インプラント

ソケットリフトの術後は痛みがある?痛みの特徴や原因、対処法を解説

ソケットリフトの術後は痛みがある?痛みの特徴や原因、対処法を解説

ソケットリフトは、上顎の骨が不足している部分にインプラントを埋入するために行われる骨造成手術の一つです。歯槽堤よりインプラント床を形成し、同部に骨補填材を補うことで厚みを増し、インプラントの安定を図ります。インプラントの埋入と骨増生が同時に行える、低侵襲な方法とされる一方で、術後に痛みを感じる方も少なくありません。そこで本記事では、術後の痛みの特徴や原因、対処法、そして痛みが長引く場合の注意点について、専門的な視点からわかりやすく解説します。これからソケットリフトを受ける方、すでに術後経過中の方にとって、安心して治療を進めるための参考となる情報をお届けします。

ソケットリフト術後に感じる痛みの特徴と原因

ソケットリフト術後に感じる痛みの特徴と原因

術後すぐに痛みが出るのは自然なことですか?
ソケットリフト術後にある程度の痛みを感じるのはごく自然な反応です。麻酔が切れた後に痛みが出ることは一般的で、身体が組織の損傷や異物の挿入に反応して炎症を起こしているためです。
痛みが強い場合は異常がありますか?
通常は軽い鈍痛程度ですが、激しいズキズキする痛みや耐え難い痛みが続く場合は、感染や出血などの合併症が疑われることがあります。痛みの強さが術直後と比較して急激に悪化する場合は、早めに主治医に相談することが重要です。
痛みはどれくらいの期間続きますか?
一般的には術後2〜3日がピークで、その後徐々に軽快します。1週間以内には日常生活に支障をきたすような痛みは落ち着くことが多く、1週間以上持続する場合は再評価が必要です。
なぜソケットリフトの後に痛みが出るのですか?
ソケットリフトは上顎洞底の骨膜を押し上げ、骨補填材を挿入する処置であるため、上顎洞周囲の粘膜や神経、血管が刺激されることによって痛みが生じます。特に骨膜や上顎洞粘膜は神経終末が多いため、軽度の刺激でも痛みを伴うことがあります。
炎症反応との関係を教えてください。
術後の痛みは炎症反応の一環として現れます。これは身体が治癒を促すために起こす自然な免疫応答であり、痛みとともに腫れや発赤、熱感などを伴うことがあります。通常の範囲内であれば心配はいりませんが、炎症が強く出る場合は医師による評価が必要です。
腫れや内出血も痛みの原因になりますか?
はい。術後に発生する腫れや内出血は、周囲組織を圧迫することで鈍い痛みの原因となります。特に頬や眼窩下の腫れが目立つケースでは、表面の皮膚にも違和感が出ることがあります。
痛みについて医師に相談することはできますか?
もちろん可能です。むしろ、術後の不安や違和感については遠慮なく主治医に伝えることが重要です。必要に応じて追加の鎮痛処置や抗菌薬投与、画像検査などが検討されます。
経過観察で注意すべきポイントを教えてください。
痛みが強くなる、膿のような分泌物が出る、頬の腫れが一向に引かない、発熱があるといった症状があれば、感染やほかの合併症の可能性がありますので、すぐに医師に相談してください。

ソケットリフト術後の痛みへの対処法

ソケットリフト術後の痛みへの対処法

市販の鎮痛薬を使用してもよいですか?
医師から特に指示がない限り、市販の鎮痛薬は使用可能です。ただし、服用の際は用法・用量を守り、ほかの薬との併用に注意してください。術後に処方された薬がある場合は、まずそちらを優先して内服してください。
患部を冷やすと痛みが治まりますか?
アイスパックなどで頬の外側から軽く冷やすことで、腫れと痛みの軽減が期待できます。ただし、直接皮膚に当てないようにタオルに挟んでアイスパックを使用してください。
痛みを和らげるための生活上の工夫があれば教えてください。
術後は血行を促進するような行為(激しい運動や長時間の入浴、アルコール摂取)を避けることが大切です。また、頭を高くして寝る、やわらかい食事をとる、口腔内を清潔に保つといった日常生活の配慮も、痛みを軽減するうえで有効です。

痛みが長引く場合や悪化する場合の対応

痛みが長引く場合や悪化する場合の対応

数日経っても痛みが引かない場合はどうすればよいですか?
通常の術後痛であれば数日で軽快するため、それ以上痛みが続く場合は感染、異物反応、血腫などの合併症の可能性を疑います。再受診してレントゲンやCTなどの検査を受けることが推奨されます。
感染の可能性があるときの症状を教えてください。
感染が疑われる主な症状には、膿のような排出物、持続的な腫れや発赤、38度以上の発熱、局所のズキズキする痛み、悪臭のある分泌物などがあります。これらが見られた場合は速やかに医療機関を受診してください。
再受診の目安を教えてください。
以下のような症状が見られる場合は、再受診のサインと考えられます。まず、術後3日以上経過しても痛みが軽減しない場合は、通常の回復過程とは異なる可能性があります。また、腫れが徐々に悪化し広がっていく場合も注意が必要です。さらに、発熱や強い倦怠感を伴う場合には、全身的な炎症反応や感染症の兆候が疑われます。出血が止まらない、または排膿や悪臭があるといった症状も、局所感染の進行を示している可能性があります。こうした異常があるにも関わらず受診を先延ばしにすると、感染悪化のリスクが高まります。したがって、これらの症状が認められた際は、早めに医療機関を受診し、適切な処置を受けることが重要です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ソケットリフト術後に痛みを感じることは珍しくなく、多くの場合は炎症反応や腫れなどが原因であり、通常は数日で軽快します。しかし、痛みが長引く、悪化する、発熱や膿が出るといった異常がある場合は、速やかな医療機関の受診が必要です。術後の経過を自己判断で放置せず、些細なことでも主治医に相談することが、安心・安全なインプラント治療につながります。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松浦 明歯科医師(医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック)

松浦 明歯科医師(医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:1989年福岡歯科大学 卒業 1991年松浦明歯科医院 開院 2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任 / 資格:厚生労働省認定研修指導医 日本口腔インプラント学会認定医 ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医 / 所属学会:ICOI(国際口腔インプラント学会) 日本口腔インプラント学会 日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事 日本顎咬合学会 会員 日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員

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