インプラント

インプラント治療による鼻の違和感:原因と対策を解説!

インプラント治療による鼻の違和感:原因と対策を解説!

インプラント治療後に鼻に違和感を感じたことはありますか? この記事では、その原因や対策について詳しく解説し、違和感を軽減するための方法を紹介します。

  • インプラント治療は鼻へのリスクがあるのか
  • インプラントによる鼻の違和感の原因
  • 鼻トラブル回避のためにできること

インプラント治療後の鼻の違和感について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

インプラント治療は鼻へのリスクがあるのか

インプラント治療は鼻へのリスクがあるのか

インプラント治療は、失った歯を補うための方法ですが、上顎にインプラントを埋め込む際は注意が必要です。上顎洞(副鼻腔の一つ)に近い位置にインプラントが設置されると、副鼻腔炎を引き起こす可能性があります。
これは、インプラントが上顎洞に侵入して炎症が発生し、副鼻腔炎の原因となる場合があるからです。

副鼻腔炎が発生すると、鼻詰まりや頭痛、顔面の痛みなどの症状が現れ、場合によっては治療が必要になることもあります。
リスクを避けるためには、事前に十分な検査と診断が重要です。

インプラント治療と上顎洞の関係

インプラント治療と上顎洞の関係

インプラント治療は上顎洞にどのような影響を与えるのでしょうか?

上顎洞底の厚みが必要な理由

上顎洞底(上顎洞の底)の厚みは、インプラント治療において重要な要素です。
インプラントを上顎に埋入する際、上顎洞底が薄いと、インプラントが安定しにくく、成功率が低下する可能性があります。
これは、上顎洞が空洞であるため、骨が薄いとインプラントが上顎洞に突き抜けるリスクがあるためです。そのため、上顎洞底に十分な厚みがあることが求められます。

もし骨の厚みが不足している場合には、骨造成と呼ばれる処置が行われます。骨造成では、上顎洞底を持ち上げて、人工骨や自己骨を補填し、インプラントがしっかりと固定されるための十分な骨の厚みを確保します。

インプラントが上顎洞に与えうる影響

インプラントが上顎洞に過剰に近づいたり、上顎洞内に突き抜けたりする場合、上顎洞炎を引き起こすリスクがあります。
上顎洞炎とは、上顎洞に炎症が生じる状態で、鼻詰まりや痛み、頭痛などの症状が現れます。

インプラントによる上顎洞炎の主な原因には、手術中の感染やインプラントの位置が上顎洞に影響を与えることが挙げられます。
また、インプラント埋入時に上顎洞の骨が不足している場合、十分な骨を確保するためにサイナスリフトなどの骨造成手術が必要です。手術が適切に行われないと、上顎洞炎のリスクが高まる可能性があります。
インプラント治療を検討する際には、歯科医師による慎重な診断と治療計画が重要です。

インプラントによる鼻の違和感の原因

インプラントによる鼻の違和感の原因

インプラント治療後に鼻に違和感を感じる場合、その原因にはどのようなものがあるでしょうか。

サイナスリフト(骨造成)

サイナスリフト(骨造成)は、上顎の奥歯にインプラントを埋入する際、骨が不足している場合に行われる治療法です。副鼻腔の膜を持ち上げ、その下に人工骨や自家骨を移植して骨量を増やすことで、インプラントが固定できる土台を作ります。
ただし、副鼻腔炎などのリスクが伴うため、術前の診断と慎重な計画が不可欠です。上顎には空洞である副鼻腔が存在し、この部分の骨が薄いとインプラントを安定して埋入することが難しくなります。

また、術後の回復期間には十分な注意が必要です。
術後の適切なケアが、合併症を防ぎ、インプラントを長持ちさせることにつながります。

インプラント体が上顎洞に入る

インプラント治療において、まれではありますが、インプラント体が上顎洞に入るトラブルが発生することがあります。 上顎洞は鼻腔の上に位置する空洞で、インプラント体がこの空間に誤って入り込むと、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。 具体的には、慢性的な上顎洞炎(副鼻腔炎)や、インプラントの不安定性、感染リスクの増加などが懸念されます。 原因には、上顎の骨の厚みが不足している場合や、インプラント埋入手術の計画や技術に問題があることが考えられます。 インプラント体が上顎洞に入ることを防ぐためには、事前のCTスキャンなどを活用した正確な診断と計画が不可欠です。 また、万が一インプラント体が上顎洞に入り込んでしまった場合には、早急に歯科医師の診断を受け、適切な処置を受けることが重要です。

インプラントによる鼻に関連した疾患

インプラントによる鼻に関連した疾患

インプラントと鼻に関連した疾患を紹介します。

副鼻腔炎

インプラント体を埋入するためには、顎の骨にドリルで穴をあける必要があります。穴をあける際に粘膜が傷つくなどすると、副鼻腔炎の原因になります。 副鼻腔

副鼻腔炎とは

副鼻腔炎とは、顔の骨にある空洞(副鼻腔)が炎症を起こし、痛みや不快感を引き起こす病気です。蓄膿症とも呼ばれます。
副鼻腔は、鼻の周囲に存在する空洞で、鼻腔とつながっており、空気で満たされています。しかし、副鼻腔に細菌やウイルスが侵入すると、炎症が発生し、副鼻腔内に膿が溜まり、鼻詰まりや頭痛、顔面の圧迫感、歯の痛みなどの症状が現れることがあります。

また、副鼻腔炎は急性と慢性に分類され、急性は風邪やアレルギーが原因で発症し、数週間程度で改善することが多いようですが、慢性副鼻腔炎は3ヵ月以上続き、治療が必要です。
なかでも、慢性の場合、治療が遅れると症状が悪化し、生活の質に大きな影響を与えることがあります。

副鼻腔炎の症状

副鼻腔炎の主な症状には、鼻づまりや黄色や緑色の粘性の鼻水、または膿のような鼻水が見られます。これに伴い、鼻や顔面に圧迫感や痛みを感じたり、特に頬や眉のあたりに重い痛みが生じたりすることがあります。
さらに、頭痛や嗅覚の低下、口臭がひどくなることも副鼻腔炎の特徴です。慢性化すると、倦怠感や集中力の低下といった全身症状が現れることもあり、生活の質を大きく損なう可能性があります。
また、急性副鼻腔炎の場合、発熱や全身のだるさを伴うことがあり、風邪の症状と似ているため見逃されやすい傾向にあります。

副鼻腔炎の対処法

副鼻腔炎にはさまざまな原因があるため、インプラントが原因だと断定するのは難しいかも知れません。
しかし、骨造成やインプラント体の埋入後に副鼻腔炎になった場合は、インプラントが原因である可能性があります。インプラントが原因で副鼻腔炎になったときは、どのように対処すればよいのでしょうか。

インプラント治療後に副鼻腔炎を発症した場合、まずは歯科医院を受診しましょう。原因を特定して適切に対処することが重要です。また、インプラント治療による副鼻腔炎でも、耳鼻咽喉科での治療が必要になることもあります。

治療方法は症状の重さや副鼻腔炎の原因によって異なりますが、痛みや腫れがある場合、医師の指導のもとで抗生物質や鎮痛剤を使用し、症状を和らげます。
また、副鼻腔内を清潔に保つために、生理食塩水を用いた鼻洗浄が推奨されることもあります。

さらに、重症化を防ぐためには、歯科医師による定期的な診察と治療が不可欠です。症状が改善しない場合や再発を繰り返す場合は、再手術が必要になることもあります。この場合、副鼻腔内の炎症を取り除くための外科的手術が検討されることがあります。
副鼻腔炎の早期発見と適切な対処が、インプラント治療の成功と患者さんの快適な生活につながります。

上顎洞炎

副鼻腔のなかでも、上顎洞に炎症が起こると、上顎洞炎(じょうがくどうえん)を発症することがあります。
ここでは上顎洞炎の症状や対処法を解説します。

上顎洞炎とは

上顎洞炎とは、上顎洞(鼻奥の両側にある空洞部分)が炎症を起こした状態を指します。なかでも口腔内に原因がある上顎洞炎を、歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)といいます。上顎の奥歯が炎症を起こすことが原因であり、歯痛と勘違いされるケースも少なくありません。

歯性上顎洞炎の多くは、上顎に生えている歯の根が上顎洞と近接している場合とされ、かつ神経の治療を過去にしているなど、神経が死んでしまっている場合に見受けられます。 その場合、感染が根の先から上顎洞へ波及し、上顎洞の炎症へとつながっていることが多いようです。

上顎洞炎が進行すると、膿が溜まり、慢性的な炎症へと発展する可能性があります。 治療には、抗生物質の投与や、場合によっては外科的な処置が必要になることもあります。
症状が続く場合は、歯科医師や耳鼻科医師への相談が重要です。

上顎洞炎の症状

歯性の上顎洞炎では歯に炎症が起きるため、歯の痛みや歯が浮くような違和感、歯茎が腫れて痛みを感じるなどの症状があります。
場合によっては鼻性の上顎洞炎と同じような、鼻づまりや鼻水の変色、目の重さなどの症状を感じることもあります。

歯性上顎洞炎の場合、むし歯や歯周病が進行し、上顎の歯から細菌が上顎洞に侵入して炎症が引き起こされます。なかでも、上顎の歯に痛みや違和感を感じることが多いようです。
また、歯科治療後に発症するケースもあります。

上顎洞炎の対処法

上顎洞炎の対処法には、まず原因となる歯科治療の見直しが重要です。
例えば、むし歯や歯周病によって上顎洞炎が引き起こされた場合は、原因となる歯の治療が必要です。むし歯や歯周病を適切に治療して、炎症を抑えられます。

しかし、歯科治療だけでは改善が難しい場合もあります。そのような場合には、上顎洞根治手術が検討されます。上顎洞根治手術では、上顎洞のなかに蓄積した膿や感染物質を除去し、炎症を治療します。

手術後は、しっかりとしたアフターケアと定期的な経過観察が重要です。上顎洞炎は放置すると慢性化する可能性があるため、早期の治療が求められます。

鼻トラブル回避のためにできること

鼻トラブル回避のためにできること

インプラント治療後の鼻トラブルを回避するためには、どのようなケアが必要なのでしょうか?

上顎のインプラントのリスクを知っておく

上顎のインプラント治療には、いくつかのリスクが伴います。なかでも、前歯や奥歯のインプラントは難易度が高く、慎重な計画と技術が求められます。

上顎には副鼻腔が隣接しており、インプラントが副鼻腔に近すぎると、炎症を引き起こすリスクがあります。炎症を防ぐためには、インプラント手術前にCTスキャンを使用して、骨の厚さや副鼻腔の位置を正確に把握することが重要です。

また、骨の厚みが不足している場合は、骨を増やすための骨移植やサイナスリフトといった補助的な手術が必要になることもあります。これらの手術が適切に行われないと、インプラントの安定性が損なわれるリスクもあります。

どの歯科医院へ行けばよいか迷われている場合は、CTスキャンなどの設備が整っているか、医師の得意分野なども参考にしてみてください。

綿密な治療計画を作成してもらう

鼻トラブルを回避するためには、綿密な治療計画を立ててもらうことが重要です。治療計画を立てる際には、まず精密な検査で患者さんの骨の状態や鼻腔の構造を詳しく把握する必要があります。
これにより、インプラントが正確な位置に配置され、副鼻腔に不要な圧力をかけることがなくなります。

さらに、無理のない治療計画を立てることも不可欠です。治療期間やステップをしっかりと計画することで、患者さんの身体に過度な負担をかけることを防ぎ、治療の成功率を高めることにつながります。
上顎へのインプラント治療は上顎洞と近接している場合が多くみられるため、治療方法の選択が重要となります。患者さんの骨状態(骨の量、骨の質)の正確な評価とリスクを加味して方法を決定する必要があり、リスクの大きさによってはインプラント以外の方法を選択する場合もあります。
患者さん自身も治療計画の内容を十分に理解し、納得したうえで進めることが大切です。

歯科医師の経験や対応の確認

鼻トラブルを回避するためには、インプラント治療を行う歯科医師の経験や技術が重要になります。
副鼻腔はインプラント治療においてリスクの高い部位であり、技術不足により、誤ってインプラントが副鼻腔に侵入する危険性があります。これを防ぐためには、まず医師が十分な知識と経験を持っているかの確認が重要です。

例えば、インプラント治療の経験を多く持ち、副鼻腔や骨の状態を適切に診断できるスキルを持つ歯科医師を選ぶことが推奨されます。
また、CTスキャンを用いた精密な診断を行っているかどうかも確認するとよいでしょう。自身の信頼できる医師を選ぶことも、副鼻腔炎などのリスクを回避するために重要です。

治療後の適切なケア・メンテナンス

インプラント治療後のトラブルを避けるためには、治療後の適切なケアとメンテナンスが重要です。なかでもインプラント治療後、副鼻腔炎などのリスクを抑えるためには、手術後のケアの徹底が求められます。

まず、手術後は指示されたとおりに抗生物質や鎮痛剤を服用し、感染の予防に努めることが大切です。
また、患部を清潔に保ち、指や異物で触れないように注意しましょう。
さらに、激しい運動や飛行機の利用など、鼻や口内に圧力がかかる行為は避け、安静に過ごすことが求められます。定期的なメンテナンスとしては、治療を受けた歯科医師の指導に従い、定期的にクリニックを訪れて検査を受けることが重要です。

術後のケアを怠らず、指示にしたがってメンテナンスを続けることで、鼻トラブルを未然に防ぎましょう。

まとめ

まとめ

ここまでインプラント治療後の鼻の違和感についてお伝えしてきました。
要点をまとめると以下のとおりです。

  • 上顎へのインプラント治療は上顎洞と近接している場合が多くみられるため、副鼻腔への影響などのリスクを考慮した治療方法の選択が重要
  • インプラントによる鼻の違和感の原因は、インプラントが副鼻腔に近い位置にある場合、圧迫や炎症によるものと考えられる
  • 鼻トラブル回避のためにできることは、術後の適切なケアと定期的なメンテナンスが鼻トラブルの予防につながる

これらの情報が少しでも、インプラント治療の不安の払拭や、歯科医院選びの参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
大津 雄人医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

大津 雄人医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

東京歯科大学歯学部 卒業 / 東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔インプラント学) 卒業 / 現在は大津歯科医院勤務 / 東京歯科大学インプラント科臨床講師 / 専門は口腔インプラント

記事をもっと見る

RELATED

PAGE TOP

電話コンシェルジュ専用番号

電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。

受付時間 平日:9時~18時
お電話でご案内できます!
0120-022-340