インプラント治療を検討中の方は、手術後のダウンタイムに不安を感じているケースが少なくありません。とりわけインプラント手術後の腫れは避けることができない副作用であり、症状の程度や持続する期間によっては、日常生活にも大きな支障をきたします。ここではそんなインプラント手術後に腫れる原因や持続期間、腫れを早く治す方法などについて詳しく解説します。インプラント手術後の腫れを予防する方法もあわせて紹介します。
インプラント手術後の腫れの症状
はじめに、インプラント手術後の腫れが生じやすい場所や持続期間などを解説します。
- インプラント手術後に腫れやすい場所はどこですか?
- インプラント手術後に腫れやすいのは、人工歯根を埋め込んだ部位とその周囲の組織です。具体的には、施術部位を中心として、歯茎や顎がやや広範囲に腫れます。インプラントの埋入位置や歯科医師の技術、選択した施術法によっては、施術部位の歯茎が軽度に腫れる程度にとどまる場合もあります。
- どのような場合にインプラント手術後の腫れが強くなるか教えてください
- インプラント手術後の腫れが強くなる原因としては、以下の4つが挙げられます。
◎術中・術後に細菌感染が起こった
インプラント手術では、歯茎をメスで切り開き、顎の骨にドリルで穴を開けるという外科処置を伴います。このときに衛生管理が徹底されていなかったり、術後のケアが不適切だったりすると、患部が細菌に感染して歯茎や顎の腫れが強くなる場合があります。
◎骨の火傷が起こった
チタン製の人工歯根を埋め込む際、注水を怠ったり、過度な速さでドリルを回したりすると、顎の骨が火傷を負ってしまいます。その結果、患部の腫れや痛みが強くなることもあります。
◎術後の過ごし方に問題があった
インプラント手術後には、患部への刺激や負担を避けるために、次のことを控えなければなりません。
- 激しい運動やスポーツ
- 熱い湯船に浸かる
- お酒を飲む
- タバコを吸う
- 熱い物や辛い物をお口にする
- 患部で食べ物を噛む
こうした注意事項を守らずに生活していると、インプラント手術後の腫れが強くなることがあります。
◎人工歯根の埋入本数が多かった
インプラントの人工歯根は1回の手術で2本同時に埋め込むことがあります。2本埋め込むということは、その分だけ傷口が大きくなり、歯茎や顎の骨にかかる負担も増大することから、インプラント手術後の腫れも1本だけ埋め込むケースより強くなりがちです。
- インプラント手術後の腫れはどのくらい続きますか?
- インプラント手術後の腫れは、2〜3日程度でピークに達します。インプラント手術から1週間も経過すると、歯茎や顎の腫れが気にならなくなるケースがほとんどです。ただし、インプラントを埋入する本数が多かったり、骨造成を併用したりするケースでは、手術から1週間以上経過しても腫れが続いている場合もあります。こうしたケースに関しては、必ず事前に主治医から腫れの程度や持続期間の説明があるため、しっかりと聞いておくことが大切です。
インプラントの手術後に腫れが生じる原因
インプラントの手術後には、ほとんどのケースで腫れが生じます。なぜならインプラント手術では、歯茎や顎の骨に大きな傷を負った状態となるからです。例えば、転んだ拍子に皮膚が避けたり、骨が損傷したりすると、患部がしばらく腫れますが、これは私たちの身体に備わっている免疫システムが正常に機能している証拠といえます。具体的には、損傷した組織を修復するための反応が起こったり、病原体を排除するための免疫細胞が活動したりする結果として、患部にたくさんの体液などが集まって腫れが生じます。インプラント手術後の傷口もこれと同じ経過をたどるものと考えてください。こうしたインプラント手術後の腫れの程度は、手術内容や生活習慣などによって変化する点に注意が必要です。
- 手術範囲や骨造成の有無で腫れの程度に違いは出ますか?
- 手術の範囲が広かったり、骨造成を併用したりすることで、インプラント手術後の腫れが強くなる可能性は高いですが、その影響を数値化することは難しいです。インプラント手術後の腫れの持続期間は、手術範囲が広く、骨造成を併用しているケースの方が数日から数週間、長くなることが多いといえます。
- 体質や生活習慣は手術後の腫れに影響しますか?
- もちろん、影響します。患者さんの体質によっては、外科手術を受けても腫れにくい方はいますし、手術後の生活を歯科医師の指示どおりに過ごすことで、腫れの症状を抑制しやすくなります。体質は生まれ持ったものなので患者さん自身がどうにかすることはできませんが、生活習慣は改善可能です。そのためインプラント手術後の腫れを抑えたいという場合は、患部に影響を与えやすい生活習慣を可能な限り取り除くよう努めましょう。具体的には、激しい運動やスポーツ、熱い湯船に浸かる、お酒を飲む、タバコを吸う、熱い物や辛い物をお口にするなどの習慣は、インプラント手術後からしばらくは控えてください。
- 治療後の腫れを予防する方法があれば教えてください
- インプラント手術後に以下の方法を実践することで、腫れや痛みをできる限り抑えやすくなります。
◎処方された薬を指示どおりに飲む
インプラント手術後には歯科医師から腫れ止めや抗生物質が処方されます。これらを歯科医師の指示どおりに服用することで、インプラント手術後の腫れを抑えやすくなります。とりわけ抗生物質の服用は厳密に行わなければなりません。抗生物質というのは、痛み止めや腫れ止めとは異なり、処方された薬剤を用法・用量を守ったうえで飲み切ることが原則となります。「今回は何となく大丈夫そう」といった自己判断で服用をやめると、細菌感染のリスクが高まり、インプラント手術後の腫れや痛みを増大させます。
◎患部を正しい方法で冷やす
インプラント手術を行った部位は、炎症反応が起こって腫れてくるため、あらかじめ濡れたタオルなどで冷やすのは効果的です。患部を直接、氷などで冷やすと、傷口に悪い刺激が加わったり、周囲組織の血行を悪くして治癒を遅らせたりするので、必ず間接的な冷却を心がけてください。顎や頬に濡れタオルを当てる場合でも、冷やし過ぎには注意しましょう。
インプラント手術後の腫れへの対処法
最後に、インプラント手術後の腫れが生じた場合の対処法を解説します。
- 手術後の腫れを早く治すためにできるセルフケアはありますか?
- インプラント手術後の腫れは、患部を間接的に冷やすことで改善が見込めます。口腔ケアをしっかりと行うと、細菌感染のリスクが減り、手術後の悪化も防ぎやすくなります。その他、処方された腫れ止めを飲み、安静に過ごすことも症状の改善に寄与します。
- 手術後の腫れが治まらないときは歯科医院に相談するべきですか?
- インプラント手術後の腫れが1週間経っても治まらない、あるいは歯科医師による説明よりも長引いている場合は、ためらわずに歯科医院へ連絡しましょう。今現在の状態を詳しく説明したうえで、担当医の指示にしたがってください。
- 手術後の腫れが治まらないとき歯科医院でどのような治療が受けられるか教えてください
- まずは手術後の腫れが治まらない原因を突き止めます。必要に応じて歯科用CTによる精密検査を行うこともあるでしょう。インプラントの埋入が失敗していることが原因で手術後の腫れが治まらないケースでは、人工歯根の撤去や再手術などが検討されます。インプラント手術は成功しているけれど、患部に細菌感染が起こっている場合は、傷口の洗浄や抗生物質の投与などで対応します。実際にどのような治療が必要となるかは検査をしてみなければわからないため、インプラント手術後に想定を超える腫れや痛みが生じた場合は、速やかに歯科医院へ連絡してください。
編集部まとめ
今回は、インプラント手術後の腫れの原因や持続期間、腫れを早く治す方法などを解説しました。インプラント手術後は、免疫反応によって歯茎や顎がある程度は腫れます。通常は2〜3日程度でピークを迎え、インプラント手術から1週間も経過すれば腫れも気にならなくなります。こうした経過を逸脱するような腫れや痛みが見られた場合は、何らかの異常が疑われるため、インプラント手術を受けた歯科医院に相談した方がよいでしょう。インプラント手術後は、通常の歯科治療とは異なる症状などが現れやすいため、少しでも不安に感じたら主治医に報告してください。
参考文献