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インプラント治療はなぜ高い?費用が上がる要素や費用を抑える方法も解説

インプラント治療はなぜ高い?費用が上がる要素や費用を抑える方法も解説

インプラント治療は、失った歯の機能を回復するための有効な治療法ですが、その費用の高さから躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。確かにインプラント治療は保険適用外であり、一般的な治療と比べると高額になります。しかし、その費用には理由があるのです。この記事では、インプラント治療の費用が高くなる要因や、費用を抑えるための方法などについて詳しく解説していきます。

インプラント治療の費用と高額な理由

インプラント治療の費用と高額な理由

インプラント治療にはどのくらいの費用がかかりますか?
インプラント治療の費用は、治療内容や使用する材料、治療を行う医院によって異なりますが、1本あたりおおよそ30万円から50万円程度が一般的です。両側の奥歯を全てインプラントにする場合、上下で16本のインプラントが必要となるため、総額で500万円以上になることもあります。ただし、これはあくまで目安であり、実際の費用は口腔内の状態や治療計画によって大きく変動します。例えば、歯茎の状態が悪く骨の量が不足している場合は、追加の骨造成手術が必要となり、費用が増加します。そのため、正確な費用は各医院で個別の診断と見積もりを受ける必要があります。
インプラント治療の費用が高額な理由は何ですか?
インプラント費用が高額になる理由にはさまざまな要素があります。まず、インプラント治療は、現在のところ保険適用外の自由診療となっています。そのため、治療にかかる費用は全額自己負担となり、高額になりやすい傾向があります。保険適用外である理由は、インプラント治療が機能回復を主な目的とした治療であり、生活の質の向上に関わる治療と見なされているためです。
さらに、インプラント治療は、歯科医師による高度な外科手術が必要です。顎の骨に直接インプラント体を埋入する手術は、熟練した技術と経験が求められます。手術には細心の注意と正確性が要求され、術後の管理も重要となります。このような高度な医療技術を要する治療であるため、費用が高くなる傾向にあります。
インプラント自体が高価であることも理由の一つです。インプラント治療で使用するインプラント体(人工歯根)は、生体親和性の高いチタンなどの高価な材料で作られています。インプラント体は顎の骨に埋入されるため、安全性と耐久性が求められ、厳しい品質管理のもとで製造されています。こうした高品質のインプラント体は高価であり、治療費用の大部分を占めています。

インプラント治療の費用を上下する要素

インプラント治療の費用を上下する要素

インプラント自体に種類や価格差はありますか?
インプラントの種類によって、価格差があります。インプラントに使用される材料は主にチタン合金ですが、表面処理の方法や形状、接合部の構造などはものによって異なります。それぞれのインプラントシステムによって、骨との結合度や長期的な安定性、審美性などに差があり、価格にも反映されます。また、一般的に、インプラントメーカーが独自に開発した新しいインプラントシステムは、従来のものに比べて高価になる傾向があります。表面処理技術の向上や、より生体親和性の高い素材の使用、設計の改良などによって、治療成績や審美性が向上しているためです。
インプラント治療はオプションで価格が変わりますか?
インプラント治療では、基本的な治療内容に加えて、いくつかのオプションがあり、それらを選択することで治療費用が変動します。まず、インプラント治療に伴う骨造成の有無が大きな価格差の要因となります。インプラントを埋入するための十分な骨の量と質が不足している場合、骨造成手術が必要となります。骨造成手術には、自家骨移植や人工骨の使用などさまざまな方法がありますが、それぞれ費用が追加されます。特に自家骨移植の場合は、採取部位の手術も必要となるため、費用が高くなる傾向にあります。

また、上部構造(人工歯)の材質も価格差の要因の一つです。上部構造には、金属製のものとセラミック製のものがあります。一般的に、金属製の方が安価ですが、審美性では天然歯に近いセラミック製の方が優れています。特に前歯部の治療では、よりセラミック製の上部構造が選択されることが多く、その分費用が高くなります。

インプラント治療後のメンテナンスと費用

インプラント治療後にはどのようなメンテナンスが必要ですか?
インプラント治療後のメンテナンスは、大きく分けて、日常的なセルフケアと定期的な歯科医院でのメンテナンスの2つがあります。日常的なセルフケアは、患者さん自身が行う口腔内のケアです。具体的には、歯磨きや歯間ブラシ、デンタルフロスなどを使って、インプラント周囲の歯垢や食べカスを丁寧に取り除くことが重要です。インプラントは天然歯と異なり、歯周病になりにくいと思われがちですが、インプラント周囲炎という特有の感染症のリスクがあります。こまめなセルフケアによって、インプラント周囲炎の予防に努めましょう。

一方、定期的な歯科医院でのメンテナンスは、専門的な口腔内のクリーニングと、インプラントの状態チェックが中心となります。歯科衛生士による専門的な歯のクリーニングでは、歯石の除去や歯面の研磨など、自宅では行えない処置を行います。また、歯科医師がインプラントの動揺度や周囲の歯肉の状態をチェックし、異常がないかを確認します。定期的なメンテナンスの間隔は、患者さんの口腔内の状態によって異なりますが、半年に1回程度が一般的です。

インプラント治療後のメンテナンス費用はどのくらいですか?
インプラント治療はすべて自由診療であるため、メンテナンス費用についても保険は適用されません。厚生労働省は保険診療と自由診療の併用を原則禁止としているため、保険外の診療がある場合は自由診療として計算されるのです。したがって、歯科医院でのメンテナンス費用は、診療内容や医院によって異なります。一般的には、歯科衛生士によるクリーニングと歯科医師による検診を合わせて、1回あたり5000〜1万円程度が相場と言えます。ただし、インプラント周囲炎の治療が必要な場合や、上部構造(人工歯)の修理、調整が必要な場合は、別途費用がかかります。 メンテナンスの頻度は、口腔内の状態によって個人差がありますが、3か月に1回程度が一般的です。仮に1回あたり7500円のメンテナンス費用がかかるとすれば、年間では3万円程度の費用負担となります。

インプラント治療の費用を抑える方法

インプラント治療の費用を抑える方法にはどのようなものがありますか?
従来のインプラント治療は失った歯の本数分インプラントを埋め込むため、インプラント本数がとても多く必要で費用もかさみました。しかしインプラントオーバーデンチャー治療をはじめ、本数を少なくする治療も始まっています。
また、インプラント治療は高額な医療費となるため、医療費控除の対象になります。医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、所得税が軽減される制度です。インプラント治療の費用は、医療費控除の対象となる自己負担額に含めることができます。確定申告の際に、医療費控除を適用することで、税金の還付を受けられる可能性があります。
自由診療の特性上、インプラント治療の費用は医院によって差があります。同じ治療内容でも、医院の規模や立地、使用する材料などによって、費用に差が生じます。複数の医院で見積もりを取り、費用を比較することで、自分の予算に合った医院を選ぶことができます。結果として、複数医院で見積もりを比較せずに治療を進めてしまう場合と比べて費用を抑えられる可能性が高まります。ただし、費用の安さだけで医院を選ぶのは避けましょう。治療の質や安全性、アフターケアなども総合的に判断することが大切です。
インプラントの本数を減らす方法にはどのようなものがありますか?
インプラント本数を減らす治療にオーバーデンチャー治療というものがあります。これは、入れ歯を人工歯根や残った自然歯で支える治療法です。自分の残った歯を使えるので、埋め込む人工歯根は1本〜4本となり、インプラントや自然歯の上に入れ歯をかぶせて固定します。 また、All-on-4(オールオンフォー)治療では、埋め込むインプラントは4本と少なく済みます。奥歯では骨移植手術を行うことが多いですが、この方法ではその費用が必要ありません。しかし、高度の技術が必要とされるため、一部の歯科医院でしか行われていませんので、かかりつけの歯科医院での相談をおすすめします。

編集部まとめ

編集部まとめ インプラント治療は、失った歯の機能を回復するための有効な治療法ですが、その高額な費用が悩みの種になっている方も多いでしょう。しかし、インプラント治療の費用には、治療の質や安全性を確保するためのさまざまな要因が関係しています。治療費用を抑える方法もありますが、口腔内の状態や治療の目的、長期的な予後などを総合的に評価し、自分に適切な治療法を選択することが何より大切です。かかりつけの歯科医師とよく相談し、納得のいく治療を受けましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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