インプラント

インプラントで味がしない問題を解決|インプラントと味覚の関係を解説

インプラントで味がしない問題を解決|インプラントと味覚の関係を解説

食事をしても味がしないと感じることはありませんか?味がしないと感じるのにはさまざまな原因が考えられますが、インプラント治療によって解決できるかもしれません。
本記事では味がしない問題をインプラントで解決できるのかについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 味がしないと感じる原因
  • インプラントで味がしない問題を解決できるのか
  • インプラント治療後に味がしないと感じる原因

味がしない問題をインプラントで解決できるのかついて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

味がしないと感じる原因

味がしないと感じる原因

味がしないと感じる原因にはどのようなことがあるのでしょうか。以下に解説します。

入れ歯やブリッジの使用が原因で味がしない可能性

入れ歯やブリッジは、人工的な構造物として口腔内に装着されるため、味覚の感知に影響を及ぼすことがあります。上顎に装着される入れ歯は、口蓋を覆うことがあり、口蓋に存在する味蕾が遮られてしまいます。このため、食べ物の味や温度を感じにくくなることがあります。

また、入れ歯は舌の動きが抑えられ、食べ物が舌全体に均等に接触しにくくなることも、味覚の低下を引き起こす要因となります。

さらに、入れ歯やブリッジを装着すると唾液の分泌量が減少し、口腔内が乾燥しやすくなり、味覚に影響を与えます。唾液は食べ物の味物質を溶かして味蕾に届ける役割を果たしているため、唾液の不足は味覚の低下に直結します。

これらの要因が組み合わさり、入れ歯やブリッジを使用している方が、味を感じにくくなることがあります。

噛み合わせが原因で味がしない可能性

噛み合わせの問題は、味覚に影響を与えることがあります。

食事をするとき、正しい噛み合わせが重要な役割を果たしていますが、噛み合わせがずれていると、食べ物を十分に噛めず、舌全体に食べ物が接触しないことが原因で、味がしっかり感じられなくなることがあります。

なかでも、食べ物が均等に舌に触れることが妨げられると、味蕾に十分な刺激が伝わらず、結果的に味がしないと感じることがあります。

噛み合わせが悪い場合、顎や歯に過度な負担がかかり、顎関節症などの症状が現れることが原因で唾液の分泌が減少し、口腔内が乾燥します。唾液は食べ物の味を溶かして味蕾に伝える重要な役割を担っているため、唾液が不足すると味覚低下の一因となります。

加齢によって味覚が変化した可能性

加齢に伴い、味覚が変化する現象はよく見られます。なかでも、高齢者の場合に塩味や甘味の感覚が低下しやすいとされています。これは加齢により味を感知する味蕾が減少し、唾液の分泌が減ることが主な原因です。

味蕾は舌や口腔内に存在し、食べ物の味を感じる細胞ですが、年齢を重ねるとその数が減少し、味覚が鈍くなる傾向があります。また、唾液が少なくなることで食べ物の味成分が味蕾に届きにくくなり、結果として味が感じにくくなります。

さらに、糖尿病や腎臓病などの病気や薬の副作用も味覚に影響を与える可能性があります。これらの疾患では、体内の亜鉛不足が進行し、味覚障害を引き起こすことがあります。

その他の可能性

味がしないと感じるその他の原因として、以下の要素が考えられます。

  • 栄養不足
    亜鉛は、味覚を感知する味蕾の新陳代謝に必要不可欠な成分です。亜鉛不足が進むと、味細胞が再生しにくくなり、味を感じにくくなる可能性があります。食生活の偏りや極端なダイエットが亜鉛不足を引き起こし、結果として味覚障害を招くことがあります。
  • 薬の副作用
    薬の副作用も味覚に影響を与える大きな要因です。降圧剤や抗がん剤、抗うつ薬など、長期にわたり複数の薬を服用している方は、味覚に影響が出る可能性があります。薬の副作用による味覚障害は、服薬の中止や変更で回復するケースが多いようですが、医師との相談が必要です。
  • ストレスや病気
    味覚に大きな影響を与えます。ストレスが長期間続くと、自律神経のバランスが崩れ、味覚の感知が鈍くなることがあります。また、糖尿病や腎臓病、シェーグレン症候群などの病気に伴う唾液の分泌低下も、味覚障害を引き起こす要因の一つです。

インプラントで味がしない問題を解決できる?

インプラントで味がしない問題を解決できる?

インプラント治療は、味覚に直接影響を与えることは少ないといわれていますが、入れ歯に比べて味覚を感じやすくする可能性があります。

先程ご紹介したとおり、入れ歯の場合は味を感じる味蕾が隠れてしまうことが多く、その結果、味覚が鈍くなることがあります。

また、入れ歯による噛み合わせの不調や、食べ物を十分に噛み砕けないことも、味覚低下の原因となります。入れ歯を装着すると唾液の分泌が減少し、これがさらに味覚低下に拍車をかけることも少なくありません。

一方、インプラントは顎の骨に直接埋め込むため、入れ歯のように上顎や舌を覆わず、味蕾への影響がありません。そのため入れ歯と比較して、食事中の味覚が自然に感じられるようになります。

インプラントは噛む力をしっかりと支えるため、食べ物をしっかり噛めるので、味をより感じやすくなる利点もあります。食べ物の温度や質感がしっかりと感じられるため、入れ歯を使用していた際に感じていた味覚の鈍さの改善が期待されます。

インプラントと味覚の関係性

インプラントと味覚の関係性

インプラントと味覚にはどのような関係性があるのでしょうか。以下に解説します。

インプラント治療とは

インプラント治療とは、顎骨にインプラント体を埋め込み、上部構造を装着する治療法です。インプラント治療は、従来の入れ歯やブリッジとは異なり、歯根も再現するため、歯全体の機能性や審美性を回復できることが特徴です。

インプラントはほかの健康な歯を削らずに独立して歯を補うため、周囲の歯に負担をかけないメリットもあります。

しかし、インプラント治療には外科手術が必要であり、治療期間が長く、費用が高額になるデメリットもあります。さらに、手術後にはメンテナンスが欠かせず、適切なケアを怠ると細菌感染などによるトラブルが発生する可能性があります。

インプラント治療は、入れ歯やブリッジに比べ、咀嚼機能や噛み心地、見た目の自然さを取り戻すための効果的な選択肢ですが、治療を選ぶ際にはメリット・デメリットをよく理解したうえで進めることが大切です。

インプラントの構造について

インプラント治療は、主に3つの部位から構成されています。

  • ①インプラント体
    これは顎の骨に埋め込まれ、天然の歯の根の代わりをする部分です。チタンやチタン合金が素材として使用され、骨との結合性が高く、腐食しにくい特徴があります。ネジ状の形をしており、安定性を確保する設計です。
  • ②アバットメント
    インプラント体と人工の歯(上部構造)を連結する役割を果たします。歯肉の厚さや噛み合わせに応じて高さを調節し、適切な形状を選びます。
  • ③上部構造(被せ物)
    これは人工の歯としての機能を果たす部分です。見た目が自然で、噛む際の力に耐えるような強度を持つ素材が使われています。インプラント体とアバットメントがしっかりと結合し、安定した咀嚼機能を提供するため、入れ歯やブリッジとは異なる独特の構造を持っています。

インプラントに使用される材質

インプラント治療で使用される材質には、主にチタン、チタン合金、ジルコニア、セラミックなどが挙げられます。

インプラント体は、顎の骨と結合するため、強度と生体親和性の高いチタンやチタン合金が用いられます。これらはアレルギー反応が少なく、長期間の安定性が期待できる素材です。

また、アバットメント(インプラントと上部構造をつなぐ部分)には、チタン以外にもセラミックやジルコニアが使用されます。これらの素材は、金属アレルギーの方におすすめとされており、見た目の美しさや審美性が魅力です。

上部構造の部分には、自然な白さと透明感を再現するため、セラミックやジルコニアが推奨されます。これらの素材は、むし歯の再発を防ぐ効果や汚れがつきにくい特性があり、見た目の美しさも維持できます。

インプラント治療後に味がしないと感じる原因

インプラント治療後に味がしないと感じる原因

インプラントの治療後に味がしないと感じることがあるようですが、それはなぜでしょうか。以下に解説します。

一時的な炎症や腫れ

インプラント手術後の炎症や腫れによってに味がしないと感じることがあります。

インプラントを顎の骨に埋め込む際に行われる外科手術では、歯茎を切開するため、術後に周囲の組織が一時的に腫れることがあります。この腫れや炎症が味覚に影響を与え、感覚が鈍くなる場合があります。

また、手術時に使用される局所麻酔も、一時的に舌や口内の感覚を鈍らせ、味覚に影響を及ぼす場合があります。

これらの影響はあくまで一時的なものであり、時間の経過とともに腫れが引くとともに、味覚も徐々に回復します。もし治療後に味覚の変化が気になる場合は、担当の歯科医に相談し、適切なアフターケアを受けるとよいでしょう。

麻酔など薬剤の使用

インプラント治療後に味がしないと感じることがあるのは、手術で使用される麻酔や薬剤も原因となることがあります。

インプラント手術では、局所麻酔が使用されるため、術後に麻酔が切れるまでの間、口内の感覚が鈍くなり、味を感じにくくなることがあります。また、術後に処方される抗生物質や鎮痛剤も、味覚に一時的な影響を与える場合があります。

これらの影響は一過性のもので、薬の効果が切れるとともに、徐々に元の味覚が戻って来ることが多いようです。治療後の味覚変化に不安がある場合は、担当の歯科医に相談しましょう。適切な対処法を確認するのが重要なポイントです。

違和感や心理的要因

インプラント治療後に味がしないと感じる場合、手術後の違和感や心理的な要因が関係していることがあります。治療では、外科的手術を伴うため、術後の口腔内に異物感や違和感を覚えることがあり、これが味覚に影響を与えることがあります。

また、インプラント手術自体への不安やストレスが、食事をする際の感覚に影響を与え、味を感じにくくさせることもあります。

これらの違和感や心理的な要因による味覚の変化は一時的なものが多く、インプラントが安定してくるとともに改善されることが多いようです。

もし、術後も長期間にわたって味覚の違和感が続く場合は、担当医に相談しましょう。適切なアフターケアを受けることで不安を和らげ、より快適に食事を楽しめるようになるでしょう。

噛み具合の変化

インプラント治療後に味がしないと感じる原因の一つに、噛み具合の変化があります。インプラントは天然歯と異なり、歯根膜がないため、噛む力の微妙な調整ができなくなることがあります。

歯根膜は、噛む際の衝撃を吸収し、力の調整を行うクッションの役割を果たしていますが、インプラントではこれが欠けているため、常に強く噛みすぎてしまう傾向があります。

このため、噛み心地や食べ物の感覚に違和感を覚えることがあり、結果として味覚に影響を与えることがあります。

こうした噛み具合の違いは、時間の経過とともに慣れてくる場合が多いとされていますが、インプラント治療後に噛み合わせに問題を感じた場合は、歯科医に相談し、必要に応じて調整を受けることが大切です。

神経損傷

インプラント治療では、まれに手術時に神経が損傷されることがあります。なかでも、下顎のインプラント手術では、下歯槽神経に注意が必要です。下歯槽神経や舌神経が損傷すると、口内の一部で感覚が鈍くなったり、舌の感覚や味覚に変化を感じることがあります。

ただし、神経損傷が発生するリスクは低く、経験豊富な歯科医が適切な技術を用いればリスクを少なく抑えられるとされ、神経損傷が起こった場合でも、時間とともに回復するケースが多いようです。

まとめ

まとめ

ここまで味がしない問題をインプラントで解決できるのかについてお伝えしてきました。
味がしない問題をインプラントで解決できるのかの要点をまとめると以下のとおりです。

  • 味がしないと感じる原因には、入れ歯やブリッジの使用、噛み合わせの問題、加齢による味覚の変化、栄養不足、薬の副作用、ストレスや病気などが挙げられる
  • インプラントは顎骨に直接埋め込む歯の根の役割をするものであり、上顎や舌を覆わないため、味蕾への影響がなく、入れ歯に比べて味覚を感じやすくする可能性がある
  • インプラント治療後に味がしないと感じる原因には、一時的な炎症や腫れ、麻酔などの薬剤の使用、違和感や心理的要因、噛み具合の変化、神経損傷が挙げられる

インプラントと味覚には深い関係があります。味がしないと悩んでいる方は歯科医に相談しましょう。インプラント治療を取り入れることによって改善できるかもしれません。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
大津 雄人医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

大津 雄人医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

東京歯科大学歯学部 卒業 / 東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔インプラント学) 卒業 / 現在は大津歯科医院勤務 / 東京歯科大学インプラント科臨床講師 / 専門は口腔インプラント

記事をもっと見る

RELATED

PAGE TOP

電話コンシェルジュ専用番号

電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。

受付時間 平日:9時~18時
お電話でご案内できます!
0120-022-340