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インプラント治療で利用できるデンタルローンとは?費用相場や利用するメリット・注意点も併せて解説します

007 インプラント ローン

インプラント治療は、失ってしまった歯の代用として、入れ歯やブリッジ治療よりも自然な歯に近い仕上がりになることが魅力です。

しかし、自由診療ゆえに費用が高額になりやすい傾向にあります。クリニックによって差はあるものの、インプラント1本あたり30万円以上はかかりやすいです。

さらに他の処置が必要になると100万円を超すことがほとんどであり、簡単には用意できない金額になってしまいます。

そのようなときに便利なのが、歯科治療のためにできたデンタルローンです。

今回の記事では、費用面からインプラント治療を敬遠している方におすすめなデンタルローンについてご紹介します。

インプラント治療で利用できるデンタルローンとは

歯と虫眼鏡 治療のイメージ

歯科治療のためのローンといわれても、あまり馴染みのない方が多いかもしれません。ローンという言葉通り、インプラント治療の費用を立て替えてもらうことが可能です。

自費ではなくローンを組むことにはなりますが、費用面での負担が軽くなるため、インプラント治療への懸念が解消される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、デンタルローンの概要について確認していきましょう。

歯科治療専用のローン

デンタルローンは、歯科治療専用のローンです。インプラント治療の他にも矯正・セラミック治療といった、歯科治療の中でも保険外となる治療が対象となります。

基本的に歯科治療にかかる費用は一括支払いであり、クレジットカードで分割払いをすることも可能です。

しかし、クレジットカードの分割払いは金利が高く、費用が高額になりやすい歯科治療には向きません。

デンタルローンはクレジットカードの分割払いよりも低い金利で、実質的に分割払いにできるようになります。

一度に高額な治療費用を支払うのが難しい場合でも、返済回数に応じて支払えるようになるのです。

まとまったお金がある際には繰上げ返済をすることも可能であり、返済期間を短縮して支払うこともできます。

経済的な負担が大きくなりやすい歯科治療ですが、デンタルローンを上手に活用できれば、諦めていたインプラント治療もできるかもしれません。

デンタルローンの仕組み

電卓を指差す歯医者さん

歯科治療の費用に特化したローンではありますが、デンタルローンの仕組みは一般的なローンとほとんど変わりません

申請時には審査があり、その審査を通過した方だけがデンタルローンを利用できるようになります。

支払い能力がないと判断されてしまえば、デンタルローンは利用できません。

ただ、他のローンと比べて格別に審査が厳しいことはなく、借入額と収入額のバランスがよければ問題なく通ることが多いです。

審査に通れば借入できるようになり、返済期間と支払い回数に応じて完済まで支払っていくことになります。

もちろん金利がかかるため、返済期間が長くなればそれだけ実際の治療費用以上の金額がかかるでしょう。

最小6回・最大84回の分割払いが可能なので、ご自身の事情に合わせて選択してください。

必要に応じて治療費全てを借入せずに、半分は現金・半分はローンのような形にすることも可能です。

デンタルローンはこのような面で融通が利きやすいので、審査にさえ通れば比較的自由に設定できます。

インプラント治療の費用相場

治療 費用

それでは具体的に、インプラント治療にどれくらいの金額が必要なのかについて見ていきましょう。

冒頭にてご説明したように、インプラント1本あたりの費用相場は30万円程度とされていますが、インプラント治療では他にも様々な処置が必要になります。

上記を踏まえたうえで、インプラント治療にかかる費用相場について解説します。

一般的には100万円前後かかる

インプラント治療の費用相場は、治療内容やクリニックによって異なりますが、一般的には100万円前後と考えられています。

インプラント治療は、ただインプラントを埋め込むだけでなく、手術前後の検査やメンテナンスが非常に大切です。

手術前には、どのような治療が患者様に最も適しているのか・インプラント治療で改善できるかをしっかり確認します。

そのために、CT撮影や特殊な検査をすることもあるでしょう。カウンセリングは無料なところが多いですが、検査代は別途費用がかかります。

さらにそこから、インプラント本体・アバットメント(人工歯の土台)・人工歯の費用がかかるため、大きく見積もっても50万円程度かかることが多いです。

インプラントを埋め込むだけの治療で済めば良いですが、日本人の顎の骨は少ないことが多く、そのままではインプラントを埋め込めないケースが多い傾向にあります。

骨造成や抜歯などの別の処置が必要になると、そこへ20万円前後の費用がかかります。痛みが苦手な方は静脈内鎮静法を用いることになり、1回の手術で10万円程度必要です。

合計すると、やはり100万円前後の治療費用がかかることになります。カウンセリングの段階で見積額は出してもらえるので、内訳とともに確認してみましょう。

治療内容・期間によっては500万円を超えるケースも

インプラントは、全ての歯を失ってしまった場合にも適応することが可能です。インプラントの本数が増えれば、もちろんその分費用も跳ね上がってしまいます。

治療内容・期間によっては、500万円かかってしまうことがあるでしょう。

インプラントの本数を減らすAll-on-4という治療法を適用しても、上下両方の顎を治療すれば400〜500万円程度かかります。

500万円程度になれば、新車を購入するくらいの治療費になるので、そのような場合は無理せずデンタルローンを賢く活用することがおすすめです。

インプラント治療でデンタルローンを利用するメリット

年金生活

ここまでご紹介してきたように、保険が適用されないインプラント治療にはかなり高額な費用がかかってしまいます。

日常生活を圧迫させないためにも、デンタルローンを上手に利用することが大切です。インプラント治療にデンタルローンを利用するメリットは、以下の4つが挙げられます。

  • 治療開始時の費用負担が軽減できる
  • 他のローンに比べて金利が低い
  • 利用限度額の設定が高い
  • ネットなどで簡単に申請できる

それぞれ確認していきましょう。

治療開始時の費用負担が軽減できる

デンタルローンを利用することで、インプラント治療の費用負担を実質的に分割払いできることになります。

これにより、治療開始時に一括払いする場合と比べると、かなり費用負担が軽減されるでしょう。

例えば、インプラント治療の総額が120万円だったと仮定しましょう。ここで60回払いのデンタルローンを組んだとすると、月々の費用負担は2万円で済みます。

120万円が2万円になると考えると、非常に大きな負担軽減に繋がっていることが容易にわかります。

デンタルローンの支払い回数は任意で設定できるので、事情に合わせて選択しましょう。

場合によっては、前述のように半分は現金払いをして、残りの費用はデンタルローンで支払う方法も可能です。

金利・分割回数・返済期間・経済事情を加味したうえで、適切なローン設定をしましょう。

他のローンに比べて金利が低い

街に居る高齢女性

デンタルローンは、一般的なローンと比べて金利が低い傾向にあります。

歯科治療でローンを借りるとなるとフリーローンが選択肢に入りますが、フリーローンの金利は5〜15%のことがほとんどです。

クレジットカードの分割払いでも良いかもしれませんが、クレジットカードの分割払いには金利と分割手数料で15%以上は金額が上乗せされるでしょう。

一方、デンタルローンの金利は4%〜8%となっており、フリーローンやクレジットカードよりも金利が低めに設定されています。

借入先・借入金額・返済期間によって変わってきますが、基本的に他のローンと比べて金利が低いと覚えておきましょう。

利用限度額の設定が高い

分割回数を6〜84回の間で自由に設定できるデンタルローンですが、利用限度額の設定も高く、高額な費用がかかりやすい歯科治療でも安心して借入可能です。

借入先にもよりますが、300万円から700万円が限度額の相場となっています。

もちろん、デンタルローンは審査に通過しなければ利用できないため、収入とのバランスに見合わない借入額を設定してしまうとそもそもの審査に通過できない可能性があります。

仮に審査に通過しても、毎月の支払いに回らなくなり日常を圧迫しかねません。

利用限度額の設定が高いことはメリットではありますが、バランスに気をつけないとデメリットにもなりうる諸刃の剣といえます。

利用限度額は借入先によって変わるため、まずは借入先の情報を集める段階で確認しておきましょう。

ネットなどで簡単に申請できる

スマホを見る高齢者夫婦(三世代家族)

一般的に、デンタルローンはネット上で簡単に申請できます。

デンタルローンを利用する金融機関やローン会社のWebサイトから申込みを行い、フォームに必要事項を記入して完了です。

一般的には翌営業日以降に、審査結果が電話やメールで通達されます。審査結果は治療を予定しているクリニックにも通知されるので、ご自身から改めて伝える必要はありません。

支払いの開始日などは借入先によって変わってくるため、審査前に確認しておくようにしましょう。

場合によっては、ネットではなくクリニックの窓口で直接デンタルローンの申込みができることもあります。

銀行の窓口でも申込みできますが、銀行の窓口は平日の15時までしか営業していないことが多いため、時間には注意してください。

インプラント治療でデンタルローンを利用するデメリット

シニア女性・笑顔

他の一般的なローンに比べ、デンタルローンはインプラント治療に適したローンです。しかし、注意しておきたいデメリットもあります。

  • 審査に通らない場合がある
  • 分割回数が多いと長期間の返済になる
  • 保証人が必要な場合がある
  • 全てのクリニックで使えるとは限らない

デンタルローンは、借り手の信用情報や収入などの返済能力を基に審査​​が行われます。

信用情報に問題があったり、返済能力が不十分だったりする場合は、デンタルローンの審査には通過できません。

その場合、借りたい金額を借りられなかったり、そもそもデンタルローンを利用できなかったりするため、事前に自分自身の信用情報や返済能力を把握しておくことが重要です。

特に重要なのは、収入額に見合った借入額を設定する点です。このバランスが悪いと審査に通過できない可能性が高くなるでしょう。

また、デンタルローンの審査に通りにくい方には以下のような特徴が挙げられます。

  • 学生
  • 専業主婦
  • パート・アルバイト
  • フリーター
  • 他にもローンを組んでいる
  • 過去に滞納したことがある
  • 2年以内の勤続年数

デンタルローンでは、一般的なローンと同様に安定した収入があること​​を重要視します。安定した収入があることをアピールするには、勤続年数や収入源を明確にしなければなりません。

また、過去に信用情報に傷が入ってしまっている方や他にもローンがある方は、デンタルローンでの返済は厳しいと判断されることもあります。

デンタルローンは特に審査が厳しいわけではありませんが、通常のローンと同様に審査基準があることを忘れないようにしましょう。

当たり前ではありますが、分割回数が多いとそれだけ長期間の返済になり、手数料や金利分の支払いが増えてしまう可能性があります。

当初のインプラント治療にかかった費用から雪だるま式で金額が膨らんでいくため、最終的な支払い金額は最初の時点で想定しておく必要があるでしょう。

先ほど挙げた専業主婦・パート・アルバイトの方の場合、保証人が必要なこともあります。

保証人は、ご自身が支払いできなくなったときに義務が転嫁されてしまうため、当人の許可を得た上で慎重に判断してもらいましょう。

最後に、便利なデンタルローンではありますが、全てのクリニックで使えるとは限りません

銀行との連携がないクリニックの場合、現金かクレジット払いにしか対応していないことがあります。

保険を適用できない自由診療のクリニックであれば導入していることがほとんどですが、事前に問い合わせておくと安心です。

このようなデメリットに対して、きちんと対応策を取っていればデンタルローンは非常に助かる仕組みです。

ただ審査に通過できなかった場合にはローンを組めないので、その場合の対処法については申込みの段階で考えておくことをおすすめします。

インプラント治療でデンタルローンを利用するまでの流れ

食事をする男性(合掌)

インプラント治療でデンタルローンを利用する際は、まず大前提として治療計画が立っていなければなりません。

つまり、インプラント治療の見積もりが必須となります。まずはクリニックにご来院いただき、診断と治療計画を立ててもらいましょう。

その後は、以下の流れで進められます。

  • 申込み
  • 利用においての審査
  • 治療開始

それぞれ見ていきましょう。

申込み

インプラント治療の見積もりが出た後に、デンタルローンの利用を検討する場合は、クリニックの窓口かネット上で申込みする必要があります。

申込み方法については、クリニックで相談していただければ案内されるので、指示に従って申込みましょう。

ネット上の場合はフォームに入力するだけで済みますが、クリニックでの申込み時には以下の書類が必要です。

  • 申込み書
  • 見積書

一般的なローンに比べ煩雑な手続きは不要なので、すぐに申込みできる点が嬉しいポイントです。

借入先によっては、事前のシミュレーションが行えるサービスを提供している場合もあります。借入額を決める際の参考にしても良いでしょう。

利用においての審査

申込みが完了すると、金融機関やローン会社の方で審査が行われます。多くの場合は翌営業日に審査結果がわかるので、そこまで待たされることはありません。

電話・メールで結果を伝えられるので、通知をオンにしておくと良いでしょう。

治療開始

歯科衛生士と男性患者

問題なく審査に通過できれば、インプラント治療が開始されます。

銀行の口座振替の手続きが完了すると月々の返済が開始されるので、毎月いつ引き落とされるのかを確認しておきましょう。

まとめ

野菜を持つ高齢者夫婦と若い日本人(介護)

高額な歯科治療として知られるインプラント治療ですが、デンタルローンを賢く活用できれば手元に資金がなくても治療を受けられるようになります。

審査に通過する必要はありますが、月々1〜2万円でインプラント治療を受けられるとなれば、インプラント治療へのハードルが低くなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

インプラントは、再び笑顔で食事や会話が楽しめるようになる高機能な代用歯です。デンタルローンで費用面の苦悩を解消し、前向きに治療を検討できるようにしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授

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柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授

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