インプラント

インプラントのロケーターとは?ロケーターを使用した治療の特徴や注意点を解説

インプラントのロケーターとは?ロケーターを使用した治療の特徴や注意点を解説

失った歯を補うための治療方法として、入れ歯やインプラントが思い浮かぶでしょう。

しかし、見た目や噛み心地、費用を考えると、どちらを選択すればよいのか悩む人も少なくありません。

そこで注目されているのが、ロケーターと呼ばれるパーツを使用したインプラント治療法です。

本記事では、インプラントのロケーターについて、治療の特徴や注意点などを解説します。インプラントと入れ歯で悩まれている人は参考にしてみてください。

インプラントでロケーターを使用した治療について

歯科衛生士

ロケーターとはなんですか?
ロケーターとはインプラント体と入れ歯をしっかり固定するためのパーツです。あまり聞き慣れない名前ですが、重要な役割を果たします。
歯を失った際の補綴治療の一つであり、インプラントオーバーデンチャーを行う際に欠かせません。ロケーターはロケーター単体の使用ではなく、入れ歯の内側に付いている留め具と合わせて使用することがほとんどです。
治療までの流れを教えてください。
ロケーターを使用する場合も従来のインプラント治療同様、歯科医師による口腔内の診査、X線検査やCT検査による顎骨の状態や神経の位置などを調べるお口周辺の精密検査が必要です。この検査の結果を踏まえ、具体的な治療法や期間、インプラントの埋入本数などを決めてから手術という流れです。
一次手術では歯肉を切開し、ドリルで顎の骨に穴を開けそこにインプラント体を埋め、顎の骨とインプラント体がしっかりくっつくまで待ちます。くっついたのが確認できたら、歯肉を再度切開し、インプラント体の頭の部分を出してロケーターを装着する二次手術が行われます。
入れ歯の内側にもロケーターに装着するための留め具を付け、ロケーターの付いたインプラントの上に入れ歯をのせ、しっかり固定させます。固定後は噛み合わせの調整を行い、うまく噛み合えば治療は完了です。
費用はどのくらいかかりますか?
埋めるインプラントの本数や使用する入れ歯の有無などにより費用は異なります。例として、インプラントを2本埋入し以前より使用している入れ歯を継続して使用する場合、費用は400,000〜600,000円(税込)程度です。ぜひ参考にしてみてください。
なお、従来のインプラント治療は1本あたり300,000〜500,000円(税込)程度です。

インプラントでロケーターを使用した治療の特徴

説明

ロケーターを使用するメリットを教えてください。
ロケーターを使用するメリットは、入れ歯がしっかり固定されることです。固定されるので入れ歯が外れにくく、食べ物をしっかり噛むことができます。
一般的な入れ歯は顎堤(歯肉が盛り上がった部分)に吸着して固定しますが、動いたり外れたりすることがあるでしょう。また、顎堤に痛みが出たり、骨が減ったりすることもあります。しかし、ロケーターを使用した入れ歯は固定されるため、顎堤への影響が少ないです。
研究によると、ロケーターを使用したインプラントオーバーデンチャーは顎堤粘膜への負担が少ないと報告されています。さらに、取り外しができるので入れ歯を清潔に保ちやすく、見た目の改善や費用の抑制が期待できます。
ロケーターを使用するデメリットを教えてください。
ロケーターを使用するにはインプラントを埋入する手術を行わなければなりません。手術を希望しない人・全身の状態があまりよくない人・手術に適応した口腔内の状態ではない人はインプラント治療は難しいでしょう。
身体への負担が少ない治療方法ではあるものの、外科手術を行うため通常の入れ歯治療と比べると治療期間は長くなる傾向にあります。また、インプラント治療は保険にて治療を行うことはできません。そのため、費用は高額になってしまいます。
オールオン4との違いを教えてください。
歯をすべて失った人の治療法として、オールオン4という治療法もあります。オールオン4は、少なくとも4本のインプラントを埋め込み、その上に上部構造を装着します。インプラント単体のようにしっかり咀嚼ができるうえ、見た目の改善にも期待できます。
どちらも少ない本数でインプラント治療できる方法ですが、オールオン4は少なくとも4本に対し、ロケーターを使用する治療法は少なくとも1本なので、身体への負担をより軽減できるでしょう。個々で生活スタイルや口腔内の状態は異なるため、自身に合う方を選択してみてください。
治療期間はどれくらいですか?
埋めるインプラントの本数や入れ歯の状況などで治療期間は異なります。インプラントの安定に時間がかかるため、一般的には3〜6ヵ月くらいです。

インプラントでロケーターを使用した治療をする際の注意点

オーラルケアアイテム

治療できない症例を教えてください。
重度の心疾患・糖尿病などの持病を抱えている人はインプラント治療を行うことは難しくなります。糖尿病は手術した部分の治りが悪く、感染症にかかる確率が高くなるでしょう。
感染症以外に、インプラントと骨とのくっつき具合にも影響を及ぼします。しっかりくっつかなければ、すき間から細菌や汚れなどが侵入し、インプラント周囲炎を引き起こす可能性があります。
骨粗鬆症に罹患されている人は治療できないわけではありませんが、慎重な対応が必要なこともあります。なかには、骨粗鬆症の治療、もしくは予防としてビスホスフォネート製剤を使用している人もいるかもしれません。
手術後に顎の骨が壊死するおそれがあるといわれているため注意が必要です。しかし、服用している薬の種類や期間によっては治療を行うことができる場合があるので、あらかじめ歯科医師に伝えておきましょう。
トラブルを完全に避けることは難しいですが、トラブルを小さくすることは可能です。不安がある人は歯科医院で相談してみてください。
メンテナンスは必要でしょうか
顎の骨にインプラントを埋めているので、メンテナンスは必要です。インプラントは骨とはしっかりくっつきますが、粘膜とはくっつかないため、すき間から細菌や汚れなどが入り込み感染を引き起こすことがあります。
感染を引き起こすと歯茎が腫れるだけれなく、インプラントが脱落したりひどい場合は顎の骨が溶けてなくなったりする場合もあるのです。また、定期的にメンテナンスをすることで、10年間持続したインプラントが95%あるという報告があります。
インプラントを長持ちさせるためにも、歯科医院にて定期的にメンテナンスをしてもらいましょう。
治療後に気をつけることを教えてください。
ロケーターを使用したインプラント治療に限らずですが、インプラント治療を行った場合は日々のケアは欠かせません。歯科医院にて定期的にメンテナンスを行っていても、日々のケアを疎かにしていればインプラントの持ちも悪くなってしまいます。入れ歯を取り外し、歯ブラシや入れ歯専用のブラシを使い丁寧に洗いましょう。
ロケーター部分と歯肉の間は汚れが溜まりやすいので、歯肉を傷つけないようタフトブラシや歯間ブラシなどの細かいブラシで優しく丁寧に磨きましょう。汚れが溜まったままだと細菌が入り込み、歯茎が腫れインプラント周囲炎を引き起こします。インプラント部分以外にも入れ歯の管理も忘れずに行いましょう。
入れ歯には目に見えない細菌が付着していることもあるため、定期的に洗浄剤も使用してきれいにしましょう。

編集部まとめ

食事する夫婦

ロケーターを使用したインプラント治療は通常の入れ歯より固定力があるため、入れ歯が外れにくいため快適に食事を楽しめるでしょう。

また、取り外しができるので、いつでもお口の中をきれいに保てる点も大きなポイントといえるでしょう。

しかし、インプラントに固定するため外科手術が必要になるうえ、通常の入れ歯治療と比べると費用も高くなる傾向にあります。

どの治療法にもメリット・デメリットはあります。メリット・デメリットを踏まえ、自身にとってよい選択をしてみてください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

記事をもっと見る
  • この記事の監修医師
  • 他の監修記事
遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

  1. 総入れ歯とオールオン4の違いは?それぞれのメリット・デメリットについて徹底解説!

  2. 食いしばりがあってもオールオン4はできる?食いしばりがオールオン4に与える影響について

  3. インプラントにかかる金額はいくら?内訳について解説します

RELATED

PAGE TOP

電話コンシェルジュ専用番号

電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。

受付時間 平日:9時~18時
お電話でご案内できます!
0120-022-340