インプラントは顎の骨と結合するためそう簡単には動きませんが、周囲炎や被せ物の消耗によってぐらつくことがあるようです。違和感や噛む力の低下につながり、放置すると抜け落ちることも。 本記事ではインプラントがぐらつくことについて以下の点を中心にご紹介します。
- インプラントがぐらつく原因
- インプラントがぐらつく時の注意点
- インプラント周囲炎について
インプラントのぐらつきについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。
そもそもインプラントとは?
インプラントとは、歯を失った部分に埋め込む人工の歯のことです。 従来のブリッジは隣の歯を削って支えるのに対し、インプラントは人工の歯根を顎の骨に埋め込み、上部構造を固定します。これにより、周囲の歯を傷つけずに歯の欠損を補います。 また、インプラントは自然な噛む力を保持し、見た目や機能も自然だといわれています。 手術が必要な治療であるため、骨の量や歯肉の状態によっては、治療できない場合もあります。
インプラントがぐらつく原因とは?
インプラントがぐらつく原因は様々です。 代表的な原因として、ネジが緩んでいる、インプラント周囲炎、被せ物の不具合が挙げられます。これらの要因によって、インプラントの安定性や寿命に影響を及ぼす可能性があります。
ネジが緩む
インプラント治療で用いられる人工歯根はネジのような形をしています。顎の骨に埋め込まれるネジが適切に固定されていなかったり、骨との結合が十分でなかったりするとインプラントがぐらつくことがあります。緩んだネジによってインプラントがぐらつくと、咀嚼時の負担が増し、周囲の骨や歯肉へのダメージが生じる可能性があります。 定期的なメンテナンスや医師による適切な治療が必要です。
インプラント周囲炎
インプラント周囲の歯肉が炎症を起こす「インプラント周囲炎」も、インプラントのぐらつきの原因となります。 歯周炎は口腔内の清掃不足や喫煙、免疫力の低下などが要因として挙げられます。 炎症によって骨が吸収され、インプラントの支持力が低下することがあります。早期発見と適切な治療が重要です。
被せ物の不具合
インプラントに取り付けられる被せ物にも問題があると、インプラントがぐらつくことがあります。 被せ物が上手くフィットしていないことや、クラウンの割れなどが考えられます。 被せ物の不具合は咀嚼時の負担を増加させ、インプラント自体にもダメージを与える可能性があります。定期的な検診とメンテナンスが必要です。
噛み合わせが悪いため
インプラントは周囲の歯とバランスの取れた噛み合わせが重要です。もし噛み合わせが合っていないと、咀嚼時に過度の負荷がかかり、インプラントがぐらつく可能性があります。適切な噛み合わせを確保するためには、歯科医師との相談と調整が必要です。
歯ぎしりや食いしばりによるもの
歯ぎしりや食いしばりは、口腔内に強い圧力を与えるため、インプラントに負担をかける要因となります。長期間にわたって続くと、インプラントの周囲の骨にも影響を及ぼすことがあります。 歯ぎしりや食いしばりはストレスによって引き起こされている可能性もありますので、リラックスを心がけるなど、ストレス対策も重要です。
インプラントがぐらついている時の注意点
インプラントがぐらついている場合は、適切な対応が必要です。 注意点として、インプラントに触らない、歯磨きは念入りに行う、食事は柔らかいものを選ぶ、取れたパーツを保管するといった対処方法が挙げられます。
インプラントに触らない
インプラントがぐらつく場合、無理に触らず自己判断で動かさないようにしましょう。触ることで症状が悪化する可能性があります。早めに歯科医師に相談し、適切な治療を受けましょう。
歯磨きは念入りに行う
インプラント周囲の歯磨きは丁寧に行いましょう。炎症の原因となる歯垢や食べかすをしっかりと取り除くことが重要です。歯科医師の指導に従い、歯ブラシやデンタルフロスの使用を心掛けましょう。
柔らかいものを食べる
インプラントがぐらついている場合は、噛む力を控えめにする必要があります。硬い食べ物を避け、柔らかい食品を選んで摂取しましょう。 特に、ぐらつきの原因となる部分に負担をかけないように配慮しましょう。
取れたパーツを保管する
万が一、インプラントに使用されているパーツが取れてしまった場合は、失くさないよう保管してください。取れたパーツは再度取り付けられる可能性があります。直ちに歯科医師に連絡し、早急に対応してもらいましょう。
インプラント周囲炎について
インプラント周囲炎は、インプラントの周囲に炎症が起こる状態で、インプラントのぐらつきの主な原因となります。 以下で、インプラント周囲炎の原因、治療法、予防法について解説していきます。
インプラント周囲炎の原因
インプラント周囲炎は、インプラントの周囲に炎症が起こる状態で、口腔内の細菌感染が主な原因となります。歯周病が進行している場合や、口腔内の清掃不足が続くと、細菌が歯肉とインプラントの接触部に入り込み、炎症が生じることがあります。 また、喫煙や免疫力の低下もインプラント周囲炎を引き起こす要因として考えられています。過度の咀嚼や歯ぎしりも、炎症を引き起こす原因となることがあります。
インプラント周囲炎の治療法
インプラント周囲炎の治療法は、早期発見と適切な治療が重要です。軽度の場合は歯周ポケットの清掃や口腔内の指導、適切な歯磨きの指導などが行われます。 進行した場合は、炎症の除去や歯周ポケットの掻爬(そうは)などの手術が必要になることもあります。炎症を鎮めるために抗生物質が処方される場合もあります。
インプラント周囲炎の予防法
インプラント周囲炎を予防するためには、定期的な歯科検診とメンテナンスが不可欠です。歯科医師による適切なブラッシングやフロッシングの指導を受け、口腔内の清掃の徹底が重要です。 歯周病の早期治療はもちろん、喫煙を控えること、バランスの取れた食生活を心掛けることも予防につながります。 適切な予防と早期治療が、インプラントの長期的な保持につながります。
まとめ
ここまでインプラントがぐらつくことについてお伝えしてきました。 インプラントがぐらつくことについて、要点をまとめると以下の通りです。
- インプラントのぐらつきは、噛み合わせの問題や、歯ぎしり・食いしばりによる過度の負荷、インプラント周囲炎による骨の吸収などが原因に挙げられる
- インプラントがぐらついたら、自己判断せずすぐに歯科医師へ相談する。無理に触らず、早めの治療と定期的なメンテナンスが大切
- インプラント周囲炎は、口腔内の細菌感染による炎症。口腔衛生の不足や喫煙、歯周病の進行が原因となる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。