インプラント

安いインプラントは大丈夫?費用の相場や高額になる理由について解説

安いインプラントは大丈夫?費用の相場や高額になる理由について解説

インプラント治療とは、色々な理由で歯を失った際にその機能と見た目を補うための高度な医療技術です。顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着することで噛み機能や見た目を回復できます。ゆれる入れ歯をインプラントで固定し、安定させることにも使えます。

ただし保険が適用されない自由診療であるため、治療費は1本あたり300,000~500,000円(税込)と高額になりやすい傾向があります。近年は、相場よりも大幅に安い価格を掲げる歯科医院が増えてきました。費用の安さに惹かれる一方で、なぜそこまで安いのか安全性や品質に不安を感じる方も少なくありません。

本記事ではインプラントの平均的な費用相場や費用が高くなる背景、医院ごとの価格差が生じる理由について解説します。治療を検討する際に、知っておきたい選び方のポイントについても触れていきます。

安いインプラントは大丈夫?

電卓

インプラント治療は費用に幅があり、安価だからといって必ずしも危険というわけではありません。実際に、経営努力や仕入れコストの工夫によって費用を抑えている優良な歯科医院も存在します。

しかし費用の安さに惹かれる一方で、なぜそこまで安いのかという点に安全性や品質への不安を感じる方も少なくありません。例えば、以下のようなケースには注意が必要です。

  • CTスキャンなどの精密検査を実施していない
  • 治療設備が簡素で、衛生管理が不十分
  • 担当する歯科医師の経験が乏しい

こうした条件で治療を受けると、インプラントが骨と結合しない場合や、植立位置が悪く上に歯を作りにくい場合があります。炎症や抜去のリスクもあり、治療が失敗する可能性もあるでしょう。

表面上は費用が安く見えても、トラブル対応やメンテナンスが別料金のことがあります。結果として、かえって総費用が高額になる場合もあります。費用面だけでなく、設備や説明の丁寧さも確認が必要です。実績や保証内容についても、事前にしっかりとチェックしておきましょう。

インプラント治療の平均的な相場

お金

インプラント1本あたりの治療費は、おおよそ300,000~500,000円(税込)が一般的な相場です。この金額にはインプラント体や手術費用、アバットメント、被せ物の費用が含まれます。

ただし、口腔の状態によってはCT撮影や血液検査などの追加検査が必要となる場合もあります。そのため、実際の総額は患者さんの口腔状態や治療内容によって大きく異なるため事前の確認が重要です。また、骨が少ない場合は骨の造成の必要もあり得ます。

インプラントの治療費が高額になりやすい理由

歯の模型を持つ美女

インプラント治療は、見た目と機能の両面に優れていますが費用が高額になりやすい治療です。その理由の一つは、健康保険が適用されない自由診療である点です。

設備や術技習得にコストがかかることも、治療費が高くなる一因です。使用する材料の品質や治療期間の長さも費用に大きく影響します。
ここからは、費用が高額になる主な理由を項目別に見ていきます。

保険が適用されない

インプラント治療は歯を失った部分に人工歯根を埋め込み、機能と見た目を回復するための治療法です。しかし、この治療は以下の理由から保険の適用外とされることが一般的です。

  • 全身の健康や生命維持に直結しない治療とみなされている
  • 多くのケースで自由診療扱いとなり、費用は全額自己負担

ただし、以下のような一部の例外では保険適用となる可能性があります。

  • 事故による広範な歯の損失
  • 先天的な歯の欠如や顎の形成異常

ただし、これらも厳格な条件を満たす必要があり保険適用は限定的です。そのため、一般的なケースでは保険が使えず入れ歯やブリッジに比べてインプラントは費用が高くなる傾向があります。

衛生管理ができる専門的な設備が必要

インプラントは外科的な処置を伴うため、高いレベルの衛生管理体制が必要です。安全性の高い治療を行うには、以下のような専用設備の有無が重要なポイントとなります。

  • 手術専用のオペ室:無菌環境での処置が可能
  • クラスB滅菌器:ヨーロッパ基準の高水準な滅菌処理が可能

これらの設備を導入し維持するには高額なコストがかかるため、治療費が高額になる要因の一つになります。医院がどのような設備を備えているかを事前に確認することが重要です。

高度な技術が求められる

インプラント

インプラント治療を正確に行うには、医師の高度な技術と豊富な経験が不可欠です。骨や神経の位置を的確に判断する力も求められます。

高度な技術を持つ医師の確保にはコストがかかるため、それが治療費を押し上げる一因です。

材料費が高い

インプラント治療では、人工歯根や被せ物には高品質な素材が使用されます。なかでも、以下のような素材は費用が高くなる要因になります。

  • チタン製のインプラント体(骨との結合性が高く、生体親和性に優れる)
  • ジルコニア製のクラウン(審美性が高く、耐久性にも優れている)

これらの素材は、安全性や耐久性が重視されており、品質が高いほど費用も増加します。そのため、材料費は治療費全体のなかでも大きな割合を占める要素の一つです。

治療に長い時間がかかる

インプラント治療は綿密な治療計画から手術や治癒期間、被せ物の装着、術後の経過観察に至るまで長期間にわたる工程を含む包括的な医療です。

特に重要なのは、インプラント体と顎の骨がしっかりと結合するオッセオインテグレーション(骨結合)の期間です。個人差はあるものの通常、3〜6ヶ月程度の期間を要します。

骨の質や量が不足している場合は、さらに時間がかかることもありその分治療期間が延びるケースも珍しくありません。治療全体の期間は目安で半年かかり、長い場合は1年を超えることもあります。

その期間中に複数回の通院が必要です。術前検査やシミュレーション、手術の準備や経過確認など多くの工程があります。さらに被せ物の調整までを安全かつ的確に進めるには、医師やスタッフの労力と時間が大きく関わってきます。

こうした工程の積み重ねが、診療報酬や人件費が増加につながり、結果として治療費を押し上げる要因になります。

インプラント費用が歯科医院によって違う理由

健康保険

インプラント治療の費用は、歯科医院ごとに大きく異なることがあります。その理由は、保険が適用されない自由診療であることに加え使用する材料や保証制度が医院によって異なるためです。

設備や立地の条件も違いがあり、治療費に差が生じます。ここでは、そうした違いが費用にどう影響するかについて具体的に解説します。

治療内容が自由診療であるため

インプラントは自由診療のため、使用されるメーカーや仕入れ先の違いが価格に大きく影響します。例えば、以下のような特徴です。

  • 海外製(ストローマンやノーベルバイオケアなど):信頼性が高く実績も豊富だが、価格は高価
  • 国産やジェネリック製品:コストを抑えやすく、安価に提供されやすい

ただし、安価な製品には実績の少なさや部品の入手しづらさなどの懸念があります。会社の規模が小さい場合、インプラント部門を閉鎖してしまい、のちにメンテナンス用の部品が入手できなくなる場合があります。そのため、費用だけでなく品質や将来のメンテナンス性にも注意して選ぶことが重要です。

会社の規模が小さい場合、インプラント部門を閉鎖してしまいのちにメンテナンス用の部品が入手できなくなる場合があり得ます。

歯科医院の治療設備に違いがあるため

インプラントの治療費は、医院の立地や運営コストによっても大きく左右されます。都心部や駅近の商業ビル内にある医院では、家賃や人件費が高くなる傾向です。

その分が治療費に反映される傾向です。こうした費用は、患者が支払う価格に反映されることが一般的です。一方、郊外の医院ではコストを抑えやすく治療費が安くなることもあります。

また、医院がどのような医療設備を導入しているかも費用に影響する重要な要素です。
CTスキャンや専用の手術室などを整備するには、多額の初期投資が必要です。

こうした設備は衛生面や治療の精度を高めるために重要とされています。そのため技術と安全性を重視している反面、治療費が高くなる傾向があります。

保証内容に違いがあるため

領収書

インプラント治療後の保証制度も、費用の違いに関わる大きな要素です。一部の医院では、5〜10年の長期保証やトラブル時の無償再治療などを提供しており、その分費用が高めに設定されています。

一方で、格安をうたう医院では保証がついていない場合もあるため事前に保証内容を十分に確認することが重要です。

インプラント治療を受ける歯科医院の選び方

歯

インプラント治療は高度な技術を要する外科的処置であるため、どの医院で受けるかによって治療の安全性や結果が大きく変わります。見た目や機能の回復だけでなく、長期的な安定性やメンテナンスを見据えることも重要です。

そのため、医院選びでは料金の安さだけで判断せず、設備や説明の丁寧さも含めて慎重に比較することが大切です。医師の実績や保証制度の内容も確認しておくと安心です。

ここでは、信頼できる歯科医院を見極めるために確認しておきたいポイントを紹介します。

設備が整っているか

インプラント治療には、一般的な歯科治療以上に高度な設備が求められます。特に、安全性や精度を確保するためには以下のような設備が重要です。

  • 歯科用CT:骨の厚みや神経の位置を立体的に確認できる
  • 専用のオペ室:清潔な環境で外科処置を行うために必要
  • クラスB滅菌器:ヨーロッパ基準の高レベルな滅菌処理が可能
  • デジタルシミュレーションシステム:インプラントの埋入位置を事前に精密に設計できる

これらの設備が整っている医院は、衛生管理と治療精度の両面で安全性を重視していると判断できます。医院を選ぶ際には、設備の有無も比較検討の重要なポイントです。

治療についての説明が丁寧か

説明

信頼できる歯科医院は、インプラント治療について患者さんが納得できるまで丁寧に説明する姿勢を持っています。特に以下の点に着目して説明を受けることが大切です。

  • 治療の流れや期間を含めて費用やリスクとメンテナンスまで具体的に説明してくれる
  • 専門用語を噛みくだいて、わかりやすく伝えてくれる
  • インプラント以外の治療法(入れ歯やブリッジなど)も公平に紹介してくれる

このような説明がある医院は、患者さん本位の姿勢を重視していると判断できます。一方で、説明が不十分なまま治療を進める医院や質問に明確に答えない医院には注意が必要です。

インプラント治療の経験が豊富か

医師の経験は、インプラント治療の成功率や長期的な安定性に大きく関わります。年間で数十〜数百本の埋入実績がある医師は、技術力が高く信頼に値します。

多様な症例に対応できる可能性があるため、医師の豊富な経験は重要な判断材料です。症例写真や実績が医院のホームページに掲載されているかも確認しましょう。

カウンセリング時には、経験や実績について積極的に確認することが重要です。

難症例の手術に対応しているか

骨量が不足している方や持病のある方など、難症例に対応できる医院は信頼性が高いと判断できます。
例えば骨が不足している場合に行う骨造成やサイナスリフトの対応可否は、重要な判断材料です。

全身疾患のある方や高齢者に対する配慮がなされているかも確認しましょう。トラブル発生時に大学病院などと連携できる体制がある医院もあります。

難症例に対応できる医院は、通常の治療でも安全性が高くなります。さらに、麻酔管理や術後ケアの体制が整っているかについても確認が必要です。

インプラントの費用を安く抑えるポイント

歯のレントゲン

インプラント治療は見た目や噛む機能を自然に回復できる優れた方法ですが、その一方で費用が高額になりやすいという特徴があります。治療費の全額が自己負担となる自由診療とであるため、高度な技術や設備が必要になります。

材料も品質の高いものが使われるため、決して安価な治療とはいえません。しかし、治療前に正しい知識を持ち利用できる制度や支払い方法を把握しておくことで経済的な負担を軽減できる可能性があります。

準備次第で、安心して治療に臨むことも十分に可能です。ここでは、費用を抑えるために知っておきたい現実的な工夫や制度の活用法についてわかりやすく解説します。

保険適用になるケースはある?

通常、インプラント治療は保険適用外の自由診療ですが一部の特例ケースでは保険が適用されることがあります。例えば以下のような条件に該当する場合には、保険適用の可能性があります。

  • 先天的に歯が欠損している場合
  • 病気や事故によって顎の大部分にが欠損している場合

これらの症例は、顎口腔機能の再建が必要と認められた場合に限り、特定の医療機関において保険が適用されることがあります。

ただし、通常の歯の欠損に対する審美目的や咀嚼機能回復を目的としたインプラント治療は対象外のため、事前に歯科医師に詳細を確認しておきましょう。

デンタルローンや医療費控除の活用

高額なインプラント治療費の支払いが難しい場合には、経済的な負担を軽減する制度や支払い方法を活用することで、費用を抑えることが可能です。

主に、以下のような方法があります。

  • デンタルローンの利用:治療費を月々の分割払いで支払うことができる制度です。ローン会社や歯科医院によっては、無利子や低金利のプランが用意されていることもあり、まとまった費用の用意が難しい方にとって有効な選択肢です。
  • 医療費控除の活用:1年間に支払った医療費の合計が10万円または所得の5%を超えた場合、その差額が所得控除の対象になります。確定申告を行うことで、支払った税金の一部が還付される可能性があります。
  • 交通費も控除対象:医療費控除の対象には、治療にかかる費用だけでなく、通院に使用した公共交通機関の交通費も含まれます。タクシー代は、やむを得ない事情がある場合に限り対象です。

これらの制度を正しく理解し、適切に活用することで実質的な費用負担を抑えることが可能です。 確定申告に備えて、領収書や交通費の記録は必ず保管しておきましょう。

まとめ

治療

インプラントは見た目や噛む機能を自然に回復できる優れた治療法ですが、費用の高さや医院ごとの品質の差にも注意が必要です。

費用の安さだけで医院を選ぶと、設備や材料の質に問題がある場合があります。さらに、保証内容が不十分でトラブルにつながるリスクも考えられます。

大切なのは信頼できる歯科医院を見極めたうえで、納得のいく説明と十分な設備や実績を確認して治療を受けることです。 医療費控除やデンタルローンの活用も視野に入れ、インプラント治療を計画的に選択しましょう。

治療後のメンテナンス体制や長期的なフォローの有無も、医院選びの重要な判断材料となります。 将来的なトラブルや再治療のリスクを避けるためにも、初期段階での判断が非常に重要です。不明点を放置せず、事前のカウンセリングで不安や疑問をしっかり解消しておくことも大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
岸 民祐歯科医師(医療法人 Teethプラザ歯科 院長)

岸 民祐歯科医師(医療法人 Teethプラザ歯科 院長)

1981年日本歯科大学新潟歯学部卒業 / 1981年~1983年横浜 有楽歯科勤務 / 1983年広島市西区にて岸歯科医院開業 / 1998年中区へ移転、(医)ティース プラザ歯科開業,現在に至る / 所属協会・資格: / (公社)日本口腔インプラント学会 理事・指導医・認定医 / (公社)日本歯科先端技術研究所 指導医・認定医 / ピエールフォシャールアカデミー国際歯学会 会員 / 昭和歯科大学歯学部 外部講師 / その他:瀋陽医学院(中国) 客員教授 / ティースアート広島店

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