インプラント

インプラントの見た目はどうなるの?治療の流れや見た目のポイントを解説

インプラント治療

歯が抜けてしまった場合の治療の方法はいくつかありますが、選択肢の1つとしてインプラントがあります。

インプラントは、抜けた部分の顎の骨に人工の歯根であるインプラントを埋め込んで、歯根の代わりをさせる治療方法です。

インプラント上にセラミックなどで作られた歯を装着して、歯があった状態を作り出します。

インプラントによる治療はどのようにするのでしょうか。また、インプラントにすると見た目はどのように変わるのでしょうか。

歯が抜けたからといっても他の歯がありますから、生死にかかわるわけではなく、入れ歯やブリッジなどの方法もあります。

そのなかで、インプラントを選択する理由はいくつかあります。ここでは、インプラントの見た目に注目して、インプラントについて考えてみましょう。

見た目でインプラントか分かるのか

明るく白い歯を見せる女性
多くの人が歯が抜けたときの対処として、インプラントを選択するのはなぜでしょうか。インプラントの特徴の1つに、見た目が自然な歯と近いということがあります。この特徴は、選択の理由に大きな影響を与えています。

インプラント治療で利用する人工の歯は、繊細に制作されます。インプラントを埋め込んだのちに入れる歯を制作する場合は、その色や形を周囲と同様なものにしていきます。人工の歯を周囲に近づけることで全体的になじんだ印象を与えます。その結果、自然の歯に近い形態・色調を再現できるのです。

インプラント治療では、インプラントの土台部分が表にでず見えることはほとんどありません。そのため、治療後はセラミックなどで作った歯の部分のみが歯茎の上に見えることになります。

歯茎の上に見えている歯は、元の自分の歯に似せて作られます。特に色は周りの色調に合わせる必要があるでしょう。人はそれぞれ歯の色が異なっているからです。

その結果、インプラントの場合であっても、見た目は自然の歯に近い印象となります。

インプラントの見た目のポイント

歯の色見本を見る女性
インプラントの見た目のポイントは、自然に見えることと周りとのバランスが取れていることです。

例えばインプラントの歯が、周りの歯の色と異なる場合目立ってしまいます。歯の色は人によってさまざまです。必ずしも真っ白の歯がよいというわけではありません。重要なことは、今ある歯の色に合わせた適切な色を見つけることです。

また、形にも注意が必要です。歯の色と同様に形も人によってさまざまです。インプラントの歯は、周りの歯と同様の形にすることで、違和感がなく見た目が気にならなくなります。

その際は、形だけでなく大きさにも気を遣いましょう。いくら色と形が同じであっても、大きさが異なると全体の違和感がなくなりません。

それぞれの歯の見た目だけでなく、全体のバランスや歯の位置などもポイントとしておさえておく必要があります。

違和感のない印象をつけるために全体のバランスをとる方法がいくつかあります。その中でも特に注目されるスマイルライン・黄金比・エステティックラインについて説明します。

スマイルライン

スマイルラインは、笑顔を見せた時に見える歯の先端を結んだラインのことです。スマイルラインが綺麗だと素敵な笑顔に見えます。

スマイルラインがインプラントによって変わってしまうと笑顔の印象も変わります。顔の印象の分かれ目ともいえるスマイルラインは、インプラントのみならず歯科治療にとって非常に重要なポイントです。

一般的に女性のスマイルラインは、女性らしいやわらかく優しい印象を与える緩やかなカーブ状です。男性の場合は、まっすぐ直線的なスマイルラインで力強さを印象付けられるとされています。

スマイルラインがきれいに見えるためには、口を開けた時に上の前歯が上唇から2〜3mm程度見えるのがポイントだといわれています。また、歯茎が見えすぎないことも重要です。

インプラントでの治療を行う際も、こういった細かい設定を事前に検討し行うことができますので、自然なスマイルラインが形成されます。

歯の黄金比

歯だけに着目した方法もあります。それが歯の黄金比です。元々の歯の美しさは、歯の黄金比によって形成されているといわれます。この考え方は、1つ1つの歯の美しさだけでなく、全体のバランスが取れていることがきれいな歯並びのポイントとなるというものです。

実際には、前歯の大きさの中でも中切歯と側切歯の関係が、1対1.618を黄金比と呼んでいます。これは、前歯の幅に関する比率になります。この比率は、自然な歯の配置から得ている数値です。

歯の黄金比は、インプラントの際には、デザインをするときの基準の1つとして考えられます。しかし、必ず黄金比でなければならないわけではありません。歯の黄金比はあくまでもガイドラインの1つであり、この数値以外にもさまざまな比率が検討・議論されています。

エステティックライン

エステティックラインは、顔のラインを美しく見せる架空の線のことです。歯科矯正や美容外科の分野で使われています。

エステティックラインは、顔全体のバランスを見るものですが、歯並びなどでも大きく変わることがあります。そのため、歯科の分野においては、歯の配置や歯肉のラインなどを意識するのです。これによって、エステティックラインに近づけるように治療計画をたて、実際の治療を行います。

では、理想のエステティックラインとはどのようなものでしょうか。一般的にいわれる理想のエステティックラインは、横顔の鼻の先端と顎を結んだラインの内側に唇がある状態です。

日本人にはなかなかいないといわれていますが、それに近い状態でありたいと考える人は少なくありません。

顔のラインは生まれつきだからと考えがちですが、歯並びが悪いことで、エステティックラインに影響を与えることがあります。

そのため、インプラントにおいても他の治療と同様、エステティックラインを意識して歯並びを美しく見せるようにします。

インプラント治療の流れ

口を見る医師と車椅子に乗った患者(歯医者)
ここでは、インプラント治療の流れについて説明します。

最初に行うのは、治療前の口腔内診査です。口腔内診査では、治療を始める前の口腔の状態を確認します。また、治療後にどのような状態であることを目指しているのかの確認をします。

口腔の状態は、歯科用CT撮影などの結果を見た判断です。これによって、どのような治療を行うかの候補がしぼられます。その後、目指している治療後の状態とのすり合わせを行い、治療計画を立案します。

では、実際の治療の流れを説明しましょう。

一次手術

一次手術は、実際にインプラントを顎の骨に埋め込む手術です。

まず、麻酔をかけて痛みなどが感じられない処置をします。患部とその周りが痛みを感じなくなったところで歯肉の切開です。

そして、特別なドリル等を使って顎の骨にインプラントを挿入するための穴を開ける作業です。空いた穴にインプラントを埋入します。

最後に、埋め込んだインプラントの上に切開した歯肉を被せて縫合したら終了です。

抜糸

歯肉の縫合後、一定期間後には抜歯をする必要があります。

抜歯は、切り口が落ち着いたところで行いますので、手術後1週間から10日ほどの期間を開けて実施するのが通常です。

待機期間

インプラントを装着したからといってすぐに歯をつけるわけではありません。

インプラントが顎の骨に統合するまでに、人によっては数か月かかることもあるためです。しっかりと統合されると、骨がインプラントに密着して安定性が高まります。

二次手術

二次手術は、アバットメントと呼ばれる部品を取り付ける手術です。

まずこの手術で最初に行うのは、再度歯肉を切開し、一次手術で埋入したインプラントを露出させることです。

露出したインプラントに、アバットメントを装置します。アバットメントは、新しく装着する上部構造を支える部品です。

アバットメントが取り付けられた後に行うのは、口腔の状態の確認です。これは、取り付ける歯を制作するために行われます。口腔内の状態をみて、新しい歯のための細かなデータをとる作業です。

歯の型取り

歯の型取りのための準備を始めます。型取りの材料は、一般にはシリコーンが使用されます。

型取り用の枠組みに材料を補充したら、患者さんの口に装着します。この時は噛み合わせはしません。

この状態のまま一定時間維持することで、アバットメントの形状が正確に記録されます。

型取り材料が固まったら、型取り用の枠組みをとりはずして終了です。

この型は、歯科技工士に送られます。歯科技工士はこの型を基にして新しい歯を制作します。

上部構造の装着

新しい上部構造が完成したら、歯科医によって、それをインプラントとアバットメントに取り付けられます。その後、患者さんの口の中で確実に噛み合うように調整します。

仮歯を入れるタイミング

歯並び
インプラントにおいて、歯のかわりとなる上部構造を入れるのは二次手術後に歯茎が治癒してからが一般的です。しかし、それまでの歯のない期間は、仮の義歯を入れる場合もあります。

一般的なインプラント治療では、1回法・2回法の2種類の術式が行われることが多いです。どちらの場合もまずは骨の中にインプラント体を埋入し、インプラント体が骨と結合するのを待つ必要があります。

この期間は数か月かかることもあるため、その間は仮の義歯を装着します。インプラントの上部構造とは別の、仮の歯ですのでご注意ください。

インプラント埋入手術と同時に仮歯を装着する「即時荷重インプラント」という方法もあります。

この場合、すぐに歯がある状態になりますので生活に支障がでません。しかし、即時荷重インプラントを行うにはいくつかの条件があります。

骨の状態が良好であること・骨の再生や造成が不要であること・噛み合わせに問題がないことなどです。

仮歯の役割

歯の健康
インプラントの治療を行う場合には、一定期間歯が抜けている状態ができてしまいます。そのため状況に応じて仮歯を作成し利用することがあります。

仮歯を使用する場合、どのようなメリットがあるかを説明します。

審美性を保つ

インプラント治療では手術が2回にわたって行われ、その間は、歯が抜けた状態になります。

仮歯を装着しない場合は歯が抜けた状態のままになります。その場合、特に対象となる場所が前歯の場合は、見た目が気になることも多いでしょう。

見た目だけでなく、歯の欠損によって発音に違和感が出てくる場合もあります。うまく発音ができないと、聞き取りづらくなったり、スムーズな会話のスピードがだせなかったりといった会話での支障が発生します。

これは、息の漏れで正確な発音ができなくなるためにおこることです。

噛み合わせが悪くなるのを防ぐ

成人の場合、矯正などを行わない限り歯並び自体が大きく変わることは少ないです。

ただし歯が入っていない状態だとものを噛みにくい、などの噛み合わせの問題がある場合、仮歯を入れる場合があります。

仮歯の見た目

インプラントイメージ2
仮歯は、治療の途中の段階で利用するものです。

たとえ仮歯であったとしても、自然な歯とできるだけ似た外観を持つことが多いです。

仮歯は治療の進行中に使われる一時的なものですが、歯が抜けている状態をなくし、普段の生活を快適にするのには役立ちます。

見た目もこだわって繊細にするという状態まではいきませんが、全く同じではないにせよ、違和感のない状態にはなります。

まとめ

サプリメントの瓶を持つアジア人女性
歯が抜けてしまったことによって、さまざまな弊害がおきることが考えられます。インプラントは、いくつかの候補の中で見た目を気にする人にとっては最初に検討する治療方法です。

まずは、どのような最終形になるかを、専門の医師に相談しながら治療の計画を立てていきましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
若菜 康弘医師(若菜歯科医院院長)

若菜 康弘医師(若菜歯科医院院長)

鶴見大学歯学部大学院卒業 / 現在は若菜歯科医院の院長

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