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インプラント治療に歯がない期間はどのくらい?歯がない期間の対処法・仮歯が必要な理由・注意点も解説

インプラント 歯がない期間

むし歯や歯周病で歯を失ってしまった時、インプラント治療を選択肢とする方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

入れ歯やブリッジとは異なり、見た目も美しく機能的なインプラントですが、治療に数ヶ月かかるデメリットもあります。

インプラント治療が終了するまで、どのくらいの期間を歯がない状態で過ごすのでしょうか。またその間、どう対処したらよいのでしょうか。

本記事ではインプラント治療で歯のない期間やその間の過ごし方を徹底解説していきます。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

インプラント治療の流れ

レントゲン
インプラント治療は以下のような流れで行われます。

  1. カウンセリング・診察
  2. インプラントの埋め込み
  3. 上部構造の装着
  4. メンテナンス

ここでは簡単に、治療の流れについて確認しておきましょう。

まず、最初に行われるのはカウンセリング・診察です。

インプラント治療は誰もが利用できる治療法ではありません。治療が可能かの判断は、主に「持病の有無」「服用薬」「アレルギーの有無」が考慮されます。

「持病の有無」ですが、持病があるからといってインプラント治療が受けられないというものでもありません

心疾患など直接命にかかわる病が重篤化している場合や、糖尿病や高血糖などの全身症状を抱えている場合、インプラント治療が受けられない可能性があります。

「服用薬」についても考慮が必要です。インプラント治療中には、感染を防いだり、骨の造成を助けるための薬が投与されることが多いです。

しかし、持病などの関係で、こうした薬と併用できない薬が投与されている場合があります。その場合、症状の重さや薬の種類にもよりますが、インプラント手術は難しい場合が考えられるでしょう。

「アレルギーの有無」に関しても同様です。インプラント治療ではさまざまな金属が使われますから、事前に相談するかパッチテスト血液検査を受けておくのが良いでしょう。

こうしてカウンセリング・診察を行い、インプラント治療で適性が確認された場合はインプラント手術が可能です。

インプラント手術には2種類がありますが、どちらもインプラントと骨が結合するまでに短くとも上顎では3~6ヶ月、下顎では1~3ヶ月かかります。

骨の状態が悪かったり、口内のトラブルがあればその期間も含め、さらに時間がかかると考えましょう。

手術が終了した後はメンテナンスも重要です。特に手術が終了して1年以内はワンシーズンに1回は歯科医院に通い、手術後の状態を診てもらうようにします。

インプラント治療中に歯がない期間はどのくらい?

インプラント治療中に歯がない期間はどのくらい?

インプラント治療は歯を失った部分に人工の歯を入れるものですから、どうしても治療する部分に歯がない期間があります。

そしてその期間は歯を失ってしまった原因によっても異なります。歯を失う原因は主に「むし歯」「歯根破折」「歯周病」の3点といわれています。

それぞれ見ていきましょう。

むし歯が原因の場合

歯のオブジェ

抜歯せざるを得ないほどのむし歯の場合、細菌が神経や骨にまで到達している可能性があります。

インプラント治療は顎の骨に土台となるインプラント体を埋め込むものですから、歯を支える骨に異常があれば行えません。

まずはむし歯の治療を完了し、その上でインプラント治療に移行します。

抜歯自体は1回で終了しますが、その後も術後の経過観察や消毒のための通院が必要です。

経過が良好であればそのままインプラント治療に移行できますが、インプラント体の定着にも上顎で5ヶ月、下顎で3ヶ月程度の治癒期間を要します。

全体として6ヶ月程度、歯のない状態で過ごすことになるでしょう。

歯根破折が原因の場合

歯根破折によって歯を失った場合、顎の骨にも大きな欠損がある可能性があります。

インプラント治療は顎の骨に土台となるインプラント体を埋め込むものですから、治療箇所に十分な骨がなければ行えません。

欠損した骨が再生されるまで6ヶ月程度待ち、その上で治療を行います。

特に顎の骨が少ない場合には「骨造成」といい人工的に骨を厚くする治療もありますが、こちらも同様に6ヶ月程度かかります。

ここでもインプラント体を埋め込んでからも上顎でおよそ5ヶ月、下顎でおよそ3ヶ月の治癒期間が必要ですから、全体として1年程度は歯のない期間があると考えた方がよいでしょう。

歯周病が原因の場合

歯周病は歯槽骨を含む歯周組織が炎症を起こす病気ですから、歯を支える骨が不安定になっている可能性があります。

よって、まずは歯周病の治療が優先です。

歯科医院で歯周病の原因となっているプラークや歯石を取り除いてもらい、歯科医師や歯科衛生士の指導のもとプラークコントロールを行います。

歯周病の治療には決まった期間はなく、適切なプラークコントロールができている期間がどれだけ続くかによって前後します。

そのため、患者自身が適切なプラークコントロールを行えるか、歯周組織の状態がどうなっているかを医師が判断し、問題ないと判断されたらインプラント治療にとりかかるのです。

よって治療期間としては、インプラント体を定着させるための治癒期間である6ヶ月程度に加えて、歯周病の治療が進むまでは歯のない状態で過ごすことになります。

インプラント治療中に歯がない期間の対処法

女性

インプラント治療のために歯のない期間があるのは仕方のないことですが、できるだけ普段通りの生活を送りたいものです。

治療期間中も食事や見た目への影響を軽くするため、以下の3つの対処法が選択肢になります。

  • 部分入れ歯を使用する
  • 隣接する歯に仮歯を固定する
  • アバットメントに仮歯を装着する

それでは、1つずつ見ていきましょう。

部分入れ歯を使用する

インプラント治療で歯がない期間を過ごす時の対処法の1つが部分入れ歯を使用することです。

入れ歯をつくるのにおおよそ1ヶ月かかるものの、必要な部分に装着するだけなので、入れたその日からすぐに使えます。

ただ、部分入れ歯は専用の歯ブラシで汚れを落とす必要があります。磨き残しがあれば口に入れた際に歯周環境を悪化させてしまいます。

流水で汚れを落とし、よくブラッシングするようにしてください。指でさわってみて、ヌルつきがなくなればプラークが取り除かれたサインです。

また、部分入れ歯を装着している歯肉には負担がかかります。使わない時はできるだけ外し、休ませるとよいでしょう。

隣接する歯に仮歯を固定する

歯科器具

両隣の歯が健康な場合、仮着用のセメントで隣接する歯に仮歯を固定できます。ただ、仮歯自体と同様にあくまでも一時的な使用を想定しています。

ですから比較的外れやすく、仮着用をした後に「やっぱり部分入れ歯やアバットメントに装着する仮歯の方がいい」と申し出る方もいるそうです。

両隣の歯の健康状態も含め、担当歯科医師によく相談してからの方がよいでしょう。

アバットメントに仮歯を装着する

インプラント体を埋め込んだあとは、こちらが最も一般的な対処法です。

本物の上部構造を装着するまで、インプラント体の上部に装着したアバットメントに仮歯を装着しておきます。

仮歯ではあるものの、部分入れ歯とは異なり自分の歯のようにブラッシングすればよいので、手入れは比較的簡単です。

また、ある程度の強度で歯茎に固定されているため、セメントでの仮着用よりも外れる可能性が低いでしょう。

インプラント治療中の歯がない期間に仮歯が必要な理由

理由

「そうしても治療中に仮歯を入れなければならないの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。ですが、仮歯を入れるのには主に以下の観点から理由があります。

  • 審美性
  • 歯並び・噛み合わせへの影響

それぞれ確認していきましょう。

審美性

美しい

歯があるのとないのとでは、見た目の美しさに大きく影響してしまいます。

特に話をしたり笑顔になったりした時に見える部分であれば、数ヶ月も歯のない状態で過ごすのは精神的にも負担になるでしょう。

仮歯はその後装着する上部構造のように一人一人に合わせた形状とまではいきませんが、少し見ただけでは仮歯とは分からない程度の完成度ではあります。

ただ、やはり仮歯は一時的な使用を想定したものです。まれに仮歯で満足して治療をやめてしまう方がいますが、これは危険です。

本物の上部構造のようにピッタリと固定されていない仮歯と歯茎の間には汚れが貯まりやすく、放置すれば歯周炎になることもあります。

仮歯の期間も丁寧なブラッシングを心がけるとともに、最後まで治療するようにしましょう

歯並び・噛み合わせへの影響

仮歯は歯のない期間をより快適に過ごさせてくれるものであると同時に、本物の上部構造をつくる際にも重要な役割を果たします

アバットメントに仮歯を装着した状態で数日過ごすことでリバビリにもなり、噛み合わせの状態の確認やプラークコントロールの診査ができるからです。

長期にわたって歯がなかった場所に歯が入ると、頬や舌を噛んだり、噛み合わせに違和感があるなどのトラブルを感じる場合があります。そのため事前に仮歯を入れ、噛み合わせの違和感など、納得がいくまで調整を行います。

また、歯並びや噛み合わせに問題があると特定の歯に負担がかかり、歯周病などの原因にもなります。

ですから、ここで問題がみられれば本物の上部構造をつくる際に調整する必要があるのです。

インプラント治療中に歯がないときの注意点

注意

インプラント治療での仮歯の重要性はご理解いただけたと思いますが、仮歯で過ごす際にも注意点があります。

主に「仮歯に強い力や刺激を与えない」「仮歯の周囲を清潔にする」の2点です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

仮歯に強い力や刺激を与えない

高い成功率を誇るインプラント治療ですが、残念ながら失敗に終わることもあります。治療の失敗の原因は、主に「炎症」「過重負担」です。

「歯根膜」の働きを鈍らせないことが使用目的の1つである仮歯ですが、インプラント体を埋め込んだ部分に過剰な負担がかかれば傷の治りが遅くなったり、炎症を起こしたりすることもあります。

また普段のブラッシングも刺激になる場合がありますから、患部を直接刺激しないように注意しましょう。

仮歯の周囲を清潔にする

歯ブラシ

先ほども申し上げた通り、仮歯は一時的な使用を想定しているのでピッタリに調整されているものではありません。

そのため、仮歯と歯茎の境目にプラークや歯石が蓄積しやすい状態です。普段以上に丁寧なブラッシングを心がけましょう。

それでも食べかすなど汚れが付着した場合は無理に自分で取ろうとせず、歯科医に任せてください。そのほかに違和感を覚えた場合はすぐに診察を受けるようにしましょう。

まとめ

看護師

インプラント治療は決して数日で終了するものではなく、適応を確認する検査から治療の終了まで、早くても数ヶ月はかかるものです。

しかもその長い治療期間の中では、歯がない期間も生じてしまいます。

ですが治療が完了してしまえば審美性も高く、まるで本来の自分の歯のように噛み心地もよいものです。

本記事で取り上げた注意点に留意し、なるべく快適に治療期間を乗り切りましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授

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柴原 孝彦医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授

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