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インプラントで歯茎が痩せる?歯茎トラブルの治療法と予防法も併せて解説

インプラントで歯茎が痩せる?歯茎トラブルの治療法と予防法も併せて解説

インプラント後に歯茎が痩せる場合があります。見た目や健康に大きな影響を与えるため、大きな問題であるといえるでしょう。
本記事ではインプラント後に歯茎が痩せてしまう場合について、以下の点を中心にご紹介します。

  • インプラントと歯茎の関係
  • 歯茎トラブルの治療法
  • 歯茎トラブルの予防法

インプラント後に歯茎が痩せてしまう場合について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

インプラントと歯茎

インプラントと歯茎

インプラントと歯茎にはどのような関係がありますか?
インプラントと歯茎は密接に関係しており、歯茎の状態がインプラントの見た目や安定性に大きな影響を与えます。インプラントは天然歯のように歯根膜がないため、歯茎への血流が少なく、歯茎が退縮しやすい傾向があります。歯茎が痩せると、インプラントの金属部分が見えるようになり、審美性が損なわれるだけでなく、細菌感染のリスクも高まるのです。

そのため、インプラントの成功には歯茎の健康維持が不可欠です。

インプラントで歯茎が痩せる原因は何ですか?
インプラントで歯茎が痩せてしまう原因には様々なものがあります。主な要因は以下のとおりです。【インプラント周囲の骨吸収】
インプラント体の周囲の骨が吸収されると、それに伴って歯茎も下がります。これはインプラント周囲炎や過剰な咬合力、清掃不良などが引き金となって骨が徐々に失われる現象です。
骨が減少すると歯茎を支える土台が失われ、結果として歯茎が退縮します。
また、骨吸収が進行すれば、インプラント自体の安定性にも影響を及ぼします。

【歯磨き不足や炎症】
日常的な歯磨きが不十分だと、プラーク(歯垢)や歯石がインプラント周囲に溜まりやすくなります。これらは細菌の温床となり、歯茎に炎症を引き起こすのです。
特にインプラントは天然歯と異なり、周囲の組織と一体化する構造がないため、炎症が進行すると「インプラント周囲炎」という状態になります。これは天然歯の歯周病より進行が早く、歯茎だけでなく、インプラントを支える骨までもが吸収されるため、歯茎が痩せて退縮し、最悪の場合はインプラントの脱落に至ることもあります。

そのため、日々の丁寧なブラッシングやデンタルフロスの使用に加えて、歯科医院での定期的なクリーニングが重要です。

【インプラントの埋入位置や角度の不適切さ】
インプラントは、噛み合わせの力が適切に分散されるように精密に位置と角度を調整して埋め込まれるべきですが、それが不正確だと、一部の歯茎に負担が集中してしまいます。

このような状態が続くと、歯茎がダメージを受けて徐々に退縮していきます。とくに骨が薄い部位や前歯部など、見た目にも影響が出やすい場所では、歯茎が下がってインプラントの金属部分が露出してしまい、審美的な問題にもつながります。

これを避けるためには、歯科用CTによる事前の精密診断と、適切な手術計画が不可欠です。

【外科的な処置による歯茎の損傷】
手術の際に行う歯茎の切開や縫合の方法、術後の傷の治り方などによっては、歯茎が本来の位置に戻らず、傷が治る過程で収縮してしまうことがあります。

特に歯茎が薄い人の場合や、切開線が不適切な位置にあった場合は、瘢痕(はんこん)が残って歯茎が引き締まりすぎてしまうこともあるのです。

近年では、こうしたリスクを減らすために、切開を最小限にする手術方法や、必要に応じて歯茎の移植や再生療法を併用するケースも増えています。

【咬合力の不均衡】
咬合力の不均衡とは、噛み合わせのバランスが悪い状態を指し、歯茎退縮の原因になります。
日常的に無意識のうちに行われる歯ぎしりや食いしばりなどは、歯に非常に大きな力を加えており、インプラントにその負担が集中すると、周囲の歯茎や骨が徐々に損傷を受けていくのです。
特定のインプラントにだけ負荷が集中するような咬み合わせでは、骨吸収とともに歯茎のラインも下がってしまいます。

こうした事態を防ぐためには、噛み合わせの調整や、ナイトガード(就寝中に歯ぎしりを防ぐ装置)の使用が効果的とされています。

これらの原因は単独ではなく、複数の要因が重なって発症しやすいため、事前の診査と術後の管理が重要です。

インプラントで歯茎が痩せるとどのようなリスクがありますか?
歯茎が痩せると、インプラントの金属部分が露出して見た目が悪くなるだけでなく、食べ物が詰まりやすくなり、細菌が繁殖しやすくなります。
これが原因でインプラント周囲炎に発展するリスクが高まるのです。周囲炎が進行すると、骨の吸収が進み、インプラントがグラついたり脱落したりすることもあります。また、発音や食事に支障をきたす恐れもあり、生活の質にも悪影響を及ぼします。

歯茎トラブルの治療法

歯茎トラブルの治療法

インプラント周囲炎の治療法を教えてください
インプラント周囲炎は早期に発見すれば非外科的治療で改善することが可能とされています。軽度であれば、スケーリングや専用器具を使ったプラーク除去、抗菌薬の投与などが行われます。
中等度以上では、外科的に歯茎を開いて感染源を除去し、場合によっては骨再生治療を行うこともあります。

重度になるとインプラントの除去が必要になる場合もあり、早期治療と継続的なメンテナンスが重要です。

痩せてしまった歯茎の治療法を教えてください
痩せた歯茎には主に歯肉移植術(CTG:結合組織移植術)が用いられます。
これは、上顎の内側などから採取した健康な歯肉を痩せた部位に移植する方法で、審美性の回復とともに炎症の予防も期待できるでしょう。また、再生材料やメンブレンを併用した組織再生療法、レーザー治療なども選択肢としてあります。このように、歯茎の治療は、症状や患者さんの希望に応じた方法が行われます。

歯茎トラブルの予防法

歯茎トラブルの予防法

歯茎のトラブルを予防するための歯磨きの方法を教えてください
インプラントの歯茎まわりは特にデリケートなため、正しい方法で歯磨きをする必要があります。
柔らかめの歯ブラシやインプラント専用ブラシを使い、歯と歯茎の境目をやさしく磨きましょう。デンタルフロスや歯間ブラシも有効ですが、使い方を誤ると歯茎を傷つけるため、歯科医院で指導を受けることが推奨されます。

毎日の丁寧なセルフケアが、歯茎の健康を保つ第一歩です。

歯茎のトラブルを予防するために、どのような生活を心がけるべきですか?
生活習慣の見直しも大切です。特に禁煙は最も効果的な予防策の一つです。喫煙は血管を収縮させ、歯茎への血流を悪化させ、免疫力を低下させます。
その結果、歯茎が痩せやすくなり、インプラントの定着も不安定になります。さらに、糖尿病も歯茎の健康に大きな影響を与える疾患のひとつです。糖尿病による高血糖状態は、細菌感染への抵抗力を低下させ、歯周組織の回復を妨げます。
そのため、血糖コントロールは歯茎トラブルの予防にも直結します。

また、バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレスの軽減、適度な運動も、身体全体の免疫機能を保ち、歯茎の健康に寄与します。

インプラント治療後の定期検診では、どのようなメンテナンスが行われますか?
定期検診では、まずインプラント周囲の歯茎の状態や骨の吸収の有無をチェックします。必要に応じてレントゲン撮影を行い、骨やインプラント体の状態を詳細に確認しなければなりません。また、専門的な器具を使ったプラーク除去(PMTC)や、噛み合わせの調整、セルフケア指導なども行われます。

特にインプラントは天然歯よりも感覚が鈍く、異常に気づきにくいため、3〜6ヶ月ごとの定期検診が推奨されます。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでインプラント後に歯茎が痩せてしまう問題についてお伝えしてきました。インプラント後に歯茎が痩せてしまう点の要点をまとめると以下のとおりです。

  • インプラントと歯茎は密接に関係しており、歯茎の状態がインプラントの見た目や安定性に大きな影響を与える
  • インプラント周囲炎は早期に発見すれば非外科的治療で改善できる
  • インプラントの歯茎まわりを正しい方法で歯磨きをする

インプラント治療は成功率の高い方法ですが、歯茎の健康を軽視するとさまざまなトラブルが生じる恐れがあります。
日常のセルフケアと定期的なメンテナンスが不可欠です。歯科医師と連携しながら、インプラントを長く快適に使い続けるための環境を整えましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
岸 民祐歯科医師(医療法人 Teethプラザ歯科 院長)

岸 民祐歯科医師(医療法人 Teethプラザ歯科 院長)

1981年日本歯科大学新潟歯学部卒業 / 1981年~1983年横浜 有楽歯科勤務 / 1983年広島市西区にて岸歯科医院開業 / 1998年中区へ移転、(医)ティース プラザ歯科開業,現在に至る / 所属協会・資格: / (公社)日本口腔インプラント学会 理事・指導医・認定医 / (公社)日本歯科先端技術研究所 指導医・認定医 / ピエールフォシャールアカデミー国際歯学会 会員 / 昭和歯科大学歯学部 外部講師 / その他:瀋陽医学院(中国) 客員教授 / ティースアート広島店

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