インプラント

インプラントメーカーを選ぶときのポイントを紹介|国産と海外のメーカーの違いや費用まで詳しく解説

インプラントメーカー

人工的な歯根を埋め込むことで歯の機能を回復させるインプラント治療ですが、治療で使われるインプラントの種類は多岐に渡ります。

国産のインプラントだけでも30種類以上、海外のメーカーになると100種類以上のインプラントメーカーがあり、それぞれに特徴が異なることに注意しなければなりません。

今回の記事では、インプラントメーカーを選ぶときのポイントや、代表的なメーカーのそれぞれの特徴についてご紹介します。

インプラントはご自身の口腔内・顎に埋め込むことになるので、メーカーについてもしっかり理解しておくことが大切です。

インプラントメーカーを選ぶときのポイント

浮いている歯

多くのインプラントメーカーがあるなか、ご自身に合ったメーカーを選ぶためにはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。

  • 自分の口・歯の大きさに合っているか
  • 予算に合っているか
  • 種類によって治療期間が変わる
  • 他のクリニックでもメンテナンスが可能か

後悔なくインプラント治療を進めるためにどれも欠かせないポイントです。それぞれについて詳しく解説します。

自分の口・歯の大きさに合っているか

インプラントは顎の骨に埋め込む人工歯根であり、人工歯を支える役割を担います。

自分の口や歯の大きさに合っていないと、痛みなどの不具合が出たり、審美性が低くなったりなど本来のインプラントの良さを引き出せない結果に繋がるでしょう。

インプラントの形状や大きさはメーカーによって異なるため、それぞれの特徴を加味した上で決めることが大切です。

信頼性が高く、世界中で使用されている大手メーカーの製品は、多くの場合幅広い種類のインプラントを提供しています。

医師の診断に従い、ご自身の口・歯の大きさに合ったインプラントを選んでもらいましょう。

一般的に、国産のインプラントの方が日本人の骨格を基準に作られているため、大きな調整をせずとも合う可能性が高いです。

事前にクリニックのサイトをご覧いただくと、インプラント治療に用いているメーカーを説明していることがあります。クリニック選びの際の参考にしてみても良いでしょう。

予算に合っているか

使用するインプラントのメーカーによって、費用には大きな違いが現れます。使用する歯科材料も異なりますし、技術も異なるためです。

インプラント治療は保険が適用されないため、入れ歯やブリッジといった他の治療と比べても費用が高くなりやすい傾向にあります。

費用を抑えるために、なるべく安価なインプラントで済ませたいと思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし、10万円以下の安価なインプラントは有名インプラントのコピーインプラントであることが多く、その安全性が確保されていません。

数多く普及しているような有名メーカーのインプラントは、正規の研究・開発・治験・実験の後に認可を受けて出荷されています。

ご自身の体内に入れるものですから、リスクは低いに越したことはありません。

相場を加味した上で予算を設定し、その予算に合ったインプラントメーカーを選ぶことが大切です。

種類によって治療期間が変わる

埋め込まれる歯

インプラント治療には、外科手術の回数によって「1回法」と「2回法」があります。言葉通り、1回法は1回の手術・2回法は2回の手術で治療が完了します。

手術回数が異なると治療期間も変わってくるのに加え、インプラントの種類によって選択される手術方法も異なります。

例えば、ワンピースタイプのインプラントは、1回法の手術になります。

ワンピースタイプは、最初の手術でインプラントを埋め込む際に、すでに上部構造をつけることが可能です。

そのため、インプラントと骨が結合するのを待つ3ヶ月以上の治療期間が経過しても、歯肉に埋もれることがありません。

そのまま人工歯を装着する治療に進めるため、歯肉を切開するのは最初の手術のみで済みます。

手術の負担を軽減できる点がメリットですが、顎の骨の厚みが十分になければ実現は難しいのが現状です。

日本人は顎の骨が少ないことが多く、1回法よりも2回法が選択されやすい傾向にあります。

ツーピースタイプのインプラントは、2回法の手術で装着されます。顎の骨の厚みが足りなかったり、柔らかかったりする場合には2回法になることが一般的です。

2回法の手術では、最初にインプラントを埋め込んだ際に切開した歯茎を縫い合わせてしまいます。

インプラントと骨が結合してから、カバーしていた歯茎を切開して上部構造を連結します。その後に人工歯を装着して治療は完了です。

治療期間は長く、手術負担も大きくなりやすいですが、患者様の健康状態や顎の骨の状態に左右されにくくなります。

治療期間に影響を与える手術回数は、インプラントの種類だけでなくご自身の口腔状態によっても変わってきます。

カウンセリングの段階で目安の治療期間について聞いておくと良いでしょう。

他のクリニックでもメンテナンスが可能か

説明

インプラントは、個人差もありますが今後10年、場合によっては一生維持していくことが可能な治療法です。

保険診療の入れ歯は4〜5年であることが多く、インプラントの持ちの良さは侮れません。

しかし、これからも長くインプラントと付き合っていくためには、定期的なメンテナンスが必要です。

長い使用期間のなかで、同じクリニックでメンテナンスを受け続けられるケースはあまりないかもしれません。

10年も経過すれば、それだけライフスタイルも大きく変わってくる可能性があるからです。例えば仕事の都合で転勤することになった場合、通院するクリニックも変わるでしょう。

そのようなときに、他のクリニックでもメンテナンスできるようなインプラントの種類でなければ、長く使い続けることは難しくなります。

つまり、全国的にも症例が多く、広く普及しているようなインプラントメーカーの方が安心なのです。

他のクリニックでも問題なくメンテナンスが行えれば、ライフスタイルが変わっても柔軟に対応でき、これからも長く使い続けられるでしょう。

国内のインプラントメーカー

実験

それでは、ここからは実際のメーカーの特徴を確認していきましょう。まずは国内のインプラントメーカーからです。

国内のインプラントメーカーは、海外のインプラントメーカーとは異なり、日本人・アジア人の骨格を基準に開発されています。

そのため、骨格に合わせて調整する手間がなく、治療をスムーズに進めやすくなります。

ここでご紹介する国内のインプラントメーカーは、以下の3社です。

  • 京セラメディカル社
  • GC社
  • プラトン社

それぞれ確認していきましょう。

京セラメディカル社

京セラメディカル社は日本で最も歴史が長く、その分実績も多いインプラントのメーカーです。日本では認可が下りており、安全性が保証されています。

実際に京セラメディカル社のインプラントは、長期的に維持できている方が多いというデータが出ています。信頼性の高いメーカーです。

骨と結合しやすい特徴があり、顎の骨の量が少ない症例にも適応できます。

GC社

研究者

GC社は、京セラメディカル社と同列の知名度を誇るインプラントメーカーです。高品質なのに低価格なのが特徴で、国内メーカーならではの良さがあります。

骨の状態によって使い分けるタイプが豊富にあり、様々な症例に対応することが可能です。日本では認可も下りているため、十分に信頼できます。

強度の高いチタン合金を使用しており、さらに特殊技術で表面加工を施しています。これにより、骨との結合を格別に促進させることが叶うのがGC社の特徴です。

プラトン社

プラトン社のインプラントは「シンプルで、成功率の高いインプラントシステムが欲しい」という現場の歯科医師の声から誕生しました。

日本ならではの緻密な精密機械工学をベースに、機械加工・表面加工・コーティング処理などを施しています。

国際標準化機構であるISOの定める基準をクリアし、認証を獲得しているため、品質の高さや安全性は間違いありません。

サイズのバリエーションが豊富なので、多くの症例に適応できます。

海外のインプラントメーカー

機械

国内の歯科医院では、その技術力の高さから海外のインプラントメーカーを採用しているところも多くあります。

世界的にシェア率が高く、広く普及していることから、多くの実績や症例数があることが安心の要素です。

ここでご紹介する海外のインプラントメーカーは、以下の4社です。

  • ノーベルバイオケア社
  • アストラテック社
  • ジンマー社
  • ストローマン社

それぞれ確認していきましょう。

ノーベルバイオケア社

ノーベルバイオケア社は、スウェーデンのストックホルムに本社を置くインプラントメーカーであり、インプラントを世界で初めて製品化させた開発メーカーです。

高品質で信頼性が高い製品を提供しており、患者様の治療負担を軽減し、QOLを向上させることを目指しています。

インプラントは顎の骨が少ない方や厚みが薄い方にあまり向かない治療法ですが、ノーベルバイオケア社ではそういった方々でも負担少なく治療を受けられるように開発してきました。

入れ歯をインプラントで固定するAll-on-4治療も、ノーベルバイオケア社が開発したものです。

開発が進む中でご自身の装着しているインプラントが古い製品になってしまっても、ノーベルバイオケア社では継続的に供給してくれます。

長期間維持できるインプラントにとっては、アフターケアでも安心の仕組みが整っているといえるでしょう。

アストラテック社

一本の差し歯

アストラテック社は、審美性に優れたインプラントメーカーとして世界4大メーカーの1つに数えられます。メーカー名はデンツプライ社です。

インプラントの大敵である歯周病に強く、骨との結合力も優れています。従来のインプラントよりも短いため、神経までの距離が近い方・骨が少ない方でも適用可能です。

アストラテック社のインプラントは、世界的にも厳しい基準であるアメリカ歯科協会(ADA)の基準をクリアしています。

国内でも認可が下りているため、安心して治療を受けられるでしょう。

ジンマー社

ジンマー社はアメリカ合衆国のインプラントメーカーであり、骨との結合力の高さに世界中が評価しています。

骨造成が必要なインプラント治療に向いているため、顎の骨が少ない日本人には適したインプラントです。海外メーカーの中では日本でのシェア率が高く、信頼と実績に長けています。

骨造成が必要な治療は治療期間が長引きやすいですが、ジンマー社のインプラントを用いれば治療期間を短縮できる可能性が高くなります。治療負担の軽減を期待できるでしょう。

ストローマン社

ストローマン社はスイスのインプラントメーカーであり、近年では世界No.1のシェア率を誇るようになりました。

独自の表面形状のおかげで、骨との高い結合力・維持可能期間の長さを実現しています。

治療期間を最短1ヶ月まで短縮できる実績もあり、現在最も注目度が高まっているインプラントメーカーです。

顎の骨が少ないことの多い日本人とも親和性の高い形状をしているため、多くの歯科医院がストローマン社のインプラントを導入しています。

インプラントメーカーによって費用は変わる?

歯の模型

インプラント治療は自由診療のため、クリニックごとに自由に料金が設定されています。

それはインプラント本体の費用とも比例しており、クリニックが使用しているインプラントメーカーによって費用の幅も出てくるでしょう。

メーカーによって費用が変わるのは、ここまで述べてきたように、使用している材料や技術力などが異なるためです。

今回の記事でご紹介したのは、普及率の高いインプラントメーカーの中でも比較的大手のメーカーです。

このような大手メーカーのインプラント治療は、やはり全体の治療費用も高くなる傾向にあります。

しかし、なかには安全性や保証体制が確立されていないコピー品を取り扱うことで、格安でインプラント治療を提供しているところもあるかもしれません。

インプラントは、これからご自身の身体の一部として10年以上長く使用していくものです。そのような観点から考えると、初期費用の安さだけで決めない方が良いことがわかります。

耐久性・安全性・保証体制・倒産のリスクなどを考えたら、多少初期費用がかかったとしても、信頼できるインプラントメーカーの製品を選ぶことが欠かせません。

費用も大切ではありますが、相場を加味した上で予算を設定し、ご自身に合ったインプラントメーカーを選択することが大切です。

インプラントメーカーは自分に合うものを選ぼう

高齢者
ここまでご紹介してきたように、インプラントメーカーにはそれぞれに特徴があり、得意とする症例も異なります。

インプラント治療を検討している方は、自分に合ったインプラントメーカーを選ぶようにしましょう。

例えば、神経との距離が近いのであれば、アストラテック社のインプラントが向いている可能性があります。

顎の骨が少なく治療負担が大きくなることが懸念される場合には、骨との結合力に定評があり、治療期間を短縮できるストローマン社のインプラントが向いているでしょう。

歯科医師とのカウンセリングや相談を通じて、ご自身の状態に合ったメーカーを選ぶことが大切です。

まとめ

歯の検査機器

今回は、インプラントメーカーについて、選ぶときのポイントやそれぞれのメーカーの特徴をご紹介しました。

様々な情報をお伝えしてきましたが、最も大切なのはご自身に合ったインプラントメーカーを選択すること広く普及した信頼できるインプラントメーカーを選択することの2つです。

費用面も大切ですが、今後10年以上身体の一部として機能することを踏まえて考えましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授

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柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授

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