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口の周りを骨折した場合インプラント治療はできる?骨折がインプラント治療に及ぼす影響についても解説します

インプラント 骨折

口の周りを骨折するとインプラント治療ができないのではないか、と不安に感じる方は多いのではないでしょうか? 本記事では、骨折がインプラント治療に及ぼす影響について以下の点を中心にご紹介します!

  • 歯や骨を失ってしまった場合について
  • 骨折の種類について
  • 骨折がインプラント治療に及ぼす影響

骨折がインプラント治療に及ぼす影響について理解するためにもご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

歯や骨を失った場合

歯や骨を失った場合

骨折で歯や骨を失った場合、インプラント治療によって回復できますか?
事故やスポーツで歯や顎の骨を失った場合にも、インプラント治療で回復できることが多いです。ですが、全身の健康状態や顎の骨の状態によっては、インプラントが難しいこともあります。その場合は、他の方法、たとえばブリッジや入れ歯を使うこともあります。
「歯が折れる」とはどんな状態ですか?
「歯が折れる」とは、歯に何らかのダメージが生じて、亀裂が入ったり、一部が壊れたりする状態を指します。これは、外傷、例えば転倒や顔面への強い衝撃、あるいは硬い物を噛むことによって発生することがあります。歯が折れることを医学的には「破折」と呼びます。 歯の折れ方にはいくつかのタイプがあります。たとえば、歯の見える部分である歯冠が折れる場合(歯冠破折)や、目に見えない歯の根部分が折れる場合(歯根破折)があります。歯冠の破折では、多くの場合、自分の歯の根を残して治療できますが、歯根の破折の場合は、残念ながら抜歯する必要性が生じることもあります。 破折した歯は、見た目に明らかな場合もあれば、亀裂が細かくて診断が難しい場合もあります。特に、目に見えない亀裂は原因不明の痛みを引き起こすことがあり、注意が必要です。また、歯が折れる際には口からの出血を伴うこともあります。そして、破折の程度や状況によって治療法が異なります。
「顎の骨が折れる」とはどんな状態ですか?
「顎の骨が折れる」とは、顎の骨構造にダメージが生じて骨が割れたり、分離したりする状態を指します。この状態は主に外部からの強い衝撃、例えば交通事故や転倒、スポーツ中の事故などによって引き起こされます。顎の骨折は、その場所や状況に応じて様々な症状が現れます。骨折した箇所によって「上顎骨骨折」「下顎骨骨折」「歯槽骨骨折」に分類されます。さまざまな検査が行われ、骨折の正確な位置と程度を把握し、治療計画が立てられます。顎の骨折は、ただの骨の問題ではなく、噛み合わせや顔の形状にも影響を及ぼすため、適切な治療が重要です。

骨折の種類

骨折の種類

上顎骨骨折について教えてください
上顎骨骨折は、顔の中央部への強い衝撃によって発生することが多く、その原因としては転倒、スポーツ中の事故、交通事故などが挙げられます。 上顎骨骨折は、骨折した位置によっていくつかのタイプに分類されます。主に、「Le Fort I型骨折」(上顎骨の下半分が骨折)、「Le Fort II型骨折」(鼻骨を含めた上顎骨の骨折)、および「Le Fort III型骨折」(顔面の中央部が頬骨を含めて頭蓋骨から離れてしまう骨折)があります。特にLe Fort II型およびIII型の骨折では、頭蓋底骨折を伴い、髄液漏れや鼻の変形、鼻閉感などの症状が見られることがあります。 上顎骨骨折の症状としては、口が開けにくい、噛み合わせの不具合、顔の変形、痛みなどが挙げられます。また、眼窩周囲の骨折が伴う場合は、眼球の位置の変化や陥凹などの眼症状も発生することがあります。
下顎骨骨折について教えてください
下顎骨骨折は、顔面の骨折の中でも多く発生する骨折で、主に外傷によって引き起こされます。この骨折は、交通事故、スポーツ中の衝突、転倒などによる直接的な衝撃が原因で発生することが多いです。 主な症状には、顔面の腫れや変形、内出血、および痛みが含まれます。折れた骨片が顎周囲の筋肉によって異なる方向に引っ張られるため、噛み合わせの異常や口の開閉が困難となり、噛み合わせがずれたり、顎の動きに際して痛みを感じたりすることがあります。 下顎骨骨折は、顎関節部や下顎角部(エラの部分)にも及ぶことがあり、これにより下顎の変形や歯並びの問題が生じる可能性があります。事故直後には症状に気づかず、数日後に噛み合わせの問題や痛みによって初めて骨折に気づくことがあります。
歯槽骨骨折について教えてください
歯槽骨骨折は、歯が生えている骨、つまり歯槽骨に生じる骨折です。これは主に転倒や打撲などの外傷によって引き起こされ、特に上顎の前歯部に発生することが多いです。 歯槽骨骨折の症状には、唇や口内粘膜などの軟組織の損傷が含まれることが多いです。これらの損傷は、歯槽骨骨折と同時に発生することがあり、時には歯の脱落を伴うこともあります。また、痛みや腫れ、そして歯の動揺などを引き起こすことがあります。症状の重さは、骨折の程度や範囲、合併する他の損傷の有無によって異なります。治療には、適切な歯科医療の介入が必要で、場合によっては抜歯やその他の歯科治療が必要になることもあります。

骨折がインプラント治療に及ぼす影響

骨折がインプラント治療に及ぼす影響

顎の骨折がある場合、まずは折れた部分をもとに戻す必要がありますか?
顎の骨折がある場合、インプラント治療を始める前に、折れた骨を元の位置に戻す治療が必要です。顎の骨折や脱臼がある場合、これらの問題をまず解決し、顎骨が正常な状態に戻ることが重要です。そのため、骨折が治癒する時間を待つ必要があります。顎骨の構造が正常でなければ、インプラントが適切に機能するための基盤が整っていないため、インプラント治療は行えません。
骨折が治ったあとでも骨造成が必要になることがありますか?
骨折が治癒した後でも、インプラント治療を行うために骨造成が必要になる場合があります。インプラント手術は顎の骨にインプラント体を埋め込む手術であるため、インプラントを支えるための十分な骨の量と質が必要です。外傷や歯周病などで顎の骨が減少している場合、骨の量が不足しているとインプラントの安定性が損なわれる可能性があります。 したがって、骨折などにより顎の骨が損傷し、その後回復しても十分な骨量が得られない場合は、インプラント治療の前に骨造成手術が必要になることがあります。骨造成手術は、顎の骨を再生し、インプラントを埋め込むための適切な土台を作るために行われます。
骨造成について教えてください
骨折がインプラント治療に及ぼす影響として、骨造成手術が必要になることがあります。骨造成は、インプラント治療を行う際に顎の骨の量や質が不足している場合に必要となる手術です。顎の骨が減少している状況でインプラントの治療を進めると、インプラントが骨を突き抜けたり、歯肉から露出したりするリスクが生じる可能性があります。骨造成の手術は、顎骨の高さや厚みを増やすことを目的とし、インプラントを埋め込むために重要な役割を果たします。 骨造成手術の主要な手法としては、ソケットリフト、サイナスリフト、GBR(骨誘導再生)法があります。ソケットリフトは、上顎の奥歯部分の骨が不十分な場合に適用され、上顎洞を押し上げて骨補填材を加える方法です。サイナスリフトは、骨の高さがさらに少ない場合に採用され、骨が増えた後でインプラントを埋入します。GBR法は、顎の骨の高さや幅が不十分な場合に行われ、骨補填材や特殊な膜などを使用して骨の再生を促します。 骨造成手術にはいくつかのデメリットやリスクも伴います。追加の費用が発生し、治療の全体的な期間が延長する可能性があります。また、治療に必要な通院回数も増え、骨造成手術の種類によっては、複数回の手術が必要になる場合があります。これは、通常のインプラント治療に比べて、痛みや腫れを感じやすくなる原因となり得ます。さらに、通常のインプラント治療よりも感染のリスクが高まることも考慮する必要があります。

まとめ

まとめの見出し

ここまで骨折がインプラント治療に及ぼす影響についてお伝えしてきました。 骨折がインプラント治療に及ぼす影響の要点をまとめると以下の通りです。

  • 事故やスポーツで歯や顎の骨を失った場合、インプラント治療を受けられるが、全身の健康状態や顎の骨の状態によっては、ブリッジや入れ歯を使うこともある
  • 歯の骨折は「歯冠破折」や「歯根破折」、顎の骨折には「上顎骨骨折」「下顎骨骨折」「歯槽骨骨折」に分類され、骨折の正確な位置と程度を把握した上で、治療計画が立てられる
  • 顎の骨折がある場合、インプラント治療を始める前に、折れた骨を元の位置に戻す治療が必要となり、骨折が治癒した後でも、骨の量や質が不足していれば骨造成が必要になる場合があり、通常のインプラントの治療よりも費用や治療期間がかかったり、痛みや腫れなどの影響が出たりすることがある

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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