インプラント

インプラントの抜歯後に食事で注意すべきことは?日常の過ごし方を解説

インプラントの抜歯後に食事で注意すべきことは?日常の過ごし方を解説

インプラントでは、人工歯根を埋め込む手術を行う前に、抜歯が必要となる場合があります。抜歯となると、まず不安に感じるのが食事ではないでしょうか。インプラント治療による抜歯後にはどのような注意点があるのか。また、日常生活の過ごし方で食事以外にも注意しなければならない点があるのか。このコラムではそうした疑問にお答えします。これからインプラント手術を受けるための抜歯を控えている人やもうすでに歯を抜いた人は参考にしてみてください。

インプラント治療による抜歯後の食事について

はじめに、インプラント治療による抜歯後の食事について解説します。

インプラント治療による抜歯後はいつから食事できますか?
インプラント治療による抜歯後の食事は、麻酔が完全に切れてから可能になります。通常、麻酔が切れるまでの時間は2~4時間程度です。麻酔が効いている間に食事をすると、誤って舌や頬を噛んでしまう危険があるため、注意が必要です。また、抜歯後初めての食事はやわらかいものを選び、傷口に負担をかけないようにしましょう。術後の適切な食事管理が、インプラント治療の成功につながります。
抜歯後の食事で避けた方がいい食べ物はありますか?
抜歯後に避けるべき食べ物は、下記のものとなります。まずは、熱いものや冷たいものです。これらは、傷口に刺激を与え、治癒を遅らせる可能性があります。酸っぱいものや辛いものも同様に刺激が強いため、痛みや炎症を引き起こすことがあるので避けるべきです。また、粘着性のあるものは、傷口に付着しやすく、清潔な状態を保つのが難しくなる可能性があります。また、アルコール類は血行を促進し、出血を引き起こすリスクがあります。インプラント治療後の回復のため、これらの食品はできる限り避けましょう。
抜歯後に適した食べ物について教えてください
抜歯後には、やわらかくて消化によい食べ物を選ぶことが重要です。例えば、豆腐は、噛む力が弱まっている患者さんにも適しています。うどんやおかゆもやわらかくて消化しやすく、胃に優しい食材です。リゾットはお米と具材が混ざり合い、栄養バランスも良好です。茶碗蒸しは卵を使った蒸し料理で、滑らかな食感が特徴です。ヨーグルトやゼリー飲料は、口あたりがよく、簡単に摂取できるため、手軽な栄養補給に適しています。これらの食品を中心に、抜歯後の食事を工夫することで、早期の回復をサポートします。
その他に食事のときに注意すべきことはありますか?
インプラントの抜歯後の食事では、次の点にも注意する必要があります。まず、食べ物は抜歯をした反対側の歯で噛むようにしましょう。これにより、傷口への負担を軽減し、回復を促進します。また、傷口を舌や指で刺激しないように注意してください。傷口に触れることで感染リスクが高まり、治癒が遅れる可能性があります。ほかにも、抜歯の穴に物が詰まっても自分で爪楊枝などで無理やり取ろうとすると感染の恐れや出血してくる原因になるため、やめましょう。

これらの注意点を守ることで、インプラント治療後の回復をスムーズに進めることができます。

インプラント治療による抜歯後の食事以外の過ごし方について

インプラント治療による抜歯後の食事以外の過ごし方について 次に、インプラントの抜歯後の過ごし方で、食事以外の注意点を解説します。

抜歯後の歯磨きで気をつけることはありますか?
抜歯後の歯磨きには、いくつかの注意点があります。まず、傷口に触れないように注意しながら歯磨きを行いましょう。これにより、傷口の刺激や感染を防ぎます。また、傷があるからといって歯磨きを怠らないことも重要です。口腔内を清潔に保つことで、治癒を促進します。しかし、ブクブクうがいは強くしないようにしましょう。強いうがいは、傷口の血餅を剥がしてしまい、治癒を遅らせる原因となります。
治療を行った後、いつから入浴可能か教えてください
インプラントの抜歯後、当日は湯船に浸かるのは避けてください。熱いお風呂は血行を促進し、出血を引き起こす可能性があります。ただし、シャワーでの軽い洗浄は問題ありません。翌日以降は、傷口の状態を確認しながら入浴を再開できますが、低い温度の湯船に浸かるようにしましょう。これにより、体への負担を軽減し、回復を促進します。決して無理はせず、体調を見ながら徐々に通常の入浴習慣に戻すことが大切です。
抜歯後すぐの運動は問題ありませんか?
インプラントの抜歯後すぐの運動は避けるべきです。特に、激しいスポーツやランニング、重いものを持つなどの運動は、抜歯から少なくとも1週間程度経過してから再開するのが望ましいです。運動を早く始めると、血圧があがり出血のリスクが高まる可能性が出てきます。また、傷口の治癒が遅れることもあります。抜歯後は体を安静に保ち、無理をしないように注意しましょう。運動を再開する際は、徐々に負荷を増やし、体調と相談しながら進めることが大切です。
抜歯後の飲酒や喫煙は可能ですか?
抜歯後すぐの飲酒や喫煙は避けるべきです。飲酒は血行を促進し、出血や腫れを引き起こす可能性があります。また、喫煙は血流を妨げ、傷口の治癒を遅らせる原因となります。特に喫煙は、感染リスクを高め、インプラントの成功率を低下させるため、抜歯後も引き続き禁煙するのが望ましいです。

インプラント治療の抜歯後に注意すべき症状

インプラント治療の抜歯後に注意すべき症状

抜歯後に注意が必要な症状を教えてください
次に挙げる4つの症状は注意が必要です。

◎痛み止めを飲んでも改善されない痛みがある
インプラントの抜歯後、通常の痛み止めで改善されない激しい痛みが続く場合、感染やほかの合併症が疑われます。このような場合は、すぐに歯科医院に連絡して診察を受けることが重要です。

◎薬が原因で下痢や湿疹の症状が出た
抗生物質や痛み止めなどの薬を服用した後に下痢や湿疹が出る場合、アレルギー反応や薬の副作用が考えられます。薬の服用を中止したうえで、歯科医師に相談してください。また、こうしたトラブルを避けるためにも、特定の薬にアレルギーなどがある場合は、インプラントの抜歯を行う前に自己申告しておくことが重要です。

◎下唇がしびれる
抜歯後に下唇がしびれる場合、神経が損傷している可能性があります。この場合、味覚が感じられなくなる可能性もあります。もし、しびれが数日間続く場合や悪化する場合は、早急に歯科医師に相談してください。仮に神経の損傷によるしびれであったとしても、必ず後遺症が残るわけではありません。下顎の抜歯で起こりやすい下歯槽神経の損傷による下唇のしびれは、時間の経過とともに自然治癒するケースも多々あります。とはいえ、まずは主治医に相談して意見を求めることが重要です。

◎鼻から出血したり膿が出たりする
インプラントの抜歯後、鼻から出血や膿が出る場合、副鼻腔への影響が疑われます。これらの症状が現れた場合は、ただちに歯科医師の診察を受け、適切な治療を受けることが必要です。こうした症状は、患者さんの対応だけでよくなることは少ないため、自己判断で様子を見ることは避けてください。医療機関での対処が遅れると、より深刻なトラブルへと発展しかねないことから十分な注意が必要です。

症状がでたときの対処法を教えてください
インプラントの抜歯後に異常な症状が出た場合は、まず主治医に連絡して指示を仰ぐことが重要です。激しい痛みや薬の副作用、過度のよだれ、下唇のしびれ、鼻からの出血や膿などの症状が現れた場合、放置せずに早急に対応することが必要です。

主治医に連絡した際は、具体的な症状や経過を詳しく伝えるようにしましょう。必要に応じて、主治医から指示された応急処置を行い、早急に歯科を受診して適切な治療を受けることが大切です。特に、痛みが強い場合や出血が止まらない場合は、緊急の対応が求められることがあります。

患者さんは、自己判断での処置を避け、必ず歯科医師の指示に従って行動することで、インプラント治療の成功と安全な回復を確保することができます。適切な対応を行い、健康な状態を維持しましょう。

編集部まとめ

今回は、インプラント治療の抜歯後の食事で注意すべきことや日常生活の過ごし方について解説しました。抜歯後は、口腔内に大きな傷を負っている状態なので、傷口を刺激しないような食事のとり方、生活の過ごし方を意識する必要があります。それでも抜歯をした部分に強い痛みが生じたり、膿が出てきたりする場合があるため、治療後の経過はしっかり観察するようにしましょう。本文でも紹介した症状が認められた場合は、何よりもまず主治医に連絡をして、指示を仰ぐことが大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

記事をもっと見る

RELATED

PAGE TOP

電話コンシェルジュ専用番号

電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。

受付時間 平日:9時~18時
お電話でご案内できます!
0120-022-340