インプラント

インプラントの構造を徹底解説!タイプ別の構造や材質・治療期間も紹介します

インプラント

抜歯したり歯が折れたりした際に、その隙間を埋める手段としてインプラントが注目されています。

入れ歯やブリッジと比べると費用は高いですが、安定感があり痛みも少ないことで徐々に人気を獲得していきています。

だからといって、安易にインプラントに飛びついてしまうと、思わぬところで後悔してしまうかもしれません。

本記事では、インプラントの根本的な部分である構造や材質、治療期間についてご紹介していきます。

構造や素材はなかなか知る機会がないかと思いますが、これらを知っておくことでトラブルを回避できることもあります。

ぜひ参考にしていただき、後悔のないインプラント治療を目指してください。

インプラントの基本的な構造

インプラント

インプラントについてざっくりは知っていても、どのような構造になっているのかを知っている人は多くありません。

一口にインプラントといっても、様々なパーツがあり、素材もたくさんの種類があります。

インプラントの構造や素材を知っておくことで、今後のインプラント治療の進め方も変わりますので、治療を受ける前に把握しておくようにしましょう。

インプラントは以下のような3つの構造に分かれています。

  • 本体部分
  • アバットメント部分
  • 上部構造

それぞれに役割があり、素材も異なりますので、医師に相談して自分に合ったインプラントを選ぶようにしましょう。

本体部分

本体部分はインプラント体とも呼ばれ、インプラントの土台になる部分です。歯根の代わりとなる存在で、インプラント治療の要ともいえます。

材質はチタン製もしくはチタン合金が多く、ネジのような形をしているスクリュータイプが一般的です。

チタンやチタン合金は金属アレルギーが起こりにくく、生体親和性にも優れているため、トラブルもほとんど起こりません。

また、ネジ状にすることでインプラント体と骨が接触する面積が拡大し、あごの骨と結合しやすくなります。

インプラント体の大きさは直径3〜5mm、長さが6〜18mm程度が目安となっており、あごの状態などに合わせて最適なサイズのインプラント体を選びます。

アバットメント部分

インプラント

アバットメントは、上部構造と本体部分(インプラント体)を結合するためのつなぎの役割>を持つ金属パーツです。

結合したあとはインプラント体および上部構造と一体化し、高さや角度を調節する役割も担う非常に重要なパーツです。

形状も少しずつ異なり、歯肉の厚さやインプラントの埋入角度を考慮して最適なものが使用されます。

後述しますが、アバットメントには「ワンピースタイプ」と「ツーピースタイプ」の2種類があります。

それぞれメリットとデメリットが存在するため、どちらを選ぶかは医師と相談するようにしましょう。

上部構造

上部構造とは人工歯のことで、唯一口腔内で露出するパーツです。インプラントの特徴である審美性を担うパーツですので、セラミック性の丈夫な素材をしています。

また、インプラント治療の段階で他の歯と色味を合わせることができるため、入れ歯やブリッジのように目立ってしまうこともないことが特徴です。

セラミックにもさらに種類があり、具体的には以下のようなものがあります。

  • ジルコニアセラミッククラウン
  • オールセラミッククラウン
  • ハイブリッドセラミッククラウン

それぞれ特徴が異なるため、どの素材を使用するかは医師と相談するようにしましょう。

なお、経年劣化によって徐々にもろくなっていってしまうこともありますが、基本的なケアや定期的な検診を受ければ心配することはないです。

インプラントの構造をタイプ別で紹介

インプラント

ここまで、インプラントの基本構造についてご紹介していきました。前述しましたが、インプラントのパーツのひとつであるアバットメントには2つのタイプがあります。

アバットメントは以下の2タイプに分かれています。

  • ワンピースタイプ
  • ツーピースタイプ

それぞれメリットとデメリットが存在しますので、ここでしっかりと把握して自身に合ったアバットメントを医師に選んでもらいましょう。

ひとつずつご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

ワンピースタイプのインプラント

ワンピースタイプのインプラントは、本体部分とアバットメント部分が一体化しているものです。

ワンピースタイプは以下のようなメリットがあります。

  • 1回の外科手術で済む
  • 費用を抑えられる
  • ツーピースタイプよりも短い治療時間で済む
  • ネジの緩みの心配がなく、強度に優れている

ワンピースタイプのインプラントは、ツーピースタイプよりも費用面や手軽さに優れています。

しかし、以下のようなデメリットも存在しますので注意しましょう。

  • あごの骨に厚みがないと施術できない
  • アバットメントにトラブルが発生した際、インプラントごと外す可能性がある

インプラントにトラブルが発生したとき、大掛かりな手間が発生する可能性が高いことがワンピースタイプのデメリットといえるでしょう。

ツーピースタイプのインプラント

医師と歯科衛生士

ツーピースタイプのインプラントは従来のインプラントのことで、アバットメントと本体部分が分かれているものです。

ツーピースタイプのインプラントには以下のようなメリットがあります。

  • どんな人でも施術ができる
  • 治療経過に合わせて自分に合うアバットメントに変更できる
  • フェイルセーフが設けられている

フェイルセーフとは、上部構造に強い刺激が加わった際、アバットメントのネジが折れることでダメージを吸収する構造のことです。

幅広い人に対応できることと、いざというときに柔軟に対応できることがツーピースタイプのメリットです。

しかし、以下のようなデメリットも存在しますので注意しましょう。

  • 2回の外科手術が必要な場合がある
  • 費用が高くなる
  • 治療時間が長くなる
  • 本体部分と連携しているネジが緩む可能性がある

費用や手術など、様々な負担がかかることがツーピースタイプのデメリットです。

ですが、いざというときには様々な対処ができるため、インプラント装着後も安心して生活したい人はツーピースタイプがいいでしょう。

インプラントは構造部分ごとの材質

案内する女性

インプラントは3つの構造に分かれていますが、それぞれ使用する材質が異なります。

インプラントで使用される材質は安全なものですが、金属アレルギーなどがある場合、反応してしまう可能性もゼロではありません。

どの材質を使うかは医師に相談する必要がありますが、事前にどのような材質のものがあるか知っておくことも大切です。

ここからは、インプラントの構造部分ごとの材質についてご紹介していきます。

本体部分の材質

本体部分は主に純チタンチタン合金の2種類から選択できます。チタンは生体親和性が高く、アレルギー反応を起こしにくい材質としても有名です。

骨との結合性も非常に高いため、インプラント治療には欠かせない材質です。

金属アレルギーがあって、インプラントを入れることに不安があるのであれば、事前に血液検査でパッチテストを行うことでアレルギー反応が出るかどうかの検査ができます。

事前にこうした検査で不安をなくすことが大切ですので、必ず医師に相談するようにしましょう。

また、純チタンやチタン合金の他に、ジルコニア製のインプラントも普及しはじめています。

金属アレルギーが心配される人におすすめの材質で、メタルフリーのインプラントです。

アバットメント部分の材質

アバットメントは他のパーツを比べると材質が豊富で、以下のようなものがあります。

  • 純チタン
  • チタン合金
  • 金合金
  • セラミック

上記の中から選択できますが、本体部分と同じメーカーかつ同じ規格でなければならないという制限があります。

なお、ワンピースタイプのインプラントの場合、アバットメントと本体部分の材質は必ず同じになります。

上部構造の材質

歯医者治療

前述しましたが、上部構造には以下の材質が存在します。

  • ジルコニアセラミック
  • オールセラミック
  • ハイブリッドセラミック

ジルコニアセラミックは人工ダイヤモンドと呼ばれるほど耐久性と審美性に優れており、安全性が高いとされています。

スペースシャトルの耐熱タイルにも使用されるほど、耐久性に定評があります。

オールセラミックはすべてセラミックで、審美性に非常に優れた材質です。変色するリスクはありませんが、耐久性が少し低く、破損しやすいという特徴があります。

ハイブリッドセラミックはプラスチックとセラミックを混ぜたもので、ジルコニアセラミックやハイブリッドセラミックよりも安価に装着できます。

セラミックはアレルギー反応もないため、安心して使用できることがメリットです。

また、歯の食いしばりや歯ぎしりがひどい人には合金製のものが採用されることがありますが、よほどのことがない限りはセラミックになります。

インプラント治療の治療期間

歯医者治療

インプラントの治療期間は3ヶ月から1年程度と、ブリッジや入れ歯といった治療と比べると治療期間が長いです。

各治療の期間の目安は以下の通りです。

  • 入れ歯:1〜4ヶ月程度
  • ブリッジ:2週間〜1ヶ月程度
  • インプラント:3ヶ月〜1年程度

上記からわかるように、インプラントは場合によっては年単位での治療が必要となります。インプラント治療の期間が長い理由は、プロセスの多さにあります。

インプラント治療の多くは、以下の流れで進みます。

  • 治療計画・精密検査
  • インプラント埋入手術
  • アバットメント・上部構造の装着
  • メンテナンス

インプラント治療では、手術をする前に精密検査をして治療計画を立てる必要があります。

骨の状況や健康状態の確認、口腔内模型を取ったりと、やらなければならないことが山積みです。

検査の結果を元に、医師が治療計画を立てたりカウセリングをしたりして、患者と計画のすり合わせや意思の確認を行うため、欠かせない工程です。

患者自身もここで不安を取り除いたり、治療の注意点を細かく確認する必要があります。

治療計画を立て終わったら、インプラント埋入手術に入ります。インプラント手術の多くは1〜2回で終わりますが、人によって変わりますので医師に確認するようにしましょう。

無事に手術が終わったら、最後にメンテナンスが始まります。インプラントを長持ちさせるためにも、定期的に医院に通ってメンテナンスを受けることは非常に大切です。

インプラントを装着した後は、インプラント周囲炎を引き起こす可能性があります。

インプラント周囲炎が起こると歯茎が炎症し、インプラントが不安定な状態になって外れてしまうこともあります。

それを防ぐために、丁寧なブラッシングやデンタルフロス、歯間ブラシなどで口内を清潔に保つことが大切です。

定期的にメンテナンスにも通い、異常がないか確認してもらいましょう。

インプラント治療を受ける際の注意点

歯医者治療

ここまで、インプラント治療の基礎知識ともいえる構造や材質についてご紹介してきました。最後に、インプラント治療を受ける際の注意点についてご紹介していきます。

インプラント治療を受ける際の注意点としては、以下のようなものがあります。

  • 費用が高額になることがある
  • メンテナンスまでしっかりと行うことが重要
  • 転医したときに治療が受けられないことも
  • アレルギーによっては利用できない人もいる

ひとつずつ解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

費用が高額になることがある

前述しましたが、インプラントは一本入れるだけでも400,000円ほどと高額な費用がかかります。自費診療ですので、すべて自分で負担しなければなりません。

また、場合によっては通常の費用だけでなく、追加で費用がかかることもあります。

インプラント治療をする前になにかしらの症状を改善しなければならない場合など、その治療にも費用がかかるため、トータルでいくらかかるのか医師に確認することが大切です。

一度に多額の費用を払うことが難しい場合は、デンタルローンも活用できます。1回の支払い額を減らすことができますので、必要であれば利用してみてください。

メンテナンスまでしっかりと行うことが重要

デンタルケア

こちらも前述しましたが、インプラントは手術をして終わりではありません。インプラントを入れた後も、定期的にメンテナンスに通う必要があります。

メンテナンスを怠ると思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあるため、面倒臭がらずにしっかりと通うようにしましょう。

転院したときに治療が受けられないことも

インプラント治療では、基本的に転院はおすすめできません。決してできないわけではありませんが、最悪の場合、治療を受けられない可能性もあり得るからです。

どうしても転院したいのであれば、転院先の病院に情報を連携したりガイデント保証があるか確認したりするなどして、スムーズに治療が再開できるような工夫をしましょう。

ガイデント保証とは保証機関である「ガイデント」に認定されている歯科医院であれば、転院前の保証が継続されるシステムのことです。

アレルギーによっては利用できない人もいる

インプラント治療は金属アレルギーがある場合、利用できない場合があります。

基本的には事前にパッチテストをしたりアレルギー反応を引き起こしにくい材質のものを使用しますが、どうしても反応してしまう人もいます。

その場合は医師に相談して、他の治療法を検討したり、高額でも他の材質のものを利用するなどの対策を取りましょう。

まとめ

美肌女性

本記事では、インプラントの構造や材質など、基本となる部分について解説していきました。

構造や材質を事前に知っておくことで、トラブルを避けられたり治療の幅が広がったりする可能性があります。

ぜひ本記事を参考に、後悔のないインプラント治療を実現してください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授

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