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インプラントは2本同時に埋入できる?メリット・デメリット、治療方法を解説!

インプラントは2本同時に埋入できる?メリット・デメリット、治療方法を解説!

「インプラントは1本ずつ治療するもの」そんなイメージを持っていませんか?実は、2本を同時に埋入できるケースもあります。
本記事ではインプラントは2本同時に埋入できる?について以下の点を中心にご紹介します。

  • インプラントは2本同時に埋め込めるのか?
  • インプラントを2本同時に埋入するメリット
  • インプラントを2本同時に埋入するデメリット

インプラントは2本同時に埋入できる?について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

インプラントは2本同時に埋め込める?

インプラントは2本同時に埋め込める?

インプラントは、2本を同時に埋め込むことが可能とされています。ただし、患者さんの顎の骨の状態や健康状況によっては適さない場合もあるため、慎重な診断が必要です。
また、複数本の手術は身体的な負担が大きくなることもあり、状況によっては複数回に分けて行う場合もあります。

2本同時にインプラント治療を行いたい方は、インプラント専門の歯科医師と相談し、納得できる治療法を選択することが重要です。

インプラントを2本同時に埋め込むための条件

インプラントを2本同時に埋め込むための条件

インプラントを2本同時に埋め込むためには、以下のような条件を考慮する必要があります。

骨量

インプラントを複数本同時に埋入するには、まず顎の骨の量と質が十分であることが不可欠です。骨の量が不足していると、複数のインプラントを安定的に支えることが難しくなり、手術の成功率や長期的な耐久性に影響を及ぼします。

そのため、骨が薄い、または硬さが不十分な場合には、骨移植や骨造成といった補助手術が必要となることが多く、治療期間や費用が増加することもあります。

また、骨の質が悪いとインプラントと骨との結合(オッセオインテグレーション)が十分にえられず、インプラントの安定性や寿命に悪影響を及ぼす恐れがあります。

このように、2本のインプラントを同時に埋入する際には、骨の状態を詳細に評価し、必要に応じて適切な治療計画を立てることが重要です。

全身の健康状態

インプラント治療は外科的処置を伴うため、患者さんの全身状態が安定していることが重要です。特に糖尿病や骨粗しょう症、高血圧などの慢性疾患を持っている場合は、治癒力が低下し、インプラントの定着や長期的な維持に影響を及ぼすリスクが高まります。

また、抗凝固薬やステロイドといった薬剤を服用している患者さんは、手術中や術後の出血や感染症のリスクが増加することも考慮しなければなりません。そのため、治療を開始する前には主治医と連携し、血糖値や血圧のコントロール、服薬の調整を行うことが求められます。

さらに、患者さん自身も生活習慣の改善や健康管理に努めることで、治療の成功率を高めることにつながります。こうした全身的な健康管理が整って初めて、2本のインプラントを同時に埋入する治療計画が立てられます。

歯茎の状態

インプラント治療を成功させるためには、口腔内の歯茎が健康な状態であることが欠かせません。特に歯周病が進行している場合は、炎症や感染によって歯茎の環境が悪化し、インプラントを支える骨との結合が阻害されるリスクが高まります。このような状況では、まず歯周病の治療を優先して行い、歯茎の炎症をしっかりと抑えることが必要です。

また、むし歯やその他の口腔内感染症が存在すると、インプラント周囲に炎症が起こるインプラント周囲炎を引き起こす可能性があり、これはインプラントの寿命を大きく縮めてしまいます。治療前には感染症の徹底的なコントロールを行い、治療後も定期的な歯科受診と丁寧なセルフケアを継続することが、インプラントを長持ちさせるために重要です。

このように、歯茎の健康状態を整えたうえで2本のインプラントを同時に埋め込むことが、安定した治療結果をえるための基本条件となります。

インプラントを2本以上同時に埋入する方法

インプラントを2本以上同時に埋入する方法

インプラントを2本以上同時に埋入するには、いくつかの方法があります。ここでは、抜けた歯が隣り合っていない場合と隣り合っている場合、すべての歯をインプラントにする場合に選択される治療法を解説します。

抜けた歯が隣り合っていない場合

抜けた歯が隣接していない場合、それぞれの欠損部分に独立したインプラントを埋め込みます。この場合、各インプラントに対して個別の上部構造が装着され、それぞれが単独で機能します。
それぞれの欠損部分が独立したインプラントは、自然な噛み心地や見た目を実現しやすい一方で、複数のインプラントが連結されていないため、横方向の負荷に対する耐性が若干低くなることがあります。

治療を開始するにあたっては、レントゲンや歯科用CT検査を用いて骨の状態や口腔内の健康を詳しく確認し、どの位置に何本のインプラントを埋入するかを綿密に計画します。

手術は局所麻酔下で行われ、複数本のインプラントを同時に埋入するため手術時間は単独の場合より長くなることがあり、左右や上下で手術をわける場合もあります。

埋入後は骨とインプラントの結合を待つ数ヶ月の治癒期間を経て、支台装置を取り付けて最終的な上部構造を装着します。

抜けた歯が隣り合っている場合

隣り合った複数の歯が抜けている場合、インプラントを支台にした連結型の上部構造を装着することがあります。

例えば、2本のインプラントを埋入し、その上に連結された2本分の上部構造を取り付けることで、効率的に欠損部を補えます。この連結構造は、インプラントが垂直方向の力には強い一方で、横方向の負荷に弱いという特性を補う役割を果たし、耐久性と安定性の向上につながります。

また、3本の歯を失った場合でも、両端に2本のインプラントを設置し、連結した上部構造でブリッジを形成することで、健全な隣接歯を削ることなく治療が行えます。ただし、強い咬合力や歯ぎしりがある方は、耐久性の観点から3本すべてにインプラントを埋入するケースもあり、患者さんの噛み合わせや生活習慣に合わせた適切な治療計画が必要です。

すべての歯をインプラントにする場合

すべての歯を失った場合には、オールオンフォーやオールオンシックスと呼ばれる治療法が選択されます。これは片顎に4〜6本のインプラントを埋入し、その上に連結した上部構造を固定する方法で、従来のように1本1本インプラントを埋めるよりも、手術の負担や費用を抑えられます。

オールオンフォーは、顎の骨が薄い部分でも安定した埋入が可能とされ、骨造成が不要になるケースもあります。しっかりと固定されるため、食事中の違和感や入れ歯のずれを感じにくく、天然歯に近い噛み心地といわれています。

一方、インプラントオーバーデンチャーという方法もあります。インプラントオーバーデンチャーは、2本程度のインプラントを支えにして、取り外し可能な入れ歯を固定するものです。安定性が増し、従来の入れ歯よりも快適に使用できますが、固定式のオールオンフォーに比べると噛む力はやや劣ります。

インプラントを2本同時に埋入するメリット・デメリット

インプラントを2本同時に埋入するメリット・デメリット

インプラントを2本同時に埋入する治療法を検討する際は、メリットとデメリットを理解することが大切です。ここでは、主なメリットとデメリットを解説します。

メリット

インプラントを2本同時に埋入するメリットは、以下のとおりです。

治療期間や回数の短縮

2本のインプラントを一度に埋入することで、手術の回数を減らせるため、患者さんの身体的および精神的な負担を軽減できます。麻酔や術後のケアが一度で済むため、回復期間も短くなり、全体の治療スケジュールも短縮されます。
さらに、治療にかかる通院回数が減ることで、仕事や日常生活への影響を抑えられるのも大きな利点です。

費用の一部軽減

複数のインプラントを一度に埋入することで、麻酔費用や手術室使用料、術後のケアにかかる経費をまとめて抑えることができ、治療全体の費用負担が軽減されます。
ただし、インプラント本体やアバットメントなどの材料費はそれぞれの本数分かかるため、全体の費用がどの程度になるかは事前に確認しましょう。

また、インプラントの本数が増えるとメンテナンス費用も高くなる傾向があるため、治療計画の段階で費用面も含めて総合的に検討することが大切です。

デメリット

インプラントを2本同時に埋入するデメリットは、以下のとおりです。

初期費用が増える可能性

インプラント治療は1本あたりの費用が高額になるため、2本を同時に埋入する場合は初期費用が相応に増加する可能性があります。これに加え、抜歯が必要なケースでは抜歯手術の費用も別途発生します。また、骨の量が不足している場合には、骨造成手術(サイナスリフトや骨移植など)が必要となり、これらの追加処置には数万円~数十万円の費用がかかる場合があります。

さらに、麻酔方法によっても費用は異なり、局所麻酔に加えて静脈内鎮静法や全身麻酔を選択すると、その分コストが上がります。特に手術に対する不安や痛みを軽減したい方は、こうした麻酔方法を希望されることが多く、費用計画の際にはその点も考慮しておくことが重要です。

身体への負担

2本のインプラントを同時に埋入することで、手術範囲が広がるため、術後の腫れや痛みが1本の場合よりも強くなることがあります。手術時間も長くなる傾向があり、骨造成などの追加処置が必要な場合はさらに負担が増すことも考慮しなければなりません。これらの理由から、術後の回復期間中は入念なケアと定期的な経過観察が重要です。

また、患者さんの年齢や全身の健康状態、治療への理解度も成功に影響するため、2本同時埋入がすべての方に選択されているわけではありません。事前に詳細な診断を行い、歯科医師と十分に相談したうえで、身体への負担を抑えられるか慎重に判断することが求められます。

連結したインプラントのデメリット

連結したインプラントには、以下のようなデメリットがあります。

お手入れが難しい

連結されたインプラントは、清掃面での難しさがデメリットの一つです。連結部分の隙間に食べかすや汚れが溜まりやすく、歯ブラシやフロスでは届きにくい箇所が生じます。このため、細菌が繁殖しやすくなり、インプラント周囲炎などの感染症リスクが高まるおそれがあります。

連結インプラントの患者さんには、専用の歯間ブラシや水流を用いた口腔洗浄器の使用が推奨されますが、それでも清掃はやや手間がかかることが多いようです。加えて、複数のインプラントがある場合は日々のケアにかかる時間や労力が増え、患者さんにとって負担になることもあります。

こうした理由から、連結インプラントのメンテナンスは、定期的に歯科医院で専門的なチェックやクリーニングを受けることが推奨されます。

噛み合う力のバランスが崩れる

インプラントを連結することで咀嚼力が分散される利点はあるものの、咬合力のバランスが崩れるリスクも存在します。
連結された構造は一体化して機能するため、あるインプラントに過剰な力が加わると、その負荷がほかのインプラントにも伝わりやすくなります。この力の不均衡は、連結部分のゆるみや破損、さらにはインプラント周囲の骨吸収や動揺を引き起こす可能性があります。

特に顎骨の状態が弱い場合や咬合の調整が不十分な場合、治療計画の段階で噛み合わせを慎重に評価し、必要に応じて歯列矯正や補助的な治療を行うことが重要です。

再治療の可能性がある

連結インプラントは、一部に問題が発生した場合でも全体を取り外す必要があることが多く、修理や交換が難しい点がデメリットです。このため、1本の不具合が全体の治療に影響し、患者さんの負担が増加することがあります。

また、インプラントのトラブルが悪化すると、再治療が必要となりますが、再治療は初回に比べて難易度が高く、成功率が下がり、費用も増加しやすいため、慎重な計画と日々のケアが重要です。

インプラントを2本同時に埋入する費用と治療期間の目安

インプラントを2本同時に埋入する費用と治療期間の目安

これまで、インプラントを複数本同時に埋入するメリットやデメリットを述べてきました。
最後に、インプラントを2本同時に埋入する費用と治療期間の目安を解説します。

インプラントを2本同時に埋入する場合の費用

インプラントを2本同時に埋入する場合、インプラント本体や上部構造の費用は2本分かかりますが、手術や麻酔の費用は1回分で済むため、総額は単純に2倍とはなりません。

費用相場は60万〜100万円程度が目安です。骨造成や追加手術が必要な場合は別途費用が発生することもあります。また、地域や歯科医院によって費用は異なるため、事前の確認が重要です。

インプラントを2本同時に埋入する場合の治療期間

インプラントを2本同時に埋入しても、治療期間は1本の場合とほぼ同じです。重要なのは、埋めたインプラントが顎骨としっかり結合するまでの待機期間で、3〜6ヶ月程かかるといわれていますが、骨の状態や個人差により前後します。

まとめ

まとめ

ここまでインプラントは2本同時に埋入できる?についてお伝えしてきました。インプラントは2本同時に埋入できる?の要点をまとめると以下のとおりです。

  • インプラントは、2本を同時に埋め込むことが可能とされているが、患者さんの顎の骨の状態や健康状況によっては適さない場合もある
  • インプラントを2本同時に埋入するメリットは、治療期間や回数の短縮費用の一部軽減などが挙げられる
  • インプラントを2本同時に埋入するデメリットは、初期費用が増える可能性、身体への負担などが挙げられる

2本同時のインプラント埋入は、治療期間の短縮や費用の削減につながる可能性があります。しかし、骨の状態や負担を考慮し、適切な判断をすることが重要です。歯科医師としっかり相談し、ご自身に合った方法を選びましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
松浦 明歯科医師(医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック)

松浦 明歯科医師(医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:1989年福岡歯科大学 卒業 1991年松浦明歯科医院 開院 2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任 / 資格:厚生労働省認定研修指導医 日本口腔インプラント学会認定医 ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医 / 所属学会:ICOI(国際口腔インプラント学会) 日本口腔インプラント学会 日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事 日本顎咬合学会 会員 日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員

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