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インプラントにしたら老後はどうなる?知っておきたい「これからのこと」

インプラントにしたら老後はどうなる?知っておきたい「これからのこと」

歯を失ってしまった場合の治療方法は、ブリッジ、入れ歯、インプラントといった選択肢があります。中でも近年、歯科医療技術の進歩によって普及している「インプラント治療」は、歯を失った患者にとって画期的な解決策となりました。
しかし、老後のライフスタイルや健康状態を考えると、どの治療を選択するかは慎重になることでしょう。この記事では、インプラント治療のメリットや老後に関する疑問、インプラント以外の治療との比較について詳しく解説します。

「インプラントにしたら老後に後悔する」説は本当か

「インプラントにしたら老後に後悔する」説は本当か インターネットでは、一部で「インプラントをすると老後に後悔する」という説が出回っているようですが、果たして本当なのでしょうか。また、なぜそういわれているのでしょうか。 ここでは、老後の生活を想定しながら、寝たきりになった時のリスクやMRI検査への影響について紹介します。治療の選択肢として、正確な情報を知っておきましょう。

インプラントは寝たきりになった時に困ると聞いたことがあります。本当ですか。
寝たきりや認知症になると、歯科医院への通院が難しくなってしまう傾向にあります。 インプラントでは適切なケアや定期的なメンテナンスを受けられなかった場合、インプラント周囲炎になるリスクが高くなります。インプラント周囲炎を発症すると、顎の骨が溶けてインプラントのぐらつきにつながります。特に高齢になると、口腔内の免疫力が低下するため、炎症が慢性化しやすくなるのです。インプラントを取らなければならないほど炎症が悪化してしまうと、専門の設備が整った歯科医院でインプラントを撤去する必要が出てきてしまいます。そうなると、訪問歯科での対応が難しくなり、処置が受けられないケースもあります。

ただし、老後も適切な歯科治療が必要なのは、インプラントに限った話ではなく、そのほかの治療についても同様です。虫歯や歯周病、その他の疾患にかかりやすくなるため、こまめなケアが必要とされます。

インプラントはMRIが受けられないと聞きました。本当ですか。
インプラントがチタン製であれば、通常のMRI検査には影響がありません。ただし、インプラントオーバーデンチャーの場合は、MRI検査に支障をきたす可能性があります。インプラントオーバーデンチャーとは、残存歯やインプラントに入れ歯を装着するような形の治療です。入れ歯に磁石を用いることが一般的なため、MRI検査を予定している場合は、事前に歯科医と相談すると良いでしょう。

こうみると、「インプラントで老後に後悔する」というの必ずしも正しいとはいえないでしょう。

インプラントは老後のメリットも多い

インプラントは老後のメリットも多い インプラント治療は、歯の健康と見た目の美しさを取り戻すための画期的な方法として、多くの人に利用されています。咀嚼のしやすさや自然な見た目など、機能面や審美面での効果は、むしろ老後に良い影響を与えるといえるでしょう。インプラント治療が老後の生活にもたらすメリットとはどのようなものか、みていきます。

インプラントは若々しい印象になると聞きました。なぜですか。
歯茎に被せる入れ歯と違い、骨に打ち込むような形のインプラントは、しっかりと顎の骨に結合されることで、骨の密度を維持する効果があり、骨が痩せにくくなります。これにより、若々しい見た目を保つことにつながります。自分の歯のように自然に噛めることで顎の骨に刺激が与えられ、骨密度の低下を防ぐ効果が期待できるとともに、普段の食事や会話も自然に行えることで生活の質も向上し、若々しい印象につながります。
インプラントはどのようなケアが必要ですか。老後も自分でケアできるでしょうか。
インプラントは、ブラッシングやフロスといった、自分の歯と同じようなケアが可能です。入れ歯と違い、取り外しの必要はありません。そのため、入れ歯のように紛失する恐れがないことや入れ歯自体の手入れが必要ないこともメリットです。また、インプラントは定期的な歯科検診や適切な口腔ケアを行えば、長期間使用できます
インプラントは認知症予防の効果があると聞きました。なぜですか
インプラントは、自分の歯と同じようにしっかり噛めることで脳が刺激され、認知症の予防につながると考えられています。

インプラントは老後になってからではできないことも

インプラントにすることで、老後にさまざまなメリットがあることが分かりました。では、実際にインプラント治療を始める年齢には、向き不向きはあるのでしょうか。 ここでは、高齢になってからインプラント手術を受けられるのかどうか、解説します。

年を取ってからインプラント手術を受けることはできますか。
高齢になってからのインプラント手術は理論的には可能ですが、骨粗しょう症や重度の病気が進行している場合、手術が困難になる可能性があります。 特に、骨粗しょう症や重度の糖尿病の患者の場合は、手術の成功率が低下し、合併症など手術のリスクが増加する可能性があります。またインプラント治療は外科手術となります。高齢になると体力や回復力も低下していくため、インプラント手術が身体に与える負担も大きくなることが懸念されます。慎重な検討が必要となるでしょう。
インプラントは高額だと聞きました。なるべく負担を抑えたいです。
インプラント治療は自費診療のため、歯科医院によって幅もありますが、1本で30~40万円程度かかる、高額な治療です。 ただ、医療費控除の対象になるほか、治療費の支払いにデンタルローンを利用することも可能です。ただし、デンタルローンの多くには年齢制限があります。そのため、高齢になってからの治療では、デンタルローンが利用できない場合もあるでしょう。

高齢になってからインプラント治療を始めるにあたってのリスクや費用問題を考えると、せっかくするのなら、早めに行ったほうが良いとも言えるでしょう。

インプラント治療以外との比較

歯が欠損してしまった場合の治療法としては、インプラント以外にも選択肢があります。それらのメリットやデメリット、入れ歯からの切り替えが可能かも含めて紹介します。

インプラント以外の治療法には何がありますか。
インプラント治療以外にも、ブリッジや入れ歯などの選択肢があります。ブリッジや入れ歯は、歯科医院で簡単に取り付けることができ、即日から使用できるため、急な歯の欠損に対応することが可能です。しかし、入れ歯は朝晩の取り外しが必要で、使用時の違和感や不安定さがあります。また、ブリッジは周囲の健康な歯を削るため、歯の損傷や歯肉の問題が生じる可能性も忘れてはいけません。 これらの治療法は外科手術が不要で、インプラントに比べて費用が安価です。しかし、使用感や日常のケアのしやすさにおいては、インプラント治療のほうが際立って優れています。
現在入れ歯を使っています。今からインプラントに切り替えることはできますか。
入れ歯からインプラントへの切り替えは可能ですが、検査や外科手術が必要です。また、インプラント治療はどの歯科医院でも受けられるわけではなく、専門的な設備や経験を持った医師のもと行わなければなりません。一度、かかりつけの歯科医院に尋ねてみるといいでしょう。特に入れ歯を使用している場合は、周囲の歯や顎の状態を見るための検査が重要です。 また、インプラント手術は外科的な処置を伴うため、患者の健康状態や手術に耐えられる体力を十分に考慮する必要があります。インプラント治療を受ける際には、経験豊富なインプラント専門医に相談し、治療計画をじっくりと検討することが大切です。

編集部まとめ

編集部まとめ この記事では、老後におけるインプラント治療のメリットや注意点について詳しく解説しました。インプラントにすることで、若々しく見えたり認知症の予防につながったりとさまざまなメリットがあります。ただ、年齢を重ねてからのインプラント治療は身体への負担が大きいため、治療を受ける時期も慎重に考慮することが必要です。ブリッジや入れ歯などインプラント以外の選択肢もあるため、それぞれの特徴をよく理解してご自分に合った治療を選んでください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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