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インプラントとブリッジはどちらがいい?費用や治療期間を比較して解説!

インプラントとブリッジはどちらがいい?費用や治療期間を比較して解説!

やむを得ない事情で歯を欠損してしまって、その治療方法についてインプラントとブリッジのどちらが良いか悩まれている方も多いのではないでしょうか。インプラントとブリッジには、外科処置の必要性や、周囲の歯への負担の有無、費用と治療期間などについて様々な違いがあります。

この記事では、インプラントとブリッジの違いについてポイントをわかりやすくまとめ、解説します。

インプラントとブリッジの特徴の比較

インプラントとブリッジの特徴の比較 インプラントとブリッジの治療方法にはどんな違いがあるのでしょうか。ここでは、2つの治療方法の特徴について、いくつかのポイントにまとめてご説明します。

基本的な構造の違い

インプラント治療は、アゴの骨にチタン製などの人工の歯根を埋め込み、それに人工の歯を被せる治療方法で、これにより天然の歯と同等の力で噛むことが可能になります。インプラントの構造は、上部構造(人工歯)、アバットメント、インプラント体から成っています。

上部構造(人工歯)は、インプラントの最上部に設置され、咀嚼の役割を担う部分です。外観は天然の歯と同じで、他の歯と色を合わせることもできるため、目立ちません。材質には主にセラミックが使用されます。セラミックは、ある程度の負荷までには耐えられますが、過度な力が加わることは避けるべきです。

アバットメントは、上部構造と後述するインプラント体を接続する金属パーツです。患者さんの歯肉の厚さやインプラントを埋入する角度などを考慮して高さを調節し、その形状も患者さんのお口の中の状態に合わせて調整されます。

インプラント体は、インプラントの土台となる部分です。材質には主に生体親和性に優れ、アレルギー反応を起こしにくく、腐食にも強い、チタンまたはチタン合金が用いられます。インプラント体は主にネジのような形のスクリュータイプで、これはインプラント体が骨と接触する面積を増やし、インプラント体と骨が強固に結合しやすくするために、このような形状がとられています。

それに対してブリッジ治療は、失われた歯の両隣の歯を土台にして、被せ物(クラウン)とダミーの人工歯を連結して作製された補綴物を、橋のようにかける治療方法です。土台の歯に被せ物を被せ、しっかりと固定して、欠損した歯を人工歯で補います。この際に、被せ物がしっかりと固定できるように、土台となる歯を削る必要があります。ブリッジで設置する人工歯には人工の歯根が埋め込まれていないため、両隣の歯で支える必要があるのです。

外科処置の必要性

インプラント治療では、外科処置が必要になります。そのため、高血圧や糖尿病などの特定の健康状態にある患者さんには適用できないことがあります。ブリッジ治療では外科処置は不要で、全身疾患を持つ患者さんでも治療を受けることができます。

なお、インプラントの外科処置には、主に1回法と2回法の2つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。1回法では、人口の歯根であるインプラント体をアゴの骨の中に埋め込む処置と同時に、人口歯根と上部構造である人工歯を連結するアバットメントを設置し、インプラントの上部が歯茎から少し露出した状態で歯茎を縫合します。1回法には手術が1度で済む利点があります

2回法では、手術が2回必要になります。まず、1回目の手術で歯肉を切開し、インプラント体を設置します。インプラント体を骨の中に埋め込み、その上に歯肉を被せて縫い合わせます。そのため、インプラント体が歯茎から露出することがなく、粘膜の下に完全に覆われます。その後、インプラント体とアゴの骨が結合する期間を待ちます。そして、インプラント体とアゴの骨が結合したら、人工歯を被せるために2回めの手術を行います。2回めの手術では、歯肉を再度切開し、インプラント体にアバットメントを連結します。その後、アバットメントに人工歯を装着します。2回法は、1回法におけるインプラント体を歯茎から露出させる工程が感染リスクを高めてしまう患者さんの場合などに適しています

歯を削る必要性

インプラント治療では、治療対象の歯の部分に人工歯根を埋め込むので、健康な歯を削る必要はありません。一方で、ブリッジ治療では、失った歯の両隣の歯を削ってブリッジを支えます。欠損した歯が多い場合は、その分多くの歯を削る必要があります。

トラブルが起きるリスク

インプラント治療では術中に重要な神経や血管を傷つけるリスクや、人工歯根が顎の骨に定着しないリスクがあります。他方、ブリッジでは支えとなる両隣の歯を削るため、それらの歯が脆くなるリスクやむし歯になるリスクがあります。

周囲の歯への負担

インプラント治療では、アゴの骨に人工歯根を固定するため、周りの歯に負担がかかることはありません。一方で、ブリッジでは両隣の歯が人工歯にかかる噛む力の分も支えなくてはならないため、これらの支えとなる歯に大きな負担がかかり、歯の寿命が短くなる可能性があります。

治療後の違和感

インプラントは人工歯根がアゴの骨にしっかりと固定されるため、装着感が良く、食事や会話中にズレることはありません。ブリッジも固定式の装置なので、例えば入れ歯に比べると、使用感の悪さはそれほどありません。

インプラントとブリッジの費用の比較

インプラント治療は、例外もありますが、基本的に保険適用外となるため、費用が高額になります。インプラント治療1本あたりの費用は30万円から50万円ほどが相場です。 一方で、ブリッジは原則的に保険適用で治療することができます。ブリッジで保険適用外になる場合は、天然の歯に近い樹脂の素材を選んだり、欠損した箇所が多い場合です。 なお、インプラント治療で例外的に保険が適用される場合は、下記のケースです。

  • ・腫瘍などの病気や第三者行為による事故の外傷などによって、アゴの骨の1/3以上を欠損してしまったケース
  • ・生まれつきの疾患により、アゴの骨の1/3以上の欠損や形成不全が認められるケース

インプラントとブリッジの治療期間の比較

インプラントとブリッジの治療期間の比較 インプラント治療には、3ヶ月から1年程度の治療期間が必要になります。なぜなら、インプラント治療では、土台となる人工歯根を埋入し、人工歯根が骨と結合するための期間を設ける、人工歯根と人工歯を結合する装置を取り付ける、人口歯を被せるといった段階を踏まなければならないからです。アゴの骨がしっかりしていて歯茎も健康な患者さんは、すぐに埋入手術に入ることができ、人口歯根と骨が結合する期間も比較的短くて済みます。一方で、アゴの骨が薄い患者さんについてはアゴの骨の骨造成手術を、歯周病にかかっている患者さんについては歯周病の治療を先に行わなければならないため、その分治療期間が長くなる傾向にあります。

一方で、ブリッジの治療回数は最短で2回で、治療期間は1ヶ月から2ヶ月ほどです。治療は、欠損している歯の両隣の歯を削り、型をとって模型を作った後に、ブリッジを作製して、作成したブリッジを装着する流れで行われます。

インプラントがブリッジより優れているポイント

インプラントがブリッジより優れているポイント

噛む力の強さ

天然歯に近い使い勝手はインプラントもブリッジもあまり変わりませんが、インプラントは外科手術でアゴの骨にインプラント体を埋め込むので、安定性が高く、噛む力が強いという特徴があります。

審美性の高さ

審美性については、保険診療のブリッジの場合は人工歯の色が天然歯との差が大きいことがありますが、自費診療のセラミックなどの素材を使用すれば、ブリッジでもインプラントでも天然歯に近い充分な審美性を得ることができるでしょう。

装置の平均寿命の長さ

装置の平均寿命については、インプラントはブリッジと同程度かインプラントが優れていると言われています。特に、神経のない歯を土台にしたブリッジと比較した場合には、インプラントが10年生存率は優れており、10年生存率は90%以上といわれています。対してブリッジの寿命の指標となる10年生存率は、90%程度と考えられています。 また、インプラントの寿命を維持するためには、下記のような点にも注意すると良いでしょう。 ・インプラント手術後の行動 手術した後は、安静に過ごすことが必要です。手術を受けたその日は、運動や入浴、飲酒などの血流を増やす行動をとると手術した傷口から出血してしまう可能性があるため、それらの行動は控えることをお勧めします。もし出血してしまった場合は、清潔なガーゼを強く噛んで出血を抑えると良いでしょう。傷口に舌や指で触れることも控えてください。

また、うがいを頻繁にしてしまうと、かさぶたができるのが遅くなり、出血が止まりにくくなるため注意しましょう。

・インプラント周囲炎
インプラント周辺の組織が炎症を起こし、骨が溶ける状況をインプラント周囲炎といいます。初期症状が少ないため、病状の悪化を見逃しやすく、重篤化するとインプラントが抜け落ちる可能性もあります。インプラント周囲炎を予防するためにも、インプラントの治療後は、歯科医院で定期的に検査を受けるようにしましょう

・喫煙
インプラント治療を受ける前後は、できるだけ禁煙することをお勧めします。インプラント治療を受ける患者さんが喫煙者の場合、血流が悪いなどの不健康な身体環境により、インプラント体と骨の結合や治療した傷口の治癒が遅れたり、妨げられたりするケースがあるためです。

ブリッジよりもインプラントをおすすめするケース

ブリッジよりもインプラントをおすすめするケース

他の歯を削りたくない場合

ブリッジでは、ブリッジを支える土台とするために健康な歯を大きく削らなければならないので、その削った歯が細菌に侵されやすくなります。また、欠損した歯が増えるとその分必要な土台も多くなるため、削る歯が増えてしまいます。インプラントでは人口の歯根を欠損した場所に埋め込み、その上に人口歯を被せるため、周囲の歯を削る必要はありません。

簡単にお手入れをしたい場合

インプラントでもブリッジでも、毎日のお手入れが大切という点は変わりません。しかし、ブリッジは患者さんの歯と歯の間に装着する器具のため、ブリッジと患者さん自身の歯や歯肉との間にスペースができてしまいます。このスペースに詰まった汚れは歯ブラシでは取りにくいため、スーパーフロスという、別のメンテナンスのための道具を使う必要があります。スーパーフロスは、ブリッジを装着している方向けの専用のお手入れ道具です。一般的なフロスに比べて、先端に張りがあるため、ブリッジと歯の間のスペースに先端を差し込むことができます。また、フロスの中央部分はスポンジでできた素材になっているので、歯茎に当たっても痛みをほぼ感じずに、ブリッジと歯の間にある汚れを取ることができます。

他の歯に負担をかけたくない場合

ブリッジでは、歯を失った部分にかかる噛む力を、ブリッジで設置する人工歯の両隣の歯が受け止めるかたちになります。そのため、支えとなる歯に余計な負担がかかってしまい、その歯の寿命が短くなってしまうことがあります。インプラントでは、噛む力を人口歯根だけで負担するため、周りの歯に負担をかけることはありません。

ブリッジからインプラントへの変更は可能?

現在ブリッジで治療中の患者さんが、ブリッジに問題が発生したために、インプラントへ変更することは可能です。ブリッジからインプラントに変更する理由としては、ブリッジの両隣の支えとなっている歯の根が破折してしまうこと、外れてしまったブリッジの再治療が困難になることなどが考えられます。ブリッジからインプラントに変更する際の治療の流れは、まずブリッジを取り外した後に、歯が欠損した部分にインプラント治療を行います。そして、ブリッジの支えとなっていた両隣の歯にセラミックなどの補綴物を被せる方法が一般的です。

まとめ

まとめ この記事では、インプラントとブリッジの違いについて解説しました。まとめると、インプラントはブリッジに比べて、噛む力や審美性、装置の寿命の長さなどについて優れていると言えます。しかしながらその分、インプラントはブリッジよりも費用が高く、治療期間が長くなる傾向にあります。やむを得ないご事情で歯を欠損してしまった方が、ご自分に合った治療方法を選ぶために、当記事が参考になりましたら幸いです。

参考文献

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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