れ歯や部分入れ歯の形状にカスタマイズできる点です。
オーバーデンチャーの利点として、インプラントを入れ歯の支えとすることで、高い安定性を持ち、食事の噛む力を向上できます。さらに、従来の入れ歯とは異なり、インプラントでも噛む力を支えることができるので、口腔粘膜への負担を軽減することが可能とされます。ただし、インプラント治療より、装着に違和感を感じることもあるかもしれません。しかし、入れ歯の取り扱いに困難を感じる高齢者や、体力の低下を感じる方には、オーバーデンチャーが適切な治療選択となるでしょう。

まとめ

まとめ

ここまで高齢になった時のインプラントについてお伝えしてきました。 高齢になった時のインプラントについてまとめると、以下の通りです。

  • 高齢者でもインプラント治療は可能だが、免疫力や骨密度の低下などの要因を考慮する必要がある。治療の成功は、口内環境や全身の健康状態に大きく依存する
  • 高齢でのインプラントのメリットは、インプラントは天然歯に近い咀嚼感や、食事の楽しみや栄養摂取の向上、安定した固定力により、話す際の違和感やズレの心配が少なくなること
  • 高齢でインプラントを受ける際に知っておくべきポイントは持病の確認や自分の行う治療について把握する事、オーバーデンチャーなどの治療法について知ることが重要

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき有り難うございました。

この記事の監修歯科医師
坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

鶴見大学歯学部 卒業 / 平成24年歯科医師免許証 取得 / 現在は地挽歯科医院、蕨にしき町歯科・口腔外科(いずれも非常勤)

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坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

鶴見大学歯学部 卒業 / 平成24年歯科医師免許証 取得 / 現在は地挽歯科医院、蕨にしき町歯科・口腔外科(いずれも非常勤)

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