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インプラントが脱落する原因とは?予防策や対処方法についてもまとめました

インプラントが脱落する原因とは?予防策や対処方法についてもまとめました

インプラントは一度入れると長く使うことができ、まるで自分の歯を取り戻したかのような感覚になれるため、歯を失った人から注目を集めている治療法です。しかし、治療後のトラブルとして、せっかく埋め込んだインプラントが抜け落ちてしまうことがあります。この記事では、インプラントの仕組みと寿命、インプラントが脱落する原因と対策、インプラントが脱落しないためにできる予防策などをお伝えしていきます。インプラントの脱落が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

インプラントの仕組みと寿命

インプラントの仕組みと寿命 まずはインプラントの仕組みとその寿命について解説していきます。

インプラントの仕組みについて教えてください。
インプラントは、チタンやチタン合金でできた人工歯根の「インプラント体」、上部構造である「人工歯」、その2つをつなぐ結合部「アバットメント」の3つで構成されています。インプラント体、アバットメント、人工歯の順番で結合させて1本の歯を作り上げていくイメージです。 そして、インプラント埋入手術とは、インプラント体を歯槽骨(しそうこつ)と呼ばれる歯根を支える骨に埋め込む処置を指します。インプラントの手術は2回に分けて行われることが多く、一次手術では歯槽骨にインプラント体を埋め込みます。その後、歯槽骨とインプラント体がしっかりと結合できたのを確認してから、二次手術でアバットメントや人工歯を取り付ける準備をしていきます。インプラント体を埋め込む手術から、人工歯の取り付け完了までに数カ月から半年ほどかかるのが一般的です。
埋入したインプラントはどれくらいの期間使い続けられますか?
インプラントの寿命は、人工歯根であるインプラント体が脱落したときです。 一度埋め込んだインプラント体は10年ほど使い続けることができると言われていますが、口腔内の状態によってはそれより短い期間で脱落してしまうことがあります。逆にメンテナンスなどをしっかりと行うことで、15年以上使い続けることができたという報告が上がっているため、日頃のお手入れ次第でインプラントの寿命が変わるといっても過言ではありません。

インプラントが脱落する原因

インプラントが脱落する原因 インプラント治療後に起こりうるトラブルの一つに「脱落」があります。脱落とはどのような状態で、なぜ生じてしまうのでしょうか。

インプラントの脱落とはどのような状態ですか?
インプラントの脱落とは、人工歯やアバットメントが外れたり、インプラント体が歯槽骨から抜け落ちてしまったりすることを指します。どの部分が脱落したかによって、その後の対応が異なるため、まずは落ち着いて状況を確認することが大切です。
インプラントが脱落する原因を教えてください。
インプラントが脱落する原因はいくつかありますが、手術時の埋入が適切ではなかった、細菌に感染して「インプラント周囲炎」になった、使っていくうちに人工歯やアバットメントが破損したり外れたりしてしまったという理由が一般的です。 このうち、特に注意が必要なのはインプラント周囲炎です。インプラントは天然歯と異なり歯槽骨とインプラント体が直接結合しているため、細菌に感染すると一気に歯槽骨まで炎症が広がっていきます。インプラント周囲炎は歯周病と同様に自覚症状が出にくいため、気がついたら脱落してしまっていたというケースもありえるので注意しましょう。
物理的な破損でインプラントが脱落してしまう場合について教えてください。
インプラントは適切な治療とメンテナンスを継続すれば、長く使い続けることができる補綴物です。しかし、噛み合わせの調整が悪い、歯軋りを日常的にしている、物理的に強い衝撃が加わったなどの理由から人工歯やアバットメントに負担がかかると破損して外れてしまうことがあります。人工歯が欠けたりヒビが入ったりした場合は補修または新しく作り直す、アバットメントが壊れた場合は部品を交換することで修理できます。 また、インプラント体とアバットメントはネジで連結するような構造になっており、人工歯とアバットメントはやわらかいセメントのようなもので固定されています。どちらもメンテナンスで調整しやすいようにあえてしっかりと固定しない傾向があり、緩んでいるとまれに外れることがあります。人工歯やアバットメントは壊れていなければ再装着可能なため、外れたパーツを歯科医院へ持参して付け直してもらいましょう。

インプラント脱落の予防と対処方法

せっかく手術で埋め込んだインプラントが脱落してしまうと残念な結果になってしまいますよね。では、インプラントの脱落の予防はできるのでしょうか。併せて、インプラントが脱落したときに気を付けることをお伝えしていきます。

インプラントが脱落したときはどのように対処すれば良いですか?
インプラントが脱落してしまったとき、まずはどの部分が外れたのかを確認してください。その後、外れてしまったパーツを透明なジッパー付きの袋などに入れて保管し、手術を行った歯科医院へ連絡しましょう。インプラント体が抜け落ちた場合は応急処置が必要になるため、できるだけ早い診察がおすすめです。 なお、人工歯やアバットメントが外れた場合、再度取り付けできるケースがあります。また、破損した場合の多くは、人工歯を作り直したり、新しいパーツに交換したりすることで修復が可能です。しかし、インプラント体が抜け落ちてしまった場合は修復できず、再手術を行ってインプラント体を埋め込むところからやり直しになります。
インプラントが脱落した際に注意すべきことはありますか?
インプラントが脱落した際に最もやってはいけないことは「自分で戻そうとすること」です。脱落したインプラントは、自力で戻すことができません。それどころか、脱落した箇所に触れると細菌に感染してインプラント周囲炎などになってしまい、インプラントを戻せなくなるリスクが高まるため注意が必要です。
インプラントの再治療の費用の目安を教えてください。
病院によって異なりますが、インプラント手術の多くは5年または10年などの保証期間を設けています。保証期間内であれば脱落時の再治療や再手術が無料で受けられるため、まずはご自身の保証内容を確認してみましょう。 ただし、定期メンテナンスを受けていない、治療に非協力的といった姿勢が見られる場合、保証対象外になってしまうことがあります。保証対象外になると再手術は全額自己負担になるため、日頃からメンテナンスをしっかりと行うことも大切です。 なお、保証期間を過ぎてから脱落したインプラントは、基本的に改めてインプラント治療を行うことになります。そのため、初回と同等の金額がかかると考えておいたほうが良いでしょう。
定期的なメンテナンスでインプラント脱落を予防できますか?
前述の通り、インプラントが脱落する原因の多くは、インプラント周囲炎と人工歯やアバットメントの破損です。そのため、定期的なメンテナンスは脱落防止に有効な方法と言えます。 定期的に歯科医院へ行き、噛み合わせの調整をしたり、ネジが緩んでいないか確認したり、クリーニングを行ってインプラント周囲炎を防いだりしましょう。特に問題がない場合、メンテナンスのおすすめサイクルは3カ月に一度です。
インプラントを脱落させないためにできる予防方法を教えてください。
インプラントを脱落させないためにできる予防方法として、歯科医院で定期的なメンテナンスを行うほか、日々のブラッシングを丁寧に行う、喫煙者であれば禁煙するなどがあります。タバコを吸っていると歯周組織の血流が悪くなるため、傷の治りが遅くなるだけでなく、炎症が起こっていても気づきにくいことからインプラント周囲炎になりやすい傾向があるため注意が必要です。

編集部まとめ

この記事では、インプラントが脱落する原因や予防方法などについて解説しました。 インプラントは大切にケアしていれば10年以上使い続けることができる治療法です。コストパフォーマンスが良いだけでなく、天然歯と同じようにしっかりと噛むことができるためクオリティ・オブ・ライフの向上にも役立ちます。しかし、メンテナンスを怠るとインプラントが脱落してしまい、場合によっては再手術になりかねません。日々のセルフケアに加え、定期的な歯科医院でのメンテナンスでインプラントの寿命を延ばしていきましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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