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インプラント埋入後に歯茎を縫う理由って?埋入法についてや埋入後の注意点まで徹底解説!

インプラントのリスクファクター

インプラントの埋入は手術を伴うため、その後に関しても不安に思う方は多いのではないでしょうか。本記事ではインプラントの埋入後について以下の点を中心にご紹介します。

  • インプラント治療の「抜歯即時埋入法」と「抜歯待時埋入法」について
  • インプラント埋入後に歯茎を縫う理由
  • インプラント埋入後の注意点

インプラントの埋入後について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

インプラント治療の「抜歯即時埋入法」について

インプラント治療の「抜歯即時埋入法」について

インプラント治療は、失った歯を補うための治療法です。インプラント治療にはいくつか種類があるので、まずは治療法の一つである「抜歯即時埋入法」について解説します。

「抜歯即時埋入法」とは

「抜歯即時埋入法」は、歯を抜いた直後にインプラントを埋入する手法です。通常、抜歯後は歯茎や骨が回復するまで数ヶ月待つ必要がありますが、「抜歯即時埋入法」ではその待ち時間を省略できます。特に上顎の前歯の治療で採用されることが多く、患者さんの負担の軽減も期待できるとされています。ただし、適応条件が厳しく、歯周病がないこと、十分な骨の厚みと高さがあること、インプラントが挿入された直後に、骨とインプラントが固定する状態が得られることなどが必要です。近年では、この方法の予後についても良好な結果が報告されており、選択肢の一つとして注目されています。

抜歯即時埋入法のメリット

「抜歯即時埋入法」は、抜歯と同時にインプラントを埋入する手法で、以下のような利点があります。
1. 手術回数の削減:一度の手術で完了するため、治療期間が短縮されます。
2. 患者さんの負担軽減:手術回数が少ないため、患者さんの心身への負担が軽減されます。
3. 骨の保全:抜歯直後にインプラントを埋入することで、抜歯部位の骨が萎縮するのを防ぎます。
4. 見た目への影響が少ない:歯がない期間が短いため、見た目への影響がほとんどありません。
これらの利点により、「抜歯即時埋入法」は多くの患者さんにとって魅力的な選択肢となります。ただし、この手法は歯科医師の高度な技術や知識を必要とします。

抜歯即時埋入法のデメリット

「抜歯即時埋入法」には、いくつかのデメリットもあります。まず、「抜歯即時埋入法」は歯科医師の高度な技術と知識を必要とします。そのため、すべての歯科医院で提供されているわけではありません。また、細菌感染が起こると、骨とインプラントが結合しないトラブルが発生する可能性があります。

これらの点を考慮し、「抜歯即時埋入法」は一部の患者さんにとっては適していない場合もあることを理解しましょう。

インプラント治療の「抜歯待時埋入法」について

インプラント治療の「抜歯待時埋入法」について

次は、「抜歯待時埋入法」について解説します。

「抜歯待時埋入法」とは

「抜歯待時埋入法」は、抜歯後に一定期間を置いてからインプラントを埋入する方法です。「抜歯待時埋入法」では、抜歯後の歯茎や骨が回復するのを待ってからインプラント手術を行います。これにより、骨が減少している場合でも、適切な土台を作れます。細菌感染のリスクも抑えられるため、多くの歯科医院で採用されています。適応となるのは、顎の骨の厚みと高さが不十分な方、歯肉や骨にダメージがある方、細菌による感染の可能性が高い方などです。

抜歯待時埋入法のメリット

「抜歯待時埋入法」の利点は以下の通りです。

  1. 適応範囲が広い: 顎の骨の厚みと高さが十分でない方や、歯茎や骨が損傷している方でも対応可能とされています。
  2. 細菌感染リスクを抑えられる: 抜歯後に期間を空けることで、細菌感染のリスクを抑えられるとされています。
  3. 初期固定が得られやすい: 骨が回復してからインプラントを埋入するため、骨とインプラントが固定されやすいです。

以上のように、「抜歯待時埋入法」は、安定性が高い治療法と言えます。

抜歯待時埋入法のデメリット

「抜歯待時埋入法」にはいくつかのデメリットがあります。まず、この方法では外科手術を2回行う必要があるため、治療期間が長くなります。また、手術回数が多いため患者さんの心身への負担も増えます。さらに、抜歯後の歯がない期間が長いため、歯がない期間は見た目へ影響を与える可能性があります。

インプラント埋入後に歯茎を縫う理由

インプラント埋入後に歯茎を縫う理由

抜歯即時埋入法や抜歯待時埋入法など歯茎を縫うことが多いです。その主な理由は、インプラント体を細菌から守り、感染を防ぐためです。歯茎でインプラント体を覆うことで、インプラント体の感染リスクを低減できるとされています。時間が経過すると、縫合された歯茎は自然に回復し、歯茎同士がくっつくようになりますが、治癒するまでは人工的に縫い合わせておくことが重要です。

インプラント埋入後の縫いに使用される糸

インプラント埋入後の縫いに使用される糸

ここからはインプラント埋入後の縫合に使用される糸について紹介します。

絹糸(シルク糸)

絹糸(シルク糸)は、インプラント埋入後の縫合に使用される糸の一つです。この糸の主な特徴は、その柔らかさにあります。柔らかいことにより治療後の不快感が少なく、どの部位にも適用しやすい素材として知られています。また、絹糸は緩みにくい性質を持っているため、傷口をしっかりと縫合できるとされています。

しかしながら、絹糸の使用には注意点も存在します。絹糸は汚れが付着しやすいため、長期間放置すると感染のリスクが高まる可能性があるので、指定された日には必ず抜糸することが推奨されています。

ナイロン糸

ナイロン糸のメリットは汚れが付着しにくい点です。しかし、素材が硬いため、使用後に不快感や異物感を覚えることがあります。これを軽減するためには、柔らかさのあるソフトナイロン製の糸を使用することが一つの方法とされます。

吸収性糸

吸収性糸の特徴は自然に体内で溶けてなくなることです。吸収性糸はグリコール酸など人体に害が少ない素材で作られており、縫合から数週間で吸収されるとされています。しかし、吸収性糸は特別な状況以外で使われることは少ないので、一般的には抜糸が必要です。患者さんの状態や治療内容を考慮しながら、歯科医師と相談して選択することが重要です。

インプラント埋入後の注意点

インプラント埋入後の注意点

インプラント埋入後は注意するべき点もあります。以下の点に注意して生活しましょう。

食事においての注意点

インプラント埋入手術後の食事は、特に注意が必要です。まず、局所麻酔が切れるまで食事を控え、その後は柔らかく、噛みやすい食べ物を選びましょう。また、食事はインプラントを埋め込んでいない側の歯で噛むように心がけてください。硬い食べ物や鋭利な食べ物、熱すぎる食べ物は避けるようにしましょう。

口の中の注意点

インプラント手術後の口内ケアは重要です。特に、手術直後は傷口がデリケートなため、細心の注意が必要です。歯を磨く際は、傷口を刺激しないようにゆっくりと行い、歯ブラシが傷口に触れないよう注意しましょう。また、舌や指で傷口を触ることは避けてください。理由は、感染症のリスクを高める可能性があるからです。抜糸までの期間、傷口に刺激を与えないようにし、できるだけ傷口を清潔に保つことが大切です。毎食後に優しくうがいをすることも良いとされています。

日常生活での注意点

インプラント手術を受けた後は、傷の回復を妨げないように特定の生活習慣に注意が必要です。手術から2〜3日間は、傷口からの出血を防ぐために、激しい運動を避け、体を休めることが重要です。また、この期間中は血行を良くしないように、お風呂では湯船に浸からずシャワーで済ませてもいいかもしれません。喫煙は血行を悪化させ、傷の治癒を遅らせる原因となるため、禁煙することも望ましいです。

これらの注意点を守ることで、インプラントと顎の骨との結合をスムーズにし、手術後の回復を促進できるとされています。

インプラント埋入後から抜歯するまではどのくらい?

インプラント埋入後から抜歯するまではどのくらい?

インプラント埋入後から抜糸までの期間は、一般的には1週間から10日程度とされています。これは傷口がある程度治癒する期間を基準にしており、その間に糸を取り除くことで適切な治癒を促進します。ただし、使用される糸の種類によっては自然に体内に吸収されるため、抜糸の必要がない場合もあります。抜糸を怠ると、糸が歯茎に埋もれてしまうリスクがあり、再度歯茎を切って糸を取り出さなければならなくなることもあるため注意が必要です。また、抜糸は医師の指示に従って行うことが重要であり、自己判断で行うことは避けるべきです。

まとめ

まとめ

ここまでインプラントの埋入後についてお伝えしてきました。インプラントの埋入後の要点をまとめると以下の通りです。

  • インプラント治療の「抜歯即時埋入法」は、歯を抜いた直後にインプラントを埋入する手法で、「抜歯待時埋入法」は、抜歯後に一定期間を置いてからインプラントを埋入する方法
  • インプラント埋入後に歯茎を縫う主な理由は、インプラント体を細菌から守り、感染を防ぐため
  • インプラント埋入後は、食事や歯磨き、日常生活などで注意すべき点が多くある

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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