インプラント

先天性欠如歯によるショックを軽減させる方法は?具体的な治療法も徹底解説

先天性欠如歯によるショックを軽減させる方法は?具体的な治療法も徹底解説

先天性欠如歯とは、生まれつき一部の歯が欠けている状態を指します。先天性欠如歯は、適切に対応することで、日常生活や口腔内の健康に与える影響を抑えることができます。この記事では、先天性欠如歯の原因や発生部位、放置するとどうなるかについて解説します。また、診断方法や具体的な治療法、心のケアの方法についても触れていくので、ぜひ参考にしてください。

先天性欠如歯とは?

先天性欠如歯とは? 先天性欠如歯は、生まれつき永久歯の数が足りないという形成異常で、噛み合わせや見た目に大きな影響を与えます。通常、乳歯は20本、永久歯は親知らずを含め32本生えますが、先天的に永久歯が生えてこない病気です。ここでは、先天性欠如歯の原因と発生部位、頻度について詳しく解説します。

先天性欠如歯の原因

先天性欠如歯の原因は、主に遺伝や環境要因、その他の要因に分けられます。遺伝要因は、家族内に先天性欠如歯の人がいる場合、その子どもにも同様の症状が見られる可能性が高くなることです。歯の発育に関わる遺伝子の異常や変異が関係しているといわれています。また、環境要因も先天性欠如歯の発生に影響します。胎児期の栄養不足や母体の喫煙、薬物使用が歯の発育に悪影響を与えるといわれています。妊娠中の感染症も、胎児の歯の発育に悪影響を及ぼす要因のひとつです。特に、妊娠初期にこれらの環境要因が影響すると、歯の形成に問題を引き起こす可能性があります。その他にも、さまざまな要因が先天性欠如歯の発生に関係しています。例えば、ホルモンの異常や放射線治療、化学療法の経験がある場合も、歯の形成に影響を及ぼす可能性があります。また、全身疾患や染色体異常も、先天性欠如歯の原因となるのです。このように、遺伝的要因や環境的要因、その他の関連要因が相互に影響し合い、結果として先天性欠如歯が発生します。

発生部位と頻度

先天性欠如歯は、特定の部位に発生しやすい傾向があります。第三大臼歯(親知らず)と、上下の第二小臼歯(中央から5番目)、側切歯(中央から2番目)が欠如しやすい傾向です。約10人に1人の割合で何らかの歯が欠如しているといわれています。先天性欠如歯は男女問わず現れますが、発生率は男性9.1%、女性11.0%とわずかに女性に高い傾向があります。

先天性欠如歯を放置するとどうなる?

先天性欠如歯を放置するとどうなる?
先天性欠如歯を放置すると、さまざまな問題が生じます。噛み合わせが悪くなることによる顎関節症や歯の寿命へのリスク。咀嚼機能の低下による栄養不良や発音障害、むし歯や歯周病のリスクがあります。ここでは、これらの影響について詳しく紹介します。

噛み合わせに影響を与える

先天性欠如歯を放置すると、欠如した歯の両隣の歯が移動し、噛み合わせが悪くなってしまいます。この結果、顎関節に負担がかかり、顎関節症のリスクが高まります。また、噛み合わせの悪化は歯の寿命にも影響します。噛み合わせが乱れることで、健康な歯に過剰な負荷がかかり、歯のすり減りや破損が早まってしまうのです。これにより歯の寿命が短くなり、さらなる歯科治療が必要になるリスクも増大します。

咀嚼機能に対する影響

歯の欠如は咀嚼機能の低下にも影響します。前歯が欠如していると食べ物を噛み切ることが難しく、奥歯が欠如していると食べ物を細かくすり潰すことができません。奥歯が1本欠如していると、咀嚼機能率は40〜60%に低下するといわれています。咀嚼機能が低下すると、硬い食品や繊維質が豊富な野菜、肉類などが摂取できなくなるため、栄養バランスが崩れます。さらに、食物をしっかりと咀嚼できないことで消化吸収が悪くなり、胃腸への負担も増加してしまうのです。このように、咀嚼機能の低下は栄養摂取に悪影響を及ぼすだけでなく、全身の健康にも影響します。

発音障害

歯が欠如すると、発音にも影響を与えます。特に前歯の欠如は、サ行やタ行など特定の音を発音する際に支障をきたし、はっきり発音することが難しくなります。

むし歯などのリスクが高まりやすい

先天性欠如歯を放置すると、隣接する歯にむし歯が発生しやすくなります。歯がないことで歯並びが乱れ、歯と歯の間にできる隙間や歯が重なる部分が増えます。これらの部位は歯磨きが難しく、むし歯や歯周病の原因になるプラークがたまりやすくなります。むし歯や歯周病は、進行すると歯が抜けてしまうこともあるため注意が必要です。

先天性欠如歯によるショックを感じてしまった場合の対応策

先天性欠如歯によるショックを感じてしまった場合の対応策
先天性欠如歯が発覚して、ショックを受けている人もいるかもしれません。しかし、実際には約10人に1人が同じ問題を抱えているため、珍しいことではないのです。早めに対策することで、噛み合わせや歯並びの問題を未然に防ぎ、将来的なリスクが軽減できます。ここでは、先天性欠如歯に対する理解と、早期対応の重要性について詳しく解説します。

歯が足りない人は実は少なくないという事実

先天性欠如歯に悩む人は珍しくありません。実際に、約10人に1人は何らかの歯が欠如しているというデータがあります。この事実を知ることで、自分だけが特別ではないと感じ、少しでも気持ちを落ち着かせることができるかもしれません。また、恥ずかしいことではなく、早期の対策や治療法もあることを理解しておくといいでしょう。

早めの対策が重要

早めに対策することが、後々の問題を回避するために重要です。噛み合わせや歯並びの問題を早期に解決することで、悪化していくリスクを防ぐことができます。早期の治療は、心理的な負担を軽減するだけでなく、口腔全体の健康を維持するためにも大切です。

先天性欠如歯の診断と検査

先天性欠如歯の診断と検査
先天性欠如歯は、正確な診断と適切な治療が、将来の口腔内の健康に影響します。正確に診断するためには、検査のほかに遺伝的要因を確認するために家族歴や病歴の問診が行われます。ここでは、正確な診断を行うための検査方法と治療計画の立て方について詳しく解説します。

検査方法

先天性欠如歯の診断には、通常、X線検査が用いられます。これにより、欠如している歯の位置や数を正確に把握することが可能です。X線検査では、骨や歯の内部の状態を詳細に確認でき、埋伏歯の有無や生えてくる歯があるかどうかも判断します。口腔内検査を通じて、歯の発育状況やほかの異常がないかを確認します。

治療計画の立て方

治療計画は患者さんの状況に合わせて、適切な治療法を提案することから始まります。患者さんの年齢や持病の有無、口腔内の状態や欠如している歯の数や位置、噛み合わせの状況などを総合的に評価します。この評価をもとに、さまざまな治療方法が検討されます。具体的には、乳歯の寿命を延ばすためのケアや義歯、インプラント、ブリッジ、歯列矯正などがあります。もし、治療計画に疑問がある場合は担当医師に質問したり、セカンドオピニオンを受けることもおすすめです。

先天性欠如歯の治療法

先天性欠如歯の治療法
先天性欠如歯の治療法には、患者さんの状況や希望に応じて適切な方法を選ぶことが大切です。ここでは、主な治療法について詳しく紹介します。

義歯

義歯は、欠如している歯の代わりに人工の歯を装着する方法です。取り外し可能な部分義歯や総義歯などがあり、欠如している歯や数によって適切なタイプを選びます。先天性欠如歯の場合、一般的に部分義歯が使用されます。義歯のメリットは、取り外し可能であるため清掃が容易なこと、低コストで治療も短期間で済むことです。しかし、装着時に違和感があったり、噛み合わせや見た目の自然さがほかの治療法に比べて劣る可能性があることに注意しましょう。毎日、取り外してケアをすることも必要です。

インプラント

インプラントは、欠如している歯の代わりに人工歯根を顎骨に埋め込み、そのうえに上部構造を被せる方法です。天然の歯に近い見た目と機能を持ち、固定式のため噛む力がしっかりと伝わります。インプラントは、ほかの歯に負担をかけず、周囲の歯を削ることなく独立しているメリットがあります。ただし、手術が必要で完治まで時間がかかり、費用も高額になりやすいです。骨や全身の健康状態によっては、インプラントが適用できないこともあるでしょう。

ブリッジ

ブリッジは、欠如している歯の両側の健康な歯にクラウンを装着し、その間に人工歯を固定させる方法です。噛み合わせや見た目の改善に優れた効果を発揮し、噛む力が均等に分散されます。ただし、隣接する健康な歯を削る必要がある点がデメリットとなります。ブリッジは固定式で取り外しができないため、口腔内のケアには注意が必要です。

歯列矯正

歯列矯正は、欠如している歯のスペースを調整し、全体の歯並びを改善する方法です。特に12歳前後の若年層で使用される治療方法で、欠如歯の影響を抑え、全体の口腔機能を向上させられるメリットがあります。歯列矯正は、歯にブラケットやアライナーなどの装置を取り付けて歯を動かしていきます。全体を整えることができるので、前歯の欠如に対しては、見た目の改善も期待ができるでしょう。ただし、治療期間が長く費用も高額になること、治療中の見た目が気になることがデメリットです。

先天性欠如歯の治療費用

先天性欠如歯の治療費用
先天性欠如歯の治療費用は、保険適用の有無によって大きく異なります。ここでは、各治療法の費用について詳しく解説します。

保険適用の場合

保険適用の治療方法は、義歯とブリッジが一般的です。これらの治療は、基本的に保険が適用されるため、低コストで受けることができます。しかし、保険適用によって自己負担額が軽減される一方で、適用範囲には限界があります。保険が適用される義歯やブリッジの材料には、制約があるのです。

義歯の保険適用素材には、レジンとコバルトクロムがあります。レジン義歯は、低コストで早く制作ができて、調整がしやすいこともメリットです。ただし、見た目や耐久性がほかの素材に劣ります。長期間使用すると色が変わりやすく、厚みが増して違和感が大きくなることがあります。コバルトクロム義歯は、金属フレームにレジンを取り付ける構造です。強度が高く、薄く作ることができるため違和感が少ないことがメリットです。耐久性が高く長期間使用できますが、金属が露出するため見た目に違和感がでてしまいます。

また、ブリッジの保険適用素材には、レジンブリッジと金属床ブリッジがあります。レジンブリッジは主に前歯の欠如に使用され、見た目が自然で低コストという特徴がありますが、硬度は低いため摩耗しやすく、咀嚼力に対する耐久が低いのがデメリットです。金属床ブリッジは金属フレームにレジンの人工歯を取り付けたブリッジです。コバルトクロムやニッケルクロムが使用され、強度が高く耐久性に優れていますが、金属が見えるため見た目が気になる場合は避けた方がよいでしょう。

保険適用ではない場合

インプラント治療と歯列矯正は保険適用外となることが一般的です。そのため、全額自己負担となり高額な費用がかかるでしょう。また、義歯やブリッジに使用する素材によっては、保険が適用されない場合もあります。例えば、ノンメタル義歯(コンフォートデンチャー)は金属を使用せず、柔軟性があり装着感が快適です。見た目も自然で、口腔内に馴染みやすいという特徴を併せ持ちます。セラミック素材のブリッジは高い審美性を持ち、自然な歯とほぼ区別がつかない美しい仕上がりです。また、強度も十分で耐久性が高いのが魅力です。

自費診療のなかでも、インプラントは特に優れた治療法として推奨されています。天然の歯に近い機能と見た目を持ち、周囲の歯を削る必要がないため、ほかの歯に負担をかけません。長期的な耐久性に優れていることも特徴です。治療方法や素材については、歯科医師と十分に相談し、自分に合った選択をすることが重要です。

まとめ

永久歯が生えてこないとショックを受けるかもしれませんが、先天性欠如歯は約10人に1人の割合で発生する、珍しくない歯の形成異常です。先天性欠如歯は、放置すると口腔内だけでなく、全身のさまざまな問題につながります。しかし、適切に対策することで日常生活への影響を抑えることができます。定期的な歯科検診を受け、早期に問題を発見し、適切な治療を開始することが重要です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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