オールオン4治療には、多くのメリットがありますが、デメリットも伴います。 オールオン4治療で後悔しないために適切な理解と準備をしましょう。
本記事では、オールオン4のデメリットについて以下の点を中心にご紹介します!
- オールオン4のデメリット
- オールオン4治療で起こる可能性のあるトラブル
- オールオン4で後悔しないためにできること
オールオン4のデメリットについて理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
オールオン4とは?
オールオン4治療法とは、一度に片顎全体の歯を4本のインプラント支柱を用いて支えるインプラント手法です。治療では、顎の骨に直接4本のインプラントを埋め込み、それらを基盤としてすべての義歯を固定します。オールオン4治療は、すべての歯を失った方や顎の骨が薄い方に適しており、従来の方法より治療期間や費用の削減が期待できます。
また、入れ歯の不便さや見た目の問題を大きく改善し、自然な見た目と機能性を回復させます。ただし、治療を受ける際には、メリットとデメリットをしっかりと理解し、適切なクリニックと相談しながら進めることが重要です。
オールオン4のデメリット
まずはオールオン4の主なデメリットについて解説します。
抜歯が必要になる
オールオン4の1つ目のデメリットは、治療を受けるには既存の歯を抜歯する必要があることです。抜歯は、健康な歯を抜くことに抵抗を感じる方にとっては大きなデメリットになります。
ただし、歯周病やむし歯になっている歯を抜くことは、長期的に見てほかの歯への影響を減らし、全体的な口内健康を向上させる可能性があります。
最終的には、自分の口内状況と治療後の生活の質を慎重に考えたうえで、治療法を選択することが重要です。
治療できる医療機関が限られる
オールオン4の2つ目のデメリットは、高度な外科手術技術や先進的なCT診断装置が必要となるため、治療を受けられる医療機関が限られることです。
しかし、オールオン治療を提供している歯科医院は多くないため、治療可能な医院の選択肢が限られることは、患者さんにとって大きな課題となります。
したがって、適切なクリニックを見つけるためには、治療経験や医師の経験、クリニックの設備をしっかりと調査することが必要になります。適切な医療機関を選ぶことが、治療成功の鍵を握るため、十分なリサーチと検討を行うことをおすすめします。
健康保険が適用されない
オールオン4の3つ目のデメリットは、健康保険の適用外となるため、治療費用が高額になることです。
しかし、複数のインプラントを個別に埋め込む方法よりも、オールオン4の方が費用を抑えられる可能性があります。さらに、デンタルローンや医療費控除などの制度を活用するのもおすすめです。
健康保険が適用されない点は、オールオン4に限らずインプラント治療全般にいえることなので、治療を受ける際には考慮する必要があります。
治療できないケースがある
オールオン4の4つ目のデメリットは、顎の骨や患者さんの全身状態によっては治療できない場合があることです。例えば、顎の骨が成長途中の未成年者や全身疾患を持つ患者さん、禁煙ができない患者さん、アルコール依存症や金属アレルギーのある患者さんなどが当てはまります。
また、自宅でセルフケアができない場合や、残っている天然歯を抜きたくない場合も治療が適用されない可能性があります。
このように、治療できないケースがあるため、オールオン4は患者さんの状態に応じた選択が重要です。
オールオン4のメリット
デメリットについて解説しましたが、ここでは、オールオン4のメリットについて解説します。
費用を抑えられる
オールオン4の1つ目のメリットは、費用を抑えられることです。通常のインプラント治療は個別のインプラントを埋め込むため、費用が高額になりがちですが、オールオン4では4本のインプラントで支えるため、費用を削減できます。
例えば、上の歯すべてをインプラントで補う場合、12本のインプラントが必要となりますが、オールオン4ならば片顎で2,000,000円程度という費用での治療が可能です。
骨の吸収を防ぐ
オールオン4の2つ目のメリットは、オールオン4は顎の骨の吸収を防ぐことです。通常、歯を失うと顎の骨は刺激を受けなくなり、吸収されてしまう傾向がありますが、オールオン4のインプラントは骨にしっかりと固定されているため、骨への刺激が継続されます。
刺激により、顎の骨の吸収が抑制され、長期間にわたって健康な顎を維持できます。このように、オールオン4は顎の骨の健康を保ち、より若々しい外見を維持するのに役立ちます。
食べ物を噛みやすい
オールオン4の3つ目のメリットは、天然歯のように食べ物をよく噛めることです。オールオン4は、少ない本数のインプラントでも顎の骨にしっかりと固定されています。そのため、12本の歯を装着でき、硬い食べ物でもしっかりと噛めます。オールオン4治療は侵襲性が低く、通常のインプラントと同様の咀嚼機能を回復するため、さまざまな食べ物を楽しめるため、オールオン4治療は、食事を大切にしたい方にとって適しています。
自然な見た目
オールオン4の4つ目のメリットは、その審美性に優れていることです。歯の色や形、歯並び、噛み合わせなどを患者さんに合わせて調整し、違和感のない美しい口元を実現します。 オールオン4治療を受けることで、自信を持って笑顔を見せられるため、自然な会話が楽しめます。このように、オールオン4は、見た目の美しさと機能性を兼ね備えた理想的な治療法といえます。
オールオン4が適さない方
オールオン4治療はすべての歯がない方に適している治療ですが、なかには適さない方もいます。以下でどのような方が適さないのか解説します。
残存歯がある方
オールオン4治療は、4本のインプラントを埋め込んで片顎全体に装着するため、残存歯がある場合はオールオン4治療は適用されません。
ただし、状態が悪い歯は、オールオン4治療を検討することもありますが、残存歯の状態によっては、インプラント治療の方が適している場合もあります。
したがって、残存歯の放置が別の問題を引き起こす可能性もあるため、状態をよく検討し、適切な治療法を歯科医師に相談しましょう。
持病がある方
オールオン4は、肝臓疾患、高血圧症、免疫疾患、糖尿病、心臓病などの持病をお持ちの方は、血液が止まりにくく感染症にかかりやすいリスクが高まるため、オールオン4の手術は適していません。
特に糖尿病の方は、手術後の傷の治りが遅くなり感染症のリスクが高まるため、慎重な検討が必要です。しかし、全身疾患をお持ちの方でも、医師と歯科医師が連携し、適切な治療プランを立てることで、治療が可能な場合もあるため、まずはかかりつけ医や歯科医院で相談してみることが大切です。
歯周病の方
歯周病を抱える方には、オールオン4は適さない治療法です。歯周病だとインプラント周囲炎のリスクが高まり、インプラントの安定性にも影響を及ぼします。
そのため、歯周病の方、歯周病が進行している方は、まず歯周病の治療を優先し、口腔内の健康状態を整えることが重要です。治療を検討する際には、歯科医師との相談を通じて適切な選択を行いましょう。
喫煙している方
喫煙している方は、オールオン4を含むインプラント治療は難しい場合があります。タバコに含まれるニコチンなどの成分が血管を収縮させ、血流を悪化させるため、インプラントと顎の骨がうまく結合しにくくなります。
また、血流が悪いと手術後の傷の治りが遅くなり、感染症のリスクも高まります。さらに、喫煙によって唾液の分泌が減少し、口内の衛生環境が悪化するため、インプラント周囲炎のリスクも増加します。
禁煙できる方であれば、オールオン4治療が可能かもしれませんが、禁煙が難しい方は治療を断られることがあります。オールオン4治療を受けたい場合は、禁煙を検討し医師と相談のうえで適切な治療方法を見つけることが重要です。
顎の骨が薄い方
顎の骨が薄い方や弱い方にとって、オールオン4の治療は適さない場合があります。オールオン4は4本のインプラントで片顎の義歯を支える治療法ですが、顎の骨が十分でないと、インプラントにかかる負担が増し、成功率が低下します。
このような場合には、骨造成や骨移植などの補助的な治療を行うことで、顎の骨を強化し、インプラントを支える基盤を作ることが可能です。しかし、高度な技術を要するため、専門的な知識と経験を持つ歯科医院を選ぶことが重要です。
オールオン4治療で起こる可能性のあるトラブル
オールオン4治療で起こる可能性のあるトラブルは以下のとおりです。
・下歯槽神経の麻痺
インプラント治療が行われるときに下歯槽神経が麻痺するケースがあります。神経が治療器具の接触などによって損傷することが原因で、歯科用CTでの事前検査を行わなかった場合に発生しやすいトラブルです。
・インプラントの骨結合不良
インプラントが骨と結合しないことがあります。原因は、ドリルのオーバーヒートや不適切な角度・深度での埋入によるもので、結合不良が起こるとインプラントにぐらつきが生じ、症状が悪化した場合は抜け落ちることがあります。
・インプラント周囲炎
インプラント治療後、インプラント周囲炎に感染する可能性があります。インプラント周辺の組織が細菌に感染し炎症を起こす疾患です。日頃のメンテナンス不足が主な原因です。
・上顎洞炎
上顎洞炎は、副鼻腔のひとつである上顎洞の粘膜に炎症が起こる疾患で、歯の痛みや鼻づまり、頭痛などの症状があります。インプラント体が上顎洞を突き抜けることで発症し、歯科用CTによる事前検査を行わなかったことで発生しやすいトラブルです。
・インプラントの被せ物が脱落
インプラントの被せ物が外れることがあります。原因はアバットメント(土台)の不具合や噛み合わせの悪さであるため、適切な締め付けや噛み合わせの調整が必要です。
・噛み合わせの悪化
インプラント治療後に噛み合わせが悪くなることがあります。偏った歯で噛む癖や歯を食いしばる癖が原因で、時間とともに噛み合わせがずれることがあります。
以上のようなトラブルを避けるためには、適切な事前検査とメンテナンスが重要です。
オールオン4で後悔しないためにできること
最後に、オールオン4で後悔しないためにできることを解説します。ぜひ参考にしてみてください。
メンテナンスを怠らない
日々の入念なケアは特に重要で、丁寧な歯磨きはインプラント周りに歯垢が溜まるのを防ぎ、口腔内を清潔に保ちます。しかし、セルフケアだけで汚れを除去することは難しいため、歯科医院での定期的なメンテナンスが欠かせません。
歯科医院でのメンテナンスでは、オールオン4の状態を確認し、クリーニングも行われるため、インプラント周囲炎の早期発見・予防に役立ちます。
オールオン4装着後の1ヵ月後に最初のメンテナンスを行い、その後は4ヵ月に1回や6ヵ月に1回など、口腔内の状態に応じた適切なタイミングで受診することが推奨されます。歯科医師の指示にしたがって、定期的なメンテナンスを続けてください。
オールオン4で後悔しないためには、メンテナンスを怠らず、日々のケアを徹底しましょう。
信頼できる歯科医院を選ぶ
オールオン4で後悔しないためには、信頼できる歯科医院を選ぶことが重要です。経験のある歯科医師に治療を受けることで、失敗のリスクを大幅に軽減できます。治療前には、歯科医師から十分な説明を受けるようにしましょう。
また、セカンドオピニオンの活用も大切です。初回のカウンセリングが無料の歯科医院もあるため、複数の歯科医師から話を聞き、信頼できる医院を選ぶことをおすすめします。
まとめ
ここまでオールオン4のデメリットについてお伝えしてきました。 オールオン4のデメリットの要点をまとめると以下のとおりです。
- オールオン4のデメリットには、既存の歯を抜歯する必要があること、治療可能な医療機関が限られること、健康保険が適用されず高額になること、そして顎の骨や全身状態によっては治療できない場合があることが挙げられる
- オールオン4治療でのトラブルには、下歯槽神経の麻痺、インプラントの骨結合不良、インプラント周囲炎、上顎洞炎、被せ物の脱落、噛み合わせの悪化などがある
- オールオン4で後悔しないためには、信頼できる歯科医院を選び、定期的なメンテナンスを怠らないことが重要
オールオン4治療は、患者さんに多くのメリットを提供する一方で、いくつかのデメリットやトラブルも伴います。治療を検討する際には、これらの点を十分に理解し、信頼できる歯科医院を選ぶことが重要です。
ぜひ、治療を始める前に十分なリサーチと相談を行い、適切な選択をしてください。 最後までお読みいただきありがとうございました。