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静脈内鎮静法は痛い?効果・費用・注意点を解説

静脈内鎮静法は痛い?効果・費用・注意点を解説

歯科治療に対して、極端に強い不安感や恐怖心がある場合は、静脈内鎮静法という麻酔が推奨されます。標準的な局所麻酔とは大きく異なる方法で、歯科治療に伴う精神への負担を大きく減らすことが可能です。インプラント手術で静脈ない鎮静法を併用するケースが増えています。ここではそんな静脈内鎮静法の効果や費用、注意点などを詳しく解説します。歯科治療への恐怖心を何とかしたいという方は参考にしてみてください。

静脈内鎮静法の基本情報

静脈内鎮静法の基本情報 はじめに、静脈内鎮静法の基本事項を確認しておきましょう。

静脈内鎮静法について教えてください
静脈内鎮静法とは、腕の静脈から鎮静剤を投与して、精神をリラックスさせるための麻酔法です。局所麻酔が歯科治療に伴う痛みを軽減するのに対し、静脈内鎮静法は心を落ち着かせる効果が期待できます。治療中は、生体情報モニターを通して血圧や心拍数、心電図を監視できるため、バイタルに何らかの異常が生じても迅速に対応することが可能です。鎮静剤の投与量は、歯科麻酔科医など専門のスタッフが調整することから、治療中は半分眠ったような状態を維持できます。
全身麻酔との違いは何ですか?
静脈内鎮静法と全身麻酔には、以下に挙げる違いが見られます。

◎意識が残っている静脈内鎮静法と全身麻酔の違いでもっともわかりやすいのは、意識の有無です。静脈内鎮静法では、意識を完全に失うことはありません。うたた寝をしているような感覚で、意識が朦朧とはしているものの、治療中に歯科医師が呼びかければ応答することは可能です。一方、全身麻酔では患者さんの意識は完全に失われます。次に目覚めるときは治療後のベッドのうえです。

◎自発呼吸ができる

全身麻酔では、自発呼吸が停止するため、人工呼吸器が必須となります。一方、静脈内鎮静法では意識があり、自発呼吸が可能です。

◎麻酔からの回復が早い

静脈内鎮静法は、麻酔の投与を停止してからしばらくすると、意識がはっきりしてきます。そのため治療から1~2時間後には多くのケースで帰宅が可能となります。全身麻酔は、文字どおり全身の機能を抑制する麻酔法なので、治療が終わった後も回復までにはしばらく時間がかかります。

◎入院する必要がない

上記の3つの理由から、静脈内鎮静法を用いた歯科治療では、原則として入院が不要です。この点も入院が必須となる全身麻酔との大きな違いといえるでしょう。

静脈内鎮静法中の痛みについて

次に、静脈内鎮静法に伴う痛みについて解説します。

静脈内鎮静法で痛みを感じることはありますか?
静脈内鎮静法では、腕に点滴の針を刺すときに痛みを感じることがあります。それ以外は、静脈内鎮静法の処置自体で痛みを感じる場面はほぼないといえます。ちなみに、静脈内鎮静法はあくまで鎮静効果を発揮する麻酔法なので、治療に伴う痛みを軽減する効果はありません。そのため静脈内鎮静法を施したとしても局所麻酔が不十分な場合は、治療に伴う痛みを強く感じることがあります。
針を刺す際の痛みはどの程度ですか?
静脈内鎮静法で腕に針を指すときの痛みは、通常の採血と大差はありません。針を刺すときにチクッとした刺激を感じる程度で、我慢できないほどの痛みが生じることは稀でしょう。もちろん、採血のときの注射が苦手という方もいるかと思いますので、そのことは事前にスタッフへ伝えておくことがおすすめです。
治療後に痛みが残ることがあるのか教えてください
静脈内鎮静法の影響で、治療後に痛みが残ることはまずありません。そもそも静脈内鎮静法は体への侵襲が少ない処置であり、投与する鎮静剤も安全が保証されているものであることから、治療後に痛みや腫れ、出血などを招くリスクは極めて低いといえます。一方、歯科治療による痛みは、局所麻酔が切れた時点で現れ始めるため、歯科医師から処方された鎮痛剤や抗菌薬は、適切に服用する必要があります。

静脈内鎮静法のメリットとデメリット

静脈内鎮静法のメリットとデメリット 続いては、歯科治療に静脈内鎮静法を活用するメリットとデメリットを解説します。

静脈内鎮静法のメリットを教えてください
静脈内鎮静法には、以下に挙げるメリットがあります。

【メリット1】歯科治療への恐怖心・不安感を軽減できる静脈内鎮静法を併用することで、歯科治療への恐怖心や不安感を軽減できます。半分眠ったような状態で外科手術などを終えることができるのです。

【メリット2】手術中の嫌な記憶が残りにくい
静脈内鎮静法で用いる鎮静剤には、そのときの記憶を忘れる健忘作用が期待できます。歯や骨を削るドリルの音や振動、不快な薬剤の臭いなどの記憶も残りにくいため、治療後の生活に悪影響が生じることはほとんどありません。

【メリット3】手術中のトラブルを予防しやすい
恐怖心や不安感が強い状態で歯科治療を行うと、患者さんが突然、身動きしたり、バイタルが急激に変化したりするなどのトラブルが起こりやすいです。静脈内鎮静法使用の下であれば、そうしたトラブルを未然に防ぎやすくなります。

デメリットやリスクはどのようなものがありますか?
静脈内鎮静法には、以下に挙げるデメリットを伴います。

【デメリット1】費用が高くなる静脈内鎮静法は、歯科治療におけるオプションなので、費用もその分だけ高くなります。

【デメリット2】副作用が起こることがある
静脈内鎮静法では、一部の患者さんに吐き気やめまいなどの副作用が起こることがあります。患者さんの体質によっては、薬剤によるアレルギー反応も起こりえます。

治療後の注意点を教えてください。
静脈内鎮静法を併用した歯科治療の後には、以下の点に注意しなければなりません。

・意識が正常な状態に戻るまでには時間がかかる(1~2時間程度)
・治療したその日は重要な仕事や作業は避けた方がいい
・治療当日は自転車や自動車の運転はできない
・治療後に吐き気やめまいなどの副作用が生じることがある

事前に注意すべきことは何ですか?
静脈内鎮静法は、すべての方に適応できるものではありません。以下の方は、静脈内鎮静法の適応が難しいこともあるため、事前に歯科医師と相談しておく必要があります。

・心疾患がある
・呼吸器疾患がある
・高齢である
・全身の健康状態が良くない
この条件に当てはまる場合でも静脈内鎮静法を問題なく行えるケースは多々あります。

静脈内鎮静法の費用と保険適用条件

ここでは、歯科治療で静脈内鎮静法を併用したらどのくらいの費用がかかるのか、また健康保険は適用されるのかどうかについて解説します。

静脈内鎮静法の費用はどのくらいですか?
静脈内鎮静法は、基本的に保険適用外となるため、施術にかかる費用は歯科医院によって異なります。全国的には、20,000〜100,000円程度が相場となっています。静脈内鎮静法では、特別な薬剤や機材が必要となるだけでなく、歯科麻酔科医が立ち会うなど、通常の歯科治療とは大きく異なることから、費用もそれなりに高くなります。
静脈内鎮静法は保険適用ですか?
歯科恐怖症やパニック障害を患っている患者さんには、一部例外的に静脈内鎮静法へ健康保険が適用されます。その場合の費用は1回あたり数千円程度にとどまります。ただし、静脈内鎮静法を併用する治療がインプラントのような自費診療の場合は、該当する疾患を患っていたとしても、保険適用外となりますので、その点は注意しましょう。

編集部まとめ

今回は、静脈内鎮静法の効果や費用、注意点を解説しました。静脈内鎮静法は、腕の静脈に鎮静剤を点滴する麻酔法で、この施術自体に強い痛みは生じません。静脈内鎮静法には、恐怖心や不安感を軽減する、嫌な記憶が残らない、治療中のトラブルを未然に防ぎやすくなるなど、たくさんのメリットがあると同時に、費用が高くなる、副作用のリスクがあるなどのデメリットも伴います。また、静脈内鎮静法はすべての患者さんに適応できるわけではないので、その点も含めて事前にしっかり相談しておくことが大切です。そんな静脈内鎮静法についてより詳しく知りたいという方は、歯科医院に相談することをおすすめします。

参考文献

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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