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歯が欠けた時の対処法は?痛い、しみるなどのトラブルが起こったら

歯が欠けた時の対処法は?痛い、しみるなどのトラブルが起こったら

転んでひざを擦りむいたり、料理中に指を切ってしまったりしても、それほど慌てる人はいません。なぜなら皮膚の外傷は自然に治癒するからです。

一方、歯が欠けたり、折れたりするような外傷は自然に治ることがないため、焦ってしまうことでしょう。ここではそんな歯が欠けた時の対処法について詳しく解説します。

歯が欠けてしまう原因

歯が欠けてしまう原因について教えてください。
歯が欠ける主な原因は、外傷です。スポーツや遊びの最中に歯をぶつけた、転倒した時に顔面を強打した、といったシチュエーションでは歯が欠けやすいです。私たちの歯は、エナメル質というとても硬い組織に覆われてはいるものの、極端に強い衝撃が加われば簡単に欠けてしまうのです。とくに、むし歯や酸蝕症(さんしょくしょう)で歯がもともと脆くなっている場合は、欠けるリスクも高くなっているため十分な注意が必要です。
むし歯でないのに歯が欠けてしまう原因はなんですか?
歯の強度・耐久性を超えた衝撃が加わることです。どんなに健康な歯でも、転倒した際、地面に打ち付けられれば、容易に欠けてしまいます。歯ぎしりや食いしばりの習慣がある場合も歯が欠けることがあります。歯ぎしりは、エナメル質とエナメル質という硬いもの同士が強く接触する行為なので、お互いを損傷しても何ら不思議なことではありません。

歯が欠けた時の対処法

歯が欠けた時の対処法

歯が欠けて痛みがあるのですがどうすれば良いですか?
歯が欠けて痛みがある場合は、一刻も早く歯科を受診してください。かかりつけの歯科医が休みの場合は、それ以外の歯科医院でも構いません。歯が欠けて痛みがあるということは、歯の神経が露出していたり、歯根が折れていたりする可能性があります。その原因が外傷である場合は、歯以外の部位にも何らかの異常が生じている可能性もあるため、放置することだけは避けましょう。
歯が欠けましたが痛みがありません。放置しても問題ないでしょうか?
歯は再生することがない組織なので、欠けた状態で放置することはNGです。歯が欠けた部分は、傷口と同じような状態になっていることから、早期に適切な処置を受ける必要があります。それは痛みがない場合も同じです。ですから、歯が欠けたらまず以下のような応急処置をとった上で、歯科医院への受診を検討しましょう。

【歯が欠けた時の応急処置】
・欠けた歯は保存する
欠けた歯は、治療によって元に戻せる場合があります。欠けた部分を治療するのであれば、レジンやセラミックより、天然の歯質の方が予後も良くなりやすいことから、欠けた歯は捨てずに保存しておきましょう。

・欠けた部分に刺激を加えない
歯が欠けた部分を必要以上に舌でなめたり、指で触ったりするようなことは避けてください。歯が欠けた部分は、傷口と同じで感染するリスクがあります。また、歯が欠けた部分で硬いものを噛むと、歯質がさらに損傷するおそれがあることから、別の部分でそしゃくするようにしましょう。

・口腔衛生状態は良好に保つ
歯が欠けた後は、普段以上に口腔ケアを徹底しましょう。口腔衛生状態が悪くなると、歯が欠けた部分のむし歯リスクが大きく上昇します。だからといって歯が欠けた部分を執拗にブラッシングしてはいけません。歯が欠けた部分は健全な歯質より脆くなっているからです。やわらかい歯ブラシを使って優しくブラッシングしてください。

歯が欠けた箇所を放置しているとどのような問題がありますか?
歯が欠けたまま放置していると次に挙げるような問題が起こりやすくなるため、十分な注意が必要です。

問題1:むし歯になる
私たちの歯は、外側をエナメル質、内側は象牙質で覆われています。エナメル質は象牙質よりもむし歯菌への抵抗力が高く、健全な状態であればそう簡単に溶かされることはありません。歯が欠けた状態は、エナメル質の弱い部分がむき出しとなっています。歯の欠け方によっては、象牙質まで露出していることでしょう。その状態ではいつむし歯菌に感染してもおかしくないため、放置するのだけはやめましょう。歯の神経に近い部分が欠けた場合には、根管治療が必要となる可能性も高まります。

問題2:歯がさらに欠ける
歯が欠けた部分は、外からの力に対しても弱くなっています。少し硬いものを噛んだだけでも、歯がさらに欠けてしまうことも珍しくありません。その結果、歯の状態もさらに悪くなってしまいます。

問題3:痛みなどの症状が強くなる
歯が欠けた時に痛みがなくても、放置していると歯がしみるようになるかもしれません。もともと痛みがあった場合は、その症状が強くなっていくことでしょう。皮膚への外傷とは異なり、歯の外傷は自然に治ることはなく、痛みなどの症状は悪くなる一方です。

歯が欠けてしまったときの治療法

歯が欠けてしまったときの治療法

歯が小さく欠けた場合の治療法について教えてください。
歯が小さく欠けた場合は、比較的簡単に治療できます。最も簡便な治療法は、コンポジットによる修復です。歯の色や形の良さを追求したい場合は、ラミネートベニアという選択肢もあります。

・コンポジットレジン
歯が欠けた部分に直接盛り付けて光で固める歯科用プラスチックです。受診したその日に治療が完了するだけではなく、保険が適用されるため、費用を安く抑えられます。ただし、レジンは経年的な摩耗や変色が起こりやすい材料なので、審美性や耐久性を追求する人にはあまり向いていないといえます。

・ラミネートベニア
セラミック製のチップを歯の表面に貼り付ける治療法です。見た目をきれいに仕上げられます。保険が適用されない、即日治療を終えることができない、といった点はコンポジットレジンに劣りますが、審美性の高さを追求できる点が魅力的です。

歯が中くらい欠けた場合の治療法について教えてください。
歯の欠けが中等度の場合は、インレーと呼ばれる詰め物で治療します。保険診療のインレーでは銀歯かレジンを使うことになりますが、自費診療の場合はセラミックやジルコニア、ゴールドなどを自由に選択できます。詰め物の製作では歯型取りや模型の製作が必要となるため、その日に治療を終えることは難しいです。自費のセラミック治療では、一部で即日、処置を完了できる方法もあります。
歯が大きく欠けた場合の治療法について教えてください。
歯の欠けが大きい場合は、被せ物治療や根管治療、抜歯などで対応します。

・被せ物治療
クラウンと呼ばれる装置を歯が欠けた部分に被せます。インレーと同じく、自費診療であればセラミックなどを選択することが可能です。

・根管治療
歯が大きく欠けて神経が露出してしまっている場合は、根管治療を行わなければなりません。歯の神経を抜いた上で根管内を無菌化し、薬剤を充填します。最終的には被せ物治療を行います。

・抜歯
歯の欠けが大きく、その歯を保存することが難しい場合は、抜歯が適応されます。歯を抜いた後は、インプラントやブリッジ、入れ歯といった補綴装置(ほてつそうち)を装着します。

歯が破折した場合の治療法について教えてください。
歯が破折して保存が難しい場合は、インプラント・ブリッジ・入れ歯のいずれかで治療することになります。

・インプラント
顎の骨にチタン製の人工歯根を埋めて、人工歯根を装着する治療法です。失った歯を歯根から回復できます。

・ブリッジ
失った歯の両隣の歯を削って、ブリッジと呼ばれる装置を装着する治療法です。固定式の装置で安定性や機能性は高いものの、健康な歯を犠牲にしなければならない点は大きなデメリットといえます。

・入れ歯
入れ歯は、着脱式の装置です。失った歯を人工歯と義歯床(ぎししょう)、クラスプからなる装置で補います。見た目はあまり良くありませんが、保険が適用される、壊れた時の修理がしやすい、健康な歯を犠牲にする必要がない、外科手術が不要、といったメリットがあります。

編集部まとめ

今回は、歯が欠けた時の対処法について解説しました。歯が欠けた時は、症状によって治療法が大きく異なります。いずれにしても歯が欠けた時点で必ず歯科を受診するようにしましょう。歯が欠けた時に痛みがなかったとしても、放置することだけは避けてください。歯が欠けた状態をそのままにしていると、さらに深刻な症状へと発展しかねないため注意が必要です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

長崎大学歯学部卒業 愛知学院大学大学院歯学研究科修了 愛知学院大学歯学部歯周病学講座講師(2020年3月まで) 愛知学院大学歯学部歯周病学講座非常勤講師 ひしかわ歯科 院長

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菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

長崎大学歯学部卒業 愛知学院大学大学院歯学研究科修了 愛知学院大学歯学部歯周病学講座講師(2020年3月まで) 愛知学院大学歯学部歯周病学講座非常勤講師 ひしかわ歯科 院長

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